極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 12 《第12話》

EPISODE 12

サウスダコタ州バックホー

FBI一行が宿泊するホテル。
ゴードン、アルバート、タミーがワインで乾杯。

ワインはゴードンの差し入れ。
ゴードンは部屋に盗聴器仕掛けられていないか調べている。
ゴードンとアルバートからタミーに内密の話があるらしい。

「君に知っておいてほしいことがある
1970年、アメリカ空軍はブルー・ブック計画を封印した
20年に渡ってUFOの調査をしたが
実在する確たる証拠はなく
国への脅威にはなり得ないと判断したからだ
言い換えれば、隠蔽だな」

そこで、乾杯。

「数年後、軍とFBIは極秘チームを立ち上げ
ブルー・ブック計画が残した謎に連なる不可思議な事件の捜査に乗り出した
関わった女性が死ぬ前に発した言葉から
それらを“青いバラ事件”と呼ぶようになった
それは今までとは違う道を進まない限り答えに辿り着かないことを意味している
フィリップ・ジェフリーズという捜査官がチームリーダーを任され、3人のメンバーを選んだ
私とチェット・デズモンド、デイル・クーパーだ
気付いているだろうが、私以外の全員が何の説明もなく姿を消している
そのため、ゴードンとしてはチームに新たなメンバーを加えることをためらってきた
今夜まではな
プレストン捜査官、マサチューセッツ工科大やFBIアカデミーでの抜群の成績はもちろん、
高校で優秀者リストに載った時から君には注目していた」
「私にその“青いバラ特捜チーム”に入れと?」

ゴードンと目配せするアルバート

「そうだ」
「やらせて下さい!」
「詳しい説明は明日の朝だ」
「了解」

大仕事を任され、武者震いといった様子のタミー。

「タミーと青いバラに!」
青いバラに!」
青いバラに!」

再び、乾杯する3人。

そこへ、ダイアン登場。

「ダイアン、クーパー捜査官と組んでいた君が
青いバラ”について深く知っていたことはわかっている
君はもう局の人間ではないが、一緒に調べてほしい」
「一時的なものだ
どうしても君の助けがいる」
「見返りはなに?」
「現金で報酬を出す、多くはないが
クーパーの身に何があったのか、知ることも出来るぞ」

かなりの間。

「さっ、やろうぜ!」

ダ、ダイアン、謎の仕草。

※無事(?)“青いバラ特捜チーム”の一員となったタミー・プレストン捜査官を演じているのは、クリスタ・ベル。
デヴィッド・リンチとのこれまでの仕事は、
主に音楽活動。彼女は作曲家でもあります。
女優として大きな仕事は今シリーズが初めてのようです。
青いバラ特捜チーム”の一員だったチェット・デズモンドは、『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』で、“青いバラ”については知らないフリをしていたが、それは極秘捜査だったからなのか?
チェット・デズモンドは今どこに?


ツイン・ピークス

森の中から、駆け出してくるジェリー・ホーン。
そして、転ぶ。

どうやら、右足は動くようになったらしい。


ツイン・ピークス:とあるスーパーマーケット

ローラ・パーマーの母親、セーラ・パーマーが買い物中。
カゴの中身は、ジンかウォッカらしい複数の酒瓶。

レジで、セーラム(タバコ)をワンカートン注文。
レジ係は、ティーンエイジャーの少女と少年。
セーラの目は、レジ奥のターキーのジャーキーに吸い寄せられている。

「お幾らかしら?」
「133ドル70です」
「そのビーフジャーキーだけど、
前はそこにはなかったわよね?」
「あー、新商品なんです」
「それ、なにが新しいの?」
「あの、ビーフじゃなくてターキーです」
「燻製にしてあるの?」
「あー、そうだと思いますけど…
ビーフジャーキーとは材料が違うだけで
基本は同じなんで」
「それが入った時、あなた、いた?」
「あー、はい、2、3週間くらい前ですけど…」

少しづつ、様子が怪しくなっていくセーラ。

「あなたの部屋は前と違うようね?
男たちが来る」
「あー、あのどういう意味かわからないんですけど…」
「あなたたちに警告してるのよ!!!
気を付けた方がいい!
何かが起きるかも、私に起きたように…
私に起きたように!!
ああ、ああ、気分が悪い、気分が悪い…
気分が悪いっ!!!
気分が悪いのよっ!!
ああ、それはダメ、それはダメよ
こんなことやめて!」
「あ、お医者さん呼びましょうか?」
「こんなことダメ、ここを出ましょ
車のキー!キーを探すの!
車のキーだってば!車のキー!
車のキー!車のキーよー!」

