極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 9 〈第9話〉

EPISODE 9


サウスダコタ州?:ファーム近く

Woodsman に命を助けられたバッド・クーパーは、
レイに立ち寄ると言っていたファームの近くまでたどり着く。
赤いバンダナの印。


FBIプライベートジェットの機内

サウスダコタの連邦刑務所から
フィラデルフィアへの帰途、
ゴードン・コールに国防総省のデイヴィス大佐から電話が入る。
ガーランド・ブリッグス少佐の首なし遺体の件。
プライベートジェットは急遽、
バックホーン警察署へ向かうことに。

※ノックス大尉からバックホーンの遺体がガーランド・ブリッグス少佐のものだと知らされたデイヴィス大佐が連絡先したのはゴードン・コールだった。


サウスダコタ州?:ファーム

ファームでバッド・クーパーを待っていたのは、
シャンタルとその夫ゲイリー“ハッチ”ハッチェンス

「ちょっと相棒、昨夜来るはずだったでしょう?
血、出てますよ」
「ここの所有者は誰だ?」
「農民です」
「今、どこにいる?」
「裏で眠ってます
欲しいものは?」
「携帯をニ、三台とこいつの弾」
「なんすか?これ?
俺が凄いヤツ、用意しますよ
おい、シャンタル、ボスがお見えだ
救急箱持ってこい!」
「怪我してるの?
やだ!一晩中待ってたんだよ
どこ怪我したの?」

バッド・クーパーがシャツをめくって見せると、
腹部に銃創。
しかし、出血は止まっている。

※シャンタルの夫ゲイリー“ハッチ”ハッチェンス役は、
ティム・ロス
シャンタル役のジェニファー・ジェイソン・リーとはクエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』に続いての共演。
ティム・ロスの吹替がちょっと…(以下自粛


FBIプライベートジェット機

座席で眠っているダイアンをゴードンが起こす。

「このままフィラデルフィアに真っ直ぐ引き返す代わりに、すまんがちょっと寄り道しても構わんか?
サウスダコタバックホーンに行く
重大事なんだ」
「ああ、クソゴードン、早く家に帰りたいの」
「極めて大事なことだし、君にとっても興味深いはずだ
クーパー捜査官が知っていたある男、
彼に関わる古い事件だ」
青いバラ事件?」
「そうだ」

酒を要求するダイアン。

今にも悪態をつきそうなダイアンの様子を察したアルバート

「だよな?わかってる!クソアルバートだ」

携帯を使おうとするダイアン。
しかし、携帯は通信不能

その時、ゴードンに連邦刑務所のマーフィー所長から
バッド・クーパー逃走の一報が入る。

「クーパーがパーっと逃げた!」


サウスダコタ州?:ファーム

建物の裏ではファームの持ち主である農民夫婦が眠っている(死んでいる?)。

マーフィー所長に用意してもらった携帯に
メッセージを打ち込むバッド・クーパー。

around the dinner table,
the conversation is lively.
ディナーの席での会話は弾む

メッセージを送ると、今度は電話をかける。
電話の相手はラスベガスのダンカン・トッド。

「もうやったか?」
「まだです」
「次かけるまでに終わらせろ」

電話を切られたダンカン・トッドは
ロジャーを呼ぶ。

一方、ハッチが用意したものに
満足気なバッド・クーパー。

「二日以内に刑務所の所長を殺せ」
「所長?いいっすよ
俺が殺る前に、シャンタルにやらせますか?」
「骨抜きするよ」
「好きにしろ
終わったらベガスでダブル・ヘッダーだ
「オーケー、ダブりましょ」
「まず、所長を殺れ、その後命令する
しっかり、覚えろ、
マーフィー所長、ヤンクトン連邦刑務所だ
自宅でも職場でもいい、とにかく殺せ」
「了解、なあ、シャンタル
熱いの、ボスにかましてやれ」

ハッチにそう命じられると、
シャンタルはバッド・クーパーに熱いキス。

「もっとしたーい」
「次にとっておこう」
「絶対だからね」
「壊しとけ、ここも早く出ろ」

見送ったハッチはバッド・クーパーが捨てた携帯をショットガンで撃つ。

※ダンカン・トッドにダギー殺害を命令したのはバッド・クーパーだった。
ダンカンとロジャーが“あの男”と言っていたのはバッド・クーパーだったということになる。
それにしても、バッド・クーパー、ハッチ、シャンタルの関係が謎。
“ラスベガスでダブルヘッダー”とは?


