極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 16《第16話》

EPISODE 16


ツイン・ピークス:某所

バッド・クーパーとリチャードを乗せた車が
夜道をひた走る。
二人はレイから手に入れた座標の場所に向かっているのか?
やがて舗装道路を外れ、
バッド・クーパーは車を止める。

「それで?着いたみたいだけど、この後は?」
「注意してろ、じきにわかる
俺はある場所を探してるんだ
その場所が何なのか、わかるか?」
「場所?」
「三人の人間からその場所の座標を聞いた
うち、二つの座標が一致した
お前だったら、どうする?」
「二つが一致したとこを探す」
「お前は賢いな、リチャード
二つの座標が一致した場所はすぐそこだ
その先を示してる」
「あそこへ行くのか?」
「ああ、今すぐ行ってみよう」

バッド・クーパーが示した場所、
それは丘を登った先の大きな岩だった。

二人の様子を岩とは反対側から見ていたのは、
ジェリー・ホーンだった。

「人か?」

双眼鏡取り出し、反対側から、
しかも片目だけで覗き込むジェリー。

「ああ、神様!」

「あれがそうか?」
「ちょうどあの岩の上にあたるはずだ
俺の方が二十五も年上だよな?
これを持ってあの岩に乗れ
近づくとピーピー鳴る
音が長く続くようになったら、その場所ってことだ
何か見つけたら、知らせろ」

バッド・クーパーに探知機のようなものを渡され、
丘を登って行くリチャード。
岩の上に上ると音が断続的に鳴る。

「よし!ここだ!」

そう叫んだ瞬間、リチャードは電気に打たれる。
電気に打たれ続けたリチャードの身体は
ついにボンっと弾け飛ぶ。

それを見て、倒れこむジェリー。

舌打ちをしたバッド・クーパーはこうつぶやく。

「じゃあな、息子よ」

「悪い子だ!悪い双眼鏡だ!
お前はなんて悪い双眼鏡だ!
なんて悪い双眼鏡なんだ!お前は!
悪い子だ!」

双眼鏡を地面に叩きつけるジェリー。

車を止めた場所まで戻ったバッド・クーパーは携帯でメッセージを送る。

:- )ALL.
:ー)すべて

送信は失敗に終わる。

「じゃあな、息子よ」
リチャードの父親はバッド・クーパーだったのか?
バッド・クーパーはオードリーといつの間にそんなことに?
バッド・クーパーは三人の人間から座標を手に入れたと言っていたが、レイ、コンビニエンスストアでフィリップ・ジェフリーズに再会した時に白煙に浮かび上がった数字、あと一人は誰だ?
ジェリーの役割ははっきりしない。
そして、:- )ALL.とは、
どういう意味なのか?


■ラスベガス:ダグラス・ジョーンズの自宅付近

ツナギ姿のシャンタルとハッチを乗せたバンがダギーの自宅付近に止まっている。
ダギーが姿を現わすのを待っている。

スナック菓子を食べているシャンタル。

「今朝、鳥の声、聞いたか?」
「うるさかったからね」

黒塗りのセダンが二台、ダギーの自宅前に止まる。
いかにもFBIといった車。

「誰だ?ありゃ」
「一体何しに来たんだろう?」

ダギー宅の玄関に向かっているのは、ランドール・ヘッドリー特別捜査官とウィルソン捜査官だ。

「どうやら、誰もいないみたいですね」
「ほー、そうか、
さすが素晴らしい推理だな、シャーロック
このボンクラが!さっさと車をどっか見えない所へ止めて、この家を見張っとけ!」
「了解」

「ああ、ちょっと
じゃあこの後、勤め先の方へ行ってみるとしよう
ラッキー7保険だ
ウィルソン!!さっさと動け!!」

FBI一行の車が、立ち去る

「そうそう、帰れ!」

FBI一行を見送るシャンタルとハッチ。

※シャンタルとハッチの最後のターゲットは
やはりダギー・ジョーンズ。
しかし、この時点では、FBIラスベガス支部もハッチェンス夫妻もダギー(クーパー)が感電事故で入院していることを知らない。


■ラスベガス:病院

フォークをコンセント口に入れて感電したクーパーは入院中。
今だ意識不明のまま。

ベッド脇にはジェイニー・Eとサニー・ジムの姿がある。
そこへ、ラッキー7保険のブッシュネル社長が。

「君から聞いた通りのことを言われたよ
昏睡状態ではあるが、脈や呼吸は異常なし!
強い男だ」
「ええ、でも昏睡状態のまま、何年も眠り続ける人もいるみたいだから」
「いやあ、ダギーはそんなことにはならんよ」
「ママ、昏睡状態って電気となんか関係あるの?」
「いえ、ないわよ」
「まあ、電気でこうなったんだがな」

そこへ今度はミッチャム兄弟の一行が
見舞いにやって来る。

「ブッシュネル、知らせを聞いて飛んで来た」
「こちらはミッチャム兄弟といってね、ジェイニー・E
二人はダギーの友達なんだ」
「ああ、どうも、ほらっ、サニー・ジム
こちらのお二人はね、あの遊具セットを下さった方よ
あと車も、本当にありがとうございました」
「ありがとうござました」
「礼だなんて、子どもは遊具セットで遊ばないとな」
「君が息子さんか、強そうだな」
「で、考えたんですがね
その、こういう時はとても料理なんてできないでしょう?」
「と言っても、病院の食い物は食いたくない
だけど、子どもはちゃんと食わんといかん」

キャンディ、サンディ、マンディがサンドイッチを運んで来る。

「はい、どうぞ、
これ、フィンガー・サンドイッチっていうのよ」
「食ってごらん、そう指でつまんで食うんだ
だからフィンガー・サンドイッチって名前なんだよ」
「ああ、それじゃあ、みんなで外で食べよう」
「いや、いや、いや、すぐに失礼する
みなさんでどうぞ
我々はただ少しでも助けになれればと
それと、ダギーへの敬愛の気持ちです」
「いやあ、でも、こうして見ると元気そうだな」
「ええ、そうなの、先生もよくなる見込みはあるって」
「もし、よければですが、鍵をお借りできますか?
お宅の方にも食料なんかを運んでおこうかと」
「ああ、あっは、あらまあ、すみません、
これです、助かります」
「で、結局、何だったんです?電気ですか?」

※義理人情に厚いミッチャム兄弟。


サウスダコタ州:バックボーン

FBI支部と化したホテルの一室。
様々な機器が動いている。
ゴードン・コールの渋い顏。


■ラスベガス:病院

「ママ、オシッコ、行きたいんだけど」
「わかった、じゃ一緒におトイレ探しに行きましょ」

二人が病室を出て行き、ひとり残されたブッシュネル社長。
すると、ラッキー7保険のフィル・ビズビーから電話がかかってくる。

「はい、ブッシュネル」
「あ、フィル・ビズビーです」
「どうした?フィル」
FBIがダギーを探しに来ました」
「何だって?」
FBIです」
FBIが?」
「ええ、ダギーを探してます」
「ダギーを探してる」
「そうです」
「何をしたっていうんだ?昏睡状態だぞ」
「ええ、ですが、その、えっと…」
「病院にいると言ったのか?」
「ええ、そしたら出て行きました」
「そう言った?いつ出て行ったんだ?」
「10分くらい前です」
「わかった」

電話を切ったブッシュネル社長の思案顔。
クーパーの顏をのぞき込むが、変化なし。


■ラスベガス:ダグラス・ジョーンズの自宅付近

シャンタルとハッチは相変わらずダギーが姿を現わすのを待っている。
スナック菓子を食べ続けているシャンタル。

周囲を巡回中のウィルソン捜査官の車がハッチェンス夫妻のバンの向かい50メートルほどの位置に止まる。

「長い一日になりそうだな
あいつ、覚えてるか?サニー」
「うん」
「死んだってさ」
「へー」
「いいヤツだった、金、借りてたんだよ」
「悪いとか思ってんの?」
「いや」

そこへジョーンズ家の家の鍵を預かったミッチャム兄弟のリムジンがバンを従え、差し入れを届けにやってくる。

「何が始まんだ?
あん中のひとりがダギーか?ダグラス・ジョーンズ」
「どいつがうちのボスに似てるっていうんだよ!バカ!
あの中にダギーはいない」
「何、イライラしてるんだよ?」
「これで最後なんだよ!最後!
もう、これが最後の一袋なの!」
「今、生理中か?」
「だったら、なんだっていうんだよ!」
「べつに」

キャンディ・サンディ・マンディの三人が差し入れを家の中に運び込んでいる。

「なんだ、あれ?まるでサーカスのパレードだね」

見張り中のウィルソン捜査官。

「でっかいリムジンにピンクの服の女
ダグラス・ジョーンズはいない」

荷物を運び終えたミッチャム兄弟のバンが去ると
入れ替わりに、車体に“ZAWASKI accounting.inc”の名が入った車がハッチェンス夫妻のバンの前に止まる。
車の持ち主は会計士のようだ。

「なに?この車」

「ちょっと、どうも
車が入れられないんだが」

車から降りてきた男はここの住人らしい。

「このままでも入れんだろ?」
「あんたんちなんか、かすってもいないだろうが
ふざけんなよ!わかったら、消えな!!」
「車を動かす」

そう言って、自分の車に戻った男はアクセルをふかして、ハッチェンス夫妻のバンにぶつかってきた。
アクセルをふかし続け、無理矢理バンをどかそうとする。

「くっそー、なめやがって!」

腹を立てたシャンタルは男の車のフロントガラスに一発、撃ち込む。

「何やってんだよ、シャンタル!」
「あいつがなめた真似するから、ムカついたんだよ!」

車を降り、トランクから銃を取り出した男が反撃。
シャンタルは腕を撃たれる。

「シャンタル!」
「うーっ、腕をやられた!」
「なんだよ!計画がメチャクチャだよ!」

ハッチがショットガンで応戦。
ハッチェンス夫妻はこの場はひとまず逃走しようとするが、男が持っていた銃はマシンガンだった。

ハッチェンス夫妻は男のマシンガンで蜂の巣となり、
いかにも殺し屋夫婦らしい最期を遂げる。

突然、始った銃撃戦に
銃を手に外へ出てきたミッチャム兄弟。

「おい、ここのご近所、どうなってんだ?」
「みんな、いろいろストレス抱えてるんだよ」
「そうだな」

FBIだ!銃を置いて、手を上げろ!
今すぐ、銃を置いて、手を上げろ!」

ウィルソン捜査官の指示に素直に従う会計士の男。

※突然の闖入者によって、またしてもダギー(クーパー)への刺客は退場させられる。
それにしても、マシンガンで蜂の巣
ハッチェンス夫妻に似合いすぎる最期。


■ラスベガス:病院

昏睡状態のクーパーを見守るブッシュネル社長。
すると、どこからか、妙な音が聞こえてくる。
ベンジャミン・ホーンのオフィスやグレート・ノーザン・ホテルのボイラー室で聞こえていた音と同じ音だ。
その音に誘われるように病室を出て行くブッシュネル社長。

すると、ベッド脇の椅子に片腕の男が姿を現わす。
目を覚ますクーパー。

You are awake.
目を覚ましたな

「完全に目覚めた」

Finally.
ついに
The other one…
もう一人は
He didn't…
戻って…
go back in.
こなかった
He's still out.
まだ外にいる
Take this.
これを

そう言って片腕の男はクーパーにあの指輪を渡す。

「タネは持っているか?タネは持っているのか?」

クーパーが尋ねると、片腕の男は金色の玉を見せる。

「もう一つ作ってもらいたい」

クーパーはそう言って、自分の髪を抜いて片腕の男に渡す。

I understand.
分かった

片腕の男はクーパーから受け取った髪の毛をポケットにしまう。

そこへジェイニー・Eとサニー・ジムが戻ってくる。

「ダギー?」
「パパ!」
「やあ、サニー・ジム!」
「よかった…ダギー」
「やあ、ジェイニー・E!」

ブッシュネル社長も病室に戻ってくる。

「ダギーが戻ってきた!思った通りだ!」
「ジェイニー・E、今すぐドクターを呼んできてもらえると助かる
サニー・ジム、ママと一緒に行きなさい」
「行きましょう」
「ブッシュネル、そこのサンドイッチを取ってくれ
腹ペコだ」
「社から連絡があった、FBIが君を探してるそうだ」
「素晴らしい!」
「なんだか強くなって戻ってきたようだな」

ジェイニー・Eとサニー・ジムがドクターを連れて戻ってくる。

「ああ、ちょっと、もう、何してるんですか!」
「点滴はもう必要ない、バイタルが正常かどうか確認してもらいたい、退院する
ブッシュネル、私の服を取ってくれ
その後ろのキャビネットだ」
「ダギー、そんなことして、本当に問題はないの?」
「まったく問題ない」
「確かにこれなら問題なさそうね
退院許可の書類を用意します」
「ジェイニー・E、車を正面に回しておいてくれ
では、着替える、下で落ち合おう」
「わかった、行くわよ、サニー・ジム、
パパが車を取ってきて欲しいんですって」
「ありがとう、ブッシュネル」

我が夫と我が父の変わりように、ジェイニー・Eとサニー・ジムも驚きを隠しきれない。

「パパ、いっぱいしゃべってたね」
「ええ、ホント、いっぱいしゃべってたわね」

病室では、もちろん自分で着替えているクーパー。

「ブッシュネル、その左脇のホルスターに入れている32口径のスナブノウズを貸してもらいたいんだが」
「了解だよ、ダギー」

クーパーに銃を渡すブッシュネル社長。

「何か問題はないか?何でもするから、言ってくれ」
「ミッチャム兄弟と電話で話したいんだが」
「お安い御用だ、個人的な番号を聞いてる
短縮ダイヤルに入れておいた
もしもし、ああ、ブラッドリーか?
ああ、ロドニー、実はその、ちょっと待ってくれ
ダギーが話したいと言っている」
「ロドニー、20分後に家族をカジノへ連れて行く
ロビーで待っててくれ」
「ああ、何でもするぞ!」
ワシントン州スポケーンへ飛びたいんだが」
「今すぐ自家用ジェットの燃料を満タンにする
ブラッドリー、ワシントンのスポケーンへ飛ぶぞ!」
「では、20分後にロビーで落ち合おう」
「了解した」

「そうだ、満タンにな、スポケーンへ飛ぶ」
「よし、行こう!ロビーで出迎える」
「お嬢さんたち!飛行機に乗るぞ!」
「何する気だろうな?」
「よーし、行くぞ!急げ!」

「ゴードン・コールという男からここに電話がかかってくるだろう
かかってきたらこれを伝えて欲しい」

クーパーはそう言って、ブッシュネル社長にメモを渡す。

「あなたは尊敬すべき人物だ
あなたの親切と良識ある振る舞いは忘れない」

立ち去ろうとするクーパーにブッシュネル社長が声をかける。

FBIはどうする?」
「私がFBIだ」


病院正面に車を回しクーパーを待っていたジェイニー・Eとサニー・ジム。

「代わってくれ、運転する」
「でも、ダギー…」
「ジェイニー・E、心配ない」
「一体、どうしちゃったのよ?ダギー」
「シートベルトをして」

さっそうと走り出すBMW
入れ替わりに、FBIの車列が病院に到着する。

「ジェイニー・E、シルバー・ムスタングへの道を教えてくれ」
「もう、ギャンブルには手を出さない約束でしょう?」
「ミッチャム兄弟に会いに行くんだ」
「パパ、運転出来るんだね!すっごく上手いよ!」

※とうとう!ついに!
デイル・クーパー捜査官が帰って来た!
いやあ、長かった!
そして、あの金色の玉!
あれは化身のタネだったのか!
クーパーが片腕の男に髪の毛を渡していたが、そのDNAを使って複製するということなのか?
バッド・クーパーもダグラス・ジョーンズもクーパー自身の意志で作られた化身だったのか?
そして、なぜクーパーは化身がもう一つ必要なのか?


