極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 5〈第5話〉


EPISODE 5

■ラスベガス:夜、郊外の住宅地

ダギーがジェイドと会っていた家の前で、
ダギーの車を見張っているジェイクとジーン。
ジーンは誰かと電話で話している。

「車は家の前にとまったままだ」
「どういうこと?ジーン、まだ中にいるの?」
「さあな、灯りはついてるが」
「何それ?ホントは昨日片がついてるはずでしょ?
あたしを殺すつもり?」
「やることはやった、これ以上どうしろって?」
「クソったれ!!」

ジーンと話していたのはロレインという女。
電話を切った彼女は今にも泣き出しそう。
何かをとても恐れているような様子。

デスクの引き出しからBlackBerryを取り出すと
こう打ち込む。

ARGENT

何処かの寂れた路地、
アルミか銅の金属製の皿の上に置かれた携帯電話くらいの大きさの通信機器らしき黒い箱、
小さな赤いランプが二つ、二度点滅する。

※ダギーの命を狙っていたジーンとジェイク。
彼らに仕事を依頼したのはロレイン。
その彼女もまた誰かに命令されたようだ。
通信機器らしき黒い箱は、バッド・クーパーがモーテルで通信に使っていた機器に似ている。
“ARGENT”の意味は
「銀、銀色、銀白、銀の、銀白の」。


サウスダコタ州:バックボーン警察

鑑識担当コンスタンスがデイブ・マックレー刑事とドン・ハリソン刑事に首なし遺体の死因を説明している。

死因は頭部切断による他殺。
死因については、予想されたものだったが、
遺体の胃から意外なものが見つかった。
それは、結婚指輪だった。
指輪の内側には刻印。

ダギーへ
愛を込めて
ジェイニーE

指輪はブラックロッジに連れ去られ、
小さな金色の玉になってしまったダギー・ジョーンズのものだった。

※何故ブラックロッジに消えたダギーの結婚指輪がサウスダコタの事件現場で発見されるのか?


サウスダコタ州:連邦刑務所

バッド・クーパーが収容されている房。
ベッドに横になっている彼がつぶやく。

「ここで食事がやってくる」

すると間もなく食事が運ばれてくる。
手を洗いながら鏡を覗き込むバッド・クーパー。
キラー・ボブに身体を乗っ取られた時の記憶がフラッシュバックする。

「まだ俺と一緒か、それでいい」


ツイン・ピークス:とあるオフィス

オフィスの主は、ローラ・パーマーのかつての同級生、マイク・ネルソン
彼はオフィスにティーヴン・バーネットという若い男を呼び入れる。
どうやら面接が始まるらしい。
しかし、マイクは履歴書の書き方すらなってないとスティーヴンを叱責し、門前払いする。

※どうやら更生したらしいマイク・ネルソン。


ツイン・ピークス:保安官事務所

ホーク副署長のオフィスでフランク・トルーマン保安官が電話中。
電話の相手は弟のハリーらしい。
彼の病状は思わしくないようである。

そこへ保安官の妻ドリス・トルーマンがやってくる。
家の水道管の水漏れやら父親の車の修理がどうとか、
ものすごい勢いで一方的にまくし立て夫フランクを役立たずだと罵るドリス。
トルーマン保安官がいつも哀しげなのは、
弟ハリーの病気だけが原因ではないのかもしれない。

トルーマン保安官の妻ドリスの悪妻ぶりが強烈すぎて気の毒になってしまったが、オフショットのトルーマン保安官役のロバート・フォスターとドリス役のシンディ・クラークはこんなに仲良し!


■ラスベガス郊外:ダギー・ジョーンズの自宅

ダギーならぬクーパーは出勤、
サニー・ジムは登校の時間。
妻ジェイニーEに急き立てられるクーパー。

「例のお金は隠した。
数えたら全部で
42万5千ドルあったわよ。
大丈夫、あそこなら見つからない。
じゃ、いい?会社に着いたらあの連中に連絡してさっさと5万ドル返すのよ」

テキパキと夫に指示するジェイニーEの言葉はクーパーの耳には殆ど聞こえていないかのようだ。
彼の視線は先に車に乗ったサニー・ジムに注がれている。
サニー・ジムは哀しげというより虚無感さえたたえた表情をしている。
サニー・ジムを見つめ涙を流すクーパー。

※クーパーがカジノで勝ったのは、
なんと42万5千ドル!
一方、ダギーの借金は5万ドル。
ジーンとジェイクは借金の取り立て屋だったのか?


■ラスベガス:郊外の住宅地

ジェイクとジーンがダギーの車の様子を見に来る。
彼らが走り去ると、ガラの悪そうな若い男たちの乗った車が同じようにダギーの車の様子を伺っている。

DAGU LV

ダギーのナンバープレート。


■ラスベガス:ダギーの職場のオフィスビル

車のないクーパーはジェイニーEに送られ職場のあるオフィスビルに到着。
しかし、当然クーパーにはダギーの職場が何処なのか分からない。
銃を構えるカウボーイ(?)の銅像に吸い寄せられるように近付くクーパー。
銅像が銃を向けた方向に歩いていく。

ビルのロビーでウロウロしているクーパーに
若い男フィル・ビスビーが声をかけてくる。

「また夢の国に逃走中?急がないと。
あと3分でミーティングだ」

クーパーはフィルというよりも、フィルが抱えたミーティング用に用意したコーヒーにくっ付いてオフィスへ。
クーパーはフランクのコーヒーをエレベーターの中で 飲み始めてしまう。

ダギーの職場はラッキー7保険という保険会社だった。

フィルに付いて会議室に入ろうとするクーパーに馴れ馴れしく声をかけてきたのは、アンソニー(トニー)・シンクレア

「お前のフォローはしといた、デカい貸しだからな」

クーパーにコーヒーを飲まれてしまったフランクにフィルはグリーンティー・ラテを勧める。
渋々グリーンティー・ラテを飲むフランクだったが、
まんざらでもなさそう。

クーパーはブッシュネル・マリンズ社長(?)に着席を促されようやく席に着く。

トニーが今週の新規請求について説明する。
承認された先週の請求のうち一件は放火が疑われていたが、合法なので保険金が支払われることになったと説明するトニー。

その時、
トニー顔に鏡で作ったような光が当たる(のがクーパーには見える)。

「嘘をついてる」

当然トニーは怒り出すが、クーパーには説明出来ない。
クーパーはブッシュネルにオフィスに呼ばれる。

「ダギー、うちのエース調査員を何故愚弄した?
捜査のプロだぞ」

捜査のプロ、この言葉に反応するクーパー。

ブッシュネルは宿題だと言って、徹底的に調べるようクーパー(ダギー)に事件資料を渡す。

男子トイレの鍵を持っていないクーパーが廊下でトイレを我慢していると、女性社員のロンダが女性トイレの鍵を開けてくれる。

※どうやらクーパーは人間の嘘を見抜く能力も身に付けたらしい。
ダギーの同僚アンソニー(トニー)・シンクレア役はいかにも悪人顔のトム・サイズモア
トニーは不正に関与しているのか?
同じく同僚フィル・ビズビーを演じているのは、
人間、ヴァンパイア、ゾンビが共存する世界を描いた『フリークス・シティ』でゾンビを演じていたジョシュ・ファデム


※ダギーの上司ブッシュネルは元ボクサーだったという設定らしい。


■ラスベガス:シルバー・ムスタング・カジノ

バーンズ支配人の元を訪れたのは(おそらく)カジノのオーナー、(おそらくマフィアの)ロドニー・ミッチャムブラッドリー・ミッチャムの(多分)兄弟。
クーパーの大当たりはバーンズの手引きだと疑われロドニーに暴行された彼はクビにされる。
後任はピット・ボスだったウォリック

※このシーンでなぜか部屋にいる謎の女性3人組、
キャンディ、マンディ、サンディ
今後も登場しそうな予感。


■ラスベガス:郊外の住宅地

ダギーの車がとめられた家のお向かいでは、
母親がヤク中の男の子が窓から様子をうかがっている。
ジーンがダギーの車に何か仕掛けるのを見ていた彼はそれを確かめに行こうとする。
そこへ例のガラの悪い若者たちの車が。
ダギーの車を盗みにきたようだ。
しかし、ドアの鍵を解除しエンジンをかけた途端、
車は爆発炎上。
急いで家に戻った男の子は魅入られたように炎上する車を見つめている。


■ラスベガス某所:洗車場

ジープの洗車を頼んでいたジェイドは、
車の中に落ちていたグレート・ノーザン・ホテル315号室の鍵を渡される。
鍵には“郵送してください”の文字。
ジェイドは近くのポストに鍵を投函する。


ツイン・ピークス:RRダイナー

ボックス席で帳簿をつけているのは、
RRダイナーのオーナー、ノーマ・ジェニングス
彼女の視線の先にはカウンター内で立ち働くシェリー・ジョンソン。
ドアを入ってきた若い女性にノーマが笑顔を見せる。
パンを配達してきたのはシェリーの娘、エリザベス(ベッキー)バーンズだ。

ベッキーシェリーに金の無心をしている。
ベッキーに金を渡すシェリー。
心配そうに母娘を見つめるノーマ。

「今、甘やかしたら、
後でもっと大変なことになるわよ」

車でベッキーを待っていたのは、マイクのオフィスで面接を受けようとしていたスティーヴンだった。
ベッキーの夫はスティーヴンなのだ。
シェリーとノーマの目を逃れて車を止めた二人。

「これ、ちょっと残しといた、やるから」

そう言ってスティーヴンは手の甲に(多分)コカインを落とす。

「今日だけでそんなに使ったの?」

ティーヴンを咎めながらもコカインを吸って恍惚となるベッキー

アマンダ・セイフライドが出演すると聞いてどんな役なのか楽しみだったのだが、彼女の役はシェリーの娘ベッキー役だった!
父親はボビー・ブリッグスらしいが、
シェリーとボビーの間に一体何があったんだろうか?
それにしても、RRダイナーの関係者は美人揃いだ!
ベッキーの夫スティーヴンを演じているのは、デヴィッド・クローネンバーグの息子ブランドン・クローネンバーグの監督デビュー作『アンチヴァイラル』に主演したケイレブ・ランドリー・ジョーンズ


■ラスベガス:ラッキー7保険

退社するクーパー。
資料を抱え、皆とは反対側を向いてエレベーターに乗っている。

なかなか降りずに文句を言われるクーパーをフィルが降りるよう誘導。
表に出たクーパーは今朝進む方向を示してくれた銅像の前にたたずんでいる。

人通りも少なくなり日もだいぶ暮れてきたが、
銅像の前から動かないクーパー。


ツイン・ピークス:保安官事務所

相変わらずローラ・パーマー事件の資料を調べているホークとアンディ
しかし、“ないもの”は依然として見つからない。


ツイン・ピークス:ホワイトテール・ピークジャコビー先生のトレーラー

午後7時丁度にインターネットのライブ中継を始めるジャコビー先生はDr.アップと名乗っている。

現代社会を憂い、現代人の身体が毒されている!と煽りまくるジャコビー先生。
そこで録画映像を見せる。

下半身が泥に埋まっているジャコビー先生。

「友よ、我々は泥の中にいる、クソの中に!
シャベルで泥を掘り外に出よう!