■ラスベガス:ラスベガス警察署

待合室で待たされているクーパーとジェイニーE。
中では、ラッキー7保険のブッシュネル・マリンズ社長が三人のフスコ刑事に事情を聞かれている。

「何か問題を起こしたことは?」
「いいえ、ダギーは優秀な社員ですし、
実に善良な市民です」
「だから誰かに命を狙われるなど考えられない?」
「特に思い浮かびません
もちろん、保険という商売柄、人から逆恨みされることがないとは言えませんな」
「この手の事件の動機は大抵、金です
ストレートな人間の欲求だ
ジョーンズ氏の経歴は?勤めて何年です?」
「12年になります
優秀ですよ、じっくり堅実で」
「少々、じっくり過ぎますな」

“スマイリー”フスコ刑事が妙な声で笑う。

「ダギーは交通事故を経験してるんです
その後うちへ来たんですが、
まあ、時々いわゆる後遺症が出るらしくて、
詳細は奥さんに聞かれた方がいい」
「ではご協力どうも、ブッシュネルさん」
「捜査していただき感謝してます、
しかし、実に奇妙ですな
最初は車が爆発し、次は本人が殺されかけた?」
「何か分かり次第ご連絡します」

まだ何か言いたげなブッシュネル社長。
元ボクサーの血が騒ぐのか、拳を握りしめる。
待合室に戻った社長はクーパーとジェイニーEに声をかける。

「ダギー、今日は社に戻らず家に帰っていい
では、明日から君と私と協力し答えを出そう」
「答え…」

立ち去るブッシュネル社長。

室内の三人のフスコ刑事。

「経歴なんだが、何もなかった、真っ白なんだよ
ダグラス・ジョーンズには、1997年以前の過去がない」
「そんなバカな」
「免許証はないし、パスポートも社会保障番号もない
学歴、納税記録、出生証明書もだ」
「びっくりだな…証人保護か?」
「そうかもな」
「司法省のあいつに聞けるか?」
「やってみる、
テールランプは直したのか?」
「239ドルもかけてな、
たかがテールランプだぞ!」
「キレイになったろ」

何が可笑しいのかまた妙な笑い方のスマイリーが笑う。

「ペンチ持ったあのオーストラリア人!」

釣られて他の二人も笑う。
大して面白くなかったことに気づいたのか、
真顔になる他の二人。

「もう一度呼ぶか?」
「犬と話すようなもんだろ?」
「女房は吠えっぱなしだしな」
「いい手がある」

そう言うとフスコ刑事はコーヒーのお代わりをクーパーに持って行き、マグカップを回収。
クーパーの指紋とDNAを確保する。

そこへクーパーを襲った犯人の情報が。
銃に皮膚ごと残っていた掌紋からアイク“ザ・スパイク”の身元が判明、居場所のモーテルも分かったのだ。

待合室のクーパーの視線は星条旗に吸い寄せられている。
頭の中で「AMERICA THE BEAUTIFUL 」も聞こえてくるが、クーパーの視線は部屋から出て来た女性の赤いハイヒールへ、そして壁のコンセントへと移る。

駐車場では、アイク“ザ・スパイク”の潜伏先のモーテルへ向かう三人のフスコ刑事が直したテールランプを確認している。

※1997年以前のダギーの記録は存在しない。
1997年に一体何があったのか?