サウスダコタ州バックホー

FBI一行が宿泊中のホテルのバー。
カウンターでは、ダイアンが酒を飲みながら、
タバコを吸っている。
携帯に届いたメッセージを確認するダイアン。
予期していなかったかのように、驚いている。

:- )ALL.
:ー)すべて

バッド・クーパーからのメッセージ。
気を落ち着かせるかのように、酒を飲み干す。

「覚えてる…ああ、クープ…覚えてる」

「うまく行くといいけど…」

つぶやきながら、ダイアンが送ったメッセージ。

48551420117163956

膝の上に置いたバッグの中には、銃が見える。
何かを決意したかのようにバッグの口金をしめ、
立ち上がったダイアンはエレベーターへと向かう。

向かった先は、FBI支部と化したホテルの一室。
ゴードン・コールはダイアンが部屋に向かっていることを察知していたようだ。
ダイアンがドアをノックをする前に声をかける。

「ダイアン、入ってくれ」

部屋には、アルバートとタミーも待機している。
ダイアンが話し始める。

「クーパーが私を訪ねてきた夜のことを聞いたわね?
それを話しに来た」
「何か飲むか?」
「ええ」

「あれはクーパーからの音信が途絶えて三年か四年くらい経った頃よ
私はまだFBIに勤めていた
ある夜、ノックもなく、ベルも鳴らさず、
彼が入ってきた
私はリビングに立っていたの
彼に会えて嬉しかった
思いきり抱きしめたわ
それから二人でうちのソファに座って話し始めたの
私は全部聞きたかった
彼がどこにいて、何をしてきたのか
彼が知りたがったのは、FBIのその後の様子だけ
尋問されているような気がした
でも私、自分に言い聞かせた
彼はFBIの情報が気になるだけだって
そしたら彼の顔が近づいてきて、私にキスした
それは前にも一度あったことよ
でも、感じた
彼の唇が触れた瞬間、何かがおかしいって
そして、怖くなった
彼は私の恐れを見抜いてた」

「彼、笑ったの、笑ったのよ、彼の顔が
その時だった、彼にレイプされたの
彼にレイプされたのよ!
その後、外へ連れ出された
連れて行かれた先は、古いガソリンスタンドだった
そう、古いガソリンスタンドだった」

泣きながら、そこまで話すとバッド・クーパーからのメッセージを確かめるダイアン。

:- )ALL.
:ー)すべて

「私は保安官事務所にいる…
保安官事務所にいる…
彼に座標を送ったの、保安官事務所にいる!
だって、だって!
私じゃないから!
そう、私は私じゃない!
そうよ、私は私じゃない!」

バッグから銃を取り出し、撃とうとするダイアン。
しかし、逆に、素早く銃を抜いたアルバートとタミーに撃たれる。

しかし、撃たれたはずのダイアンの姿は消える。
後に、何の痕跡も残さずに消えてしまう。

「びっくり!
本当だったのね、今のが本物の化身」
「保安官事務所だと?」


※まさか、ダイアンも化身だったとは!
ということは、ダイアンとバッド・クーパー
化身同士が連絡を取り合っていたことになる。
私は保安官事務所にいる、ということは
本物のダイアンはNaidoなのか?
ダイアンが部屋へ向かうシーンで印象的に使われているのは、この曲 、Muddy Magnolias 『AMERICAN WOMAN 』のデヴィッド・リンチREMIX
👉Muddy Magnolias - American Woman (Slowed David Lynch Style) - With Twin Peaks Visuals - YouTube


■ブラックロッジ:赤いカーテンの部屋

椅子にはバックホーンのホテルの部屋から消えたダイアンの姿がある。
そして、片腕の男。

Someone…
誰かが
manufactured you.
作ったのだ お前を

「わかってるわよ!クソったれ!」

ダイアンの化身は最後の悪態をつく。
すると、ダイアンの顔面は仮面のように割れ
そこから黒煙が上がり、金色の球が出てくる。

白煙と共にダイアンの化身の身体は消え
後には、金色の玉、タネが残る。

※ダイアンの化身を作ったのはバッド・クーパーなのか?
ダイアンがクーパーにレイプされたと言っていたのは、文字通りのレイプではなく、化身を作られたという意味なのかもしれない。


■ラスベガス:シルバー・ムスタング・カジノ

カジノのロビーで一家を迎えるミッチャム兄弟。

「ダギー!よう、なんだよ、すっかり元気そうだな」
「元気そうだ!」
「準備万端、いつでも飛び立てるぞ!」
「どこへ行くの?」

不安気なジェイニー・E。

「すまない、ちょっと失礼する
ジェイニー・E、サニー・ジム、いっしょに来てくれ」

クーパーは二人をスロットマシンのフロアへ連れて行く。

「なんだかダギー、自信たっぷりに話すようになったよな」
「昏睡状態になったせいか?」
「副作用だ!」

「しばらく遠くへ行くことになった
これだけは伝えておきたい
君たちと過ごせて、本当に楽しかった」
「何それ?」
「おかげで心が満たされた」
「ちょっと、何を言ってるの?」
「私たちは家族だ
ダギー、いや、つまり私は、帰ってくる」
「あなたはダギーじゃないのね?」
「えっ?嘘だ…
僕のパパだよね?僕のパパだよね?」
「ああ、君のパパだよ、サニー・ジム、君のパパだ
愛してる、君たち二人のことを」

「もう行かないと、すぐにまた会える
赤いドアから帰ってくる、そして、ずっとそばにいる」

「行かないで!」
「わかってくれ」
「あなたが誰でもいい、ありがとう」

キスでクーパーを送り出すジェイニー・E。

※ずっと赤ん坊状態だったクーパーだが、その間の記憶はしっかりとあるらしい。


■ラスベガス:ミッチャム兄弟のリムジン

「ダギー、もう一回、整理させてくれ」
「待った待った、俺もそれを聞きたい
キャンディ、ブラッディメアリーはまだか?」

「保険会社ってのは嘘で、実はFBI捜査官だが
この二十五年、行方不明だった
で、俺たちはあんたをツイン・ピークスって町の保安官事務所へ連れて行く必要がある」
「ダギー、あんたを好きだ
でも俺たちは昔からそういった場所じゃ歓迎されないんだよ」
「というか、そういった人たちにな
警察関係の方々には」
「言いたいことは理解した
友よ、それももう変わる
君たち兄弟が黄金のハートを持っていることは
この私が保証する」
「本当よ、本当に持ってるんだから」

キャンディの賛同にご満悦のミッチャム兄弟。


ツイン・ピークス:ロードハウス

ロードハウスの今夜のゲストは
Edward Louis Severson III

演奏している曲 Eddie Vedder『Out of Sand 』はこちら👉Eddie Vedder Out of Sand Twin Peaks - YouTube

演奏の途中で、オードリーとチャーリーが店に入ってくる。
カウンターに陣取った二人はマティーニを注文。
演奏が終わったタイミングでマティーニが運ばれてくる。

「では、君と私に乾杯だ」
「ビリーに乾杯」

再び、舞台にMCが登場。

「それでは、ここで踊っていただきましょう!
オードリーのダンスです!」

ダンスフロアにいた人々が場所を開け、
突然のことに戸惑うオードリーに舞台を整える。
音楽が始まり、ゆっくりとフロアの中央に出ていったオードリーが踊り始める。
二十五年前に踊ったように。


「モニーク!モニーク!
俺の女房に何しやがんだよ!
ふざけやがって!」

突然、男が出て来て、怒鳴りながら他の男にビンを投げつける。
殴り合いが始まり、騒然とする店内。

チャーリーの元へ駆け戻るオードリー。

「チャーリー、ここから連れ出して!」

そう言った瞬間、オードリーはロードハウスから別の場所へ移動している。
鏡の中の自分の姿を見ているオードリー。

「何?何なの?何?何?」

※おい!おい!おい!
オードリーも化身なのか?
そう言えば、オードリーは《第13話》で
自分じゃないってことだけは、はっきりわかるって言ってなかったか?
(詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 13 《第13話》 - 極私的映画案内

二十五年前と同じようにオードリーが踊る。
アンジェロ・バダラメンディ『Audrey's Dance 』はこちら
👉Angelo Badalamenti - Audrey's Dance (Twin Peaks OST) - YouTube

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なるほど、ダイアンは化身だった。
しかし、オードリーも?
残りあと二話。
此の期に及んで、もう何がなんだか…。
しかし、クーパーはツイン・ピークスへ向かった。
ゴードン・コールへのクーパーの伝言もブッシュネル社長に託された。
いよいよ、役者がツイン・ピークスに集結する。

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


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ツイン・ピークス The Return Episode 15《第15話》

EPISODE 15

ツイン・ピークス:ビッグ・エドのガソリンスタンド

ネイディーン・ハーリーがDr.アンプ(Dr.ジャコビー)の金色のシャベルを担いで歩いて来る。
彼女が向かっているのは、“ビッグ”エド・ハーリーのガソリンスタンド。

エド!」
「ネイディーン」
エド、あなたに話がある」
「なあ、車は?どうやって来た?」
「歩いて」
「歩いた?で、そのシャベルは?」
「これが話したいことなのよ」
「それが?」
「そうよ、あなたにこう言いたかったの
私は変わった」
「変わった?」
「ええ、エド、あなたを心から愛してる」
「わかってるよ、ネイディーン」
「でも、あたし、最低だった!
ずっと、自分勝手ばかりやってきて
なのに、あなたは優しかった」
「どうした?」
「聞いて、エド、あたし知ってたの
あなたとノーマがずっと両想いだったって
なのに、嫉妬して、愛し合う二人を引き裂いてた
あなたの優しさにつけ込んでね」
「いいや、そんなことはない」
「私はあなたに罪悪感を背負わせ、縛り付けたのよ
誠実なあなたは私といるために自分の愛をあきらめた
エド、あなたをもう自由にしてあげたい
あたしなら大丈夫!
このシャベルが何か聞いたわね?
これでクソを掘って、外へ出るの」
「ジャコビーの番組を観たのかな?」
「ええ、観てるわよ」
「ネイディーン」
「私の心配はいい、ノーマのとこへ行って
残りの人生を愛する人と楽しんで
私も幸せよ、すっごく!
二人が幸せなんだって思うだけでうれしいの
エド、愛してる、これからもずっと
でも、真の愛とは、人の幸せを願い、
身を引けることなのよ
まったく、不器用な人ね!
素敵なハッピーエンドじゃない!」
「ネイディーン、よく考えたほうがいい
君は自分が何を言ってるのかわかってないんだ
明日になったら、今言ったことをきっと後悔するぞ」
エド、言ったでしょ!
ここまで歩いてきたんだって
考える時間はたっぷりあった
それでも、ここへ来たの
これで間違いないって、確信してる証拠よ
Dr.アンプに感謝してね
つまり、ジャコビー先生によ
ずばり、核心をついてくれるのは先生だけだわ
じゃ、まとめると、エド、あなたは自由よ
さあ、幸せになって!」

晴れやかな表情でエドを抱きしめるネイディーン。
エドは感無量といった表情で、去っていくネイディーンを見つめる。

※ネイディーンにとって掘って出るべき“クソ”は、
自らの嫉妬心だったということか。
Dr.アンプ(ジャコビー先生)のインチキ商売かと思ったら、金色のシャベルにこんな効用があったとは!


ツイン・ピークス:RRダイナー

自由を得たエドはノーマの元へ駆けつける。

「ノーマ、すべてが変わった
さっきネイディーンと話したんだが
俺を自由にしてくれるそうだ」
エド、ごめんなさい、ウォルターが来たから」

エドの報告に一瞬嬉しそうな表情を浮かべたノーマだったが、ちょうど共同経営者のウォルターが訪ねて来る。

出鼻をくじかれたエドはカウンターに座る。
シェリーが注文を聞きにくる。

「何にする?エド
「じゃ、コーヒーを」
「すぐ用意する」
「それと、青酸カリだ…」

ノーマにウォルターの訪問を優先されて傷付くエド
奥のボックス席に座るノーマとウォルター。

「今日来てもらったのは、
伝えたいことがあったからなの」
「名前をノーマのRRに変える
決心するって思ってた」
「いいえ、そうじゃないのよ
売買選択権を行使しようって、思ってるの」
「ええっ?冗談だろ?」
「いいえ、聞こえた通りよ」
「だが、何故?」
「家族の事情」
「君に家族はいなかったはずだが」
「いいえ、素晴らしい家族がいるわ
彼らのことを大切にしたいの
店舗を増やして気を揉むのは、私には無理だったのよ
家での時間を大事にしたい」

エドの元にコーヒーが運ばれて来る。
まるで審判を待つようにじっと目を閉じるエド

「僕には理解出来ないが、君の決断は尊重するよ
君と一緒に成功したいと思っていたから
実に残念だが」
「あなたはきっと成功するだろうし、
そうなることを願ってるわ
でも、規約通り、私はこの一軒を守るから
あなたは私から他の店舗の株を買えばいいわ」
「もうすぐ七軒だ
七つの店が幸せな客であふれていたはずなのに」
「私はここだけで幸せなの」
「念のため、ひと言言っておくが、
君は大きなミスを犯した
きっと後悔することになる」

ウォルターが店を出ていく。
じっと目を閉じたままのエドの肩にノーマの手が置かれる。
この瞬間を待ち続けていたエドはノーマに向き直り、
二人は笑顔で見つめ合う。

「結婚しよう」

とうとうその言葉を口に出来たエド
キスで応えるノーマ。

「もちろんよ、エド

二人を祝福するシェリー。

※文字通り、二十五年という時間の重みを感じるシーン。
お互いに(観ている視聴者も)年をとったエドとノーマがようやく結ばれたこのシーンには感無量。
このシーンで使われているのは、タイトルからしてぴったりのこの曲。
Otis Redding『I've Been Loving You Too Long 』はこちら
👉Otis Redding - I've Been Loving You Too Long - YouTube


■ハイウェイ

夜道をひた走るバッド・クーパーの車。
やがて見えてきたのは、
二十五年前、フィリップ・ジェフリーズが見つけたと言っていたコンビニエンス・ストア
店の前には案内するかのようにWoodsmanの姿が。
店に二階はないが、店の脇の階段を上っていくWoodsman の後を追うバッド・クーパー。
しかし、二人の姿は階段の途中で消える。

部屋の中に入ったバッド・クーパー。
部屋の片隅の椅子に座っているWoodsman 。

「フィリップ・ジェフリーズを探している」

バッド・クーパーがこう告げると、Woodsman は何かスイッチのようなものを操作する。
浮かび上がるJumping Man の姿。

もう一人のWoodsman に案内され、部屋の奥へと進むバッド・クーパー。
廊下の突き当たりの階段を上がった先のドアを開けると、そこは屋外だった。
雨上がりのように、所々に水たまりがある。
そして、その向こうにはモーテルのような建物。
ひとつのドア、8号室の外の明かりだけが点いている。
バッド・クーパーがドアノブを回そうとするが、
鍵がかかっている。
すると、寝間着姿の女が近づいてくる。

I'll unlock the door for you.
ドアの鍵を開けてあげる

女はそう言うと、8号室の鍵を開ける。
部屋の中には、大きなソケットのような物体。
湯沸かしのように煙を吐き出している。

「ああ、お前か」
「ジェフリーズ」
「なんてこった!」
「レイに俺の殺しを依頼したな」
「何?レイに電話はした」
「つまり、依頼したんだろう?
五日前、俺に電話したか?」
「お前の番号を知らない」
「じゃあ、あれは別の誰かか?」
「昔はよく話した」
「ああ、そうだった」

フィリップは声だけで、姿は見えない。

さてと、先に言っておくが、
俺はジュディのことは話さないし
ここで話題にするつもりもないから

「1989年だ、
お前はFBIフィラデルフィア支部に現れ
ジュディに会ったと言ったんだ」
「つまり、お前はクーパーか?」
「フィリップ、何故ジュディの話をしたがらなかった?
ジュディとは誰だ?
ジュディは俺に何か用があるのか?」
「直接、ジュディに聞いたらどうだ?
俺からお前に教えよう」

吐き出される白煙に浮かび上がる数字。
4、8、5、5、1、4…
メモを取り出すバッド・クーパー。

「ジュディとは誰だ?」
「お前はもうジュディに会ってる」
「もう会ってるとはどういう意味だ?」

その時、部屋の隅の昔ながらの黒電話が鳴り出す。

「ジュディとは誰だ?何者なんだ?」

バッド・クーパーが電話をとると、
その瞬間、彼の身体はコンビニエンス・ストアの外の公衆電話に移動している。
何も言わずに電話は切れる。

電話を切ったバッド・クーパーに銃を向け
待ち構えていたのは、リチャード・ホーンだった。

「農場で見て、すぐわかった、FBIだろ?」
「どうして、そう思う?」
「前に写真で見た、あんたはスーツでキメて
そばに来んなっ!」
「その写真はどこで見た?」
「母親が持ってた」
「お前の母親は?」
「オードリー・ホーン
で、あんたはクーパーだ」

それを聞いたバッド・クーパーは唾を吐いたかと思うと、一瞬でリチャードから銃を奪い殴り倒す。

「二度とふざけた真似するな
トラックに乗れ、おしゃべりしよう」

リチャードはおとなしく車に乗る。
バッド・クーパーは携帯でメッセージを送る。

Las Vegas ?
ラスベガスは?