「この金色に輝くシャベルは二重に塗装済み。
シャベルで道を切り拓き、真実へと突き進め!
泥を掘り出すための値段は29ドル99!
そう、たったの29ドル99セントだ!
送料は別!さあ、買えるのはここだけ!
今すぐ手に入れろ!」

ジャコビー先生が自ら金色ペイントしていたシャベルは、何のことはない、インチキ商売の商品だったのである。

この中継を見ていたのが、ツイン・ピークスの住人ジェリー・ホーンとネイディーン・ハーレイだった。


バージニア州アーリントン:国防総省

デイヴィス大佐のオフィスに呼ばれたのはシンシア・ニックス大尉

「また指紋が一致するデータがありました、
ガーランド・ブリッグス少佐の」
「ガーランド・ブリッグス少佐…
そうか、これで何度目だ?」
「16度目になるかと」
「それも何年の間でだ?25年間か?
今回はどこだ?」
「警察です。サウスダコタバックホーンの」

デイヴィス大佐はノックス大尉をバックホーンへ派遣する。

バックホーン警察の鑑識担当コンスタンスが言っていたブロックされていた指紋データはガーランド・ブリッグス少佐のものだったらしい。
ガーランド・ブリッグス少佐を演じていたドン・S・デイヴィスは2008年に亡くなっているが、ドラマの中では依然重要人物である。


ツイン・ピークス:ロード・ハウス

禁煙席でタバコを吸っている男はリチャード・ホーン
店員がタバコを消すよう注意するが、
リチャードは「やる気か?」と凄んで聞き入れない。
そこへ、「ここは俺に任せろ」と別の男がやって来る。
男はリチャードにタバコをねだるが、リチャードが男に渡したタバコの箱の中にはドル札。
金が入っているのを確認した男はリチャードに合図する。
二人は何か取引をしたらしい。

リチャードに火を貸してほしいと隣りの席にいたシャーロットが声をかける。
「来いよ」と誘われ隣りに座ったシャーロットにリチャードは後ろから抱きつき、卑猥な言葉を投げつける。

※実際このシーンではリチャード・ホーンの名前が口にされることはないのだが、リチャード・ホーンと言えばホーン家の人間だろう。
ベンジャミン・ホーンの息子?
あるいはオードリー・ホーンの息子だろうか?
彼は悪事に手を染めているのだろうか?

※シャーロットと一緒にロード・ハウスに来ていた女友だちエリザベスを演じているのは、『ドント・ブリーズ』で盲目の元軍人と戦っていたジェーン・レヴィ
彼女にはきっと今後のエピソードでも出番があるはず。


フィラデルフィアFBI支局

タミー・プレストン捜査官はクーパーとバッド・クーパーの指紋を見比べている。


サウスダコタ州:連邦刑務所

マーフィー所長がバッド・クーパーに電話を用意する。
バッド・クーパーは一人で電話することを許されるが、その様子は監視されている。
それはバッド・クーパーも勿論承知で、
彼はカメラに向かって話し始める。

「皆揃っているから、俺は電話をかけよう」
「じゃあ、誰にかけようか?
「ミスター・ストロベリーにすべきかな?」
「いいや・ミスター・ストロベリーはよそう
かけてもおそらく出ないから」
「分かってる、誰にかけるべきか」

そう言うと、バッド・クーパーはプッシュホンのボタンを矢継ぎ早に押す。
電話をかけているのではなく、タイプするように。

突然、一斉に鳴り出す警報。
点滅する照明。

牛が月を飛び越えた

そう言って、バッド・クーパーが受話器を置くと警報は鳴り止み、照明も戻る。


■アルゼンチン:ブエノスアイレス

謎めいた黒い通信機器が置かれていた寂れた路地はブエノスアイレスだった。
赤いランプが二つ点滅すると通信機器らしき小さな黒い箱は小さな金属の塊に縮んでしまう。


■ラスベガス

とっぷりと日は暮れたが、相変わらず銅像の前から離れずにいるクーパー。
銅像の足を撫でている。


今夜のロード・ハウスのバンドはTrouble
Trouble の『SNAKE EYES』はこちら👉Trouble - Snake Eyes (From the Return of Twin Peaks) - YouTube

※Trouble のギタリスト、ライリー・リンチデヴィッド・リンチの息子。
彼は『インランド・エンパイア』にも参加している。

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今エピソードでは、マイク、ノーマ、ネイディーンといった懐かしい旧メンバーが再登場。
ノーマ役のペギー・リプトン
相変わらずお美しい!
一方、新メンバーもトム・サイズモアといったベテランから、映画で活躍中のアマンダ・セイフライドケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ジョシュ・ファデム、ジェーン・レヴィといった若手俳優など、楽しみなメンバーが続々登場!
今シーズン、舞台はアメリカ全土に及んでいるが、今回はとうとうアルゼンチン、ブエノスアイレスへ。
今後の展開はもう予測不可能。
牛が月を飛び越えたって何⁉︎


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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

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ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

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マンマ・ミーア!』でも素敵な歌声を聞かせてくれたアマンダ。今作でも歌ってます。
『テッド2』のBlu-rayはこちら

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キャラ設定、張り巡らされた伏線が絶妙な一本。
オススメです!

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ《前編》


いいトコどりで、いい国作ろう!


1月2日、
国防総省の統合参謀本部に呼ばれたマイケル・ムーアは相談を持ちかけられる。

第二次大戦後、米軍は何故戦争に勝てないのか?

朝鮮、ベトナムレバノンイラクアフガニスタンイラク、シリア、リビア、イエメン、イラク…。
予算を無駄遣いし、過激派を産出し、
戦争は更なる戦争を生んだだけで、
石油など得られなかった。

マイケル・ムーアはこう答える。

部隊を一時帰休させ、きちんと休養を取らせろ
しばらく軍事侵攻を中止せよ
軍事顧問の派遣もドローンの奇襲攻撃も
海兵隊の代わりに私を送り込め
名前の発音ができる白人の国を侵略する
必要なものをゲットし、この合衆国へ持ち帰ろう
軍隊では解決できない問題があるから

歴代のリーダー達の一聞正しそうなスピーチ。
その一方で、それとは真逆の皮肉な国内の現状がコラージュされる。
投票者への抑圧、警察権力の横暴、インフラの崩壊、
教育予算の削減、軍人への無慈悲な扱い、冤罪、
異なる考え方に対する暴力、一般市民に対する公権力の暴力的抑圧。

マイケル・ムーアの最初のターゲットはイタリア。

■イタリアの労働環境

ジョニー(警官)とクリスティーナ(服のバイヤー)、労働者階級の夫婦のバカンス自慢

・冬の間に一週間、6月に一週間、
8月に3週間、年間30〜35日の有給休暇
更に結婚すれば15日間の有給休暇。
有給休暇が年間8週間。
・12月には一ヶ月分の上乗せ給与
・使い切れなかった休暇は翌年に繰り越し

ラルディーニ社の経営者
(年商数百万ドル企業:ドルチェ&ガッバーナバーバリーヴェルサーチを手がける)

有給休暇は経営者の喜びだし、
従業員の正当な権利だ
彼らも楽しむべき
休暇を取ることでストレス解消になるし、
発散して職場に戻れる

ラルディーニ社のランチタイムは、
自宅での2時間のランチ。


ドゥカティ社(バイクの世界的なメーカー)
CEOクラウディオ・ドメニカーリ

会社の利益と福利厚生は両立できる

イタリア人にとってアメリカに住むのが夢だと言うジョニーに、マイケル・ムーアがアメリカでは
有給休暇は0日だと明かすと
夫婦は絶句。
アメリカには有給休暇の法規制がない!

イタリアでは産休は5ヶ月間(両親のどちらか)支給される(もちろん有給だが、給料1ヶ月分満額で支給されるのかは不明)。
世界で産休制度のない国はパプア・ニューギニアとアメリカだけ(本当?)
因みに、イタリアは最も生産性の高い世界15カ国に入っている。

人生は一度だけ
二度と戻らない
目一杯楽しまないと

イタリアからは
8週間の有給休暇を持ち帰る。


■フランスの学校給食と性教育

まず片田舎の村の最高の厨房へ潜入。
そこは小学校の食堂。

・陶磁器の皿とナイフ、フォークがきちんとセッティングされたテーブル
・冷蔵庫にストックされている様々なチーズ
子供たちに人気があるのはカマンベール
・シェフ、役人、栄養士が月一で会合を開き
メニューを見直す
・自販機(ソーダ)はなし、水を飲む
・チーズとデザート付きの4品コース

昼休み(給食)は授業の一環。
1時間かけて食事の正しいマナーを学び、
健康的な食事と給仕を楽しむ。
アメリカの給食の写真を見て一様に顔をしかめるシェフと子供たち。
一食あたりの給食予算はアメリカより低い。
フランスでは医療も無料、保育園もほぼ無料。
フランスの給与明細には税金の使途が記載されている。
アメリカでは社会保障税と医療税以外の記載はないが、所得税の60%は軍事費に使われている。


次は高校へ。
教室で教師は生徒たちに語りかける。

初めての性体験は、生涯ずっと心に残るものです
相手の求めてることを察し、
互いに与え合うのが愛の営みです
時間をかけてしてほしいことを相手に伝えましょう

ムーアの時代の性教育は恐怖(病気の感染)を煽るものだった。

禁欲は避妊方法とは言えませんよね
リスクが高すぎますよね

性教育を受けないアメリカの10代の間では性感染症が大流行。
禁欲を推奨し性教育をしないテキサスの10代の妊娠率は全米3位。
アメリカの10代の妊娠率はフランスの2倍、
ドイツの6倍、スイスの7倍。

フランスからは学校給食と性教育をゲット!