買った商品を持たずに叫びながら店の外へ出ていくセーラ。
セーラの尋常じゃない様子に呆気に取られるアルバイトくん。

「何?今の…」
「あの人の住んでるとこ知ってるから
後でこれ、届けようか…」

※衝撃の第8話で、口から異様な生き物に入り込まれたあの少女は誰だろう?(後の誰なのか?)と考えていたんですが、あの少女はセーラ・パーマーかもしれない。
1956年の時点で、あの少女は15歳前後くらいだから、現在は75歳前後。
あの少女が、セーラ・パーマーであってもおかしくない。
このシーンで、セーラがアルバイトのティーンエイジャーにこう言って(叫んで)いる。
「あなたたちに警告してるのよ!!!
気を付けた方がいい!
何かが起きるかも、私に起きたように…
私に起きたように!!」
これは、1956年のあの夜のことを言っているのかもしれない。
彼女は今も何者(何物)かに身体に入り込まれていて、
それに向かって話しているようにも思える。
それにしても、グレース・ザブリスキーの怪演!
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 8 〈第8話〉 - 極私的映画案内


ツイン・ピークス:ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク

カール・ロッドの管理事務所。
“午前9時30分(絶対起こすな)〜午後5時30分”の看板。

トレーラーパークの住人クリスコルが管理事務所の前を通りかかる。
クリスコルは杖をついている。

「クリスコル!」

管理事務所からカールが出てくる。

「もしかしてお前、また血を売っているのか?」
「そうです」
「ああ、確か先週ジェンキンズのところのプロパンガスを交換してくれたよな?」
「しましたけど…」
「手間賃はもらったか?」
「もらってません」
「ここの芝刈りと落ち葉掃除もしてくれただろ?」
「しました」
「手間賃はもらったか?」
「もらってません」
「それじゃあ、クリスコル
その手間賃として、50ドルやる
それと、今月分の家賃は払わなくていいから」
「えっ?」
「もう直ぐ支払日だが、今月分の家賃はいらん
今度から血を売ろうと思った時は
まず俺んとこに相談に来い
俺は嫌いなんだよ
食うために血を売るってのが、どうにもな
確かに病院じゃ血はいるし、献血してくれって言ってるが、お前はもう十分やっただろ」
「やりました」
「血は大事にしろ、クリスコル」
「わかりました」

管理事務所に戻るカール。


※『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』の時はもっとぶっきらぼうな印象だったカール・ロッド。
今シーズンは、シェリー&ベッキー母娘に対する態度ひとつとっても、とても優しい。

■ラスベガス郊外:ダギー・ジョーンズに自宅

クーパーとサニー・ジムがグローブとボールを持って庭に出てくる。
サニー・ジムがクーパーに向かってボールを投げるが、案の定クーパーは全く反応出来ず、
ボールはクーパーの頭にぶつかる。

※中間地点も折り返して、早3話目なんですが、
いまだに、クーパーは赤ちゃん状態。
いつになったら、あのパリッとしたクーパー捜査官が見られるんだろうか?
ちょっと、心配になってきた…。


ツイン・ピークス:セーラ・パーマーの自宅

スーパーでの騒ぎを聞いたホークがセーラを訪ねてくる。

「やあ、セーラ」
「ホーク」
「顔を見に寄った
古い事件を調べてたら思い出してね」
「それはご親切なことで
大方スーパーでの話を聞いてわざわざ来たんでしょうけど」
「ああ、その件なら聞いたよ
みんな、あんたを心配してる」
「自分に何が起きたかわかんないのよ」
「だが、大丈夫なんだろ?」
「今はなんでもない」

その時、家の奥からガチャガチャと物音が聞こえてくる。

「誰かいるのか?」
「いえ、ただキッチンにちょっとね…」
「大丈夫なのか?」
「まったくもう、なんてイヤな話なんだろ!
ねえ、ホーク」
「セーラ、助けがいる時や、何か必要な時はいつでも電話くれ、いいか?わかったな
どんなことでもだ」
「ありがと」

※キッチンに何が?
何がいるんだ?
怖い!!


ツイン・ピークス

リチャード・ホーンに襲われたミリアム・サリヴァンが入院中の病院。

ミリアムは意識不明の重傷を負っている。


サウスダコタ州バックホー

ホテルのバーでマンハッタンを飲んでいるダイアン。
携帯でメッセージを確認。

Las Vegas ?
ラスベガスは?