リチャードを車に乗せたバッド・クーパーが去ると内部で発光したコンビニエンス・ストアは白煙と共に暗闇に消える。

エド・ハーリーのガソリンスタンドは元々《第8話》に出てきたガソリンスタンドじゃないかと思ってましたが、《第8話》のあれは、ガソリンスタンドというより、コンビニエンスストアでしたね。
ブラックロッジの面々が集うコンビニエンスストアの二階の部屋については、デヴィッド・ボウイ演じるフィリップ・ジェフリーズ捜査官が『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』で見つけたと言ってましたね。
そこには、Jumping Manの姿も。

コンビニエンスストアの二階の部屋は、『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』の中でローラがトレモンド夫人から受け取った絵に描かれていた部屋。

バッド・クーパーがWoodsman に案内されて上る階段は、バックボーンでゴードン・コールが渦の中に見た階段だった。

「もうジュディには会っている」というジェフリーズ。
ジュディとは誰なのか?
そして、再び謎の数字。

バッド・クーパーが携帯から送ったメッセージはダイアンに宛てたもの。
詳しくはこちら👉ツイン・ピークス The Return Episode 12 《第12話》 - 極私的映画案内
それに対するダイアンの答えは、
THEY HAVE'NT ASKED YET.
“Las Vegas?”とは、ダンカン・トッドのことか?
それともダギーのことなのか?
ダギーのことだとすれば、ブリッグス少佐の胃から発見された結婚指輪の件で初めてダギーについて知ったかのように振舞っていたダイアンは、すでに知っていたことになる。


ツイン・ピークス

森の中を犬を散歩させている男Cyril Pons

大きな木の根元で身を寄せ合っているのは、
シェリーの娘ベッキーの夫スティーヴン・バーネットとヘイワード家の三番目の娘ガースティンだ。
スティーヴンは興奮状態で、手に銃を持っている。

「なんで?」
「理由なんかねえ、俺がやった」
「違う、そうじゃない、彼女よ、彼女がやったの」
「俺だよ、そう、俺がやった」
「違う、ダメよ、スティーヴン
スティーヴン、やめて、あなたは何もしてない
あなたはハイになってたのよ
彼女に何をされたの?銃を私に渡して」
「お前も俺と来るか?」
「いいえ、あなたは行かないのよ」
「俺を見ろ、俺は高卒なんだ、高卒なんだよ」
「そんな…」
「わかるな?」
「ダメ、ダメよ、スティーヴン、お願い、やめて」
「こいつをここに入れる」

そう言うと、スティーヴンはカートリッジに弾をこめる。

「ええっ?ねえ、やめて」
「それから、そいつをここで、ここにぶち込む」
「ダメよ、スティーヴン」
「それで終わりに出来る
お前が来るのが見えたら、
もし、もしも、見えたらの話だけど、
だって、俺もう、死んでっから…
どこに行くのかな?サイがいる場所とか?
奇跡が起きるとか?そう願う…」
「いいから、もういいから、大丈夫」
「そのものになれるとか?
つまり、つまり、ほらトルコ石に…
なんか感じる…クソーっ!
終わりだ、カタをつける
お前は好きにしろ、お前が好きだった
言ったか?大好きだった
ケンカしてから、ヤルのが、好きだった
わかってるよな?
なんで泣く?なあ、泣くなって、やめろ、
俺まで泣ける、泣くな、なあ」

そこへ犬を連れたCyril Pons が通りかかる。
Cyril に見られた二人。
スティーヴンは慌てて銃を隠し、
ガースティンは別の木の根元に走って行く。
Cyrilも慌てて立ち去る。
そして、一発の銃声が響く。
取り乱し、放心して空を見上げるガースティン。

※スティーヴンは一体何をやったというのか?
ガースティンのアパートのドアを銃で撃ったのはベッキー
あの時、隠れていたスティーヴンとガースティンはその足で森の中に逃げてきたのか?
詳しくはこちら👉ツイン・ピークス The Return Episode 11 〈第11話〉 - 極私的映画案内
それとも、スティーヴンはベッキーに何かしたのか?
いずれにせよ、スティーヴンは死を考えるほどに相当追い詰められている。
スティーヴンの言っていることは支離滅裂だが、
トルコ石とは、あの指輪のことかもしれない。
スティーヴンは指輪をどこで見たのか?
そして、スティーヴンは自らのこめかみを撃ち抜いてしまったのか?


ツイン・ピークス:ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク

Cyril が森の中で目撃したことをトレーラーパークの管理人カール・ロッドに話している。

「あそこに住んでるヤツだ」

Cyril が指さしたのは、スティーヴンとベッキーが住んでいるトレーラーハウス。

※Cyril はスティーヴンと面識があった模様。
少なくとも、スティーヴンがトレーラーパークの住人だということは知っていたらしい。
Cyril Ponsを演じているのは、共同制作者、共同脚本家であるマーク・フロスト。


ツイン・ピークス:ロードハウス

ジェームズ・ハーリーとフレディ・サイクスの二人がビール片手に店の奥へと入ってくる。
奥のボックス席には、レネーと女友達とそれぞれのパートナーの姿がある。

ジェームズがレネーに声をかけると、
レネーの夫チャックが激怒、ジェームズを殴り倒す。
チャックの友人スキッパーも加勢し、倒れたジェームズを蹴りつける。
しかし、緑色の手袋をしたフレディの軽い一発でスキッパーもチャックも失神してしまう。

「ジミー、大丈夫?」
「ああ、なあ、誰か!二人はかなり重傷だ!
すぐに救急車を呼んでくれ!」
「あんまり力は入れてないんだけど、ごめん」
「いいんだ、助かった」

「ホントにすまない、レネー
こんなことになるとは思わなくて
悪気はなかったんだ
まずいな、目が完全にイッてる」

※フレディの緑色の手袋の威力は想像以上!
このシーンで使われているZZ Top の
Sharp Dressed Man 』はこちら👉ZZ Top - Sharp Dressed Man (OFFICIAL MUSIC VIDEO) - YouTube


■ラスベガス:FBIラスベガス支部

デスクにはランドール・ヘッドリー特別捜査官の姿がある。
そこへウィルソン捜査官が報告にやって来る。

「到着しました
ダグラス・ジョーンズとその妻です
すぐ、尋問できます」

部屋を出る両捜査官。

「抵抗したか?」
「いや、まったく
子供たちには手こずりましたが」
「子供たち?複数形か?子供たち?!」

自分の失敗に気づき、逃げるウィルソン捜査官。
尋問室には寝間着姿のダグラス・ジョーンズの一家
明らかに、“ダグラス・ジョーンズ”ではない。

「ウィルソン!!」


■ラスベガス:ダンカン・トッドのオフィス

内線でロジャーをオフィスに呼びだすダンカン・トッド。

「なんでしょう?」
「アンソニーから連絡は?」
「ありません」
「ヤツを探してくれ!すぐに!」

その時、ロジャーの背後に忍び寄る影。
その人物は、一発でダンカン・トッドを仕留め
続いてロジャーも撃つ。
素早くその場を立ち去る、スーツ姿のシャンタル・ハッチェンス。

「もしもし?ちょっと待って…」

シャンタルの背後から聞こえるロジャーのうめき声。
戻ってきたシャンタルのとどめの一発。
ロジャーのうめき声は聞こえなくなる。

「そう、あと一人殺るだけ
フライドポテトがいい、ケチャップたっぷりで」

※ダグラス・ジョーンズ殺害司令に関わる死者は、
これで6名にのぼる。
シャンタルが言うあと一人とは、
ダグラス・ジョーンズのことか?


ツイン・ピークス:保安官事務所

ロードハウスで騒ぎを起こしたジェームズとフレディがホークとボビーに留置場に連行されて来る。

「その手袋野郎、今度は何した?」
「黙れチャド!」
「なんで警官が檻に?」
「ヤツに構うな!」
「ホーク、二人の容態は?」
「共にICU行きだ」

ジェームズとフレディを檻に入れ、
立ち去るホークとボビー。

「あれ、なんだ?」

ジェームズが向かいの檻で保護されているnaidoの存在に気付く。
言葉にならない声を発するnaido。
その真似をする酔っ払い。

※ジェームズとフレディがロードハウスで騒ぎを起こし、留置場に入れられたのは、おそらく、必然。


■ラスベガス:とある裏通り

ひと仕事終えたシャンタルとハッチが車の中でハンバーガーを食べている。

「政府はしょっちゅうやってるのに
なんで殺し屋だけが罪になんだよ?」
「ホントだよ、国は偽善者」
「なにが、キリスト教国だよ
いっそこう言えばいい、汝殺しまくれ!
慈悲をかけるな、誰も許すな
気取りやがって!所詮人殺し国家だ
先住民をほぼ全滅させたんだよな」
「そう、でも殺したら、あたしの楽しみは終わり
死体じゃ、いたぶりがいがない
もう、ずっと誰にも訪問できてないんだよ、ハッチ」
「だよな、最近はちっともチャンスがねえ」
「最悪…
知ってるよね?私が小袋のケチャップ嫌いなの」
「店にそれしかなかったんだ」
「デザートはあるの?」
「当たり前だろ」
「愛してる、ハッチ」
「俺もだ、シャンタル」

デザートを見て、満足気なシャンタル。

「いい夜だな」
「火星だ」

ジェニファー・ジェイソン・リーティム・ロス
この二人が演じる殺し屋夫婦、最高です。


■ラスベガス:ダグラス・ジョーンズの自宅


テーブルについているクーパー(ダギー)にチョコレートケーキを運んでくるジェイニー・E。

「どうぞ、ダギー」

ケーキを口に運ぶクーパー。

「どう?美味しい?」
「美味しい…」
「ああ、ダギー、夢がどんどん叶ってく、ホントに」
「ホント…」

テーブルの上のソルト&ペッパーやリモコンに気を取られながらもケーキを食べ続けるクーパー。
リモコンでテレビの電源を入れると、
画面に映し出されたのは、映画『サンセット大通り』の一場面。
クーパーはセリフの中に登場するゴードン・コールに強い反応を示す。
クーパーの視線は、壁のコンセント口に吸い寄せられる。

クーパーは手に持っていたフォークをコンセント口に差し込もうとするが入らない。
すると、今度はフォークの柄の方をコンセント口に差し込む。
感電したクーパーは倒れ、停電する。
家中にジェイニー・Eの悲鳴が響く。

「ママ!どうしたの!」

デヴィッド・リンチ演じるゴードン・コールの役名は『サンセット大通り』の中で、
グロリア・スワンソン演じる女優ノーマ・デズモンドが所有する車を貸してくれないかと言ってくる男ゴードン・コールから取られている。
ちなみに、映画の中で使われているノーマが住む屋敷は、レッドを演じているバルサザール・ゲティの曾祖父ジャン・ゲティの前妻が所有していた屋敷とのこと。


ツイン・ピークス:保安官事務所

オフィスのホークに丸太おばさん(マーガレット・ランターマン)から電話がかかってくる。

「マーガレット、どうかしたかい?」
「ホーク、あたし、死ぬの」
「残念だ、マーガレット」
「あなたは死を知っている
ただ、変化があるだけよ、終わりじゃない
ホーク、時間なの、少し怖さもある
手放すことが怖いのよ
あたしが言ったこと忘れないで
これ以上は電話では話せない
でも、あなたならわかるでしょ?
あたしたちがまだ、直接会って話せていた時の会話
あれに気をつけて、私があなたに言ったあれ
ブルーパイン・マウンテンに出てる月の下のあれ
ホーク、丸太が金色に変わってる
風がうめいてるの
あたし、死ぬわ、おやすみ、ホーク」
「おやすみ、マーガレット」

電話が切れる。

「さよなら、マーガレット」

そっと、つぶやくホーク。
月が雲に隠れる。

会議室では、トルーマン保安官がパソコンの画面を見ている。
ボビー、ルーシー、アンディが会議室に入ってくる。

「何事だ?」
「ホークに呼ばれたんです、ここに集まれって」

遅れて会議室に入ってきたホーク。

「マーガレット・ランターマンが今夜亡くなった」
「丸太おばさんが死んだ?」

静かに帽子をとるトルーマン保安官。
悲しみに沈む会議室。

マーガレットの家の灯りが静かに消える。

※現実に死を目の前にしているキャサリン・コールソンにこういう台詞を言わせるのは、少し残酷に感じる。
でも、番組の中で仲間たちと視聴者に別れを告げるこのようなシーンを用意する。
それも、彼女に対するデヴィッド・リンチの友情の示し方だったのかもしれない。


ツイン・ピークス:オードリー・ホーンの自宅

いまだに自宅にいるオードリーとチャーリー。

「もう無理だわ、電話を待ってられない
ビリーはあそこが嫌いだけど…
あらっ、コート着てるのね」
「ああ着てるとも、出掛けるんだろ?
ロードハウスへ行くんだよな
だから、コートを着た」
「ええ、そうだけど…
あなたって大した人ねえ、最低、フンッ」
「コートを着るんだ、オードリー
もう遅いし、私はすごく眠い、さあ、行こう!」
「文句を言うの、やめてくれる?
あなたってホント、ムカつく!
いちいち愚痴らなきゃ、人のために何か出来ないの?
どうせやるなら、黙ってやりなさいよ!
ずっと泣きごと聞かされてるこっちが滅入るわ!」
「コートを着るのか?
それとも私にダラダラと長話を玄関で聞かせる気か?」
「ビリーはあたしと一緒に出掛けてもあなたみたいな言い方は絶対にしないわよ、チャーリー」
「そうとも、なぜなら、私はチャーリーで、
そして、彼は、ビリーだから」
「で、私はビリーの方が好きよ」
「衝撃的だ!それで、コートを着るのか?
それとも、一晩中ここで話すのか?」
「ほーら、またそれ!
言わずにはいられないの?
たった、一秒でも!」
「オードリー、真面目な話
一秒あれば、私はコートを脱ぎ、今夜はここで過ごす
ロードハウスに行きたがったのは君で、私じゃない」
「信じられない、今こうして目の前で見えていることが
過去にはまったく見えてなかった
こんなことって、絶対にあり得ない!」
「今度は何なんだよ?」
「あなたよ、チャーリー
だって、昔のあなたは今みたいには
全然見えなかったもの
まるで別人を見てるみたい
あなた、誰なの?」
「わかった、コートを脱ごう」

