極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 8 〈第8話〉

EPISODE 8


■ハイウェイ

マーフィー所長の手引きで連邦刑務所から逃走し、
ハイウェイをひた走るバッド・クーパーとレイ・モンロー。
運転しているのは、レイ・モンロー。
バッド・クーパーの携帯画面には見慣れない表示。

「この車、追跡装置が3つついてる」

そう言って、バッド・クーパーは携帯画面の表示をタップして消す。

「あの前のトラックに寄せろ」

レイに命じるバッド・クーパー。
レイが前方を走るトラックとの車間距離を縮めると、
バッド・クーパーはトラックのナンバーをショートメッセージで誰かに送信する。

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送信後、携帯を窓から捨てるバッド・クーパー。

「逃げたこと、怒んないでくれよ
こんなヘマこいて最悪だよ
出られて助かった
どうやったんだ?」
「ダーリャに話を聞いた
お前が必要だったんでな」
「ダーリャは?」
「安全な場所に着いたら、
電話することになってる」
「どこへ行く?」
「ファームと呼ばれる場所に行くのがいいだろう」
「だと思ってた、それが一番よさそうだ
とは言え、黙って逃しはしないだろ?
奴らだって
すぐに追いかけてくる」
「俺の欲しいものを持ってるな」
「ああ、持ってるよ
ちゃんと覚えてるから、
数字を全部、完璧に覚えてる
けどよ、クーパーさん、
相当な価値があるんだろ?
かなりの大金になるはずだ」
「そう思ってるのか?」
「思ってますよ」

バッド・クーパーはレイにハイウェイを下りるように指示する。
やがて車は舗装されていない細い道へと進み、
林の中へ。

用を足したいと車を止めるレイ。
その間に、グローブボックスから銃を取り出し車から降りたバッド・クーパーはレイに銃を向ける。

「レイ、その情報が欲しい」
「そうか」
「50万ドル、しくじったようだな」
「さあて、それはどうだろう?」

振り返ったレイも手に銃を持っている。
バッド・クーパーの銃には弾が入っていない。

「生憎だな、間抜けが!」

レイは立て続けに二発撃ち、
バッド・クーパーは倒れる。
止めを刺そうとレイがバッド・クーパーに近づくと、
林の奥から顔を黒塗りした浮浪者のような男(Woodsman)が3人姿を表し、
バッド・クーパーに駆け寄る。
Woodsmanたちは倒れたバッド・クーパーの周りに跪き、傷口から流れ出る血をバッド・クーパーの顔に塗りつけている。

すると、バッド・クーパーの血だらけの腹部にボブの姿が。

異様な光景に肝を潰したレイは車に飛び乗り、
慌ててその場を立ち去る。
辺りには白い煙が立ち込める。

※バッド・クーパーがグローブボックスから取り出した銃は、マーフィー所長にリクエストした“友だち”だろう。
しかし、その銃には弾が入ってなかった。
バッド・クーパーはマーフィー所長に裏切られたのか?
しかし、サウスダコタのバックボーン警察署に姿を現した黒塗り顔の浮浪者のような男がWoodsmanだったとは…。
辞書を引くと、
Woodsmanは「森の住人」という意味だが、
そんな牧歌的なモンじゃない!


■ハイウェイ

再び、ハイウェイに戻るレイ。
誰かと電話中。

「フィリップ、レイだ!
ああ、ヤツは死んだと…
でも、ヤツの仲間が現れたんで、確信は持てない
それにその…クーパーの中に何かいた!
それが今回の件の鍵になるかも
行き先は言ってあるから、
ヤツが追ってくればそこで捕らえる」

※レイはフィリップ・ジェフリーズに連絡を入れているし、彼の指示で動いているのかと思っていたが、
彼が銃も携帯も持っていたということは、
マーフィー所長とも通じていたということか?


