極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

新しき世界

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生き残るための選択

 
中堅企業体ゴールドムーンの実態は三つの組織が合併し企業体へと移行した韓国最大の犯罪組織だ。
組織のナンバー3華僑出身のボス、チャン・チャンの元で理事として働くジャソンは実は警察の潜入捜査官だった。
潜入生活も8年に及びボスとの絆も深まり、本来の警察官としての自分と現実の間で苦悩が深まっていた。
そんな折、ゴールドムーン会長ソクが交通事故で急死する。
ジャソンのボス、チャン・チャンと組織ナンバー4ジュングの二人に後継者が絞られる中、警察側の上司カン課長からジャソンに新たな指令が下る。
組織の後継者争いに介入するという作戦。
その名も新世界
 
監督自身が明らかにしているが、
パク・フンジョンは『ゴッドファーザー』(監督:フランシス・フォード・コッポラ)、
インファナル・アフェア』(監督:アンドリュー・ラウ、アラン・マック)、『エレクション』(監督:ジョニー・トー)といった東西の傑作がお気に入りだそうで、乱暴な言い方をすれば、本作はこの3本(どちらもシリーズ)のいいとこ取りという言い方も出来るだろう。
警察の潜入捜査官という設定は『インファナル・アフェア』だし、真っ当な堅気の世界と犯罪組織という裏の世界の間で苦悩するジャソンのキャラクターがマイケルを思わせ序盤と終盤で儀式(葬儀)がストーリーの重要な転換点になっているのは『ゴッドファーザー』だし、
組織の後継者争いの血生臭さは『エレクション』だ。
 
しかし、本作はただの物真似ではない。
この作品の非凡さは、三つの作品の設定やキャラクターを借りつつも、まったく新しいパク・フンジョンオリジナルの作品を作り上げていることだと思う。
本作をオリジナル足らしめている最大の要因は、
ジャソンの運命を決めることになるチャン・チャンというキャラクター。
彼と、彼の行動が、
ジャソンに正に生き残るための選択をさせるのだ。
 
イ・ジョンジェチェ・ミンシクという安定安心の二人に加え、チャン・チャンを演じたファン・ジョンミンが素晴らしかった。
軽さ、強かさ、温かさ、狂気、情。
ひとりの人間の中の複雑な感情、性格を見事に体現していた。
老獪な警察幹部、日和見な組織の理事たち、
男たちの表情の捉え方、撮り方に痺れる。
監督自身による脚本は勿論のこと、ストーリーが収束していく終盤のシーンの繋ぎ方、編集の巧さにも唸った。
 
今作は三部作の二作目として製作されたという。
6年前のジャソンとチャン・チャンの姿は一作目に繋がる布石だろう。
新たな傑作シリーズ誕生の予感である。
 
 
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⚫︎新しき世界/NEW WORLD
                                            (2013 韓国)
監督・脚本:パク・フンジョン
出演:イ・ジョンジェチェ・ミンシク,ファン・ジョンミン,パク・ソンウン,ソン・ジヒョ,チェ・ジンモ,チェ・イルファ,チャン・グアン,キム・ヒョンオク,キム・ユンソン,ナ・グァンフン,パク・ソヨン,クォン・テウォン,キム・ホンパ,イ・ギョンヨン
 
 
公式サイトはこちら👉新しき世界新しき世界
 
 
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チェ・ミンシク(カン課長)とイ・ジョンジェ(ジャソン)の二人は、言わずと知れた韓国映画界のビッグネーム!
チャン・チャンに対するジャソンのツンデレ振りが微笑ましい!
 
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後継者争いの主役、組織のナンバー4ジュングを演じるパク・ソンミン。
直情的な性格といい『エレクション』(ジョニー・トー)のレオン・カーフェイを思い出しますね。
 
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そして、この人!
ジャソンの兄貴チャン・チャンを演じた
ファン・ジョンミン
軽さと冷静さ。温かさと非情さ。
ひとりの人間の中の相反する感情、性格を体現して見事。
ハリウッドリメイクもこの役のキャスティングが鍵になること間違いなし。
 
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チャン・チャンが中国本土から呼び寄せる刺客
“延辺の物乞い”。
冴えない外見といい、コミックリリーフかと思いきや、ストーリーを左右する重要な役割を担ってました!
 
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