そう言うと、チャーリーはコートを脱ぎ、
リビングのソファに座ってしまう。
それを見たオードリーはチャーリーに駆け寄り
摑みかかる。

「なんでいつもそうなのよ?
心の底から嫌いだわ!!大キッらい!!
どれだけ憎んでるか、わかってるの!!!」

※今だに出掛けられないオードリーとチャーリーの夫婦。
この二人の状況は、かれこれ《第12話》から一向に進んでいない。


ツイン・ピークス:ロードハウス

ボックス席にひとりで座り
舞台を見つめる若い女はルビー

バイカーらしき男が二人、彼女に近づいてくる。

「人を待ってるの」

二人に席を退かされたルビーは床に座り込む。
四つん這いのまま、少しづつ舞台に近づいていくルビーは何度も叫び声を上げる。
しかし、その声は音楽にかき消される。

今夜のバンドは、The Veils
演奏している曲『Axolotl』はこちら👉The Veils - "Axolotl" (ft. El-P) (Official Music Video) | Pitchfork - YouTube

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バッド・クーパーがフィリップ・ジェフリーズから電話を受けたのは五日前。
《第2話》でバッド・クーパーがダーリャを殺したモーテルでのこと。
スティーヴンとガースティンが森に逃げこんでくるまでの経緯は不明。
オードリーとチャーリーの状況は《第12話》から変化なし。
どうも、このシリーズは時間の進み方がそれぞれの場所で同じではない。
いずれ、それぞれの場所で起きた出来事について、
時系列で整理したいと思ってます。

今エピソードは、演じているキャサリン・コールソンではなく、丸太おばさんことマーガレット・ランターマンに捧げられている。

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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👇前シリーズの謎を解く鍵だった『 ツイン・ピークス ローラの日記』も再販。
旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

ツイン・ピークス ローラの日記 (角川文庫)

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ツイン・ピークス The Return Episode 14《第14話》

EPISODE 14


サウスダコタ州バックホー

FBI一行が宿泊中のホテル。
ゴードン・コールの部屋。

ゴードンがどこかへ電話をかけている。
電話をかけたのはツイン・ピークスの保安官事務所。
受付のルーシーが電話を受ける。
少しづつ噛み合わないゴードンとルーシーの会話。
ルーシーは早々にトルーマン保安官に電話を回す。

「ハリーか?私だ、ゴードン・コールだ
電話をくれたようだな」
「ああ、いやいや、
私はフランク・トルーマン保安官です
ハリーの兄です」
「ハリーはどうした?」
「身体を壊して今治療を受けているんです」
「そうか、それは心配だな」
「恐れ入ります、ハリーに伝えておきます」
「それで、情報というのは何だ?」
「ああ、お知らせしておこうと思いまして
その、奇妙な話なんですがね
実は、うちの副署長のホークがちょっと
気になるものを見つけたものですから
ローラ・パーマーの日記で、
破り取られてなくなっていたページが出てきたんです
クーパーが二人いる可能性を示す内容が
書かれていました
今は、それしかわかっていないんですが、
その、もしかして、
あなたには大事なことかもしれないので、ご連絡を」
「そうか、知らせてくれてありがとう、フランク
その情報に関しては、
何もコメントすることは出来ないんだが
連絡してくれて助かったよ
心から感謝する」
「わかりました、コール部長
その、了解しました」
「君とハリーに幸あらんことを
ハリーによろしく伝えてくれ」
「ええ、ありがとうございます、伝えます」

※破り取られてなくなっていたローラ・パーマーの日記について(クーパーは二人いる)の情報をFBIツイン・ピークス保安官事務所がこの時点で共有。
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 7 〈第7話〉 - 極私的映画案内


サウスダコタ州バックホー

FBI一行が宿泊中のホテル。
すでに“支局”のオフィスと化している。

「タミー、“事件番号1”、これがすべての始まりだった
1975年、ワシントン州オリンピア
とある殺人事件を捜査していた時のことだ
二人の捜査官がその犯人、
ロイス・ダフィーの逮捕に向かった
部屋の外で銃声を聞き、中へ飛び込んでみると
部屋には二人の女性がいた
床に倒れた一人は、腹部に銃弾を受けて瀕死、
もう一人は、後ずさりしながら、
手に持っていた銃を取り落とした
撃たれた女性は、容疑者のロイス・ダフィーだった
彼女はこう言い残したそうだ
私は青いバラと同じ
ロイスは微笑み、息を引き取った
そして、彼らの目の前で消えてしまった
部屋の隅で叫んでいるもう一人の女性を見てみると
そちらもロイス・ダフィーだった
言っておくが、ロイスに双子の姉妹はいない
殺人罪での裁判を前に、ロイスは無実を訴え、
自ら首を吊って死んだ
彼女を逮捕した捜査官は、
ゴードン・コールとフィリップ・ジェフリーズだ
さて、ここで君が聞くべき質問は何だ?」
青いバラは何を意味するのか?」
「その答えは?」
自然界に青いバラはない
自然じゃないものよね?
死んでいった女性も自然じゃない
魔術的な、なんて言えばいいのかしら?
化身ね」
「よろしい」

ゴードン・コールが部屋に入ってくる。

「コーヒータイムだ!
アルバート、多分、わかったぞ!
すぐにダイアンが来る」

シェードを下ろした窓の外で、
窓のふき掃除が始まるが、
キュッキュッという音がゴードンの耳に触る。

ノックの音がして、
ダイアンが部屋に入ってくる。

「入ってくれ、ダイアン
まあ、くつろいで」

コーヒーを配るタミー。

「コーヒーでも飲め」
「アシスタントのダイアン到着」
「ダイアン
君が最後にクーパーと会った夜のことだが
もしも、ガーランド・ブリッグス少佐に関してあいつが何か話していたことがあれば、聞かせてほしい」
「あの夜のことは言いたくない」
「わかったが、とにかく、一つだけ教えてくれ
クーパーはブリッグス少佐の話をしていたのか?」
「はあ、クソゴードン…してた!」
アルバート
「ダイアン、知っての通り、我々は今ブリッグス少佐に関わる古い事件について調べている
少佐は二十五年前、政府の施設の火事で死亡した」
「ええ」
「はずだったが、
少佐はここ、バックホーンで死んだことが判明し
胃の中から、この指輪が
指輪には、文字が彫られている
“ダギーへ 愛をこめてジェイニー・E”」
「やだ、嘘でしょ」
「どうした?ダイアン」
「片方の親が違う姉妹がジェーンて名前なの
結婚した男の名前はダグラス・ジョーンズで
みんなにダギーって呼ばれてる
ジェーンのあだ名はジェイニー・E」
「で、どこに住んでる?」
「最後に聞いたのは、ラスベガス」
「最後にその子と話したのはいつだ?」
「あの子とは疎遠で…嫌いなのよ
だから、もう何年も話してない」
「タミー、ラスベガス支部に電話をつないでくれ」

※「私は青いバラと同じ」この言葉を残したロイス・ダフィーにはクーパーと同じように、化身(「青いバラ”と同様、自然界には存在しない)が存在した。
そして、ここで重要な事実が判明。
ダイアンとジェイニー・Eは片方の親が違う姉妹だった!
ジェイニー・Eとダギーの出会いについても
バッド・クーパーあるいは何者かの関与があったのかもしれない。


■ラスベガス:FBIラスベガス支部

ウィルソン捜査官ランドール・ヘッドリー特別捜査官にゴードン・コールからの電話を取り次ぐ。

「あの、ゴードン・コール副支部長から電話が入ってるんですが」
「ゴードン・コール?」

「コール副支部長、どうも」
「至急、情報を集めてもらいたい
ラスベガス在住のダグラス・ジョーンズと
その妻に関するあらゆる情報だ
その夫婦は二人の人間の殺害に関与しているらしい
おそらく、武装しているだろう
充分警戒して、捜査に当たってくれ」
「ダグラス・ジョーンズですね?わかりました」
「最優先で、頼んだぞ!報告を待っている
連絡先は部下に聞け!」
「了解です!」

「市街地だけでも二十三人のダグラス・ジョーンズがいるよ」
「どうやって探しゃあ、いいんでしょうね?」
「ウィルソン!
お前は何回言えばわかるんだ!何回言えば!
それが、FBIの仕事だろうが!」

デスクを激しく叩いて、ウィルソン捜査官を叱責するヘッドリー特別捜査官。

※ここで、サウスダコタ州バックホーンの事件とラスベガスがつながり、FBIがダギーとジェイニー・Eの捜索に乗り出す。
ダイアンと(おそらく)バッド・クーパーとのメッセージのやりとりの中で登場した“ラスベガス”ともつながった。


サウスダコタ州バックホー

再び、FBI一行が宿泊中のホテルの一室。

「ありがとう、ダイアン」
「ええ、じゃあ」

退出するダイアン。

「さっき、ここへくる前にツイン・ピークス
トルーマン保安官と電話で話をしたんだが
発見されたローラ・パーマーの日記の一部に
手がかりになりそうなことが書かれているそうだ
どうやら、クーパーが二人いると読めるらしい」

「そして、昨夜、
またしてもモニカ・ベルッチの夢を見たよ」
「やれやれ」
「私は捜査でパリにいた
すると、モニカから電話が
とあるカフェで会いたいという誘いの電話だった
話したいことがあると言うんだ
約束のカフェで落ち合うと、クーパーもそこにいた
だが、あいつの顔は見えなかった
モニカはとても感じが良くて、友達を連れていた
一緒にコーヒーを飲んだ
そして、モニカが古い格言を口にした」

私たちは夢を見て、夢の中に生きる
夢見人のようね

「私たちは夢を見て、夢の中に生きる
夢見人のようだと、彼女は言った
私はわかると答えた
すると、モニカは、
“でも、夢見人は誰?”と」

「そして、私は強烈な不安感に襲われた
モニカが私の背後を見て、
私にもそちらを見るよう合図してきた
何かが起きているらしかった
振り返るとそこには、昔の私が見えた
もう何十年も前、フィラデルフィア支部のオフィスにいる私の姿だった
その時、私は夢で見たことを案じるクーパーの話を聞いていた」

ゴードン、今日は二月十六日、時間は十時十分だ
とうとう、僕が夢で見たと言っていた日が来たんだ

「そうあれは、フィリップ・ジェフリーズ現れ、
現れなかった日だ」

「その日、オフィスに現れたフィリップ・ジェフリーズはさっと腕をのばして、クーパーを指差した
そして、私に言った」

ここにいるのは誰だと思う?

「クソぉ、すっかり忘れていたが、
これは考えてみるべきだ
興味深い!」
「ええ、私も思い出してきましたよ」

※ゴードン・コールが見た夢によって、二十五年前のフィリップ・ジェフリーズとクーパーの言動が大きな意味を持ってよみがえる。
デイル・クーパー、ゴードン・コール、ウィリアム・ヘイスティングス、オードリー・ホーン、夢見人は何人も登場する。


ツイン・ピークス:保安官事務所

会議室では、ブリッグス少佐がメモに残した場所、
ジャック・ラビット・パレスへ行くための準備が進んでいる。
ボビーがサンドイッチを調達してきた。

トルーマン保安官がチャドと一緒の会議室に入ってくる。

「古い話なんだよ、チャド
お前が来る、ずっと前のな」
「どこ行くんだよ?」
「山に登るんだ!」

ホークはそう言うと、チャドに銃を向ける。
ボビーがチャドの銃を奪い、保安官が手錠をかける。

「そしてチャド、お前を逮捕する!観念しろ」
「な、なんだよ、それ?どういうこったよ?」
「わかってるだろ?
アンディ、ボビー、下へ連れて行け!」
「こんなの大間違いだからな!」
「間違いを犯したのはお前だ!
この何ヶ月、見張ってたんだよ!
こいつのバッヂを取り上げて、ぶち込んどけ!」
「こんなの大間違いだからな」
「黙れ!」

※リチャード・ホーンに対する保安官への告発の手紙を握りつぶしたチャドが逮捕される。
ただ、チャドに対する容疑は犯罪の隠蔽だけではない様子。
おそらく、麻薬取引等の犯罪にも関与していたものとみられる。


ツイン・ピークス:山中

トルーマン保安官、ホーク、アンディ、ボビーの四人がブリッグス少佐が残したメモの場所
ジャック・ラビット・パレス近くに到着する。

場所を知るボビーを先頭に山の中に入って行く四人。

「この道をいつも通ってた
親父の傍受基地がこの先にあったんだ
今はもう、何にも残ってないけどね」
「君のお父さんはそこで何をしてたんだい?」
「さあね、最高機密だったから
ガキの頃に何度か連れてきてもらったけど
覚えてるのは、機械がたくさんあったことだけ
でも、よくここに来たんだ
ちょっと待って」

そう言うと、ボビーは大きな木の切り株(?)に近づいて行く。

「ここだよ、ジャック・ラビット・パレスは
親父とここに座って
よく一緒にホラ話を作ったもんだ」
「じゃあ、ここから253ヤード、東だな」
「待った!ここの土をポケットに入れないと」
「これもお前のお父さんのホラ話じゃないといいんだがな」
「ですね、確かに
でも違うでしょ、じきにわかるはずだ
親父には一人でうろつくなって言われてた」
「行こうか」

土をポケットに入れ、東へ向かう四人。

東に向かって山の中を歩いていくと、
白い煙が立ち込める場所に出る。
煙の中から見えてきたのは、
全裸で横たわる女性。

女性は生きているが、目を塞がれている。
ブラックロッジから飛ばされたクーパーが出会った女性(Naido)、宇宙空間に飛ばされたかに思われた彼女だった。
彼女は手を握ったアンディに何かを訴えようとしているが、言葉にならない。

「ちょうど、二時五十三分だ」

その時、上空に、渦が出現する。
バックホーンでFBIの一行が遭遇した渦と同じものだ。
呆然と渦を見上げる四人。

アンディは握っていたNaido の手を離し立ち上がる。
次の瞬間、アンディの姿は消え
巨人の前の椅子に座っている。

I am the Fireman.
私が消防士だ

そう言うと、消防士は手の平をアンディに向けた右手を上げ、そして下げると
アンディの手に香炉のようなものが乗っている。
アンディの頭上で白い煙がひとかたまりになる。
アンディが頭上を見上げると、
そこには天窓(のようなもの)がある。

そこに次々に映し出されるのは、
エクスペリメント、エクスペリメントが生み出した“ボブ”、Woodsman が蠢いていたガソリンスタンド、Woodsman (「火、あるか?」)、電線、ローラの事件を聞いて叫ぶ女子高生、赤いカーテン、天使に囲まれたローラ・パーマーのポートレート、全裸で横たわるNaido 、クーパーとバッド・クーパー、着信のランプが点滅している保安官事務所の電話、ルーシーをある場所へと誘導しているアンディの姿、何かを訴えようとしているNaido、そして、ひき逃げ事件の現場近くの電信柱の数字“324810 6”。