ザ・スパイクの銃に残っていた皮膚片はクーパーに押さえられていた手から剥がれたものだった。
進化した腕は「引き千切れ!」と叫んでいたが。


■ラスベガス:アイク“ザ・スパイク”潜伏中のモーテル

どこかに電話中のアイク“ザ・スパイク”。

JTに伝言だ、
携帯にかけたが繋がらず、こっちにした
ここからが伝言だ
惜しくも失敗、怪我したんで休暇を取る」

電話を切るとグラスのウイスキーを飲み干す。

モーテルの駐車場には警察関係者が集結中。
三人のフスコ刑事も到着。
ザ・スパイクの逮捕に向けて着々と準備が進んでいる。

荷物をまとめ、部屋を出るザ・スパイク。
しかし、廊下の先には銃を構えた警官たち。
振り返ると、三人のフスコ刑事。
包囲されて万事休すのザ・スパイク。

※アイク“ザ・スパイク”はダンカン・トッドの依頼でダギー(クーパー)の命を狙ったはずだが、ザ・スパイクが伝言を残したのはJTという人物。
JTとは何者か?


ツイン・ピークス:保安官事務所

受け付けのルーシーと奥のデスクのアンディ。
何をやっているのかと思えば、二人とも同じショッピング・サイトで椅子を物色中。
ルーシーはベージュ、アンディは赤がいいと意見が分かれている。
しかし、予想通り、結局はアンディが折れる。
ところが、ルーシーはベージュではなく赤の椅子を注文する。
してやったりといった表情のルーシー。
面倒くさいカップル。

※ちなみにルーシーが注文した椅子は
$229.99が$179.99にディスカウントになっているオットマン付きの肘掛け椅子。
この二人は胴回りに肉じゅばんでも着ているのか、
極端にぽっこりした体型になっている。


ツイン・ピークス:ベンジャミン・ホーンの自宅

部屋から出てしまった息子を探すベンジャミン・ホーンの妻シルヴィア・ホーン
家の中を駆け回るジョニー・ホーン
自ら壁に激突し、頭部から出血、気絶する。

※ベンジャミン・ホーンの妻シルヴィア・ホーンと知的障害を抱える息子ジョニー・ホーンが再登場。
ジョニー・ホーンを演じる役者は三人目とのこと。


ツイン・ピークス:ブリッグス邸

ボビーがトルーマン保安官とホークと共に母親のベティを訪ねてくる。

「ボビー、どうしたの?
コーヒーでもどう?」
「いや、やめとく
お客さんが一緒なんだ
母さんにいくつか聞きたいことがあって」
「分かった」

「お聞きしたいのはクーパー捜査官のことなんです
彼は少佐が…」

トルーマン保安官がそこまで言うと、
ベティは分かってますというふうに話を遮る。

「亡くなる前日にここへ来た」
「やはり」
「いいわ、よく聞いて
あの日、クーパー捜査官が帰るとすぐガーランドは私を呼び、こう言ったの
“いつかわしらのボビーとホークにトルーマン保安官が”、聞いた時はハリーの方だと思ってたけど、“三人がクーパー捜査官のことを私に尋ねに来るだろう”って
言いながらあの人、私の肩をぎゅっと掴んだわ
どういうことか聞こうとしたけど、
それ以上話してくれなくて、ただひとつだけ、
三人が来たら渡してほしいものがあるって
そう言ったわ
そして、やって来た」

それは、肘掛け椅子の背の部分に隠されていた。
タバコよりも少し長いくらいの黒いスティック。

「お父さんからこの話を聞いた時、
あなたは今のあなたとは程遠かったわ
でもお父さんは大丈夫だって何故か確信してた
今のあなたが見えていたのね
最後まであなたを信じてた」

父への思いで胸がいっぱいになるボビーは思わず涙ぐむ。

※ガーランド・ブリッグス少佐の妻でボビーの母親ベティも再登場。


サウスダコタ州バックホーン警察署

ノックス大尉、マックレー刑事と合流するゴードン・コールの一行。

ダイアンは遺体を見るとこと拒否する。
ひとり待合室に残ったダイアンの携帯にメッセージが届いている。

AROUND THE DINNER TABLE,
THE CONVERSATION IS LIVELY.
ディナーの席での会話は弾む

マックレー刑事から事件概要について説明。

「ウィリアム・ヘイスティングスは地元の図書館司書ルース・ダベンポートと不倫関係にあり、そのダベンポートの頭がブリッグス少佐の胴体と共に発見されました
そこで我々がヘイスティングスを拘留すると、
今度は自宅で妻が殺害され、夫婦の弁護士ジョージ・バウサーという男を第一容疑者として拘留しました
するとその翌日、ヘイスティングスの秘書が車の爆発で死亡して…」
「シーズン2はどうなるのか?」