フィンランドの学校教育

フィンランドの子供たちの学力は世界でもトップレベル。
エアギター選手権や携帯投げ競技や妻運び競技を作った国、フィンランド

元々フィンランドの学力レベルはアメリカとどんぐりの背比べ状態で決して高くはなかった。
ところが、新手法を取り入れたちまち世界のトップレベルに駆け上がり世界一に。

学力世界一に上り詰めたフィンランドの手法とは?

・宿題がない
・小学校一年生の週の授業時間は20時間
・外国語教育
・選択式テストの廃止(あっても少し)
・統一学力テストの廃止
フィンランドの学校は全部同じレベル
近隣の学校が一番、学校選びの必要がない

フィンランドでは、
学校を設立し授業料を取るのは違法で、
私立校はほとんど存在しない。
裕福な子供も公立校に通い様々な境遇の子供と一緒に学ぶ。
大人なっても他人の境遇を尊重できる人になるように。
子供の将来を見据え希望に沿った内容を教える。
“好きなものになれる”という言葉にウソはない。

フィンランドの教育を成功させた方策の多くは元々はアメリカの発想だった。

現在、アメリカでは授業の3分の1が試験対策に費やされ、音楽や美術の授業は削減され試験科目ではない公民も授業から外されている。

でも学校って幸せになる方法を見つける場所じゃない?

生徒が自分の脳を活用できるよう
必要なことはすべて教えるわ
体育も美術も音楽も含めて
脳を活性化するものはすべて

調理したり歌ったり、
美術や自然探索もみんな必要よ
子供でいられる時間は短いんだもの

フィンランドからは教育法をゲット!


スロベニアの借金なしの大学生

ラプンツェル、眠り姫の故郷スロベニアには珍しい伝説の生物がいる。
それは借金なしの大学生だ。

スロベニアは大学の学費が無料になっている国のひとつ。
借金のある学生は皆無と言っていい。
唯一借金のあった学生は、アメリカで学費が払えなくなってスロベニアの大学に編入してきた学生だった。
他の国の学生も無料で学べる。
スロベニアの大学は教育レベルも高い。
多くの講義が英語で行われている。
スロベニアでは教育は公共の利益として見なされている。
最近、スロベニア政府は学費を取り始めることを発表したが、学生たちはこれに反発。
反対運動を組織し政権交代に追い込んだ。

スロベニアからは大学の学費をタダにして若者に借金を背負わせない発想、無料教育制度をゲット!

〈参考:大学の学費が無料の国〉
アルゼンチン、オーストリア、ブラジル、キューバチェコデンマークエクアドルフィンランド、フランス、ドイツ、アイスランドアイルランドルクセンブルク、メキシコ、モロッコノルウェーパナマスロベニアスウェーデンチュニジアウルグアイベネズエラ


■ドイツの中産階級歴史教育

奨学金の返済もなく社会に飛び出し、
週36時間勤務で40時間分の給与。
そんな羽振りのいい中産階級が、
ドイツ、ニュルンベルクの鉛筆工場に生息。

鉛筆メーカーのファーバーカステル社は昨年このIT時代に史上最高の売上を記録。

・光に溢れた明るい職場
・就業時間は午後2時まで
・ストレス過多の人は無料でスパに3週間滞在

ドイツ人にこのような恩恵があるのは労働組合が力を持っているから。
企業には監査役会の設置義務があり、メンバーには労働者側の代表が半数以上と法律で定められている。
監査役会に労働者がいることで、
会社が法律を破れば社員が会社を告発する。

社員の声を聞くことが成功の鍵

因みにドイツでは休暇中の社員に接触することは禁止されており、違法である。
多くの企業で終業後の社員にメールを送らない規則がある。


ニュルンベルクは第二次大戦後ナチスの指導者を裁くニュルンベルク裁判が行われた地でもある。

負の遺産を見つめる歴史教育

強制収容されたユダヤ人の遺品を見せ、彼らの立場に立って、実際に子供たちに大事なものをカバンに詰めさせる授業が行われている。
ドイツでは毎日どの学校でも子供たちに祖先のしたことを教える。

何のために思い出すの?

ごまかさず、なかったことにもしない
“生まれる前のこと”片付けない
“自分には関係ない”とか
“自分のせいじゃない”とか

ドイツでは、歩道の石畳にかつてそこに住み強制収容所で殺されたユダヤ人の家族の名前が刻まれている。
街角には昔の“ユダヤ人禁止”の看板が掲げられている。

罪を見つめ、償いを考えることは、
人として国として向上する最初の一歩。

ドイツからは羽振りのいい中産階級と過去の罪を見つめる歴史教育をゲット!


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マイケル・ムーアの“侵略”もようやくこれで半分。
“侵略”という言葉は少々強すぎるかもしれないが、
マイケル・ムーアの真意は各国のいいところを学びたい、取り入れたいというものだ。
どの国でも、アメリカでは考えられない現状に唖然呆然といった感じのマイケル・ムーアの表情が印象的だが、これらは日本人にとっても他人事とは言えない。
ブラック企業、残業代の不払い、過労死といった労働環境の悪化は大問題だし、ある政令指定都市では給食がなくお昼休みも15分しかないとか、大学の給付型奨学金ゆとり教育の弊害、歴史教育問題など、アメリカを日本に置きかえてこのドキュメンタリーを見ると考えさせられることばかりだ。
もちろん、上手く行っている国と同じようにやったからといって上手く行くとは限らないだろう。
ただ、なぜそれが上手くいっているのか学び、研究することには意味があると思う。
どんな社会を作り、どんな社会で生きていきたいのかを考えるヒントにもなるはずだ。
後編はポルトガルノルウェーチュニジアアイスランドへ。
マイケル・ムーアの侵略はまだまだ続きます。

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⚫︎マイケル・ムーアの世界侵略のススメ
/WHERE TO INVATE NEXT
(2015年 アメリカ)
監督・脚本・出演:マイケル・ムーア


予告編はこちら👉映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』予告編 - YouTube


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ツイン・ピークス The Return Episode 4〈第4話〉


EPISODE 4


■ラスベガス:シルバー・ムスタング・カジノ

スロットマシンのジャックポット(大当たり)を出し続けるクーパー。
30回連続でメガ・ジャックポットを出し、
これにはカジノ側も真っ青。

そんなクーパーにダギーの知り合いらしき男
ビル・シェーカーが話しかけてくる。
当然クーパーはビルと面識はない。

「うち、どこ?」

様子のおかしいクーパーにビルは答える。

「マジかよ?ランスロット・コートだろ?
お前んちは赤いドアの家。
あれはいい目印だ。
マーリンズ・マーケットのそば、
ここから遠くない。
タクシーで6ドルか8ドルってとこだ」

それを聞いたクーパーはスロットマシンで当てた金も受け取らずにカジノを出ようとするが、
係員に引き留められる。
大金を当てたクーパーを上客にしたいカジノは金を渡し、クーパーにリムジンを用意する。

ようやく運転手が赤いドアの家を探し当てる。

しばらく玄関の前で待っていると(クーパーと運転手の頭上をふくろうが飛び去る)、ダギーの妻ジェイニーEが出てきて、いきなりクーパーの横っ面を張る。

「どこ行ってたのよ?どういうこと?」
三日も何の連絡もしないで、会社は無断欠勤するし、
今日は
サニー・ジムのお誕生日だったのよ!
どういうつもり?」

家に入るなりジェイニーEに責め立てられるクーパーだったが、何も答えられない。

しかし、大金の入った袋に気付いたジェイニーEは態度を一変。

「これだけあれば借金も返せる!
今日は人生で一番素敵で、一番恐ろしい日だわ!」


※ダギーと入れ替わったクーパーが家に戻ったタイミングでふくろう。意味深だ。
ダギーの妻ジェイニーEを演じるのはデヴィッド・リンチ監督作『マルホランド・ドライブ』でブレイクしたナオミ・ワッツ



FBI本部:連邦捜査局首席補佐官のオフィス

オフィスに通されるゴードン・コール。
現れた連邦捜査局首席補佐官は元DEA捜査官の
デニース・ブライソン
今ではデニスではなく、すっかりデニースになりきっている。

「デイル・クーパーだ、見つかったんだよ。
サウスダコタ州にいた。
今はサウスダコタ州の連邦刑務所入っている。
明日会いに行くつもりだ」

デニースはゴードンに若く美しいタミー・プレストン捜査官を一緒に連れて行くことについて釘をさすが、
ゴードンは彼女が優秀だから連れて行くのであって他意はないと応じる。
ゴードンは、DEA捜査官時代のデニースに対する他からの批判を取り合わなかったことを彼女に思い出させる。
デニースが優秀だったから批判に取り合わなかったのだと。

「あなたを信じてる、いつだって。
あなたは今大きな何かを追っている。
アルバートも一緒? 頑張って」

デニースはそう言ってゴードンを送り出す。


※前シーズンDEA捜査官としてクーパーに協力したデニス・ブライソンはFBIで出世したらしく現在の肩書きは“連邦捜査局首席補佐官”。
かつてデニースとして女装するのはは捜査の為だったが、今では完全にデニースとして生きているらしい。
演じているのは、前シーズンに引き続きデイヴィッド・ドゥカヴニー


ツイン・ピークス:保安官事務所

電話で釣りに行っているはずのフランク・トルーマン保安官サーモスタットについて話をしているルーシー。
ルーシーは誰もいない時にサーモスタットがどうなっているのか気になっている。

そこへ当のトルーマン保安官が入って来る。

驚いたルーシーは椅子ごとひっくり返って気を失う。
トルーマン保安官はずっと駐車場にいて携帯電話でルーシーと話していたのだが、ルーシーは携帯電話のような文明の利器に一向に慣れることの出来ないでいる。

保安官は今夜の報告を受けている。
DVに酔っ払い運転に酩酊運転。
高校ではドラッグの過剰摂取でデニス・クレイグという生徒がベルが鳴ってもデスクから起き上がらず。

部屋を出た保安官が声をかけたのは、
ローラ・パーマーのかつてのボーイ・フレンド、
ボビー・ブリッグスだった。
彼は保安官補なっている。

会議室ではホークと保安官が丸太おばさんからの情報について検討している。

保安官事務所の中には丸太おばさん(丸太)からの情報を信用していない人間もいる。
一方、会議室でローラ・パーマーの写真を目にしたボビーは動揺し、泣き出してしまう。

ボビーは生前の父親ガーランド・ブリッグス少佐に最後に会ったのはクーパーだと告げる。
少佐と話をしたクーパーはその後すぐにツイン・ピークスを離れたらしい。
翌日、少佐は基地の火事で亡くなっていた。