白い煙が香炉のようなものにスッと吸い込まれる。
次の瞬間、香炉(のようなもの)が消え
アンディの姿も消える。

ジャック・ラビット・パレスに戻っているトルーマン保安官、ホーク、ボビーの三人。
三人が茫然とたたずんでいると、
Naidoを腕に抱いたアンディが姿を現す。

「この人を連れて山を下りよう
とても重要な人だけど、命を狙われている
体調は問題ない
留置場で保護しよう、あそこなら安全だ」
「わかった」
「このことは誰にも言わないように」

何か使命を帯びたような決然としたアンディの態度に圧倒される三人。

「なあ、俺たち、どうなったんだ?」
「わからない、何かあった
でも、何も思い出せないんだ」
「俺もだよ」

裕木奈江演じるNaidoが再び登場。
(Naidoの登場シーン、詳しくはこちら👉ツイン・ピークス The Return Episode 3 〈第3話〉 - 極私的映画案内
アンディとルーシーは、このドラマの中ではコミックリリーフ的存在だが、シリーズもここへきてアンディに重要な役割を与えている。
この世界の悪(火)を正す(消す)ために、
巨人(=消防士)から大きな使命を与えられた。


ツイン・ピークス:保安官事務所

留置場では、裸だったNaidoにルーシーがパジャマとガウンを着せている。

留置場に入れられていたチャドと酔っ払いが騒いでいる。
アンディに悪態を吐くチャドの言葉をオウムのように繰り返す酔っ払い。
酔っ払いは顔面から出血している。

「お前は悪事を働いた悪い人間だ!
保安官助手の名前を汚した!」

チャドを一喝し、アンディはルーシーを連れて出ていく。

言葉にならない声をあげるNaidoを真似する酔っ払い。
留置場はさながら動物園のようだ。
耳を塞ぐチャド。


ツイン・ピークス:グレート・ノーザン・ホテル

グレート・ノーザン・ホテルの搬入口。
警備員のジェームズ・ハーリーと同僚のフレディ・サイクスが配達の車を待っている。
フレディは緑色のガーデニング用手袋をはめた右手でクルミを割ろうとするが、
砕けてしまって、うまくいかない。
見かねたジェームズがクルミ割りで割ってやっている。

「そこの木箱はどうするの?」
「何もしなくていい、朝、そこにリネンを置くんだ
その方がラクらしい、ほらっ、食え
焦るなって、大丈夫だから」
「わかったよ、ジミー」
「ふーっ、あと一件配達が来たら上がりだ
ロードハウス、行けるぞ」
「誰が歌うの?」
「さあな」
「レネーに会えるの、期待してるとか?」
「ああ、かもな」
「でも、人妻なんでしょ?」
「わかってる、お前、いくつだ?フレディ」
「もうすぐ二十三」
「二十三の頃を思い出すよ(笑)
今日は俺の誕生日なんだ」
「えっ、ホントに?
そっか、誕生日おめでとう!ジミー
こんなとこで、なんだけど」

「なあ、その手袋、ホントに外せないのか?」
「ああ、ダメだね」
「どうなってんだ?」
「ああ、これは僕の一部だ
前に医者が外そうとしたんだけど、血が出ちゃってさ」
「どこでそれを?」
「そういうの、話すなって言われてるから」
「今日は俺の誕生日だぞ、教えてくれよ
なあ、誰にも言わないから」
「いやあ、言っても信じないと思うけど…」
「なら、言ったっていいだろ?
フレディ、頼む、聞かせてくれよ、言えって!」
「そうだね、医者には言ったんだし
まあ、話してもいいか、今日はあんたの誕生日だしね
まだ、実家にいた頃の話だ」
「実家って?」
「ロンドンの下町の方、イーストエンド
ちょうど半年くらい前かな
友達とパブに行った帰り道にさ
ひとりで歩いてたんだ
近道の路地に入った時、いきなり不思議な感覚がした
人生を無駄にしてるって気付かされたんだ
毎晩ダラダラと、パブで呑んだくれてる暇があるなら
人助けをするべきだってね
そんな風に感じるようになったその夜、僕
そこの路地に箱が積み重なってるのを見て
そこに飛び込んだ、ちょっとその、ほらっ、ふざけてね
高く積まれてた箱に飛び込んだんだ
そしたら、いきなり、宙に浮かんでる巨大な渦巻きに僕の身体が吸い込まれて行った
気付いたら、なんか、
どこか、わからない場所に浮いててさ
なんか不思議な空間にいたんだよね、僕
そこには男がいて、自分では消防士だと名乗ってた
そして、僕に言ったんだ
“お前の家の近所のホームセンターへ行け
緑色のガーデニング用手袋が並んだ棚がある
その中に一つ開封されて、右手用しか入っていない袋が置かれてる
それを探して買い、お前の右手にはめろ
そうすれば、お前の右手は巨大な杭打ち機のようなパワーを備えるだろう”って」

「気付いたら朝で、自分の部屋で目が覚めた
僕は慌ててベッドを出て、髪の毛をとかした
で、下へ降りて、お茶を一杯
うそっ、今のくだりはジョークね
で、すぐ近所のホームセンターに駆け込んで
片手の手袋を探した、そしたら、なんとその通り!
右手用だけが入った袋が見つかったんだ
早速レジへ持って行って、それを出したら、
店員にこう言われたんだ
“それはお売りできません
袋が開いてないのをお持ちください”
だから、言った
“いいんだよ、これが欲しいんだ”
“でも、それはお売りできません”って
で、言った
“あのさ、おにいさん、
僕はこの片手の手袋が欲しいの
お金なら、ちゃんと全額払うから”って
“いいえ
袋が開いてしまってますから、お売りできません”
ったく、そういうヤツのことを僕の地元じゃ
こう呼んでるんだよね、一存野郎!
ヤツら融通きかないし、変なルールにこだわって
人の邪魔ばっかするんだよな
いつだって、“できません、私の一存じゃ決められない”
そのミスター・一存に言ったんだ
“とにかく、僕はこの手袋を買う”って
で、レジで金を払って出口へ向かった
そしたらそのミスター・一存がピューマみたいに追って来て
叫び続けるんだよ
“開封されたものは売れません!”って
僕はドアを通り抜けて、通りへ出た
そいつがついてこないことを祈りつつね
走りながら、手袋をはめた
で、少し走るスピードを落としたら
いきなり、ミスター・一存がレッドカード並みのタックルをかましてきて、地面にふっ飛ばされた
本能的に身を守ろうとして僕は
手袋をした手でそいつの頭を殴った
何か砕ける音がして
そいつが何か言おうとしたんだけど
首を折っちゃったみたいでさ
その瞬間、思い出したんだ
空の上のあの男に言われた言葉を
“その手袋をはめたら
ツイン・ピークスへ行け、アメリカへ行け
ワシントン州ツイン・ピークスへ行け
そこへ行けば、お前の運命が見つかる”って
それでここにいる訳、あんたの誕生日に
誕生日、おめでとう!」
「あっああ、ありがとな、すごい話を聞かせてくれて」
「こちらこそ、ですよ」
「ああ、でもなんでかな?
なんで、その消防士はお前を選んだんだろう?」
「それ、いい質問!
僕も同じことを聞いたんだ
“なんで、僕なの?”
そしたら、“何が悪い?”って
で、ツイン・ピークス行きのチケットを買いに行ったら
“もう、取れてる”って言われたんだ
ああ、そうだ、ボイラーのチェックに行かないと」
「そうだな、お前は配達を待て
書類にサインを忘れるなよ
ボイラーは俺が」

ボイラーのチェックに向かうジェームズ。
緑色の手袋の右手をしみじみ眺めるフレディ。

ボイラー室では、ベンジャミン・ホーンのオフィスと同じ奇妙な音が聞こえている。
音の出所を探るジェームズ。

※《第2話》でジェームズと一緒にロードハウスに来ていた若者は、ロンドン出身のフレディ・サイクスだった。
やっぱり、思った通り、
あの緑色の手袋には大きな意味があった!
(詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉 - 極私的映画案内
巨人(=消防士)は、アンディに与えたように彼にも大きな役割を与えていた。
緑色の手袋をはめたフレディの右手によって何がなされるのだろうか?
二人の会話に登場するレネーとは、ロードハウスでジェームズの歌を聴いて涙を流していた女性のこと。


ツイン・ピークス:Elk's Point #9 BAR

バーに向かって歩いてくるのは、セーラ・パーマー。
吸っていたタバコを捨て、店に入って行く。

ビリヤードを楽しんでいる客、飲んでいる客
店内はそこそこ賑わっている。
カウンター座ったセーラはブラッディ・マリーを注文する。
タバコに火をつけるセーラ。
カウンターの隅に座っていた男が隣りの席に移ってきて、セーラに話しかける。

「淋しく、ひとり飲みか?」
「放っておいて欲しいんだけど、お願い」
「随分、失礼じゃねえか」
「わざと、そうしたからね
戻ってくれないかしら?
自分の席に、お願い」
「どこにいようと自由だ、自由の国だからな
俺の好きにやる、好きにやるからな、クソあま!
あんた、レズの男役なんだろう?
そうだよ、見りゃあ、わかる
あんた、いかにもレズの男役って面してるよな
なあ、女を食いてえんだろう?」
「あんたを食ってやる」
「そう来たか、クソ女が惨めったらしいもんだなあ
なんだったら、その貧相な乳、俺がもぎ取ってやろうか?」

すると、やおら男に顔を向けたセーラは顔面を仮面のように外してみせる。
そこには、薬指が異様に長い左手と
歯をむき出した大きな口が見える。

「どう、これでもホントにやってみたい?」

セーラはそう言って顔面を元に戻すと、
一瞬で男の喉笛を食いちぎる。
自分でやったことに悲鳴をあげるセーラ。
飛んでくるバーテンダー

「どうなってんだ?何があった?」
「いきなり倒れたの!わからない」
「ウソだろ?首が半分、なくなってるぞ!
ちょっと、あんた、なんかしたんじゃないのか?」
「なんでよ?見てたでしょ?
私はただ座って飲んでただけよ」
「おーい、警察呼んでくれ!
カウンターの客が死んだ
調べてもらえば、わかる」
「ええ、不思議なこともあるもんね」

怯えた目つきでセーラを見つめるバーテンダー

※ブラックロッジでローラ・パーマーがクーパーにやってみせたように、顔面を仮面のように外してみせたセーラ・パーマー。
パーマー家の受難の始まりは、ローラを殺したリーランド・パーマーではなくセーラの過去に起因するんじゃないか?


ツイン・ピークス:ロードハウス

ボックス席の女二人組、メーガンとソフィー。

「あんなクソ溜めに行ったりするからだよ」
「そうじゃない」
「そこでハイになってんでしょう?」
「いや、違うってば、自分の部屋だよ
部屋でぶっ飛んでんの」
「じゃあ、あんなとこ行くの、やめな」
「だから、誰が行くって言った?」
「そのセーター、いいね、どこで盗んだの?」
「ポーラのだよ」
「すごく、いい
ねえ、ビリー、見かけた?」
「いいや、二、三日見てない」
「ビリーに会ったの、あんたが最後らしいからさ」
「マジで怖かったんだから
うちでママとキッチンにいたらさ
確かおじさんもいたと思うけど、どうだったかな?
とにかく、窓からビリーが来るのが見えたのね
二メートル近いフェンスなんだけど
それを飛び越えて、裏庭に入ってきてさ
ものすごい勢いで裏口に向かってきたわけ
ビリーは窓越しに私のこと見えてたと思うんだけど
そのまま裏口を開けて
よろよろキッチンに入ってきたの
私が叫び出して、ママも叫んでたと思う
そしたら、ビリーの鼻と口から血が吹き出して
シンクに頭を突っ込んだと思ったら
血が滝みたいに流れ出したわけ
それから、ビリーはこっちを振り返ったの
全身血まみれで、もう不気味でさ
で、裏口から飛び出してった
こっちはもう、はあっ?て」
「なんで、誰にも言わなかったの?」
「いや、どうしていいか、わかんなかったんだもん
ビリーがどうしちゃったのか、わかんないし
それに、ビリーとうちのママ、なんかあったからさ」
「えっ、マジで?」
「マジで、最近までは絶対そうだった
なんか時々そういう空気、感じてたんだ
ビリーの名前が出ると、ママの顔、緩むから」
「ママって、なんて名前?」
「ティナだけど」
「ビリーは逃げて、それっきり?」
「そうだよ、あの時も
キッチンにいたのは十秒くらいだったと思う
それでホント、ものすごい速さで出て行ったの
その後、キッチンの床が血だらけで
壁にも飛び散っててさあ
ママと二人で掃除すんの、ホント大変だったんだから
おじさんがいたかどうか、思い出せないなあ」


ロードハウスの今夜のゲストはLissie
曲はこちら『WILD WILD WEST 』👉Lissie - Wild West | Twin Peaks | Part 14 - YouTube

※毎回、半ばお約束になっているラストのロードハウスの客の会話。
これには大した意味はないと思っていたが、
今回は、意味、大あり!
オードリー・ホーンがその行方を探していたビリー(リチャード・ホーンにトラックを盗まれた)に最後に会ったというティナの娘がこのシーンに登場するメーガンだった。
《第12話》では、オードリーの夫チャーリーがビリーの行方を聞くため、ティナに電話をかけている。
オードリーは鼻と口から出血しているチャーリーの夢を見たと言っていた。
ティナがチャーリーに話したのは、ここでメーガンがソフィーに話していたビリーの様子だったのだろう。
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 12 《第12話》 - 極私的映画案内

そう言えば、《第7話》のラストで、
RRダイナーに誰かがビリーを探しに来ていた。
(「ビリー、見なかったか?」)

ちなみにソフィーを演じているのは、
現在のデヴィッド・リンチ夫人であるEmily Stofle 。


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ゴードン・コールとフィリップ・ジェフリーズが担当した“青いバラ事件”との関連、ダイアンとジェイニー・Eの関係、サウスダコタ州バックホーンとラスベガス、Naidoの生還。
残りあと5話、ということで、バラバラに思えた点と点が線になってきたという印象。
シリーズも大詰めです。
赤ちゃんクーパーはどうなる?

