ゾンビボーイmeetsガール
世の中ドラマも映画も小説もゾンビ流行りでちょっと食傷気味?
しかし、
そうか!
この手があったのか!
社会の中で生きる人間を律していたはずのあらゆるシステムが崩壊した時に問われるのは、ひとりひとりの人間そのものであって、そこにドラマが生まれる。
ゾンビ(または感染能力が強力な謎の疫病)というのは、そういう状態を作り出す為の操置だと思っていたのだが、まさか“ゾンビ”でラブ・ストーリーとは恐れ入った。
ゾンビボーイRは、ウーとか、アーとかいう唸り声混じりではあるけれども、同じくゾンビの親友Mと少しは会話もする。
ゾンビも少しは喋れるし、
感情も記憶もすべて失ったわけじゃない。
ゾンビは喋らないし、
勿論感情もない。
あるのは、ただ強烈な飢えのみ。
というゾンビもののお約束に少しだけ変更を加える。
すると、ゾンビボーイも物語の主人公になれるのだ。
飢えを感じてさまようゾンビボーイRと親友Mら仲間達は物資調達の為に壁を越えて来た生き残りの人間達に遭遇する。
まさに食うか食われるかのバトルの中、こともあろうかRは勇敢に闘うジュリーに一目惚れ。
彼は彼女を仲間のゾンビから守り、自分の隠れ家に連れてきてしまう。
ジュリーの元彼ペリーを襲い脳みそを食べたRはペリーの彼女との記憶を共有し、思いを募らせていく。
そして、彼の中に変化が…。
二人はまるでロミオとジュリエット。
敵対する両家という壁は、
人間とゾンビという壁になり、
Rとジュリーはお互いの温もりを感じることでその壁を乗り越える。
そして、
そのふたりの姿は、他のゾンビの奥底に眠る温かな記憶を呼び起こし、再び人間に戻る決め手となる。
ゾンビものの新たな可能性を感じさせてくれた今作は、ゾンビはちょっとという人にもお勧めしたい一作。
これは、Rがゾンビボーイということを除けば、ちょっと気の小さい男の子と愛嬌にも度胸にも恵まれたちょっと気の強い女の子のボーイmeetsガールの物語なのだ。
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●ウォーム・ボディーズ/ Warm Bodies(2013アメリカ)
監督・脚本:ジョナサン・レヴィン
原作:アイザック・マリオン
ゾンビRの物語』
予告編はこちら👉『ウォーム・ボディーズ』予告編 - YouTube