ダイアンの返信。

THEY HAVEN'T ASKED YET.
まだ聞いてこない

※バッド・クーパーからのメッセージなのか?
ラスベガスとは、ダンカン・トッドのことを指すのか?


ツイン・ピークス:グレート・ノーザン・ホテル

ベンジャミン・ホーンのオフィスにトルーマン保安官が訪ねて来る。

「おお、フランク、
久しぶりだな、元気だったか?
まあ、座って
それで、どんな用件かな?」
「実は言いづらい話なんだが…
あんたの孫のリチャードがあの男の子をはねて死なせた犯人だった」
「ああ、なんてことを…リチャード…」
「そしてどうやらリチャードはその事故を目撃した女性を殺そうとしたらい
ミリアム・サリヴァン、保育園の先生だ
今、集中治療室に入ってる
彼女、保険に入ってないんだが、手術が必要な状態だ
それで、出来ればあんたになんとか…」
「もちろんだ、もちろんだよ
ちゃんとさせてもらう
リチャードか、あいつはまともだった時がない」
「こんな知らせをすることになって…」
「ハリーもね、君の弟の、
リチャードとは度々揉めてやりあっていたんだよ
何かやらかす度に前よりも悪くなっていって…
ハリーはこのことを?」
「ああ、よく話すからね」
「それで、リチャードは今留置場に?」
「逃走中だ
もし、連絡があったら」
「ああ、いや、それはないな
ほとんど連絡が途絶えてるんだよ
金の援助を断った時から…
ハリーはどうだ?」
「頑張ってるよ、みんな望みを捨ててない」
「もちろんだ
で、その女性は今、病院にいるんだな?」
「ああ」
「集中治療室に?」
「ああ」
「で、男の子の親御さんは?」
「想像している通りだよ」
「ああ、…はあ…
ハリーに送ろうとしてたんだ」
「何を?」
「この鍵だよ、郵便で送られて来た
このタイプの鍵はもう20年以上前から使わなくなってるんだが、これは315号室のだ
つまりこの鍵は、クーパー捜査官が使っていた部屋のものってわけだ
だから、ハリーに持ってて欲しくてね、記念に
もらってくれるかな?」
「ああ、もちろんだよ、俺から渡そうか?」
「ああ、そうだな、喜んでくれるかな?」
「喜ぶよ、不思議なもんだ
クーパー捜査官が関わる古い事件を調べ始めたところでね
ちょうどそこへ、その鍵が20何年の時を超えて現れた」
「ああ、不思議だな」
「ハリーにとっては大切なものだろうから、
きっと喜ぶよ」
「うん」
「すまないな、ベン、こんな知らせを持って来て
だが、会えてよかった
違う状況なら、もっとよかったんだが」
「ああ、もし連絡があったら、すぐに知らせる」
「何か情報が入ったら知らせるよ」
「ありがとな、ハリーに」

そう言って、ベンは保安官に鍵を渡す。

保安官がオフィスを去った後、
入れ替わりにビバリーがオフィスに入ってくる。

「リチャードだった、私の孫だ
あの男の子をひき逃げしたのは」
「お察しします」
「リチャードは父親を知らない」

そう言うと、ベンはビバリーに子供の頃に父親が買ってくれた中古の自転車の話をする。
色を塗り直し、サドルを付け替えた自転車…。

ベンはビバリーにミリアムの治療費の支払いについて指示をする。
ベンの心中を思いやるビバリー

※重傷を負ったミリアムは、かろうじて証言はできた模様。
クーパーが使っていた部屋の鍵も、ハリーの元へ。
すべてが、おさまるべきところへおさまっていく。。。


サウスダコタ州バックホー

ホテルのゴードン・コールの部屋。
ゴードンと妖艶な美女がソファで寄り添い、
ワインを飲んでいる。

そこに、ドアをノックする音。
ドアをノックしたのは、アルバートだった。

「ゴードン、お友達には下で待っててもらえませんか?」

「すまないが、しばらく二人にしてもらえるかな?
バーで待っててくれ」

そうゴードンに言われたフランス人女性は、
妙に勿体ぶって、ゆっくりと身支度を整えている。
そんな彼女を無表情で見つめるアルバート

「彼女はお母さんの友達を訪ねて来た
その娘さんが行方知れずなんだ
母親は“カブ”農場を持ってる
だから彼女に言ったんだ
娘さんは“カブ”バックするって、いずれな」