アルバートの分かりにくい皮肉。
マックレー刑事に謝罪するゴードン。

ブリッグス少佐の遺体を前にする一行。
マックレー刑事の説明が続く。

「ヘイスティングは司書であるルースに協力してもらい研究活動やブログを開設していたことが分かっていますが、そのテーマが少々変わっていて、異次元空間について」

「高校の校長だったんだよな?」
「小6の時はビー玉チャンピオンでしたよ」
「では、いつ負け犬になった?」
「そりゃ、タマを失くした時ですよ」

コンスタンスの上手い返しに満足気なアルバートが資料を読みあげる。

「約一週間前、ヘイスティングはブログをこんな文言と共に閉鎖している
“今日我々はついにいわゆるゾーンに入り、
そこで少佐に会った”
これは四十代の男の身体だ」

ゴードンとアルバートは事実を整理する。

「ブリッグス少佐なら72才です
ご存知の通り、ツイン・ピークス郊外にある例の政府施設で少佐が亡くなったのは25年前なんです
あの死体とほぼ同じ年だ」
「こう考えてみよう
25年前、クーパーはブリッグスと知り合い懇意にしていた
そして今この界隈に出没している」
「しかも、刑務所から逃げ出した状態で」
「そうだ」

コンスタンスは少佐の胃から出てきたダギーの結婚指輪を皆に見せる。

※バッド・クーパーがメッセージを送ったのはダイアンだった!
しかし、ダイアンは連邦刑務所でバッド・クーパーが別人だとゴードンに告げている。
バッド・クーパーとダイアンは通じていたのか?
抽象的なメッセージの意味がわかったのか?

ビル・ヘイスティングスが開設したというブログThe search for the zoneは実在する。
ブログの開設は1997年。
ダギー・ジョーンズの経歴は1997年以降しか存在しない。
ちなみに、デヴィッド・リンチが『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』以来5年ぶりに制作『ロスト・ハイウェイ』は1997年の作品。
The search for the zone のサイトはこちら
👉The Search For The Zone


ツイン・ピークス

ジェリー・ホーンは森の中。
ジェリーの右足は本人の意思で動かなくなっている。

I am not your foot.
私はお前の足じゃない

ジェリーは右足に触ることすら覚束ない。

「どっか行けー!」

意を決したジェリーは右足を掴むが、
ひっくり返ってしまう。

※ジェリー・ホーンの右足に異常発生。


ツイン・ピークス:保安官事務所

会議室ではチャドが、受付ではルーシーがランチ休憩中。
戻ってきた保安官に会議室を追い出されるチャド。

ベティから預かったスティックの開け方が分からない保安官とホーク。
その様子を笑って見ていたボビーは開け方を知っていた。
外に出ないと開けられないと言うボビー。

スティックを地面に叩きつけるボビー。
すると、スティックから音が。
もう一度叩きつけるとスティックから丸められた紙が出て来る。

253 YARDS
EAST
OF
JACK RABBITS
PALACE

BEFORE LEAVE
JACK RABBITS PALECE
PUT SOME SOIL
FROM THAT AREA
IN YOUR POCKET

2:53 10/1 10/2

ジャック・ラビット・パレスから東へ253ヤード進め
ジャック・ラビット・パレス去る前に
その地の土をポケットに入れろ

「ジャック・ラビット・パレスだと?」
「そんな場所聞いたことない」
「やるなあ、オヤジ、まただ」
「何だ?どういう意味だ?」
「ジャック・ラビット・パレスが何処にあるか知ってます
まだ小さい頃、オヤジが連れてってくれました
当時住んでた空軍基地、あの近くでオヤジといろんな話を作った空想の場所なんです
俺がジャック・ラビット・パレスの名付け親」
「少佐にはすべて分かってた、
これがどういうことであれ」
「それがオヤジです」
「じゃあ、二日後そこへ行かんとな
お前が案内しろ
それがオヤジさんの望みだ」