そこへウォリー・ブランドという男が来ているという知らせが。
ウォリー・ブランドはアンディとルーシーの一人息子。
ウォリーは保安官に挨拶したいという。

ウォリーの名付け親はハリー・トルーマン保安官。
彼は現在入院中である。
現在の保安官はフランク・トルーマン
ハリーの兄である。

自分の使っていた部屋は両親の好きに使って欲しいというウォリー。

「会えて良かったよ。それと、君の車輪にふさわしい道になるように祈ってる」

保安官の言葉に感動するウォリー。


ハリー・トルーマン保安官の兄、フランク・トルーマン保安官役は、ロバート・フォスター
アンディとルーシーの息子ウォリー・ブランドを演じるのはマイケル・セラ
ウォリーはマーロン・ブランドと誕生日が同じという設定で、彼のファッションはマーロン・ブランドの出演作『波止場』にインスパイアされているのだろう。



■ラスベガス:ダギー・ジョーンズ宅

ダギーの家で朝を迎えたクーパー。
ベッドの上には洋服が用意されている。


■ブラックロッジ

何かを探すように右手をかざし歩き回る片腕の男フィリップ・ジェラード。


■ラスベガス:ダギー・ジョーンズ宅

寝室の片隅にブラックロッジの片腕の男の姿を見るクーパー。

You see me don't you.
俺が見えているんだろ
You were tricked.
お前はだまされた

片腕の男はそう言うと、
元はダギーだった金色の玉をクーパーに見せる。

Now one of you must die.
もう一人は死ぬことになる

そう言うと、片腕の男は消える。


そこへジェイニーEが入って来る。
クーパーはトイレに行きたいのだが、
用の足し方さえ分からない。

着替えをジェイニーEに手伝ってもらうクーパー。
ダギーの服はクーパーには大きすぎる。
しかし、ジェイニーEはダギーが痩せたと思い込んでいる。

一階のダイニング・ルームに降りて来るクーパー。
締め方など当然忘れているクーパーはネクタイを頭に巻いている。

息子サニー・ジムに椅子を引いてもらい、
ようやくテーブルにつくクーパー。
以前とは違う様子の父親をサニー・ジムは面白がっている。

コーヒーがあんなに好きだったクーパー。
しかし、コーヒーを口にした彼は吹き出してしまう。


※片腕の男の言う“お前はだまされた”とはどういう意味なのか?誰がクーパーをだましたというのか?
死ぬことになるという“もう一人”とは一体誰のことなのか?バッド・クーパーなのか?

ダギーの息子サニー・ジム役はピアース・ガニォン君。
彼はスピルバーグ製作総指揮のSFドラマ『エクスタント』では、ハル・ベリー演じる宇宙飛行士のアンドロイドの息子を演じていた。


サウスダコタ州:バックボーン警察署

鑑識担当のコンスタンス・タルボットが遺体から採取した指紋をデータベースで見つける。
しかし、記録の閲覧は機密らしくアメリカ軍によってブロックされていた。


サウスダコタ州:連邦刑務所

ゴードン・コール、アルバート・ローゼンフィールド、タミー・プレストン、FBI一行がサウスダコタに到着。
三人は事故を起こし逮捕されたクーパー(だとゴードンたちは思っているが実はバッド・クーパー)と面会するため連邦刑務所へ。

バッド・クーパーの車のトランクでは、
コカイン、マシンガン、ビニールに包まれた犬の足が発見されていた。

「また会えて“もてと”嬉しいよ、懐かしの友よ」
「私もとても嬉しいよ、懐かしの友よ」
「もう随分長いことあんたとは会っていなかった」
「ああそうだな、会っていない」
「ゴードン、共に過ごしたあの頃がとても懐かしいよ」
「ああクープ、私も共に過ごした頃が懐かしい。これまで一体どこにいた?」
「ゴードン、潜入捜査をしていたんだよ。
あれからずっと主にフィリップ・ジェフリーズと組んで動いていた」
「フィリップ・ジェフリーズ?」
「その仕事についてあんたに報告したいことがあるんだよ、ゴードン。
始めから説明させてくれ。
いろいろと経緯があってそうすることになったんだが、あんたにそれを報告しに行こうとして予定より遅れていたので急いでいた。
車を走らせていて道路から外れてしまった。
事故を起こしてしまった」
「そのようだな、おかげでお前を見つけ出せた」
「あんたに報告したいことがあるんだよ、ゴードン。
あんたにそれを報告しに行こうとして予定より遅れて急いでいた。
車が道路から外れてしまった。
事故を起こしてしまった。
メッセージを残した」
「どんなメッセージなんだ?クープ」
「フィリップに安全だと知らせるためのメッセージだ。
ゴードン、いつここから出られるんだ?」
「クープ、地元警察にはお前を拘束するだけの理由があるんだ」
「それなら法廷で身の潔白が証明される」
「そうだなクープ、我々もお前が家に帰れるよう尽力しているから心配するな」
「俺は本当に家を出たことはないよ」
「またすぐ来るからな、クープ」

クーパーの口調はまるで原稿を棒読みしているようでまったく感情がこもっていない。

ゴードンは所長にクーパーに個人的な電話をかけさせ、会話を聞いておくよう命じる。

クーパー(バッド・クーパー)がフィラデルフィアに向かっていたというのは嘘だと主張するタミー。
彼女はフィリップ・ジェフリーズを知らない。
ゴードンはタミーに席を外させる。

ゴードンと二人きりになると、
実はフィリップがクーパーに情報を渡すのを許可したとアルバートは告白する。
アルバートにフィリップから連絡があり、
情報をクーパーに渡したいと言ってきたのだった。
アルバートはクーパーと直接話していない。
フィリップが渡した情報は、
コロンビアの男の名前。
一週間後、その男は死んだ。

ゴードンもアルバートも留置場のクーパーの様子はどこかおかしいと気付いていた。
あれは単なる事故じゃないと。
しかし、二人共、状況を理解していなかった。

「お前は理解出来るか?アルバート
青いバラ
「これ以上なく青い」
アルバート、ここは何をおいてもあの人物にクーパーに会ってもらうべきだと思うんだが」
「同感です」
「住んでるところを知ってるか?」
「飲んでるところなら」


※“俺は本当に家を出たことはないよ”というバッド・クーパーの台詞が気になる。
前回、ブリッグス少佐がつぶやいていた青いバラという言葉。
ここでゴードンとアルバートは何かの符丁のように使っているが、一体どういう意味なのか?
そしてゴードンがクーパーを会わせるべきだという人物は誰なのか?
〈追記〉
シリーズの前日譚『ツイン・ピークス ローラ・パーマー 最期の7日間』を観直したら、
青いバラ事件”とは、ゴードン・コールが以前担当した事件だという言及あり。


ツイン・ピークス:ロードハウス

今夜のバンドはAu Revoir Simone


エンディングの曲Au Revoir Simoneの『LARK 』はこちら👉Au Revoir Simone - Lark (Official Music Video) - YouTube


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今エピソードでは、ナオミ・ワッツロバート・フォスターマイケル・セラといった映画でも活躍する新メンバーが登場。
前シーズンのメンバー、ボビーとデニースも戻ってきた。
しかし、まさかボビーが保安官補になっているとは!
ボビーと言えば、ローラやマイクと一緒に麻薬取引に関わっていた悪ガキ。
今じゃカナダから入ってくる麻薬に目を光らせているって、ああ、25年の月日の流れを感じます。

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

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👇『ツイン・ピークス The Return 』DVD、Blu-rayはこちら

👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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👇前シリーズの謎を解く鍵だった『 ツイン・ピークス ローラの日記』も再販。
旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

👇新メンバー、ナオミ・ワッツ出世作といえば同じくデヴィッド・リンチ監督のこの作品、『マルホランド・ドライブ』のBlu-rayはこちら

👇ハリー・トルーマン保安官の兄フランク・トルーマン保安官役で登場するロバート・フォスターといえば何と言ってもキャストの中で一番の儲け役だったこの作品、クエンティン・タランティーノ監督『ジャッキー・ブラウン』のBlu-rayはこちら

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👇デヴィッド・リンチ作品出演で一番意外だったのはマイケル・セラ。彼の代表作として挙げたいのは、新作『ベイビー・ドライバー』公開が控えるエドガー・ライト監督『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』。Blu-rayはこちら

今月の読書 〜2017年7月〜

毎年暑くなると途端に読書ペースが落ちるのが恒例になっていますが、7月は梅雨明けした後に梅雨のようなお天気が続いて涼しくなったので、後半少し挽回。
今月は、長らく万城目学さんと混同していて読んでいると思い込んでいたけど実は初読だった森見登美彦さんの有頂天家族』『有頂天家族 二代目の帰朝』の『有頂天家族』サーガが楽しかった!
もう一冊選ぶとすれば、19世紀の社会活動家フローラ・トリスタンと彼女の孫である画家のポール・ゴーギャンの生涯を描いたマリオ・バルガス=リョサ『楽園への道』
二人の人生、まさに二冊分の内容に圧倒された。


有頂天家族森見登美彦
幻冬舎

京都・糺ノ森に住む狸の一家、下鴨家の物語。物語の語り手は、一家の三男暢気者、矢三郎だが、
この家族、皆かなり個性的。
加えて下鴨家四兄弟の師匠の天狗の赤玉先生、
赤玉先生の天狗教育を受けた美女、弁天、
下鴨家の仇敵夷川家の面々などキャラクターが魅力的。
狸が化け、天狗が空を舞うファンタジックな物語はアニメにすればいいのにと思ったら、
とっくにアニメ化されてました。
糺ノ森(ただすのもり)、六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)など京都は地名も寺の名前も面白い。
「面白きことは良きことなり」
土地勘があったらもっと楽しめたのに!