ようやく女性が去り、ゴードン渾身のギャグ。
しかし、無表情、無反応のアルバート

「彼女にも通じなかった
フランス人とは言葉の壁がある
お前は知ってるか?アルバート
現在、この地球上では6000を越す言語が使われているらしいぞ」

ゴードンとアルバートの間に流れる妙な間。

「何の用だ?アルバート
「ダイアンにメッセージが
“ラスベガスは?”
そに返信が、“まだ聞いてこない”」
「一体何なんだ?
我々がまだ聞いてないことってのは
それを突き止めよう
だが、今夜にところは素晴らしきボルドーワインに戻らせてもらうとしよう」
「何年物ですか?」
「11時5分になる」

ゴードンの聞き違えには慣れているアルバートも固まっている。

「大丈夫か?時々お前のことが心配になる」

※保安官事務所のジェシー、ミッチャム兄弟のところのキャンディ、そしてこのフランス人女性と、妙な間の持ち主を意識的に配置している印象。


サウスダコタ州

連邦刑務所のマーフィー所長の家の前に止まった一台のヴァン。
ヴァンの中にはシャンタルとハッチ夫妻。
ハッチは銃にサイレンサーを取り付けている。

「本気か?」
「本気、拷問なんかしてるヒマない
お腹へったの、さっきバーガーショップあったよね?
早く撃っちゃってよ」
「わかった、そうする
でも脚を狙おうか?
で、拉致ってくれば拷問できるだろう」
「だからお腹へった」
「一応、確認」
「来たよ」

そこへ、マーフィー所長が車で帰宅する。
車を降り、玄関へ向かうマーフィー所長。

ハッチが撃った弾はマーフィー所長の背中に命中。
二発目は立ち上がろうとする所長の後頭部に命中する。
玄関からは所長の息子が飛び出してくる。
父親に駆け寄るまだ幼い息子。

「じゃ、メシ食いに行こう」

さっさと引き上げるハッチェンス夫妻。

※マーフィー所長が殺され、ミスター・ストロベリーと ジョー・マクラスキーの謎は明らかにならないままなのか?


ツイン・ピークス:ジャコビー先生トレーラーハウス

午後7時、Dr.ジャコビー改め、Dr.アンプのインターネット中継が始まる。

中継の内容は毎度同じ、に聞こえるが、
パソコンの前に陣どるネイディーン・ハーレーはDr.アンプに心酔している様子。

「よーくわかったわ、Dr.アンプ」

※Dr.アンプ物言いは少し過剰ではあるけれど、
グローバル企業と政治家が手に手を取って、
庶民を搾取しているという考え方はデヴィッド・リンチ自身のものなんだろうと思う。
泥から掘り出してくれる金色のシャベル、
塗装の手間を考えたら、29ドル99セントというお値段は暴利を貪っているとは言えない値段だよね。


