極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

今月の読書 〜2020年1月〜

2020年の始まりは、『特捜部Q』『ミレニアム』シリーズの新作もあったものの、 新年早々とんでもない傑作に出会ってしまった。 リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』。 リチャード・パワーズの作品にがっかりさせられたことはないが、これは想像以上…

今月の読書〜2019年11月,12月〜

特に何かやらなければならないことがあるわけでもなくても忙しないのが師走。 というわけで、年末はあまり読めなかった。 高村薫の〈合田雄一郎シリーズ〉の新作や、 バルガス=リョサの新作もあったが、 一冊選ぶとすれば、今月も韓国文学のチョン・セラン『…

今月の読書〜2019年10月〜

10月は、『IQ』や『横道世之介』の続編などもあったのだが、一冊選ぶとすれば、チョン・セラン『フィフティ・ピープル』。 昨今充実の韓国文学の中でも評価の高かった今作。 高い評価も納得の面白さでした。 ▪️IQ/ジョー・イデ 熊谷千寿訳 早川書房(ハ…

今月の読書〜2019年9月〜

今更ながらですが、2019年の9月は大、大豊作! エイモア・トールズ『モスクワの伯爵』マーロン・ジェイムズ『七つの殺人に関する簡潔な記録』中島京子『夢見る帝国図書館』タナハシ・コーツ『僕と世界のあいだに』年間ベスト級の面白さでした。 ▪️モスクワ…

今月の読書 〜2019年7月、8月〜

毎年一度や二度は、読書がまったくはかどらない低迷期がやって来るのですが、それがどうやら今年は7月。 あまり読めていないのですが、この夏最大の(いや今年最大かも)収穫は何と言っても、 ルシア・ベルリンです! 『掃除婦のための手引書』は、 一言で…

バトル・オブ・ザ・セクシーズ

彼女は何と闘ったのか? 1972年、全米選手権、決勝。 ロージー・カザルスを6-4、7-6で勝ち、全米チャンピオンとなったビリー・ジーン・キングは、 女子選手で初めて獲得賞金10万ドルを突破した。 しかし、ビリー・ジーンの闘いはまだ終わっていなかった。…

今月の読書 〜2019年6月〜

今月の読書、2019年6月分をまとめました。 今月はあまり読めなかったのですが、 なんといっても、 ジョナサン・フランゼン『ピュリティ』。 800ページ超のボリュームですが、 一気に読ませる圧倒的な筆力に脱帽です。 ■ロイスと歌うパン種/ロビン・スローン…

The Witch /魔女

彼女が覚醒する時 養護施設を思わせるような施設。 血塗れの幼い子どもが廊下に座り込んでいる。 奥の寝室の中央はシートに覆われ、 その周囲には鉄パイプを手にした男たち。 壁や床に飛び散ったおびただしい血痕。 シートの下には子どもたちが? その時、シ…

Love、サイモン 17歳の告白

少しだけ勇気を出して話をしよう アメフトの元クオーターバックの父ジャック、 元卒業生代表の母エミリー、料理番組に感化されてすっかりシェフ志望の妹ノラ。 そんな家族に囲まれてジョージア州アトランタに暮らすサイモン・スピアーは高校卒業を控えた17…

ショート・ターム

癒すひともまた傷ついている 問題を抱えたティーンエイジャーが暮らすグループ・ホーム〈SHORT TERM 21〉。 大学を休学中の新人スタッフ、ネイトに先輩メイソンが新人時代に門番を担当した時のエピソードを話している。 門番とは、施設から脱走する収容者を…

キリング・イヴ/KILLING EVE SEASON 1

キターッ!!! エピソード1を観ながら、 久しぶりに心の中で叫んだ私的大ヒットドラマ! キリング・イヴ/KILLING EVE世界各国で暗躍する凄腕の美しき暗殺者ヴィラネル。 一連の犯行が女の犯行だと見抜き、MI6の極秘捜査班に抜擢される元MI5職員イヴ…

今月の読書 〜2019年5月〜

今月の読書、2019年5月分をお届けします。 オススメは、フォークナー『響きと怒り』、 真藤順丈『宝島』、木下古栗『人間界の諸相』、 ジェームズ・ボールドウィン『ビール・ストリートの恋人たち』、皆川博子『夜のリフレーン』。 ■響きと怒り/ウィリアム…

今月の読書 〜2019年4月〜

今月の読書、4月分をお届けします。 オススメは、ケン・リュウ『生まれ変わり』、エトガル・ケレット『クネレルのサマーキャンプ』、トム・ハンクス『変わったタイプ』、短編集が三冊となりました。 ■生まれ変わり/ケン・リュウ 古沢嘉通・他訳 早川書房(…

ビューティフル・デイ

その身体が語るもの シンシナティ。 ホテルの一室。 ベッドに横たわり、ビニール袋をかぶって荒い息を繰り返す男。 アジア系の少女が写った写真を焼き、 血まみれのハンマーを拭う。 “Sandy ”のネームネックレス、携帯電話、その他もろもろをビニール袋に放…

今月の読書 〜2019年2月、3月〜

今月の読書、2月分、3月分をお届けします。 特に2月はあまり読めませんでしたが、中身の充実した読書時間でした。 オススメは、ナオミ・オルダーマン『パワー』、 エリザベス・ストラウト『何があってもおかしくない』、ジョーダン・ハーパー『拳銃使いの娘…