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


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ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

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こちらは、モニカ・ベルッチが、
テレビショウのホストとして登場する『夏をゆく人々』

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ジュゼッペ・トルナトーレ監督『マレーナ

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ツイン・ピークス The Return Episode 13 《第13話》

EPISODE 13


■ラスベガス:ラッキー7保険

上機嫌のミッチャム兄弟御一行がクーパーを伴い、
ラッキー7保険に凱旋。

列になって踊りながらオフィスに入ってくる一行を目撃し、アンソニー・シンクレアはミッチャム兄弟にクーパー(ダギー)を殺させる計画が失敗に終わったことを悟る。
デスクの陰に身をかがめ、
ミッチャム兄弟から隠れるアンソニー

ブッシュネル・マリンズ社長のオフィスに到着した一行。

ミッチャム兄弟はブッシュネル社長に贈り物を届けにきたのだ。
キューバ産の葉巻、名前入りのダイヤのカフスボタン、そしてBMWの新車のキー。

デスクの陰に隠れたアンソニーは、
ダンカン・トッドに電話をかける。

「一体何が起きたのか、見当もつきません」
「最悪の事態だな」
「本当に何と言ったらいいか…」
「だが、何をすべきか、わかるな?
話はしたはずだ、なんとかしろ!
猶予は一日だ、状況を改善しろ!」
「二日の約束では?」
「猶予は一日だ、ちゃんと理解したな?
わかったのか?」
「わかりました」

電話を切ったダンカンはロジャーを呼ぶ。

※3000万ドルの保険金が手に入り、
大盤振る舞いのミッチャム兄弟。
一方、いよいよ、自らの手でダギー(クーパー)を殺さなければならない状況に陥ったアンソニー
バッド・クーパーにダギー殺害を命じられているダンカン・トッドもかなり追い詰められている。


■ラスベガス:ダギー・ジョーンズの自宅

ダギーの自宅にミッチャム兄弟からの贈り物が届く。
ブッシュネル社長とお揃いのBMWの新車と
兄弟がその必要性を熱く語っていた遊具セット。
状況を理解していないジェイニー・Eは困惑気味。

裏庭に設置された遊具セットで遊ぶサニー・ジムを見て、満足気なジェイニー・Eとクーパー。

「まあ、ダギー
昨夜帰らないから悪い想像したけど
あの子を見て!まるで天国にいるみたい」
「天国にいる…」
「それにあの車!
ああ、ダギー、あなたを愛してる、心から」

※新車どころか、サニー・ジムに遊具セットまで!
ミッチャム兄弟の遊具セットに対する並々ならぬ強いこだわり。


モンタナ州:西部

倉庫らしき建物にバッド・クーパーが乗ったピックアップ・トラックが到着する。
その様子を大きなモニターで監視しているのは、
レイ・モンロー。

「クソっ、マジかよ!」
「どうした?レイ」
「俺が殺したヤツです、前に話しましたよね?」
「だが、しっかり生きてるぞ」
「今度はキメます!」

レイが話しているのは、
スキンヘッドの屈強そうな男レンゾ。

「レイ、ここにいるんだろ?」

「なんで中に入れた?」
「コードを教えたんで」

「会いに来たぞ!」

「でも、入り口のだけです
つまり、逃げ場はない、俺が殺ります!」
「いいだろう、好きにしろ
だが、まず、俺がいたぶってからだ
ヤツをここへ!」

バッド・クーパーがエレベーターで上がってくる。

「用件はなんだ?」
「友人のレイに会いに来た」
「ここにいるぞ、クソったれが」
「落ち着け、レイ、新しい挑戦者みてえだな、
マディ、教えてやれ!」
「ルールは簡単、レンゾは俺たちのボスで、
アームレスリングじゃ負けなしだ
今まで、どれだけ挑戦者がいたと思う?
山ほどだ、十四年間、圧倒的な強さを誇ってる
そんなレンゾに闘いを挑めるのは、一度きり
で、負ければ、レンゾがボスになる
逃げるなら今だぞ
もし、残って、負けて、
レンゾの命令に従わなけりゃ命はない
じゃ、決めろ、残るも残らねえもお前次第だ
そのガタイじゃ、逃げた方がよさそうだが」
「ここはなんだ?幼稚園か?保育園か?
俺が勝ったら、どうなる?」
「お前がボスだ」
「お前らのボスなんて、ごめんだ
俺が勝ったら、レイをもらう」
「中に入れ、いざ勝負だ」

勝負の序盤、レンゾが優勢に見えるが、
バッド・クーパーにまったく動じる様子はない。

「スタート位置」

そう言って、バッド・クーパーは簡単にイーブンの状態に戻してしまう。
仲間の声援に応え、レンゾは再び攻勢に出る。

「スタート位置にいるほうが楽だろう」

バッド・クーパーはそう言って簡単にスタート位置に戻してしまう。
レンゾは三度、ねじ伏せようとするが、
バッド・クーパーはいとも簡単にスタート位置に戻し、一気にレンゾをねじ伏せ、
顔面にパンチを見舞う。
レンゾの顔面は完全に潰される。
呆気にとられる男たち。

「レイをどうぞ、ボス…」
「誰か携帯をよこせ」
「でも、ここは圏外なんです、ボス」
「レイ以外、全員外せ」
「わかりました」

「じゃ、話そうぜ」

そう言いながらも逃げようとするレイの脚を撃つバッド・クーパー。

「よし、話そう」

「俺を殺すよう雇われたな、そいつの名は?」
言わせることも出来るぞ」
「知ってる
フィリップ・ジェフリーズってヤツだよ
少なくともそう名乗ってた
会ったことはねえ、電話で話しただけだ」
「続けろ」
「ヤツはマーフィー所長とグルだった
あんたは俺を殺る気だが、
俺が先に殺れば、自由の身のしてくれると言った」
「なぜ?」
「連中が欲しいもんをあんたが持ってるそうだ」
「ブリッグス少佐の話はしてたか?」
「いいや」
「やめとけ!レイ」
「銃なんか持ってねえ、見せたいもんがある」

そう言うとレイは、ポケットから指輪を取り出す。
テレサ・バンクス、ダギー・ジョーンズがはめていた例の指輪。
外に出された男たちが、モニターで二人の様子を見ている。

「ジェフリーズにあんたにはめるよう言われた
殺した後で」
「どこで手に入れた?」
「渡されたんだ、あんたと刑務所を出る直前にな」
「誰からだ?」
「看守かな?多分だが…
看守の制服は着てたが、見たことねえヤツだった」
「はめろ、左の薬指に」

指輪をはめるレイ。

「俺の欲しいもんは知ってるな?」
ヘイスティングスから聞いた座標だろ
正確には美人秘書のベティからだ
俺がおとなしく渡すと思うか?
渡したとして、それが本物だってなんでわかる?
俺はあんたを知ってる
ポケットに手入れていいか?」
「何が入ってるかによる」
「だから、座標だよ、
メモった数字がポケットに入ってるんだ」

ポケットからメモを取り出そうとするレイ。

モニターで二人を見ている男たちの中に、
リチャード・ホーンの姿が。

バッド・クーパーにメモを渡すレイ。

「フィリップ・ジェフリーズはどこだ?」
「知らねえ」
「レイ、フィリップ・ジェフリーズはどこだ?」
「最期の電話でダッチマンて店にいるって言ってた
だが、そんな場所ね…」

レイが言い終わる前に、バッド・クーパーはレイの額を撃ち抜く。

「それなら、知ってる」

レイの指から指輪が消え、
ブラックロッジの赤いカーテンの部屋の床に落ちる。

立ち去るバッド・クーパー。

赤いカーテンの部屋にレイの死体。
テーブルに指輪を置いた手は、
片腕の男フィリップ・ジェラードのものか?

※アームレスリングでボスを決めるなんざ、
なんと牧歌的な!
リチャードはどういう訳でここに辿り着いたのか?
ボスのレンゾを一撃で倒したバッド・クーパー対するリチャードのヒーローを見るかのような視線も気になる。
フィリップ・ジェフリーズとマーフィー所長は繋がっており、レイは二人から命令を受けていた。
座標の入手をその二人も狙っていた。
そして、とうとうバッド・クーパーが座標を手に入れた。


■ラスベガス:ラスベガス市警

フスコ・ブラザースのオフィス。
スマイリーが兄弟の母親からの電話を受けている。
オフィスの奥からは、叫び声と物音。

ダグラス・ジョーンズ(クーパー)の指紋の照合結果が届く。

「例の指紋だ、我らがダグラス・ジョーンズ
指紋照合システムにかけた結果、
二日前にサウスダコタの刑務所を脱走してた」
「なにっ⁈」
「しかも、なんと行方不明のFBI捜査官!」
「そりゃ、何かの間違いにも程があるな!
だろ?」
「じゃ、賭けるか?」
「じゃ、1ドル!」
「乗った!」
「よし!」

フスコ・ブラザースは報告書を丸めて、
ゴミ箱に捨ててしまう。

そこに、アンソニー・シンクレアがやって来る。

「あのー、すみません、クラーク刑事はどちらに?」
「裏口にいます、一服してますよ
どうぞ、奥のドアです」
「どうも」

アンソニーが奥のドアから外へ出ると、
クラーク刑事がタバコを吸っている。

「やあ」
「まったく、何の用だ?」
「聞きたいことがあって」
「ここには来るな」
「大事なことなんだ」
「よっぽどか?」
「ああ、教えて欲しいんだ、毒薬の、オススメは?
検知されないやつ」
「クソだな」
「何が?」
「アコニジンだ、鑑識も知恵をつけてきたが、
今のとこは一番だ」
「どこで手に入る?」
「出すもん出せば、用意してやる、クソが」
「俺にはなんであたりがキツい?」
「お前が腰抜けだからだ、顔見るだけで、ヘドが出る」
「俺は計画が失敗しないよう必死なだけだ
誰かが勘付いてる、だから毒がいるんだよ」
「高くつくぞ、五だ、五千ドル
毒が効くまで、二時間、逃げる猶予がある
お前みたいなビビリ屋にはぴったりだ」
「金は用意する」
「今夜、9時半、クローズリの店だ、裏口に来い」

アンソニーが去り、様子を伺っていた同僚刑事がクラーク刑事に話しかける。

「どうした?」
「ありゃ、ダメだ、誰かを毒殺したいらしい」
「トッドさんに知らせる」
「ああ」

※アンソニー・シンクレア、ダンカン・トッド、ラスベガス署の汚職刑事が繋がっていることが判明。
そして、ダンカン・トッドの背後にはバッド・クーパーがいる。


■ハイウェイ

暗いハイウェイをひた走るシャンタルとハッチのハッチェンス夫妻。

ユタ州かー、モルモン教
酒は飲まない、コーヒーも飲まない、
コーラも飲まないんだよ
しかも、結婚するまでセックスもしない」
「結婚は大勢と出来んだろ、噂じゃ確か女房は六人とか」
「にしても、信者が少ないね、飲めないからだよ」

サウスダコタでマーフィー所長を殺し、
現在はユタ州を走っているハッチェンス夫妻。
行き先は、ラスベガスか?


■ラスベガス:ラッキー7保険

ミッチャム兄弟の贈り物、BMWの新車でクーパーを送ってきたジェイニー・E。
オフィスに向かうクーパーをうっとり見つめる。

ロビーでクーパーを待ち受けているのはアンソニー

「おはよう、ダギー!
どうかな?熱々の美味いコーヒー」
「コーヒー…」
「おごるよ!実に優秀なダギー・ジョーンズに」
「ダギー・ジョーンズに…」

コーヒー・ショップに向かう二人。
美味しそうにコーヒーを味わうクーパー。
何か気になるものがあるようで、
店の中に入っていくクーパー。
クーパーが惹きつけられていたのは、
ケースの中のチェリーパイだった。

クーパーが席を外している隙に、
コーヒーの中に毒薬を入れるアンソニー

テーブルに戻ってきたクーパーの視線の先には、
アンソニーの肩の白い粉。
クーパーがツボを押すようにアンソニーの肩に触れると、アンソニーの良心がよみがえる。

「ダギー、君のコーヒーが…」
「君のコーヒー…」
「ああ、ダギー、本当にすまない!
俺が間違ってた!」

そう言うと、アンソニーはクーパーのカップの中身を捨てに行く。
残されたクーパーはアンソニーのコーヒーを飲む。
運ばれてきたチェリーパイを平らげるクーパー。
戻ってきたアンソニーは詫びを言いながら、
泣き崩れる。

「ダギー、本当に、本当にすまない!」

※クーパーの新能力は、大当たり確実のスロットマシーンや嘘を見抜くだけでなく、
ミッチャム兄弟の夢を操り、
身体に触れるだけで、アンソニーの良心もよみがえらせた。


ツイン・ピークス:RRダイナー

仕事中のシェリーにベッキーから電話がかかってくる。

ベッキー?」
「ママ、スティーヴン、昨夜も帰らなかった
これで二晩連続、もう二日だよ」
「ああ、可哀想に…」
「あたし、心配で」
「まだ、時間が必要なのよ」
「彼、今大変なことになってるかも、感じるの!」
ベッキー、また後で話しましょ、今忙しいの」
「ダメ…」
「やっぱり、今から店に来るのはどう?
ママが最高に美味しいチェリーパイ出してあげるから
バニラアイスとたっぷりのホイップクリームを乗せてね」
「それ、すごく惹かれる、ああ、美味しそう
わかった!今からすぐ行く!」
「急いでね、時間を見つけて話しましょう」
「OK、ありがと、愛してる!」
「私もよ!」

※アイスクリームにたっぷりのホイップクリームを添えたチェリーパイ!
濃いブラックコーヒーと一緒に、
私も食べたい!


■ラスベガス:ラッキー7保険

ブッシュネル社長のオフィス。
アンソニーが社長に懺悔している。

「自分でもあんな真似したなんて、信じられません
ダギーに毒を盛るなんて!
でも、ダギーはちゃんと見抜いてました
なのに、優しくて、すべて告白しました」
「告白…」
「するよ、ダギー、する
ブッシュネル、俺は長い間、あなたを裏切り、
ダンカン・トッドのために動いてました
金のために、あなたに嘘をついた」
「アンソニー、その件はとっくにダギーが暴いていた」
「ダギーが?」
「君の告白を受け、はっきりと感じる
君への怒り、軽蔑が、消えて行くのを
ダギーは身を呈して私に示してくれた
君がどう案件を操作し、私に多額の損害を与えたかを!
君を信じていたんだぞ!
友であり、我が社のナンバー・ワンだと思っていたのに!
「俺をナンバー・ワンだと?
どう償えばいいか、自分のしたことが恥ずかしいです
ダギーがいなかったら、俺はこの手で人を殺めていました
なんてことだ!」
「君を刑務所にぶち込み、
永遠に閉じ込めてやるつもりだったが
だがもし、ダンカン・トッドの悪事を証言するなら
考えなおすが」
「ええ、はい、やります
途中で死んでもかまいません
何週間も眠れず、血も吐きました
こんな人生、無理です
変えられないなら、死んだほうがいい
俺を助けてください!
正しいことがしたいんです、どうか…」
汚職警官、二人の件もか?」
「えっ?ダギーは彼らのことも?」
「彼らも…」
「トッドより危険です、あなたの頼みでも」
「いや、これは頼みではないぞ、アンソニー
「俺は自分のケツがふければ、それで…
ダギーは恩人です、感謝しないと」
「感謝しないと…」
「ありがとう…ありがとう…」


ツイン・ピークス:RRダイナー

非番らしいボビー・ブリッグスがやって来て、
カウンター席に座る。

ボックス席で事務仕事中のノーマの向かいの席にはエド・ハーレーの姿がある。

「やあ、ノーマ、シェリーはもう上がった?」
「ええ、上がったわ」
「そうか、わかった、邪魔はしないよ」
「いいのよ、ここで食事して」
「でも、もう注文したし」
「ボビー、いいから座れって!
一人でメシ食うな」
「ありがとう」
「それじゃあ、何か事件は?」
「ああ、そうだな、
今日オヤジが残したあるものが見つかったんだ
「本当?あるものって?」
「さあ、まだわからない、でも何か大事なものだ
きっとな
何なのか、必ず突き止める」