ツイン・ピークス:オードリー・ホーンの自宅

上着を手にかけたオードリーはどこかへ出かけるようだ。

デスクの後ろに座っているのはオードリーの夫、チャーリー。

二人共、むっつり黙り込んでいる。
やがて、オードリーが口火を切る。

「もう、電話が鳴るのを待っているのはうんざり
ロードハウスに行くわ
わかってる、彼はあそこ嫌ってた
でも、他は全部見たし
あなたも一緒に来る?」
「オードリー、この書類の山を見てくれよ
締め切りが迫っている
見ろよ、これだけあるんだぞ
仕事を放り出してこんな遅くに出られないよ
私だってビリーを見つけたい
だが、朝になってからでもいいだろう?
今夜は新月だ、外は真っ暗だぞ
今夜のところはゆっくり眠って
明日一緒に探しに行こう」
「ねえ、あなたってどこまでクソ野郎なの?
自分が行方不明になった時
宿題終わるまで探しに行くの待てって言われたら
どう思う?
あなたって本当、根性なしで、タマなしの負け犬よね
ねえ、わかってる?わかるでしょ、
だってそれ、ホントのことだもの」
「オードリー、締め切りが迫ってる
やらないとまずいんだ
なんで自分に与えられた仕事をするのを責めるんだよ
ビリーはどこかにいるんだろう
でも、今夜見つけるのは無理だ
それは間違いない」
「へー、随分自信あるのねぇ
もしかして水晶の玉でも見てそう言ってるの?
だったら、是非その“玉”に聞いてみてくれない?
2日前から行方不明のビリーが今どこにいるのか?
ほらっ、“玉”に聞いてよ!」
「やめてくれ、水晶の玉なんか持ってない
もうこんな時間だ、眠くなってきた
でも、寝る前に片付けなきゃならない仕事があるんだよ」
「あーら、それはお気の毒さま」
「自分の夫にそういう物言いをするんじゃない
私はいい夫になろうと努めて来ただろう?
君もいつもそう言ってる」
「それがなんなのよ
なーによ、一日中あなたに感謝し続けろって言うの?
ひざまずいて、崇めればいいわけ?」
「オードリー、そういう声の出し方は好きじゃない」
「ねえ、チャーリー
この際、腹を割って言い合いましょうよ
実際あなたには“タマ”がないわよね?
だからあたしはビリーを愛した
だからあたしはヤッてるのよ、ビリーと!」
「オードリー…」
「昨日の夜、ビリーの夢を見たの
彼、鼻と口から血を流してた
夢が真実を告げることってあるでしょう?
あたしは行かなきゃならないの!
あなたに一緒に来て欲しい!
守って欲しいのよ!
でも、そんな臆病者じゃあ
あたしがあなたを守ることになりそうね!
それとティナ!ティナを探さなきゃ!
ビリーに最後に会ったのは彼女なのよ
あたし、あの女とは同じ部屋にいるのも耐えられない
あなたがティナに電話するはずが、
かけてくれないし」
「そんなに怒るなよ、ただ私は君のためを思って…」
「あーら、そう、
だったら渡した書類にさっさとサインしてよ」
「ああ、あれかー、
あの書類はどうも怪しげなところがあってね
弁護士に見てもらってからでないとサインは出来ない」
「そう、わかった
じゃあ、ポールに見てもらおうかしら?
あなたに会いに来るよう、ポール言っておく」
「よせ、オードリー、そのやり方はないだろう
私は法的に君の夫だ、権利があるんだ」
「あなた、権利を放棄した」
「なんだと?まさか我々の契約を破るつもりなのか?
契約だぞ、それを破るつもりか?」
「ええ、破るつもりよ、現に今破ってるし」
「わかったよ、オードリー、一緒に行こう
とても眠いが、一緒に行く
で、どこ行くって?」
「だから、ロードハウスよ、言ったでしょ?」
「ああ、オードリー、とにかく行こう
上着がいるな、君はもう着てるようだけど」
「ええ、そうよ、それがなんだって言うの?
出掛けるって言ったでしょ、当然上着は必要になる」
「外には広大な森が広がってるんだぞ
なあ、本気で思ってるのか?
この家を出て、急いでロードハウスに行けば
そこにはビリーがいるはずだって」
「いいからさっさと、上着を取ってきて!!
クソ野郎!」
「ちょっと待った、ティナだ
彼女に電話してみよう
わかってる、私独りだと言うよ
それで、何か知ってるかどうか確かめよう
ダンナがいたら何も言えないだろうが、
まあ、聞いてみよう、いいね?」
「わかった、あの女に聞いてみて
ビリーに最後に会ったのはティナのはずよ
でもチャックは大分イっちゃってるから
あんまり信用できないかもしれない」
「チャックがビリーに最後に会ったのはティナだと言ったのか?」
「そうよ」
「チャックが先週、
ビリーのトラックを盗んだのは知ってるか?」
「それ何の話?」
「ビリーが出掛けようとしたら
チャックがビリーのトラックに乗って走り去った」
「それで?」
「ビリーは保安官を呼んだ」
「それで?」
「その日の午後、トラックが発見された」
「それでどうなったの?」
「保安官から連絡が来て、
ビリーはトラックを取り戻し、
訴えを取り下げたんだろうね」
「そうなの、わかった、じゃ、ティナに電話して!」

ティナに電話をかけるチャーリー。
ティナとの電話で、
どうやら意外な真実が判明した様子。
しかし、電話を切ったチャーリーはオードリーを見つめるだけで何も言わない。
苛立つオードリー。

「あたしには何も言わない気?
はあ、ホントにあたしには何も言わない気!
チャーリー!!!」

※この一連の会話でわかることを整理。
①オードリーはチャーリーと結婚している。
②チャーリーは不能
③オードリーとチャーリーは(多分)婚前契約を結んでいる。
④オードリーはビリーと浮気している。
⑤ビリーは2日前から行方不明。
⑥ビリーに最後に会ったのはティナ。
⑦ビリーに最後に会ったのはティナだとオードリーに言ったのはチャック(チャーリー)。
⑧ビリーは、トラックをチャック(チャーリー)に盗まれた。
⑨ビリーはアンディの訪問を受けた後から行方不明。

⑧⑨について、詳しくはこちら👉ツイン・ピークス The Return Episode 7 〈第7話〉 - 極私的映画案内

チャック(チャーリー)は、オードリーの息子だろう。
ベン・ホーンは、チャーリーは父親を知らないと言っていたが、チャーリーの父親は誰なのか?
前シーズン、オードリーが処女を捧げた男ジャックとはどうなったんだろう?
ああ、でもオードリーの25年間は幸せとは言えない25年だったんだろうなあ。
チャーリーの仕事って何?