有頂天家族

有頂天家族

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)



有頂天家族 二代目の帰朝/森見登美彦
幻冬舎

ファンタジー小説で重要なのはその世界観を支えるディテールだが、この『有頂天家族』シリーズは、
夷川家が製造する偽電気ブラン
天狗の赤玉先生の風神雷神の扇、
狸鍋を喰らう金曜倶楽部、
狸の頭領偽右衛門を決める狸選挙、
五山送り火の納涼船、
茶釜エンジンと楽しい道具だてが満載。
初めて『ハリー・ポッター』シリーズを読んだ時のようなワクワク感を思い出す。
個性豊かなキャラクター陣の中でもお気に入りは、
下鴨家の四男坊、勉強家の矢四郎君です。
二代目と弁天の如意ヶ嶽薬師坊の跡目争いは次作に持ち越し。
いつ出るのか?次作が待ち遠しい!
下鴨神社、糺ノ森、南禅寺狸谷山不動院
紫雲山頂法寺六角堂、いつか訪ねてみたいなぁ。

有頂天家族 二代目の帰朝

有頂天家族 二代目の帰朝


■楽園への道/マリオ・バルガス=リョサ
田村さと子訳/河出書房新社
EL PARÍSO EN LA OTRA ESQUINA/Mario VARGAS LLOSA/2003

家で言えば、
基礎や骨組みがしっかりしているというのがバルガス=リョサの小説を読むといつも感じることだが、今作では二つの物語を交互に置くリョサお馴染みの構成で、
社会活動家フローラ・トリスタンと画家ポール・ゴーギャン、祖母と孫でもある二人の人生を描く。
特にフローラ・トリスタンについては全く知らない人物だったので、そのラディカルな主張と情熱的で濃密な人生に圧倒された。
この二人の人生だけでなく、労働運動の萌芽、美術史に置けるゴーギャンの位置付けなど、
19世紀という時代そのものを描いていて、
流石リョサと思わされた。
正反対に見えるフローラとゴーギャン
しかし、自らが信じる楽園への道を心のままに歩んでいった二人の姿勢は共通している。
同郷でもある二人に対する
「フロリータ、アンダルシア女」「コケ」
というリョサの呼びかけが優しい。

<言及されるポール・ゴーギャンの作品>
⚫︎マナオ・トゥパパウ(死霊が見ている)
⚫︎アティティ王子の肖像
⚫︎パペ・モエ(神秘の水)
⚫︎ジャワ女 アンナ
⚫︎アリーヌ・ゴーギャンの肖像
⚫︎テ・アリイ・ヴァヒネ(高貴な女性)
⚫︎ノ・テ・アハ・オエ・リリ(どうして怒っているの)
⚫︎テ・タマリ・イ・アトゥア(神の子の誕生)
⚫︎ナヴェ・ナヴェ・マハナ(かぐわしき日々)
⚫︎テ・レリオア(夢)
⚫︎ネヴァーモア(横たわるタヒチの女)
⚫︎われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、
われわれはどこへ行くのか
⚫︎説教のあとの幻影
⚫︎黄色いキリスト
⚫︎ヴィロフレイの小さな森
⚫︎カルセル街の画家の室内
⚫︎裸体習作
⚫︎眠る子供ー習作
⚫︎カリタス会修道女
⚫︎ヒヴァ・オアの呪術師
⚫︎テ・ナーヴェ・ナーヴェ・フェヌーア
(かぐわしき土地)
⚫︎慈善を施す修道女

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

楽園への道 (河出文庫)

楽園への道 (河出文庫)


■内面からの報告書/ポール・オースター
柴田元幸訳/新潮社
REPORT FROM THE INTERIOR /Paul Auster /2013

前作『冬の日誌』で身体に刻まれた記憶から半生を振り返ったポール・オースター
今作では「内面からの報告書」で12歳までの記憶、
「脳天に二発」では幼少期に強烈な印象(正に“脳天に二発”級の)を残した二本の映画、
そして「タイムカプセル」では元妻で作家のリディア・デイヴィスに宛てて書かれた若き日の手紙から、
いかにしてポール・オースターポール・オースターと成り得たか、内面の成長を振り返る。
オースターは子供の頃の細かいことまでよく覚えているので、流石、作家は記憶力違う!と感心したが、
今まさに夏休み。
いろいろ思い出すのにこれ程うってつけの季節もないかもしれない。
リディア・デイヴィスに宛てた若き日の手紙は、
彼女が手元の資料を寄贈するにあたってオースターの手紙を含めていいかどうかお伺いを立てたことから再会することになったもの。
オースターが書いた手紙とほぼ同数デイヴィスからオースターへ宛てた手紙もあったはずだが、
彼女の手紙はどうなったのだろう?
離婚後34年間、どんな気持ちでデイヴィスが手紙を持っていたのか彼女の気持ちが少し気になります。

※「脳天に二発」で言及される若きオースターに衝撃を与えた映画は次の通り。
⚫︎縮みゆく人間/The Incredible Shrinking Man(1957年4月公開)
監督:ジャック・アーノルド
原作・脚本:リチャード・マシスン
⚫︎仮面の米国/I Am a Fugitive from a Chain Gang(1932年11月公開)
監督:マーヴィン・ルロイ
原作:ロバート・E・バーンズ
脚本:ハワード・J・グリーン,ブラウン・ホームズ

内面からの報告書

内面からの報告書


■火星の人/アンディ・ウィアー
小野田和子訳/早川書房(ハヤカワ文庫)
THE MARTIAN/Andy Weir/2011,2014

リドリー・スコットによる映画版『オデッセイ』を先に観てしまったので、遅々として進まない状況に少々まどろっこしさを感じるのは、映画の脚色が素晴らしく、原作からの省略が上手く、テンポが良かった証拠だろう。
しかし、ラストがわかっていても、クライマックスにドキドキし、ワトニーとクルーの再会には胸が熱くなる。
サバイバルのための知識や技術はあっても、
それを使って生き残るという強い意志がなければ宝の持ち腐れだ。
どんな状況になってもそれを冷静に分析し、
何が出来るのか論理的に考えられる心の強さこそ必要だし、ワトニーにはそれがあった。
この先、私が大気圏外に行くことは万が一にもないだろうし、ワトニーと同じような状況下に置かれることもないだろうが、自分の圧倒的な理系知識のなさ加減にどうにも心許ない心地に。
サバイバルの基本はやっぱり理系知識だし、
数学や科学や物理なんて生きて行くのに必要ないと思っていた理系嫌いにとっては殆どホラーかも。
前代未聞のミッションから得られるデータや知見というプラス面は当然あるだろうが、
これが現実ならワトニーを見殺しにして事実は隠蔽されるだろうと考えてしまう私は現実に毒されすぎているのかもしれない。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

👇リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演の映画版『オデッセイ』のBlu-rayはこちら


鼻持ちならないガウチョ/ロベルト・ボラーニョ
久野量一訳/白水社
EL GAUCHO INSUFRIBLE/Roberto Bolaño/2003

ロベルト・ボラーニョの生前最後の作品ということは解説を読むまで知らなかったが、
これまで読んだボラーニョ作品の中で一番不穏な空気に満ちている。
カフカの「歌姫ヨゼフィーネ、あるいは二十日鼠族」を下敷きにし、鼠の警官を主人公にしていることを忘れるほどのスリラー風味「鼠警察」と、二つの章(I.天職 II.偶然)で構成され、
後の章が前の章の謎解きになっている「二つのカトリックの物語」が印象深い。
クトゥルフ神話」講演でこの三人(ネルソン・マンデラ、ガブリエル・ガルシア=マルケス、マリオ・バルガス=リョサ)をディスるとは、度胸あるな、ボラーニョ。
(収録作品)
⚫︎ジム
⚫︎鼻持ちならないガウチ
⚫︎鼠警察
⚫︎アルバロ・ルーセットの旅
⚫︎二つのカトリックの物語
⚫︎文学+病気=病気
⚫︎クトゥルフ神話

鼻持ちならないガウチョ (ボラーニョ・コレクション)

鼻持ちならないガウチョ (ボラーニョ・コレクション)

ツイン・ピークス The Return Episode 3 〈第3話〉

EPISODE 3


■廃墟のような建物

例のニューヨークのビルからデイル・クーパーが飛ばされた先は廃墟のような建物のベランダらしき場所。
そこから見えるのは穏やかな、
でもどことなく不気味な海。
(あるいは湖?それとも川?)
窓から建物の中に入るクーパー。
暖炉の炎。
ソファに座っている女は目を塞がれている。
クーパーに手を差し伸べる女。

「ここはどこだ?どこなんだ?」

女はクーパーに何か伝えようとしているが、
言葉にならない。

その時、激しくドアを叩く音が。
女は声を出さないようクーパーにジェスチャーで伝える。



クーパーは壁のプレート(小さなドア?コンセントの差込口のようなものがある)に気付く。
そこには15という数字が。
クーパーが近づこうとするのを必死で止めようとする女。
彼女は梯子を登りクーパーを建物の外に誘導する。
しかし、外へ出てみるとそこには満点の星空。
クーパーがいたのは宇宙に浮かぶ箱のようなものだった!
女は更にクーパーに何か伝えようとしているが、
彼にはまったく理解出来ない。
女は建物の上の大きな突起にあるレバーを押し下げると全身を痺れさせ宇宙空間に投げ出される。
一人残され途方にくれるクーパーが周囲を見回すと、
ガーランド・ブリッグス少佐の顔が星空に浮かんでいるのが見える。

Blue Rose
青いバラ

少佐はこう呟くと静かに消える。

どうすることも出来ずにクーパーが部屋に戻ると、
先ほどのプレートの数字がに変わっている。
暖炉の前のソファには別の女が座っている。
彼女は振り返ってクーパーを見ると腕時計に目をやる。
時刻は、PM2:53
突然デスクランプが灯る。

※建物の中に入ったクーパーが最初に会う目を塞がれた女(Naidoという役名になっている)を演じているのが日本人キャスト裕木奈江さんなんですが、目が塞がれているので正直誰だかわからない。。。
宇宙空間に消えていってしまった彼女にこの先のエピソードで再登場はあるのか?