そこへ、ノーマの仕事のパートナー(らしき)男ウォルター・ローフォードがやって来る。
席を移るエドとボビー。

「何て、名前だった?」
エドよ、エド・ハーリー」
「ああ、そうだった、今日もキレイだよ」
「ありがとう、それでお世辞も訳は何かしら?」
「こうして急いで来たのは、
今朝先月の報告が上がってね、君と興奮を分かち合いたくて」
「それで?」
「何と、ノーマのRRの五店舗中三店舗が黒字計上だった
新規ビジネスにとっては、実にいい指標だ
しかも、この辺一帯のように
経済的に安定するのが難しい地域では特に
「じゃ、いいことね」
「最高だよ、実に素晴らしい」
「よかった」
「ただ、これを見て
実を言うと、不調な二店舗のうち、
一店舗はここ、この本店なんだ」
「この時季、売り上げが落ちるのはいつものことよ」
「だが、もう数ヶ月続いてる
そこで、勝手を承知で
POSシステムを用いて分析してみたんだ
他店舗とここ」
「全然、わからないわ、つまり、どういうことなの?」
「はっきり言うと、パイにコストがかかりすぎて
元が取れていない」
「ウォルター、前に言っておくべきだったんだけど
実はいろんな人から聞いた話だと
他の店舗で出しているパイは
どうも、ここのほど、美味しくないらしいの」
「それで?」
「契約通り、私は自分のレシピを丸々提供したけど
ちゃんと再現してないんじゃない?」
「どの店舗でも、君のレシピを守ってると断言するよ
だが、一方で、材料は各店舗の裁量に任せてる
「ううん、ダメよ、材料は自然のものじゃないと
オーガニックで、地元産の」
「わかってる、君のパイへの愛は」
「でも、そういう契約よ
「君は真の芸術家だ、だが愛は利益を生まないこともある
君を心から信じてるが、商売の視点から言うと
会社としては別のやり方も検討してほしい
高水準の品質で知られる君の名を損なうこともないままで」
「別のやり方というのが具体的にわかれば
考えてみるけど」
「君をがっかりさせるつもりは毛頭ない
これはいいニュースなんだ
ただ一貫性と利益を保持するためには
多少調整が必要で
例えば、そろそろ店名を本気で変えるとか
ノーマのRRに」
「ウォルター、ツイン・ピークスでは50年以上RRダイナーでやって来てるし
それで覚えてもらってるの」
「今の名前が悪いって言ってるんじゃない
でも、うちのリサーチの結果を思い出してくれ
みんな君の名前に好感を持ってたろ?
ノーマのRRだ、ビシッと決まるんだ
君はチェーン店の顔なんだから
後で、食事でもどう?お祝いに」
「ええ、いいわ、是非」

ノーマとウォルターを心配そうに見つめるエ
ド。

※前回のオードリー・ホーンに続き、旧メンバーからビッグ・エド・ハーリーが再登場!
材料の質を下げて儲けを出せとノーマに迫るウォルター。
めちゃくちゃ、胡散臭い!
店だけでなく、ノーマ自身を狙っているウォルター。
エドならずとも、ノーマが心配だ。
それにしても、25年の間に、
ノーマはRRダイナーをチェーン展開していたとは、
なかなかのやり手!
ボビーはシェリーに未練たっぷりだね。


ツイン・ピークス:ネイディーン・ハーレーのカーテンの店

ネイディーンの店、“RUN SILENT, RUN DRAPES”。
音もなく、開いたり閉じたりするショーウィンドウのカーテン。
ショーウィンドウにディスプレイしてある金色のシャベルに気付いたジャコビー先生が店の前でトラックを止める。
ジャコビー先生のブザーで表に出て来るネイディーン。

「やだっ、ウソ!ああ、ジャコビー先生!」
「ネイディーン、君なのか?」
「私よ、Dr.アンプとお呼びしても?」
「私だよ」
「いつもは裏口、使ってて
先生の番組の大ファンなの!
ものすごく刺激受けてる」
「私はそこのディスプレイがすごく気に入った」
「本当にそう?」
「素晴らしいよ」
「本当に気に入ってくれた?」
「最高傑作だ!」
「しかも、このカーテンはね、一切音がしないのよ
私からDr.アンプへの感謝の気持ち
ホントにありがとう!
今、本気で始めてるの
シャベルで掘って、私もクソから出る!」
「ああ、ネイディーン
実に嬉しいことを言ってくれるなあ
勇気が出るよ
だが、本当に連中は悪なんだ」
「私は先生の最も忠実な兵士よ、または、穴掘り人」
「多分、最後に君を見たのは
七年前ほど前になるかなあ
君は床に這いつくばって、ジャガイモを探してた
「それって、どこで?」
「スーパーだよ、君はジャガイモを落としたんだ
確かひどい嵐の日だったよ」
「ああ」

※久しぶりの再会だったジャコビー先生とネイディーン。


ツイン・ピークス:サラ・パーマーの自宅

テレビの前に陣どり、酒を飲んでいるサラ・パーマー。
テレビに映っているのは、ボクシングの試合だが、
どうも様子がおかしい。
何度も何度も同じシーンが繰り返されている。

サラには、気にする様子はなし。


ツイン・ピークス:オードリー・ホーンの自宅

行方不明のビリーを探しに行くはずのオードリーとチャーリーだが、まだ自宅にいる。

「彼女、何だって?」
「オードリー、もう終わったはずだ」
「教えてっ!」
「オードリー、やめなさい!」
「あたし、自分がここにいないみたいで
そんな感覚になったことって、ない?」
「ない」
「まるで他に場所にいて、別人になったみたいな
わかる?」
「いや、常に自分という意識はある
必ずしもいい感覚ではないが」
「自分じゃないってことだけは、はっきりわかる」
「いわば、実存主義の基本中の基本だな」
「ふざけないでよ!こっちは真剣なの!
自分以外の誰を信じればいいのよ?
なのにその自分が誰なのかわからない!
一体どうすればいいの?」
「君がすべきなのは、ロードハウスへ行って
そこでビリーを探すことだ」
「かもね、そこは遠い?」
「オードリー、場所はわかってるはずだ
事情を知らなければ、君がラリってると思うとこだ」
「教えてよ!場所は?」
「私が連れて行くよ
だから、もうふざけるな!
でなきゃ、君の物語も終わりにさせる」
「あたしの物語って何よ?
それって通り沿いに住んでた少女の話?
そうなの?」
「君が出掛けたいと言ったんだ
なのに、今は違うようだなあ」
「家にいたいけど、出掛けたい
両方なのよ、どっちにすべき?
あなたはどっちなの?
助けて、チャーリー、ここはまるでゴーストウッドよ」

泣き崩れるオードリー。

※オードリーはかなり精神的に不安定な様子だが
チャーリーはティナから一体どんな話を聞いたんだろうか?
チャーリー言うオードリーの物語とは?
通り沿いに住んでた少女=ローラ・パーマー?


ツイン・ピークス:ロードハウス

今夜ロードハウスのステージに立つのは、
ジェームズ・ハーリー。

ジェームズの歌声に涙を流す女レネー。

ジェームズを演じるジェームズ・マーシャルの歌声はこちら👉Twin Peaks: The Return | Part 13 "Just You" | SHOWTIME Series (2017) - YouTube

※ジェームズが歌っている『JUST YOU 』は前シーズン、彼がジェームズとドナと一緒に歌っていた曲と同じ曲。
多分、前シーズンでは歌声も吹替の声優さんの声だったと思う。
ジェームズ(ジェームズ・マーシャル)の意外に高い声にびっくり!
若きジェームズの歌声はこちら
👉Twin Peaks James song (Just You) - YouTube


ツイン・ピークスエドのガソリンスタンド

デスクでスープを飲んでいるエド
何を思っているのか?
小さなメモを燃やすエド

エドから見た店の外の様子。
これ、どこかで見覚え、ありませんか?
そう、問題の第8話で登場した、
Woodsman たちが蠢いていたあのガソリンスタンド。
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 8 〈第8話〉 - 極私的映画案内


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【ここまでの死者】
⚫︎サム・コルビー、トレイシー・バーベラード《第1話》
死因:全身をグチャグチャにされる
犯人:エクスペリメント

⚫︎ルース・ダベンポート《第1話》
死因:頭部切断による出血多量
犯人:Woodsman

⚫︎フィリス・ヘイスティングス《第2話》
死因:頭部への銃創により即死
犯人:バッド・クーパー

⚫︎ジャック《第2話》
死因:頭部を潰される
犯人:バッド・クーパー

⚫︎ダーリャ《第2話》
死因:殴られた上、頭部を撃たれる
死因:バッド・クーパー

⚫︎ダグラス(ダギー)・ジョーンズ《第3話》
死因:不明(ブラックロッジに連れ去られる)
犯人:不明

⚫︎ダギーの車を盗もうとした車泥棒2名《第5話》
死因:車に仕掛けられた爆弾による爆死
犯人:ロレインに雇われたジェイクとジーン

⚫︎ツイン・ピークス在住の男児《第6話》
死因:轢き逃げ
犯人:リチャード・ホーン

⚫︎ロレイン《第6話》
死因:アイスピックで滅多刺し
犯人:アイク“ザ・スパイク”・スタッドラー

⚫︎ロレインのオフィスの目撃者《第6話》
死因:アイスピックで滅多刺し
犯人:アイク“ザ・スパイク”・スタッドラー

⚫︎ラジオ局の受付《第8話》
死因:頭部を潰される
犯人:Woodsman

⚫︎ラジオ局のDJ《第8話》
死因:頭部を潰される
犯人:Woodsman

⚫︎ウィリアム・ヘイスティングス《第11話》
死因:頭部を潰される
犯人:Woodsman

⚫︎マーフィー所長《第12話》
死因:ライフルによる射殺
犯人:ゲイリー“ハッチ”・ハッチェンス

⚫︎レイ・モンロー《第13話》
死因:額を銃で撃ち抜かれる
犯人:バッド・クーパー

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

👇前シリーズの謎を解く鍵だった『 ツイン・ピークス ローラの日記』も再販。
旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

ツイン・ピークス ローラの日記 (角川文庫)

ツイン・ピークス ローラの日記 (角川文庫)

👇ミッチャム兄弟の片割れロドニー役のロバート・ネッパーが悪役で出演しているトム・クルーズ主演の『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 』はこちら

👇エド・ハーリー役のエヴェレット・マッギルが出演しているデヴィッド・リンチ作品『砂の惑星』はこちら(カイル・マクラクラン主演)

デューン/砂の惑星 TV放映長尺版 [DVD]

デューン/砂の惑星 TV放映長尺版 [DVD]

ツイン・ピークス The Return Episode 12 《第12話》

EPISODE 12

サウスダコタ州バックホー

FBI一行が宿泊するホテル。
ゴードン、アルバート、タミーがワインで乾杯。

ワインはゴードンの差し入れ。
ゴードンは部屋に盗聴器仕掛けられていないか調べている。
ゴードンとアルバートからタミーに内密の話があるらしい。

「君に知っておいてほしいことがある
1970年、アメリカ空軍はブルー・ブック計画を封印した
20年に渡ってUFOの調査をしたが
実在する確たる証拠はなく
国への脅威にはなり得ないと判断したからだ
言い換えれば、隠蔽だな」

そこで、乾杯。

「数年後、軍とFBIは極秘チームを立ち上げ
ブルー・ブック計画が残した謎に連なる不可思議な事件の捜査に乗り出した
関わった女性が死ぬ前に発した言葉から
それらを“青いバラ事件”と呼ぶようになった
それは今までとは違う道を進まない限り答えに辿り着かないことを意味している
フィリップ・ジェフリーズという捜査官がチームリーダーを任され、3人のメンバーを選んだ
私とチェット・デズモンド、デイル・クーパーだ
気付いているだろうが、私以外の全員が何の説明もなく姿を消している
そのため、ゴードンとしてはチームに新たなメンバーを加えることをためらってきた
今夜まではな
プレストン捜査官、マサチューセッツ工科大やFBIアカデミーでの抜群の成績はもちろん、
高校で優秀者リストに載った時から君には注目していた」
「私にその“青いバラ特捜チーム”に入れと?」

ゴードンと目配せするアルバート

「そうだ」
「やらせて下さい!」
「詳しい説明は明日の朝だ」
「了解」

大仕事を任され、武者震いといった様子のタミー。

「タミーと青いバラに!」
青いバラに!」
青いバラに!」

再び、乾杯する3人。

そこへ、ダイアン登場。

「ダイアン、クーパー捜査官と組んでいた君が
青いバラ”について深く知っていたことはわかっている
君はもう局の人間ではないが、一緒に調べてほしい」
「一時的なものだ
どうしても君の助けがいる」
「見返りはなに?」
「現金で報酬を出す、多くはないが
クーパーの身に何があったのか、知ることも出来るぞ」

かなりの間。

「さっ、やろうぜ!」

ダ、ダイアン、謎の仕草。

※無事(?)“青いバラ特捜チーム”の一員となったタミー・プレストン捜査官を演じているのは、クリスタ・ベル。
デヴィッド・リンチとのこれまでの仕事は、
主に音楽活動。彼女は作曲家でもあります。
女優として大きな仕事は今シリーズが初めてのようです。
青いバラ特捜チーム”の一員だったチェット・デズモンドは、『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』で、“青いバラ”については知らないフリをしていたが、それは極秘捜査だったからなのか?
チェット・デズモンドは今どこに?


ツイン・ピークス

森の中から、駆け出してくるジェリー・ホーン。
そして、転ぶ。

どうやら、右足は動くようになったらしい。


ツイン・ピークス:とあるスーパーマーケット

ローラ・パーマーの母親、セーラ・パーマーが買い物中。
カゴの中身は、ジンかウォッカらしい複数の酒瓶。

レジで、セーラム(タバコ)をワンカートン注文。
レジ係は、ティーンエイジャーの少女と少年。
セーラの目は、レジ奥のターキーのジャーキーに吸い寄せられている。

「お幾らかしら?」
「133ドル70です」
「そのビーフジャーキーだけど、
前はそこにはなかったわよね?」
「あー、新商品なんです」
「それ、なにが新しいの?」
「あの、ビーフじゃなくてターキーです」
「燻製にしてあるの?」
「あー、そうだと思いますけど…
ビーフジャーキーとは材料が違うだけで
基本は同じなんで」
「それが入った時、あなた、いた?」
「あー、はい、2、3週間くらい前ですけど…」

少しづつ、様子が怪しくなっていくセーラ。

「あなたの部屋は前と違うようね?
男たちが来る」
「あー、あのどういう意味かわからないんですけど…」
「あなたたちに警告してるのよ!!!
気を付けた方がいい!
何かが起きるかも、私に起きたように…
私に起きたように!!
ああ、ああ、気分が悪い、気分が悪い…
気分が悪いっ!!!
気分が悪いのよっ!!
ああ、それはダメ、それはダメよ
こんなことやめて!」
「あ、お医者さん呼びましょうか?」
「こんなことダメ、ここを出ましょ
車のキー!キーを探すの!
車のキーだってば!車のキー!
車のキー!車のキーよー!」

買った商品を持たずに叫びながら店の外へ出ていくセーラ。
セーラの尋常じゃない様子に呆気に取られるアルバイトくん。

「何?今の…」
「あの人の住んでるとこ知ってるから
後でこれ、届けようか…」

※衝撃の第8話で、口から異様な生き物に入り込まれたあの少女は誰だろう?(後の誰なのか?)と考えていたんですが、あの少女はセーラ・パーマーかもしれない。
1956年の時点で、あの少女は15歳前後くらいだから、現在は75歳前後。
あの少女が、セーラ・パーマーであってもおかしくない。
このシーンで、セーラがアルバイトのティーンエイジャーにこう言って(叫んで)いる。
「あなたたちに警告してるのよ!!!
気を付けた方がいい!
何かが起きるかも、私に起きたように…
私に起きたように!!」
これは、1956年のあの夜のことを言っているのかもしれない。
彼女は今も何者(何物)かに身体に入り込まれていて、
それに向かって話しているようにも思える。
それにしても、グレース・ザブリスキーの怪演!
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 8 〈第8話〉 - 極私的映画案内