サウスダコタ州バックホー

ホテルのバー。
カウンターでタバコを吸うダイアン。
ルース・ダベンポートの左腕に書いてあった座標の数字を思い出しながら、地図アプリに数字を入力していく。

ピン📌が示した場所は、
ツイン・ピークス

※やっぱりアルバートが言っていた“北にある小さな町”とは、ツイン・ピークスのことだった!


ツイン・ピークス:ロードハウス

ボックス席の女性二人連れ。
アビーとナタリー。

「ねえ、アンジェラは?」
「全然、わかんない
昨夜も来るはずだったけど、顔を出さなかったし
クラークと一緒じゃない?」
「クラーク?」
「そう、付き合いだしたみたいよ」
「ホントに?」
「うん、何、驚いてる?」
「まあね、だってクラークとメアリーがここで一緒にいるの見たし、2日前だよ」
「あの女!」
「それで?」
「アンジェラもメアリーのこと、マジ嫌ってる!
どんな感じだった?」
「イチャついてたって感じかなあ
ぴったり密着して、スローダンスしてた
あそこの隅っこで二人の世界って感じ
みんなに見られてた」
「いやだ、そんなのちらっとでき聞いたら、
アンジェラ、ブチ切れるよ!
あの子、クラークのこと、真剣なんだから
2週間前からあいつに言い寄られてさ
クラークの夢、見るんだって!」
「まずいね、あいつ、他の夢にも出てるよ」
「アンジェラ、薬飲むのやめたのに
ああ、クラークのせいでぶちこわしかも
アンジェラ、こんなの、耐えられないよ」
「だよね、確かに
アンジェラ、ギリギリだもんね」
「当然だよ、あんな風にママ亡くして」
「ひどすぎ!」
「ねえ」

トリック、登場。

「聞けよ!俺今マジで殺されるところだったから
どっかのクズ野郎がハイウェイで俺の車に突っ込んできてさ!
ヘッドライトが二つ向かって来るのが見えて
気づいたら、道路外れてた
農民が助けてくれたけど
あの野郎、ぶっ殺してやりてえよ!
ビール、飲むわ
お前らも、ないんだろ?
もう一本、いる?」
「うん、飲む」
「よし、待ってろ」
「ありがと」

トリックは、ビールを注文しに行く。

「トリック、マジでヤバかったみたいね」
「みたいだね」
「あの人って自宅拘禁中?」
「違う、いや、そうだったけど、
刑期終わってる、また自由の身だよー」
「自由の身かあ」
「いいねぇ」


今夜のバンドは、再びChromatics。
演奏してる曲『SATURDAY 』はこちら👉CHROMATICS "SATURDAY" TWIN PEAKS: THE RETURN PT. 12 - YouTube


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ようやく全シーズンのメインキャスターのひとり、オードリー・ホーン再登場!
座標が示すのは、やっぱりツイン・ピークスだったし、
315号室の鍵はハリーの手元に渡りそう。
セーラ・パーマーはこの先、重要な鍵を握りそう。
今エピソード、カイル・マクラクランの出演シーンはたったの数十秒でした。

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


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👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

👇前シリーズの謎を解く鍵だった『 ツイン・ピークス ローラの日記』も再販。
旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

👇オードリー・ホーン役のシェリリン・フェンがワン・シーン出演している『ワイルド・アット・ハート』。
この『ワイルド・アット・ハート』は、
前シーズンと同時期に撮影されていて、
今シリーン出演のローラ・ダーンハリー・ディーン・スタントン、前シーズン出演の故ジャック・ナンスも出演。

👇『ワイルド・アット・ハート』のシェリリン・フェンの出演シーンは、岡崎京子の漫画『エンド・オブ・ザ・ワールド』の中にも登場します。
(表紙が私が持ってるのと違うな)

エンド・オブ・ザ・ワールド (Feelコミックス)

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