■とある・ハイウェイ。バッド・クーパーの車の中

ブラックロッジからクーパーが覗き見たバッド・クーパーの姿。
どこかへ向かって車を走らせるクーパー。
車内の時計は、PM2:53
アップになるシガーソケット


■廃墟のようなビルの室内

クーパーがのプレートに近づこうとすると、
火花が散る。
ソファに座っていた女が立ち上がり言う。

When you get there…
あなたがそこに着く時には
you will…
あなたはもうー
already be there.
すでにそこにいるだろう

プレートに引き寄せられるクーパー。

(一方、バッドクーパーも身体に異常を感じていた。)

再び、ドアを激しく叩く音。
女が叫ぶ。

You'd better hurry…
早く!急いだほうがいい
my mother's coming.
私のママが来る

クーパーの身体は煙になってプレートの差込口に吸い込まれる。
後には靴が残される。


■とあるハイウェイ。バッド・クーパーの車の中

いよいよ身体に異常をきたしたバッド・クーパーはまともに運転することすら難しくなっている。
車は横転。

嘔吐をこらえるバッド・クーパー。
アップになるシガーソケット
目の前に出現する赤いカーテン


■ラスベガス郊外の住宅地

一見、郊外の新興住宅地の趣きだが、
人気がなくどことなく不気味。
一軒の家の中にはクーパーそっくり(でも、髪が長く太り気味)の男ダギー・ジョーンズが黒人の娼婦ジェイドと情事の後らしき雰囲気。
どうやら空き家を情事に使っているらしい。

「ダギー、左腕、どうしちゃったの?」
「さあな、多分痺れてるんだ。ビリビリする」
「あたしも痺れちゃった、シャワー浴びてくる、いい?」

ジェイドに金を払うダギー。
左腕の自由が効かない様子。
ダギーの指には、テレサ・バンクスがはめていた指輪。

突然、何かに弾かれたように座り込むタギー。

(一方、バッド・クーパーも必死に嘔吐をこらえている)

こらえきれずに嘔吐するダギー。
目の前には赤いカーテン
雷が落ちたような音と共に姿を消すダギー。

(バッド・クーパーもこらえきれずに嘔吐するが、
赤いカーテンは消え、バッド・クーパーは気を失う。)


■ブラックロッジ

赤いカーテンの部屋。
姿を消したダギーがソファに座っている。
靴はなし。
ダギーを見つめる片腕の男フィリップ・ジェラード。

「妙な気分だ、俺に何が起きている?」

Someone…
誰かが
manufactured…
作ったのだ
you.
お前を
For a purpose…
ある目的のために
but
だが
I think
おそらく
now
もう
…that's been
目的はー
fulfilled
達成された

ダギーの身体は徐々に縮んで指輪が落ちる。
そして次の瞬間、ダギーの身体は黒い煙と化す。
煙の中から金色の玉が現れる。
指輪と玉を拾い上げた片腕の男は指輪をテーブルに置く。

※3のプレート、バッド・クーパーの車のシガーソケット、そしてダギーが嘔吐した部屋のコンセントの差込口は繋がっていた!
しかし、ブラックロッジに戻るはずだったバッド・クーパーは残り、クーパーそっくりのダギーがブラックロッジに。
フィリップ・ジェラードの左腕(スズカケの木)が言っていたドッペルゲンガーとはバッド・クーパーではなく、ダギーのことだったのか?


■ラスベガス郊外の住宅地

ダギーが嘔吐した部屋のコンセントの差込口から火花と共に黒い煙が。
それはヒトの形となってデイル・クーパーに。
靴はなし。

クーパーをダギーだと思い込んでいるジェイドは早く家を出ようと促すが、クーパーの反応はまるで記憶喪失の男。
靴の紐を結ぶことも出来ない。
当然ダギーの車の鍵を持っていないクーパー。
ポケットには、グレート・ノーザン・ホテルのルーム・キー(315号室)。
仕方なくジェイドはクーパーを自分の車に乗せる。

一方、クーパーとジェイドを見張る怪しげな男たち(ジェイクジー)。
ジェイドの車の助手席のクーパーはジェイクにライフルで狙われるが、落ちたホテルのキーを拾おうと屈んでいたので撃たれずに済む。
クーパー(ダギー)は車には乗っていないと判断したジーンはダギーjの車に(おそらく)爆発物を仕掛ける。


その様子を窓から伺っていた小さな男の子。
どうやら薬物中毒の母親らしき女が叫んでいる。

「119! 119! 119!」

そして、彼女は薬の最後の一粒をウイスキーで飲み込み、煙草に火をつける。


※この親子のシーンは母親の叫ぶ「119!」が妙に耳に残る。
今後の展開には何ら関係ないかもしれないけど。。。


■とあるハイウェイ。バッド・クーパーの車の中

事故現場にハイウェイ・パトロールが到着。
車窓から中を覗き込んだ警官は気分が悪くなる。


ツイン・ピークス保安官事務所

丸太おばさんに「ないものを探せ」と丸太からの伝言を託されたホークはアンディ、ルーシーと共に探すが、「ないもの」は探せない。
ルーシーは自分が食べてしまったウサギのチョコレートが「ないもの」だと騒ぐが、当然それはホークのルーツに関わるものではない。


ツイン・ピークス山中。ドクター・ジャコビの小屋

届けられたスコップを金色にペイントしているドクター・ジャコビ。

※何に使うんだろう?こんなに沢山のスコップ。
それも金色にペイント。


■シルバー・ムスタング・カジノ

5ドル渡してカジノ前でクーパーを下ろすジェイド。

「じゃ、もう行っていい。」

You can go out now .
あなたはもう行っていい

クーパーの中でジェイドとローラの言葉が重なる。

5ドル札を手にキャッシャーへ向かうクーパー。
要領を得ないクーパーに係はスロットマシーンのコインと交換する。

他の客がスロットマシーンで遊ぶ様子を見て学ぶクーパー。
クーパーにはある台の上に小さな炎が見える。
ふらふらとその台に向かいハンドルを引くと大当たり!
その後も炎が教える台で次々と当たりを出すクーパー。

※記憶を失ったらしいクーパーが得た特殊能力!
当たりの出るスロットマシーンが分かる!
カジノでクーパーに声をかける男役でワン・シーン登場するのは、『ウォーキング・デッド』のユージーン役のJosh McDermitt。


FBI フィラデルフィア支部

かつてのクーパーの上司ゴードン・コール、同じく同僚だったアルバート・ローゼンフィールドが妻殺しの事件の検討中。
真犯人は他にいると主張する容疑者がヒントだという証拠は妙なもの(女性の水着写真、セーラー服姿の小さな男の子の写真、ショットガン、ピーナツか焙煎前のコーヒー豆が入った瓶)ばかり。

タミー・プレストン捜査官がニューヨークの事件について報告。
警察は何が起きたか把握出来ておらず、建物の持ち主、警備員の身元も特定出来ず。
判明したのは被害者サム・コルビー、トレーシー・バーベラートの身元のみ。
そして、ガラスの箱を写したデータ。
事件の夜には人の形をした煙のようなものが写っていた。
被害者以外の指紋やDNAは一切残っていなかった。

その時、クーパーからの電話が入っているという知らせが。
ゴードン、アルバート、タミーはサウスダコタ州ブラックヒルズへ。



※ゴードン・コールのオフィスのデスクの後ろのキノコ雲の写真。これとは反対側の壁には大きなフランツ・カフカポートレートが。
これにも何か意味があるのか?


ツイン・ピークス/ロード・ハウス

今夜の出演バンドはThe Cactus Blossoms


エンディングの曲、The Cactus Blossoms 『MISSISSIPPI 』はこちら👉The Cactus Blossoms - Mississippi (Official Music Video) - YouTube

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クーパーがブラックロッジに囚われた代わりにバッド・クーパーが送り込まれた。
彼がクーパーのドッペルゲンガーかと思っていたが、
クーパーそっくりのタギーまで登場して
もう何が何だか。
15、3、PM2:53、119
今エピソードに限らず、今シーズンは意味ありげな数字が沢山登場するのでついつい深読みしてしまう。
(現段階で数字の意味はひとつも分からないけれど)

今エピソードは、撮影終了後に亡くなったアルバート・ローゼンフィールド役ミゲル・フェラーに捧げられています。
R.I.P.

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

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👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉

EPISODE 2


▪️サウスダコタ州バックボーン:バックボーン警察署留置所、ビル・ヘイスティングス

留置場で頭を抱えるウィリアム・ヘイスティングス
面会を許された妻フィリスがやって来る。
弁護士ジョージ・バウツァーからの伝言を伝えるフィリス。

「ジョージが保釈は無理だろうって」
「まいった、えらいことになったよ
実は言っておきたいことがあるんだ
部屋には行ってない
でも、あの夜、あそこにいる夢を見たんだ
夢で、俺はルースのアパートにいた」
「行ったはずよ、
その部屋にあなたの指紋があったんだから」
「違う!本当に行ってない!
部屋には行っていないんだよ!
本当だ!誓ってもいい!あれは夢だった!」
「ふざけないでよ!本当にゲスな男!
浮気してるのは知ってたのよ、
もう、ずっと前から分かってたんだから」
「そういうお前はどうなんだよ!
ジョージとの仲を知らないと思ったか?
ヤツの他にもいるんじゃないのか?」
「あんたはもうお終いよ、終身刑は間違いないもの
死ぬまで刑務所暮らしね、
さよなら、ビル」

フィリスはこう捨て台詞を吐き、立ち去る。

「ウソだろ?なんで俺が…
なんで、なんで、こんなことに」

「バレてたわ、見送りはいらない
少ししたら家に来て」

外で待っていたジョージに告げるフィリス。

混乱し、頭を抱えるビル。
一方、ひとつ置いた隣りの房には顔を黒塗りし浮浪者のような格好をした男(Woodsman )の姿。
やがて、その姿は煙のように消える。

自宅に戻ったフィリスを待っていたのは、
何とバッド・クーパーだった。

「ここで何をしてるの?」
「上出来だ、人間の本性をむき出しにしてる
これはジョージの銃だ」

そう言うと、
バッド・クーパーは容赦なくフィリスの顔面を撃つ。


▪️ラスベガス:とある立派なオフィス

ダンカン・トッドロジャーを呼び出し、
札束を渡す。

「採用だと伝えろ」
「トッドさん」
「何だ?ロジャー」
「聞いてもいいですか?」
「何だ?」
「どうしてあの男の言う通りに、こんなことを?」

ロジャーが尋ねると、トッドはこう答える。

「ロジャー、出来ることならあの男のような奴には関わるな、
君の人生には入れるなよ、ああいう男は」

※トッドもロジャーも“あの男”も一体どんな組織の誰なのか全く不明。
一体どんな仕事に、誰を採用したというのか


▪️サウスダコタ州(あるいは近隣の州):とあるダイナー

踏切の警報が鳴り、遮断機が下りる。
警笛を鳴らしながら電車が通過する。

ダイナーではバッド・クーパー、レイ、ダーリャ、
ジャックが食事中。

「ジャック、よく三人前も食えるな
ダーリャから聞いたんだが、あんた明日が心配らしいな
いや、明後日か」
「俺は心配はしない、何だろうとな」
「なら、よかった」
「明後日までしばらく別行動だ、ひとりで動きたい
お前は人のことより、自分の心配することを覚えろ」
「わかった、何か俺に手伝えることがあったら連絡くれ」
「そりゃ、もちろん連絡する」
「俺は心当たりに聞いてみる、あんたに必要なネタがいいが」
「欲しいんだ、必要なんじゃない
俺に必要なものなど、何一つない
これだけは覚えておけ、俺はそういう人間だ
俺は何も必要とはしていない、欲しいだけ
その情報が欲しいんだよ
ホントにお前しか聞き出せないのか?」
「どうやら相当重要な情報らしいな
心配すんな、ちゃんと、持ってくる」
「確実に信頼の置けるものを」
「彼女はヘイスティングスの秘書だ
情報はすべて握ってる」

ひたすら食べ続けるジャック。

※バッド・クーパーとサウスダコタの殺人事件との関係は?
ヘイスティングスの秘書ベティからどんな情報を聞き出そうというのか?