ツイン・ピークス:ロードハウス

ロードハウスの今夜のバンドは、
ナイン・インチ・ネイルズ

曲はこちら『SHE'S GONE AWAY 』👉The Nine Inch Nails in Twin Peaks - YouTube

ナイン・インチ・ネイルズのフロントマン、
トレント・レズナーデヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』にも音楽監修として参加している。
このシーンにも登場するアティカス・ロスと共に手掛けたデヴィッド・フィンチャーの『ソーシャル・ネットワーク』でゴールデングローブ賞アカデミー賞で音楽賞をダブル受賞。
デヴィッド・フィンチャーの『ドラゴン・タトゥーの女』『ゴーン・ガール』の音楽も手掛けている。


■ハイウェイから外れた林の中

Woodsmanたちから顔に血を塗りたくられ(介抱された?)横たわるバッド・クーパー。
突然、弾かれたようにガバッと起き上がる。


ニューメキシコ州

1945年7月16日午前5時29分

人類初の核実験実施。

閃光、キノコ雲、強烈な熱風、飛び散る粉塵。


古びたガソリンスタンド。
立ち込める白煙。
フラッシュする光。
亡霊のように行き来するのは大勢のWoodsman たち。



虚空から現われた白い人のようなもの(Experiment )が口から繭のような、あるいは卵のようなものを大量に吐き出す。

その中にも、ボブの姿が。


※1945年7月16日
この日行われた人類初の核実験、トリニティ実験。
この日から1ヶ月も経たない8月9日、
同型の爆弾「ファットマン」が長崎に投下された。
ゴードン・コールのオフィスにかけられていたキノコ雲の写真はここに繋がっているのだろう。
トリニティ実験が実施された当時のアメリカ大統領はハリー・S・トルーマン
ローラ・パーマー事件当時、ツイン・ピークスの保安官だったのは、同姓同名のハリー・S・トルーマン
これも意図されたものか?

ニューヨークのガラスボックスから現れサムとトレイシーを襲ったのは、ボブを生み出したエクスペリメントだった!

このシーンで使われているポーランドの作曲家クシシュトフ・ペンデレツキの『広島の犠牲者に捧げる哀歌』(Penderecki :Threnody to the Victims of Hiroshima )はこちら👉Penderecki: Threnody to the Victims of Hiroshima - Urbański, FRSO - YouTube


■ブラックロッジと現世の狭間?

漆黒の海。
(クーパーがブラックロッジから飛ばされた場所と同じか?)
やがて、島が見えてくる。
切りたった崖の上には城のような建物が。
一面壁で覆われているように見えるが、
ひとつだけ小さな縦長の窓がある。

室内には、ドレスとアクセサリーで着飾った女(Senorita Dido)がソファに座りゆっくりと体を揺らしながら、蓄音機から流れる音楽を聴いている。

女の右前方には、巨大なコンセントのような装置が鎮座している。
やがてその装置から異常を知らせるような音が響くと、
部屋の隅からタキシード姿の巨人が姿を現わす。

眉間にシワを寄せた巨人は、装置の中央にあるボタンを押し、音をとめる。

部屋を出た巨人が向かった先は、
客席を取り払った劇場のような大広間。
舞台の奥には大きなスクリーン。
そこに映し出されたのは、
核実験とガソリンスタンドのWoodsman の映像。
エクスペリメントの口からボブが吐き出されたところで映像がストップする。

すると、巨人の体はゆっくりと浮上する。
そこへソファに座っていた女が入ってきて、
舞台に上がってくる。
スクリーンは満点の星空。
空中で仰向けの姿勢になった巨人の口から星くずのようなものを吐き出される。

巨人の口から吐き出された星くずは、
やがて黄金に輝く球体となって女の方に降りてくる。

手を差し出した女の元におさまった球体には
ローラ・パーマーの姿が見える。
球体に口づけした女が送り出すように球体を放すと、
それはゆっくりと上昇し、まるで金管楽器のような管に吸い込まれてゆく。

スクリーンには、地球の映像。
管の先から出た黄金の球体は、
スクリーンの地球に向かって放たれる。
無事、役目を果たしたというような表情の女。

※巨人とSenorita Didoが住む城のある島が、
トリニティ実験の跡地に建つ記念碑の形とそっくり!