スティックの中にはもう一枚紙があった。
数字とアルファベットの羅列に混じって
COOPER COOPER
の文字。

「クーパーが二人?」

253という数字には聞き覚えがあると思ったら、第2話で進化した腕のメッセージの中に出てきた数字だった。
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉 - 極私的映画案内
時刻の方の2:53は第3話で登場。
ブラックロッジと現世の合間で漂っていたクーパーに急ぐように言った女の腕時計が表示していた時刻がPM2:53。
バッド・クーパーが運転する車の時計も同じ時刻を指していた。
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 3 〈第3話〉 - 極私的映画案内


サウスダコタ州バックホーン警察署

署内禁煙につき、外でタバコを吸っているダイアン。
そこへ、ゴードンとタミー合流する。
三人の間に流れる気まずい雰囲気。
特にタミーは居心地が悪そうである。
その視線に耐えられなくなったかのように、
ダイアンにタバコを吸わせてもらうゴードン。

取調室。
うめき声を上げているウィリアム・ヘイスティングスに事情を聞くタミー。
マックレー刑事、ゴードン、アルバート、ダイアンが見守っている。

ヘイスティングスさん、
あなたはホームページでブログを書かれていますよね?
ブログ名は“ゾーンを探して”」
「ええ」
「どんなことについて書いているんですか?」
「いろいろと」
「二週間ほど前にあるものとの遭遇について書かれましたよね?あなたは“別世界と表現されている」
「異次元空間ですか?
ええ、でも事実です
すべて現実なんですよぉ」
「そのテーマに関心を持ったのはいつからなんですか?」
「結構前から、山ほど資料を読んでて」
「でも今回は実際その空間を見つけ、
中に入ったと書いてますよね?」
「そうです」
「更にあなたはこうも書かれています
その中で少佐に会った、と」
「ええ、そうです
ルースは隠された記録を見つけるのがとても得意で、
それに彼女は確信してました
しかるべき時刻にしかるべき場所へ行けば
異次元空間に入ることができ、
しかるべき人物と接触できると
だから行ったんです」
「そしてそこで少佐に会ったんですね?」
「少佐は隠れてました
でも、本人は冬眠だと言ってて
他の連中に見つかってしまうかもしれないから
別の場所へ行きたいんだと言いました
だから数字を入手するよう頼まれたんです
重要な数字を、座標です
そして少佐が言った通りにそれを軍のデータベースで見つけました」
「まだその座標は持ってます?」
「ルースが持ってたんで、というか手に書いてました
忘れないようにって」
「何があったの?」
「先週の木曜に少佐に数字を届けに行って
恐ろしい事が起きたんです
他の連中、奴らがやって来て私の首を掴むと床に押し付けてこう言った!
女房の名前は?女房の名前は?って
フィリスだと答えた
ルースを殺してない!愛してたんだ!
どうか私を信じてくれ!
ああ、全部私のせいだ、
こんなこと起きちゃいけなかったのにぃ」

ウィリアムはタミーに見せられた六人の写真の中から「この人です」とガーランド・ブリッグス少佐を選び出す。

「一体何が起きたのか、話して」
「数字を渡すと少佐は宙に浮かび上がり、
そしてこう言ったんです
クーパー、クーパー
その直後、頭が消えた
まるで誰も見たことがないような
私もあんなのはじめて見た
あんなの、あんなのってどんな資料にも載ってなかった!
あなたには分からない!
実際に見なきゃ無理なんだ!
すごく少佐は、少佐は、あれはとても美しかった!
その時ルースが死んだ!
辛くて悲しくて、私はルースを抱きしめたんです
そして次の瞬間、目が覚めたら、
私は自分の家にいました
家にいたんです!」
「ルースを殺したのは少佐なの?」
「いいえ、あそこには大勢いたんです
私を信じてください!
私はルースを殺していません!
愛していました!
一体自分に何が起きているのか?
どうか、どうか私を助けてください!
お願いです!」