▪️ツイン・ピークス:森の中

夜の森の中を歩くホーク副署長は丸太おばさんと電話中。

「マーガレット?」
「ホーク、今夜はどこを歩いているの?」
「また君の丸太とわかりあえたようでね
今夜ここで何かが起きるはずだ」
「星々は巡る、そしてその時がやって来る
ホーク、どうか気をつけて」
「そうするよ、マーガレット」
「私は一緒には行けないけれど、うちに寄ってね
コーヒーとパイを用意したの」
「後で行くよ、そろそろらしい」
「お願いよ、後で聞かせて」
「わかった、そうするよ、おやすみ、マーガレット」

ホークは25年前、クーパーがブラックロッジへ姿を消したスズカケの木の場所に辿り着く。
赤いカーテンが現われる。











▪️ブラックロッジ

赤いカーテンの部屋にクーパー捜査官と
“片腕の男”フィリップ・ジェラード

Is it…future…or…is it…past?
これは未来か…それともこれは過去か?
Someone… is…here.
誰かがここにいる。

フィリップが姿を消すと25年後のローラ・パーマーが現われる。

Hello,Agent Cooper.
こんにちは、クーパー捜査官
You can…go out…now.
あなたはもう行っていい
Do you recognize me?
私が誰か分かる?

「君、ローラ・パーマーか?」

I feel like I know her… but sometimes my arms…bend back.
知っている気がするけれど、
私の腕は時々後ろに曲がるの

「君は誰なんだ?」

I am Laura Palmer.
私はローラ・パーマー

「だが、ローラ・パーマーは死んだんだ」

I am dead,but yet I live.
そう私は死んだ、でも生きてる

ローラは顔面を仮面のように外すと、
そこは眩しく発光している。

「いつ出て行けるんだ?」

クーパーが問うと
ローラは彼に歩み寄りキス、何事か耳元で囁く。
絶叫と共に姿を消すローラ。
赤いカーテンが消え、白い馬が姿を現わす。

再び、“片腕の男”フィリップ・ジェラード。

Is it…future or…is it past?
これは未来か?それともこれは過去か?

手招きする片腕の男。
クーパーが後をついて行くと、
そこには頭部のようなものがついた奇妙な木が。

The evolution…of the arm.
そこに立っているのは進化した腕だ

I…am the…arm. And I…sound like…this.
私は腕だ。私はこんな音がする。
Do you…remember…your doppelgänger?
覚えているか?お前のドッペルゲンガーを?

He…must come…back… in…before…you can…go…out.
まず彼が戻らねばならない
そうすればお前が出られる

※“進化した腕”は25年前クーパーが姿を消した森のあの“スズカケ”の木なのか?
ドッペルゲンガー”とはバッド・クーパーのことなのか?
巨人がクーパーに聴かせた音は腕が出す音だったのか?
25年前、ブラックロッジでローラはクーパーの耳元に「私は父に殺されたの」と囁いたが、
今度は何を囁いたのか?


▪️サウスダコタ州


ベンツを乗り換えるバッド・クーパー。
ベンツを車庫にしまったジャックを呼び寄せ、彼の顔面を無言で揉みしだくバッド・クーパー。

夜、モーテルに戻って来るバッド・クーパー。
部屋の下着姿のダーリャは誰かと電話中。

「まずい、あいつが入ってくる、切るね」

部屋に入ってくるバッド・クーパー。

「おかえりなさい」
「誰と話していた?」
「ジャックと、秘書の車、大丈夫だったか聞いてたの」
「何て言ってた?」
「うまくいってるってさ、
なんか嬉しい、ひとりで動くんなら、
当分会えないと思ってたから」
「俺に会えて嬉しいか?」
「すっごくね」
「それはよかった
今日の午後、レイと会うはずだったが、現れなかった」
「そうなの?」
「ああ、お前の45口径はどこだ?」
「ベッドサイドに置いてる」
「そっか」
「どうかした?」
「仕事で使いたいんでね」
「いいよ、好きにして」

ベッドで寄り添う二人。

「ダーリャ、ジャックは死んだぞ
2時間前だ、車の細工が済んだ後にな」

ダーリャは身を振りほどこうするが、逃れられない。

「じっとしてろ、動くんじゃない
いいもの、聞かせてやろうか?ダーリャ
興味深い話だぞ」

そう言って、バッド・クーパーが聞かせたのは、さっきの電話の録音だった。

「ダーリャ、お前か?」
「レイ、一体どこにいるのよ?」
サウスダコタの連邦刑務所だ」
「何で?何やったの?レイ」
「銃を持って州境を越えたらパクられた
よりによってこんな時に」
「どっから、かけてんの?」
プリペイド携帯だ、誰にも聞かれちゃいねえ」
「で、クーパーはどうすんの?」
「ジェフリーズからまた電話があった
明日の夜クーパーが近くにいたら殺せ
お前が殺るんだ、ダーリャ。必ず仕留めろよ」
「やばい!あいつの車だ!最悪!
とにかく、明日の状況次第で、必要ならあたしが殺す
まずい!あたしが入ってくる!切るね」

「あたしを殺すの?」
「ああ、そうだ」

逃げようとするダーリャ。
顔面を殴られたダーリャは泣きだす。

「ダーリャ、誰に雇われたんだ?」
「わかんない…あたし…知らないの
ホントに知らない、レイが知ってる
あたしは何も聞いてない」
「レイが銃の持ち出しで捕まったって話、
信じろって言う気じゃないよな?
ダーリャ、俺を見ろ、
考えてみるのも面白いかもしれん
ゲームは始まった
やつらは何故俺を狙う?」
「訳は知らない」
「俺を殺すといくら手に入る?」
「50万ドルを山分け…
やる気はなかったの、レイに言ったのはウソよ!」
「黙れ、ダーリャ」
「でも、明日はあんた、どこかへ行くんでしょ?」
「明日か?ブラックロッジと呼ばれる場所に戻されるはずだったが、まだ戻れない
ひとつ、計画があるんだ
しかし、レイが刑務所に入ったとなると…
ヘイスティングスの秘書から情報は取れたのか?
レイは座標について何か言ってたか?」
「何なの?それ」
「場所を示す座標だ、数字や文字、
言えば、助かるぞ」
「秘書から何か聞いたってことしか…」

バッド・クーパーはジャケットの内ポケットからトランプのカードをダーリャに見せる。

「これを見せられたことはあるか?
何だかわかるか?ん?前に見たことはあるか?
俺はこいつが欲しいんだよ」

♠️のエース。絵柄は悪魔を思わせる。

「あたしのこと、殺すの?」
「ああ、そうだ」

バッド・クーパーはダーリャを殴って気絶させ、顔に枕を押し付けると、45口径で彼女のこめかみを撃つ。

通信機器と思しきものを取り出すバッド・クーパー。

「フィリップ?」
「遅刻だ」
「止むを得ずな」
「ニューヨークで会いたかったが、
まだバックホーンにいるようだな」
「そっちは今も行方不明か?」
「ガーランド・ブリッグス少佐にあったんだろ?」
「何で知ってる?フィリップ?」
「実は別れを言うために連絡した」
フィリップ・ジェフリーズだよな?」
「お前が明日戻るなら、俺はまたボブと共にいよう」
「誰なんだ?」

そこで通信は切れる
バッド・クーパーはFBIのサイトにアクセスし連邦刑務所の情報を手に入れる。
部屋を出ると、隣の部屋をノックするバッド・クーパー。

「誰?」
「俺だ」

部屋には銃を持ったガウン姿の女シャンタル・ハッチェンス。

「6号室を片付けてくれ、きれいにな」
「ダーリャ?それはよかった
あの女見てると、悔しくって」
「亭主、呼んでこい、
二、三日中にお前とハッチである場所に行ってもらう
後で、支持する」
「了解、ボス」
「シャンタル、こっちへ来い」

ベッドに座ったバッド・クーパーに近付くシャンタル。

「うーん、いい感じだな」

※フィリップ・ジェフリーズといえば『ローラ・パーマー最後の七日間』に登場した失踪したFBI捜査官(演じたのは故デヴィッド・ボウイ
レイに電話をかけてきたというジェフリーズとフィリップ・ジェフリーズは同一人物なのか?
シャンタル役は、ジェニファー・ジェイソン・リー


▪️赤いカーテンの部屋

進化した腕のメッセージ。

253
Time and time again.
253
何度も何度も繰り返す
Bob Bob Bob
ボブ ボブボブ
Go now!
さあ行け!
Go now!
さあ行け!


赤いカーテンの廊下を行きつ戻りつするクーパー。
ある場所でカーテンを開けようとするが、開かない。
ソファのある部屋に行き着くと
そこにはローラ父親、亡きリーランド・パーマーの姿がある。

Find…Laura
ローラを探せ

立ち去るクーパー。

進化した腕と一緒にいるフィリップ・ジェラード。

Something 's wrong.
何かがおかしい

My doppelgänger.
我がドッペルゲンガー

クーパーがカーテンを開けると外は真っ直ぐな道路。

クーパーは道路を俯瞰する位置。
一台の車が走って来る。
乗っているのはバッド・クーパー。

non-exist-ent!
存在しない!