ニューメキシコ砂漠

1956年8月5日。
一面の砂漠地帯。
エクスペリメントから吐き出された卵のひとつが孵化しようとしている。

やがて、殻を破って這い出てきたのは、
羽根を持つ前半身は昆虫のようだが、
後ろ半身の足は蛙かトカゲの両生類のような異様な姿の生き物。

満月が雲に隠れる。


ニューメキシコ州

Woodsmanたちが蠢いていたガソリンスタンドの前を歩いてくるパーティー帰りらしいティーンエイジャーのカップル。

「あの曲、気に入った?」
「ええ、すごく気に入った
ああ、見て!
1セント見つけた!
ああ、表が上よ
幸運が来るって印!」
「幸運が来るように祈ってる」

※少女の見つけた1セント硬貨。
麻薬の売人レッドもコインでリチャードを煙に巻いていた。
奇妙な一致。


ニューメキシコ州

荒涼とした風景の中からWoodsmanが一人、
また一人、姿を現わす。

ハイウェイを走る夫婦の車の前に突然姿を現わすWoodsman。
驚いて車を止めた夫に話しかける。

「火、あるか?」

タバコを片手に何度も同じことを繰り返すWoodsman。
怯える夫は何も答えられない。
すると、車の前方にもうひとりのWoodsmanが姿を現わし、夫婦は堪らず走り去る。
スピードを上げる車の前方に、
更にWoodsmanの姿が。

※「火、あるか?」と「火よ、我と共に歩め」


ニューメキシコ州

夜道を歩くティーンエイジャーカップル。

「あなたが住んでるのって、街の方、なんでしょ?」
「そうだよ」
「学校のそばよね?」
「なんで知ってるの?」
「知ってるから」

「あなたはメアリーを送って行くと思ってた」
「いや、もう終わったんだ」
「じゃあ、もしかして悲しんでる?」
「別に」
「そう、そうなのね、
だったらよかった!
それなら…よかった
それじゃあ、送ってくれてホントにありがとう」
「送りたかったんだ…
キスしてもいいかな?」
「それは…どうかなあ?わかんない」
「一回だけ!お願い!」

微笑ましい軽いキス。
またね、と言ってわかれる二人。
名残惜しそうに、家に入る少女。


ニューメキシコ州

車の夫婦を恐れさせたWoodsmanが向かっているのは地元のラジオ局。

ラジオから流れているのは、
プラターズの『My Prayer 』。
客のひいたダイナーのウェイトレス、
車の修理工、
そして、意中の少年とキスをしたあの少女が
今夜の出来事を思い出しながら聴いている。

ラジオ局にやって来たWoodsmanは
受付嬢にあの質問を繰り返す。

「火、あるか?」

そう言って、受付嬢の頭を左手で鷲掴みにするとWoodsman は指の力だけで彼女の頭を握り潰す。

続いて放送ブースのDJにも同じ質問するWoodsman。
同じ質問を繰り返しながらDJに近づき、
彼の頭をまたしても鷲掴み。

乱暴にレコードをとめたWoodsmanはマイクに向かうと話し出す。

これが水だ
そして、これが井戸
すべて飲み干し、降りて行け
この馬は白目で、中は闇

同じフレーズを何度も繰り返すWoodsman。
これを聴いていたウェイトレス、修理工は次々に倒れる(眠る?)。
ベッドの上の、あの少女も体を横たえる。
彼女の元に、砂漠で孵化したあの異様な生き物が飛んで来る。
そして、操られたように開けられた彼女の口に、
“それ”は入り込む。
口を閉じた彼女は、“それ”を飲み込んでしまう。

同じフレーズを延々と繰り返しながら、
Woodsmanは薄笑いを浮かべ、
DJの頭を握り潰す。
頭蓋骨にめり込むwoodsmanの指。
崩れ落ちるDJ。

荒涼とした風景の中に姿を消すWoodsman。

眠りに落ちながら、眉間にシワを寄せる少女。

※凄惨なシーンにロマンティックなプラターズ
『My Prayer 』はこちら
👉"My Prayer" The Platters - YouTube

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今シーズンも既に第8回。
全18話の折り返し地点を迎えた今エピソードは、
何とも表現しようのない異様なエピソードとなった。
邪悪な者たちの起源、邪悪な者たちは、
人類初の核実験から生み出されたということが明らかになった今エピソードはシーズンの大きな転換点だろう。
しかし、極端に台詞が少ない!
文章にするのに難儀しました。

来週は、女子ゴルフの中継のため一週お休み。
先は気になるけど、
皆さん、この間に前半を復習しましょう!

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト


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ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

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因みにバルサザール・ゲティは、石油で財を成したゲティ一族の御曹司。

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ロスト・ハイウェイ

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