ルースと二人でバハマでダイビングがしたかったと泣き崩れるウィリアム・ヘイスティングス

「男なのか?こいつは」

アルバートのキツい一言。

※ウィリアム・ヘイスティングスがブリッグス少佐と接触していた。
ヘイスティングスが少佐に入手するように頼まれていた座標とは、バッド・クーパーがヘイスティングスの秘書から聞き出すようにレイに命じていたあの座標のことだろう。
バッド・クーパーは少佐と接触したかったのか?
しかし、ヘイスティングスの秘書は車の爆破事故で死亡。
ヘイスティングスはルースが数字を手に書いていたと証言したが、ルースの頭部以外は発見されていない。
ということは、今、座標の数字を知っているのはレイ、ただ一人ということになる。
ヘイスティングスの秘書を殺したのはレイだとしても、
ルースを殺したのは誰なのか?
ヘイスティングスが入った異次元空間とはどんな場所なのか?
そこに大勢いたのは、どんな者たちなのか?
ダイアンは何故携帯に届いたメッセージのことを黙っているのか?


ツイン・ピークス:グレート・ノーザン・ホテル

ベンジャミン・ホーンのオフィス。
ベンとビバリーは相変わらず謎の音の出所を探っている。
どうやら、部屋の隅のフロアランプの辺りで一番音が大きく聞こえる。

「なんだか魂にも入り込むような、そんな響き」
「ああ、まるで修道院の鐘の音色だな
あれとよく似ている
もしくは、うん、別世界の響き」

二人の距離が近づく。

ビバリー、私には出来ない
なぜかはわからないが」
「あなたはいい人よ」

※この音はベンの言う通り、別世界からの音だろう。
この場所が別世界へと繋がっているのか?
それにしても、生まれ変わったかのように紳士なベンジャミン・ホーン。


ツイン・ピークス:ロード・ハウス

ボックス席の若い女二人。
ひとりはブロンド、ひとりはブルネット。
エラとクロエ。

「デブラって戻って来たよね?」
「会うの久しぶり」
「仕事変えた」
「へー、何でよ?」
「クビだよ、クビにされたの!」
「ふざけてんね、何で?」
「ハイのまま仕事行ったみたい」
「みたい?」
「そう、ったく、覚えてなくて
でも別に騒ぐことじゃないよね?
仕事はちゃんとやったんだよ
ハイでもハンバーガーは売れるんだし、でしょ?
なんかやたらかゆくって」

エラは腋の下をかきむしる。

「で、今の仕事は?」
「通りの向かいの店でバーガー売ってる」
「クソだね」
「そう」

「あのペンギン見た?」
「はあ?何?見たって」
「だから、あのペンギン」

かきむしりすぎて、血が滲んでいるエラの腋の下。


今夜のロード・ハウスのバンドは
再び、Au Revoir Simone
演奏している曲『A VIOLENT YET FLAMMABLE WORLD 』こちら👉Au Revoir Simone - "A Violent Yet Flammable World" (Twin Peaks 2017) - YouTube

※今後の展開に何の関係もなさそうなこのシーン。
でも、アップになるエラがかきむしって血が滲む腋の下とか、妙に気になります。

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一週放送がお休みだったその間に、カール・ロッド役で出演中のハリー・ディーン・スタントンの訃報が届きました。
享年91才。
最後まで現役の俳優として、
多くの人々に愛されました。
Rest In Peace.

今エピソードでは、旧メンバーのベンジャミン・ホーンの妻シルヴィア、息子のジョニー、ガーランド・ブリッグス少佐の妻でボビーの母ベティが再登場。
そして新メンバー、シャンタル・ハッチェンスの夫ゲイリー“ハッチ”ハッチェンスが登場。
演じているのはティム・ロス
シャンタル役のジェニファー・ジェイソン・リーとは、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』でも共演。
夫婦役も妙にしっくりきています。

ヘイスティングスがブリッグス少佐と接触していたことが判明したり、ダギー殺害はバッド・クーパーの命令だったり、ヘイスティングスの秘書も殺されていたりと様々な新事実が明らかになりました。

バッド・クーパーは何故ダギーを殺そうとしたのか?

気になる数字が多数登場する中、
ようやく253、そして2:53が符合。
ジャック・ラビット・パレスで何が起こるのか?

ダイアンは、バッド・クーパーと通じているのか?

すべてに答えは出るのだろうか?
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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

👇ハリー・ディーン・スタントンデヴィッド・リンチの作品にも多数出演していますが、
やはり一本挙げるならヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』。

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