今月の読書 〜2019年1月〜

今月の読書、2019年1月分をお届けします。 1月のオススメは、アッティカ・ロック『ブルーバード、ブルーバード』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』。 ■ブラック・スクリーム/ジェフリー・デーヴァー 池田真紀子訳 文藝春秋 THE BURIAL HOUR/JEFFERY DEA…

2018年のオススメ本

韓国映画界が次々と傑作を生み出しているんだから、 韓国文学が面白いのも当然といえば、当然。 この流れは、2019年も続きそうです。 というわけで、2018年のベストには韓国文学の三冊を選びました。 (翻訳は三冊とも斎藤真理子さん!) また、シリーズもの…

今月の読書 〜2018年12月〜

今月の読書、12月分をお届けします。 オススメは、ジョゼ・ルイス・ペイショット、 ポール・オースター『インヴィジブル』、 コニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』、チョン・ミョングァン『鯨』。 年末に年間ベスト級続々の豊作の12月。 …

今月の読書 〜10月、11月〜

今月の読書、10月分、11月分をお届けします。 オススメは、高田郁『みをつくし料理帖』シリーズ。 今までなぜ、このシリーズと出会っていなかったのか? ■オリエント急行殺人事件/アガサ・クリスティー 講談社(講談社文庫) 久万嘉寿恵訳 Murder on the Or…

今月の読書 〜2018年9月〜

今月の読書、9月分をお届けします。 オススメは、ドン・ウィンズロウ『ザ・カルテル』、山尾悠子『飛ぶ孔雀』、R・J・パラシオ『もうひとつのワンダー』。 ■戦時の音楽/レベッカ・マカーイ 藤井光訳 新潮社(新潮クレスト・ブックス) MUSIC FOR WARTIME/…

今月の読書 〜2018年8月〜

今月の読書、8月分をお届けします。 オススメは、デニス・ルヘイン『あなたを愛してから』とドン・ウィンズロウ『犬の力』のエンタメ小説2冊。 ■収容所のプルースト/ジョゼフ・チャプスキ 岩津航訳 株式会社共和国 Proust contre la déchéance,Conférences…

今月の読書 〜2018年6月、7月〜

今月の読書、2018年6月分、7月分をお届けします。 ベストは、イザベル・アジェンデ『日本人の恋びと』、グレアム・スウィフト『マザリング・サンデー』、多和田葉子『地球にちりばめられて』、ファン・ジョンウン『誰でもない』。 ■穢れの町 アイアマンガー…

今月の読書 〜2018年4月、5月〜

今月の読書、4月分、5月分をお届けします。 ベストは、マイケル・オンダーチェ『ビリー・ザ・キッド全仕事』、コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』、アストリッド・リンドグレーン『リンドグレーンの戦争日記1939-1945』、ファン・ジョンウン『野蛮なアリ…

今月の読書 〜2018年2月、3月〜

今月の読書、2018年2月分、3月分をお届けします。 ベストは、若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』、 レアード・ハント『ネバーホーム』。 ■夜の試写会/S・J・ローザン 直良和美訳 東京創元社(創元推理文庫) DOUBLE-CROSSING DELANCEY AND OTHER STORI…

今月の読書 〜2018年1月〜

本当にもう今さらですが、記録として 今月の読書、2018年1月分をお届けします。 ベストは、パク・ミンギュ『ピンポン』、ロベルト・ボラーニョ『はるかな星』、アンヌ・ヴィアゼムスキー『彼女のひたむきな12カ月』。 ■運命と復讐/ローレン・グロフ 光野多…

2017年のオススメ本《後編》

2017年のオススメ本、《後編》の10冊です。 ここ何年か、脳内積読本になっているロベルト・ボラーニョの未完の大長編『2666』は 今年に持ち越しとなってしまいましたが、 (その代わりに読んだ?)ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』が圧巻でした。 …

2017年のオススメ本《前編》

後半の失速により、2017年の読了本は100冊にも満たなかったのですが、ベストを選ぶとなるととても10冊にはおさまらず、結局20作品になってしまいました。 まず《前編》では、10冊を紹介します。 紹介の順番は、読んだ順番です。 ■その雪と血を…

今月の読書〜2017年10月,11月,12月〜

2017年の後半は、まったく読書が捗らず、 3ヶ月で9作品(11冊)という体たらく。。。 というわけで、3ヶ月分をまとめました。 とうとう最終作となってしまったR・D・ウィングフィールド『フロスト始末』、 読了後、すぐさま最初から再読したジョン・…

ツイン・ピークス The Return Episode 18《第18話》

EPISODE 18■赤いカーテンの部屋ルーシーに銃で撃たれたバッド・クーパーの身体が炎上している。黒煙と共にバッド・クーパーが消える。 片腕の男フィリップ・ジェラードが金色の玉、 タネと一緒にクーパーに託された髪の毛をソファの上に置き、親指と人差し指…

ツイン・ピークス The Return Episode 17《第17話》

EPISODE 17■サウスダコタ州:バックホーンダイアンの化身が姿を消した後の、 FBI支部と化しているホテルの一室。 ダイアンの化身に銃を向けられた時に、 撃てなかったゴードン・コール。 アルバートがワインのグラスを運んでくる。「大丈夫ですか?」 「…