進化した腕の絶叫と共に床が揺れ出し、
クーパーはニューヨークの例のあのビルへ。
窓からガラスのボックスに侵入したクーパーは
ボックス内を浮遊する。

そのタイミングはサムがトレイシーを部屋に入れる直前。
クーパーは再び飛ばされる。


▪️ツイン・ピークス:セーラ・パーマー宅

ローラの母親セーラ・パーマーがひとりでテレビを見ている。
相変わらずのヘビー・スモーカー。
テーブルの上の灰皿は吸い殻で溢れている。
メスライオンが草食動物を襲う様子を食い入るように見つめている。


▪️ツイン・ピークス:ロード・ハウス

バンドが演奏中で、混雑した店内。
若い男フレディ・サイクスを連れて店に入ってきたのは、
ローラの秘密の恋人だったジェームズ・ハーリー

「いい店だろ?」
「ほんと、最高じゃない」
「来い、ビールは何にする?」
「ああ、何でもいいよ」

ボックス席にはRRダイナーのウェイトレスだったシェリーの姿がある。
どうやらママ友(?)との女子会中。

「もう、ウチの娘、変な男に引っかかっちゃってー」
「何言ってんの?スティーヴン、人気者じゃない?」
ベッキーのあの顔見れば、わかるの
なんかよくないことになってる」
「娘の人生よ」
「ねっ、あそこ、ジェームズだよ
また、あなたを見てるの?」

ジェームズが見つめているのは、シェリーの隣に座っているレネー

「ジェームズに気に入られた?」
「なんかあやしいのよね」
「あやしくなんてないって、バイクの事故があって
喋らなくなっただけ
ジェームズは変わってないよ、今でもカッコいい」

一方、バーカウンターからシェリーに秋波を送る男レッド

微笑むシェリー。
シェリー達の様子を見て微笑むジェームズ。

※25年前のジェームズは濃い黒髪が印象的な青年だったのでこの坊主頭にはかなり驚かされたが、
シェリーの言うように年齢を重ねたジェームズも素敵!
それにしても、ジェームズの連れに若い男の右手の手袋が気になる。

今夜の、ロード・ハウスのバンドはChromatics

エンディングの曲、Chromatics『SHADOW 』はこちら👉CHROMATICS "SHADOW" - YouTube

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夢の中でルース・ダベンポート部屋行ったというウィル・ヘイスティングスはかつてのリーランド・パーマーのように彼女を殺してしまったにだろうか?
“片腕の男”フィリップ・ジェラードの失われた左腕が赤いスーツの小人だったが訳だが、
更に進化して何と木!
おまけに噛んだガムを丸めたような頭部。
もう情報量が多すぎて何が何やら状態だが、
この翻弄される感じが実は気持ち良かったりする。

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

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ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ジョン・ウィック:チャプター2


ジョン・ウィック、完全覚醒!

今は亡き妻ヘレンからの贈り物である愛犬デイジーと愛車ムスタングを奪ったヨセフとその父親でロシアン・マフィアのボス、かつての雇い主でもあるヴィゴ・タラソフへの復讐を果たしたジョン・ウィック

事件から5日後、ジョンは奪われたムスタングの回収にヴィゴ・タラソフの弟アブラムの自動車工場へ向かう。
アブラムの部下を次々に倒し、ムスタングを奪還するも、その過程で車は無残な姿に成り果てる。

目的を果たし自宅に戻ったジョンは、
旧知の自動車修理工場のオーナー、オーレリオにムスタングの修理を依頼、再び武器を地下室の床に埋め戻す。

ところが、静かな暮らしは戻ってこなかった。
殺し屋稼業を引退する際に課せられた実行不可能なミッションを成功させるために手を貸してくれたイタリアン・マフィア、カモッラの幹部サンティーノ・ダントニオがジョンを訪ねてきたのだ。
サンティーノは血の契約である誓印のメダルを手にカモッラのボスで実の姉であるジアーナの暗殺をジョンに依頼する。
サンティーノはマフィアの国際的組織の代表メンバーである“主席”の座をジアーナから奪おうとしていたのだ。
しかし、ジアーナとも旧知の仲であるジョンはこれを拒否する。
これに激怒したサンティーノはジョンの自宅にバズーカ砲を撃ち込み、亡き妻ヘレンとの思い出が詰まった家は爆発、炎上してしまう。

家を失ったジョンは愛犬のピットブル(名前はまだない)と共にコンチネンタル・ホテルに身を寄せる。
ホテルのオーナー、ウィンストンに、
この世界での誓印の重要性を諭されたジョンは、
サンティーノの依頼に応えるべくイタリア・ローマへ向かう。

ジアーナが主催するゴージャスなパーティーに潜入するジョン。
しかし、ジョンの姿を目にし運命を悟ったジアーナは、自らナイフで腕を傷つけ、浴槽に身を沈める。
ジョンは彼女の頭に弾丸を一発撃ち込む。

辛い仕事をやり遂げ、借りを返した筈が、
ジョンはサンティーノから命を狙われる。
全世界の殺し屋にジョン・ウィック暗殺のオーダーが出される。
報酬は700万ドル


前作に比べて、ひとつひとつのパンチやキックの重みやダメージの大きさは感じられるものの、
スピード感、緩急、テンポといった点で、
正直物足りなさは感じる。
個人的な感想だが、この二作目は、
シリーズとしての世界観を広げるという役割、
位置付けではないか?
前作は、愛犬と愛車を奪われたことに対する復讐という個人的なストーリーだったが、
今作ではジョン・ウィックと、サンティーノをはじめ様々な登場人物、組織との過去の経緯が示唆されており、これは今後のストーリーの伏線になっていきそうである。

特に、女性ばかりが働く殺し屋組織コンチネンタルのアカウント部の描写が気になる。
次作では、この部署にもメイン・キャラクターを配してストーリーを広げていって欲しいし、
出来れば、私もここで働きたい!

さて、コンチネンタル・ホテルのルールを破り、
孤立無援となったジョン・ウィック
全世界の殺し屋に命を狙われる窮地をどう脱するのか?
それとも…。


次作では、
是非このピットブルに名前をつけてあげて欲しい!

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ジョン・ウィック:チャプター2
/John Wick :Chapter 2
(2017アメリカ)
監督:チャド・スタエルスキ
脚本:デレク・コルスタッド
出演:キアヌ・リーブスリッカルド・スカルマチョ,ルビー・ローズジョン・レグイザモ,コモン,ピーター・ストーメアイアン・マクシェーンローレンス・フィッシュバーンフランコ・ネロ,ランス・レディック,トーマス・サドスキー,ブリジット・モイナハン,クラウディア・ジェリーニ,ピーター・セラフィノウィッチ,トビアス・シーガル,ハイジ・マネーメーカー,YAMA



キアヌ・リーブスと並んでも見劣りしない
監督チャド・スタエルスキの格好良さ!



いただきました!ジョン・ウィック・シール!
でも、一体どこに貼ればいいのやら。。。



前作に引き続き登場のコンチネンタル・ホテル・ニューヨークのオーナー、ウィンストン(演じるのはイアン・マクシェーン)。
前作、ホテルでジョンを殺そうとした刺客ミズ・パーキンズはあっさり粛清したウィンストンでしたが、ジョン・ウィックに対しては除名処分とコンチネンタル・ホテルのルールも随分恣意的ではあります。



冒頭で前作の経緯を要領よく説明してくれるヴィゴ・タラソフの弟、アブラムを演じているのはピーター・ストーメア



今作で再びジョン・ウィックを地獄へ引きずり込み、
後戻り出来ない状況に陥らせるのが、イタリアの犯罪組織カモッラの幹部サンティーノ・ダントニオ。
演じるは、イタリア人俳優リッカルド・スカルマチョ
最近では、ブラッドリー・クーパー主演の『二ツ星の料理人』に出演するなど、ハリウッド作品にも出演しているが、彼の出演作ではローマの高校を舞台に三組の教師と生徒の関係を描いた『ローマの教室で 我らの佳き日々』がオススメ。リッカルド・スカルマチョは理想に燃える若き教師を演じています。



過去にジョン・ウィックに命を救われた(というより殺されかかった?)バワリー・キングを演じるローレンス・フィッシュバーン。構成員は皆ホームレス姿で、
伝書鳩を使って情報をやり取りしているらしいこの地下犯罪組織とキングは今後のシリーズでも活躍の場がありそうだ。
ローレンス・フィッシュバーンキアヌ・リーブスは、
マトリックスシリーズ以来の共演。



イタリアの犯罪組織カモッラのボス、ジアーナ・ダントーニ(サンティーノの姉)のボディ・ガード、カシアン役のコモン
ジョン・ウィックとは過去に何やらいわくありげだが、
詳細は明らかにされず。
ジョン・ウィックに胸を刺されるが、ジョンはナイフを抜くと出血多量で死ぬと言ってたので、なんとか生き残って次作にも出演して欲しい。



ジョン・ウィックに差し向けられる殺し屋の中でも一際印象的なsumo assassin を演じているのはなんと元幕内力士の山本山!(最高位は西前頭9枚目)
幕内最重量力士として覚えている人も多いかもしれないが、例の大相撲八百長問題に関わったとして現役引退。その後、アメリカに渡りYAMAという名前でタレント活動をしているとのこと。
ベン・スティラー監督『ズーランダー NO.2』にも出演しているらしい。



ローマへと乗り込んだジョン・ウィックに武器を提供する“ソムリエ”を演じているのは、ピーター・セラフィノウィッチ
最近どこかで見かけたと思って調べたら、ポール・フェイグ監督『SPY/スパイ』に、メリッサ・マッカーシー演じるスーザンを後方支援する現地エージェント、
アルド役で出演していた!
この作品、ジュード・ロウジェイソン・ステイサムというビッグ・ネームが出演しているので他のキャストは陰に隠れがちだが、スーザンを助ける同僚ナンシー役のミランダ・ハートとピーター・セラフィノウィッチが陰の功労者だと思う。
ポール・フェイグ監督というと代表作は『ブライズメイズ 史上最悪のウェディング・プラン』と『ゴースト・バスターズ』ということになるのかもしれないが、
個人的にはこの作品とメリッサ・マッカーシーサンドラ・ブロック共演の『デンジャラス・バディ』がオススメ!



コンチネンタル・ホテル・ローマのオーナー、ジュリアス役は、マカロニ・ウェスタンのスター、
フランコ・ネロ
イアン・マクシェーンといい、フランコ・ネロといい、
チャド・スタエルスキの配役のセンスが光る!
フランコ・ネロの妻は、名優ヴァネッサ・レッドグレイヴ


公式サイトはこちら👉映画『ジョン・ウィック:パラベラム』オフィシャルサイト

予告編はこちら👉今度は家かよ!『ジョン・ウィック:チャプター2』予告編 - YouTube


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ローマの教室で ~我らの佳き日々~ [DVD]

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