ツイン・ピークス:ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク

カール・ロッドの管理事務所。
“午前9時30分(絶対起こすな)〜午後5時30分”の看板。

トレーラーパークの住人クリスコルが管理事務所の前を通りかかる。
クリスコルは杖をついている。

「クリスコル!」

管理事務所からカールが出てくる。

「もしかしてお前、また血を売っているのか?」
「そうです」
「ああ、確か先週ジェンキンズのところのプロパンガスを交換してくれたよな?」
「しましたけど…」
「手間賃はもらったか?」
「もらってません」
「ここの芝刈りと落ち葉掃除もしてくれただろ?」
「しました」
「手間賃はもらったか?」
「もらってません」
「それじゃあ、クリスコル
その手間賃として、50ドルやる
それと、今月分の家賃は払わなくていいから」
「えっ?」
「もう直ぐ支払日だが、今月分の家賃はいらん
今度から血を売ろうと思った時は
まず俺んとこに相談に来い
俺は嫌いなんだよ
食うために血を売るってのが、どうにもな
確かに病院じゃ血はいるし、献血してくれって言ってるが、お前はもう十分やっただろ」
「やりました」
「血は大事にしろ、クリスコル」
「わかりました」

管理事務所に戻るカール。


※『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』の時はもっとぶっきらぼうな印象だったカール・ロッド。
今シーズンは、シェリー&ベッキー母娘に対する態度ひとつとっても、とても優しい。

■ラスベガス郊外:ダギー・ジョーンズに自宅

クーパーとサニー・ジムがグローブとボールを持って庭に出てくる。
サニー・ジムがクーパーに向かってボールを投げるが、案の定クーパーは全く反応出来ず、
ボールはクーパーの頭にぶつかる。

※中間地点も折り返して、早3話目なんですが、
いまだに、クーパーは赤ちゃん状態。
いつになったら、あのパリッとしたクーパー捜査官が見られるんだろうか?
ちょっと、心配になってきた…。


ツイン・ピークス:セーラ・パーマーの自宅

スーパーでの騒ぎを聞いたホークがセーラを訪ねてくる。

「やあ、セーラ」
「ホーク」
「顔を見に寄った
古い事件を調べてたら思い出してね」
「それはご親切なことで
大方スーパーでの話を聞いてわざわざ来たんでしょうけど」
「ああ、その件なら聞いたよ
みんな、あんたを心配してる」
「自分に何が起きたかわかんないのよ」
「だが、大丈夫なんだろ?」
「今はなんでもない」

その時、家の奥からガチャガチャと物音が聞こえてくる。

「誰かいるのか?」
「いえ、ただキッチンにちょっとね…」
「大丈夫なのか?」
「まったくもう、なんてイヤな話なんだろ!
ねえ、ホーク」
「セーラ、助けがいる時や、何か必要な時はいつでも電話くれ、いいか?わかったな
どんなことでもだ」
「ありがと」

※キッチンに何が?
何がいるんだ?
怖い!!


ツイン・ピークス

リチャード・ホーンに襲われたミリアム・サリヴァンが入院中の病院。

ミリアムは意識不明の重傷を負っている。


サウスダコタ州バックホー

ホテルのバーでマンハッタンを飲んでいるダイアン。
携帯でメッセージを確認。

Las Vegas ?
ラスベガスは?

ダイアンの返信。

THEY HAVEN'T ASKED YET.
まだ聞いてこない

※バッド・クーパーからのメッセージなのか?
ラスベガスとは、ダンカン・トッドのことを指すのか?


ツイン・ピークス:グレート・ノーザン・ホテル

ベンジャミン・ホーンのオフィスにトルーマン保安官が訪ねて来る。

「おお、フランク、
久しぶりだな、元気だったか?
まあ、座って
それで、どんな用件かな?」
「実は言いづらい話なんだが…
あんたの孫のリチャードがあの男の子をはねて死なせた犯人だった」
「ああ、なんてことを…リチャード…」
「そしてどうやらリチャードはその事故を目撃した女性を殺そうとしたらい
ミリアム・サリヴァン、保育園の先生だ
今、集中治療室に入ってる
彼女、保険に入ってないんだが、手術が必要な状態だ
それで、出来ればあんたになんとか…」
「もちろんだ、もちろんだよ
ちゃんとさせてもらう
リチャードか、あいつはまともだった時がない」
「こんな知らせをすることになって…」
「ハリーもね、君の弟の、
リチャードとは度々揉めてやりあっていたんだよ
何かやらかす度に前よりも悪くなっていって…
ハリーはこのことを?」
「ああ、よく話すからね」
「それで、リチャードは今留置場に?」
「逃走中だ
もし、連絡があったら」
「ああ、いや、それはないな
ほとんど連絡が途絶えてるんだよ
金の援助を断った時から…
ハリーはどうだ?」
「頑張ってるよ、みんな望みを捨ててない」
「もちろんだ
で、その女性は今、病院にいるんだな?」
「ああ」
「集中治療室に?」
「ああ」
「で、男の子の親御さんは?」
「想像している通りだよ」
「ああ、…はあ…
ハリーに送ろうとしてたんだ」
「何を?」
「この鍵だよ、郵便で送られて来た
このタイプの鍵はもう20年以上前から使わなくなってるんだが、これは315号室のだ
つまりこの鍵は、クーパー捜査官が使っていた部屋のものってわけだ
だから、ハリーに持ってて欲しくてね、記念に
もらってくれるかな?」
「ああ、もちろんだよ、俺から渡そうか?」
「ああ、そうだな、喜んでくれるかな?」
「喜ぶよ、不思議なもんだ
クーパー捜査官が関わる古い事件を調べ始めたところでね
ちょうどそこへ、その鍵が20何年の時を超えて現れた」
「ああ、不思議だな」
「ハリーにとっては大切なものだろうから、
きっと喜ぶよ」
「うん」
「すまないな、ベン、こんな知らせを持って来て
だが、会えてよかった
違う状況なら、もっとよかったんだが」
「ああ、もし連絡があったら、すぐに知らせる」
「何か情報が入ったら知らせるよ」
「ありがとな、ハリーに」

そう言って、ベンは保安官に鍵を渡す。

保安官がオフィスを去った後、
入れ替わりにビバリーがオフィスに入ってくる。

「リチャードだった、私の孫だ
あの男の子をひき逃げしたのは」
「お察しします」
「リチャードは父親を知らない」

そう言うと、ベンはビバリーに子供の頃に父親が買ってくれた中古の自転車の話をする。
色を塗り直し、サドルを付け替えた自転車…。

ベンはビバリーにミリアムの治療費の支払いについて指示をする。
ベンの心中を思いやるビバリー

※重傷を負ったミリアムは、かろうじて証言はできた模様。
クーパーが使っていた部屋の鍵も、ハリーの元へ。
すべてが、おさまるべきところへおさまっていく。。。


サウスダコタ州バックホー

ホテルのゴードン・コールの部屋。
ゴードンと妖艶な美女がソファで寄り添い、
ワインを飲んでいる。

そこに、ドアをノックする音。
ドアをノックしたのは、アルバートだった。

「ゴードン、お友達には下で待っててもらえませんか?」

「すまないが、しばらく二人にしてもらえるかな?
バーで待っててくれ」

そうゴードンに言われたフランス人女性は、
妙に勿体ぶって、ゆっくりと身支度を整えている。
そんな彼女を無表情で見つめるアルバート

「彼女はお母さんの友達を訪ねて来た
その娘さんが行方知れずなんだ
母親は“カブ”農場を持ってる
だから彼女に言ったんだ
娘さんは“カブ”バックするって、いずれな」

ようやく女性が去り、ゴードン渾身のギャグ。
しかし、無表情、無反応のアルバート

「彼女にも通じなかった
フランス人とは言葉の壁がある
お前は知ってるか?アルバート
現在、この地球上では6000を越す言語が使われているらしいぞ」

ゴードンとアルバートの間に流れる妙な間。

「何の用だ?アルバート
「ダイアンにメッセージが
“ラスベガスは?”
そに返信が、“まだ聞いてこない”」
「一体何なんだ?
我々がまだ聞いてないことってのは
それを突き止めよう
だが、今夜にところは素晴らしきボルドーワインに戻らせてもらうとしよう」
「何年物ですか?」
「11時5分になる」

ゴードンの聞き違えには慣れているアルバートも固まっている。

「大丈夫か?時々お前のことが心配になる」

※保安官事務所のジェシー、ミッチャム兄弟のところのキャンディ、そしてこのフランス人女性と、妙な間の持ち主を意識的に配置している印象。


サウスダコタ州

連邦刑務所のマーフィー所長の家の前に止まった一台のヴァン。
ヴァンの中にはシャンタルとハッチ夫妻。
ハッチは銃にサイレンサーを取り付けている。

「本気か?」
「本気、拷問なんかしてるヒマない
お腹へったの、さっきバーガーショップあったよね?
早く撃っちゃってよ」
「わかった、そうする
でも脚を狙おうか?
で、拉致ってくれば拷問できるだろう」
「だからお腹へった」
「一応、確認」
「来たよ」

そこへ、マーフィー所長が車で帰宅する。
車を降り、玄関へ向かうマーフィー所長。

ハッチが撃った弾はマーフィー所長の背中に命中。
二発目は立ち上がろうとする所長の後頭部に命中する。
玄関からは所長の息子が飛び出してくる。
父親に駆け寄るまだ幼い息子。

「じゃ、メシ食いに行こう」

さっさと引き上げるハッチェンス夫妻。

※マーフィー所長が殺され、ミスター・ストロベリーと ジョー・マクラスキーの謎は明らかにならないままなのか?


ツイン・ピークス:ジャコビー先生トレーラーハウス

午後7時、Dr.ジャコビー改め、Dr.アンプのインターネット中継が始まる。

中継の内容は毎度同じ、に聞こえるが、
パソコンの前に陣どるネイディーン・ハーレーはDr.アンプに心酔している様子。

「よーくわかったわ、Dr.アンプ」

※Dr.アンプ物言いは少し過剰ではあるけれど、
グローバル企業と政治家が手に手を取って、
庶民を搾取しているという考え方はデヴィッド・リンチ自身のものなんだろうと思う。
泥から掘り出してくれる金色のシャベル、
塗装の手間を考えたら、29ドル99セントというお値段は暴利を貪っているとは言えない値段だよね。


ツイン・ピークス:オードリー・ホーンの自宅

上着を手にかけたオードリーはどこかへ出かけるようだ。

デスクの後ろに座っているのはオードリーの夫、チャーリー。

二人共、むっつり黙り込んでいる。
やがて、オードリーが口火を切る。

「もう、電話が鳴るのを待っているのはうんざり
ロードハウスに行くわ
わかってる、彼はあそこ嫌ってた
でも、他は全部見たし
あなたも一緒に来る?」
「オードリー、この書類の山を見てくれよ
締め切りが迫っている
見ろよ、これだけあるんだぞ
仕事を放り出してこんな遅くに出られないよ
私だってビリーを見つけたい
だが、朝になってからでもいいだろう?
今夜は新月だ、外は真っ暗だぞ
今夜のところはゆっくり眠って
明日一緒に探しに行こう」
「ねえ、あなたってどこまでクソ野郎なの?
自分が行方不明になった時
宿題終わるまで探しに行くの待てって言われたら
どう思う?
あなたって本当、根性なしで、タマなしの負け犬よね
ねえ、わかってる?わかるでしょ、
だってそれ、ホントのことだもの」
「オードリー、締め切りが迫ってる
やらないとまずいんだ
なんで自分に与えられた仕事をするのを責めるんだよ
ビリーはどこかにいるんだろう
でも、今夜見つけるのは無理だ
それは間違いない」
「へー、随分自信あるのねぇ
もしかして水晶の玉でも見てそう言ってるの?
だったら、是非その“玉”に聞いてみてくれない?
2日前から行方不明のビリーが今どこにいるのか?
ほらっ、“玉”に聞いてよ!」
「やめてくれ、水晶の玉なんか持ってない
もうこんな時間だ、眠くなってきた
でも、寝る前に片付けなきゃならない仕事があるんだよ」
「あーら、それはお気の毒さま」
「自分の夫にそういう物言いをするんじゃない
私はいい夫になろうと努めて来ただろう?
君もいつもそう言ってる」
「それがなんなのよ
なーによ、一日中あなたに感謝し続けろって言うの?
ひざまずいて、崇めればいいわけ?」
「オードリー、そういう声の出し方は好きじゃない」
「ねえ、チャーリー
この際、腹を割って言い合いましょうよ
実際あなたには“タマ”がないわよね?
だからあたしはビリーを愛した
だからあたしはヤッてるのよ、ビリーと!」
「オードリー…」
「昨日の夜、ビリーの夢を見たの
彼、鼻と口から血を流してた
夢が真実を告げることってあるでしょう?
あたしは行かなきゃならないの!
あなたに一緒に来て欲しい!
守って欲しいのよ!
でも、そんな臆病者じゃあ
あたしがあなたを守ることになりそうね!
それとティナ!ティナを探さなきゃ!
ビリーに最後に会ったのは彼女なのよ
あたし、あの女とは同じ部屋にいるのも耐えられない
あなたがティナに電話するはずが、
かけてくれないし」
「そんなに怒るなよ、ただ私は君のためを思って…」
「あーら、そう、
だったら渡した書類にさっさとサインしてよ」
「ああ、あれかー、
あの書類はどうも怪しげなところがあってね
弁護士に見てもらってからでないとサインは出来ない」
「そう、わかった
じゃあ、ポールに見てもらおうかしら?
あなたに会いに来るよう、ポール言っておく」
「よせ、オードリー、そのやり方はないだろう
私は法的に君の夫だ、権利があるんだ」
「あなた、権利を放棄した」
「なんだと?まさか我々の契約を破るつもりなのか?
契約だぞ、それを破るつもりか?」
「ええ、破るつもりよ、現に今破ってるし」
「わかったよ、オードリー、一緒に行こう
とても眠いが、一緒に行く
で、どこ行くって?」
「だから、ロードハウスよ、言ったでしょ?」
「ああ、オードリー、とにかく行こう
上着がいるな、君はもう着てるようだけど」
「ええ、そうよ、それがなんだって言うの?
出掛けるって言ったでしょ、当然上着は必要になる」
「外には広大な森が広がってるんだぞ
なあ、本気で思ってるのか?
この家を出て、急いでロードハウスに行けば
そこにはビリーがいるはずだって」
「いいからさっさと、上着を取ってきて!!
クソ野郎!」
「ちょっと待った、ティナだ
彼女に電話してみよう
わかってる、私独りだと言うよ
それで、何か知ってるかどうか確かめよう
ダンナがいたら何も言えないだろうが、
まあ、聞いてみよう、いいね?」
「わかった、あの女に聞いてみて
ビリーに最後に会ったのはティナのはずよ
でもチャックは大分イっちゃってるから
あんまり信用できないかもしれない」
「チャックがビリーに最後に会ったのはティナだと言ったのか?」
「そうよ」
「チャックが先週、
ビリーのトラックを盗んだのは知ってるか?」
「それ何の話?」
「ビリーが出掛けようとしたら
チャックがビリーのトラックに乗って走り去った」
「それで?」
「ビリーは保安官を呼んだ」
「それで?」
「その日の午後、トラックが発見された」
「それでどうなったの?」
「保安官から連絡が来て、
ビリーはトラックを取り戻し、
訴えを取り下げたんだろうね」
「そうなの、わかった、じゃ、ティナに電話して!」

ティナに電話をかけるチャーリー。
ティナとの電話で、
どうやら意外な真実が判明した様子。
しかし、電話を切ったチャーリーはオードリーを見つめるだけで何も言わない。
苛立つオードリー。

「あたしには何も言わない気?
はあ、ホントにあたしには何も言わない気!
チャーリー!!!」

※この一連の会話でわかることを整理。
①オードリーはチャーリーと結婚している。
②チャーリーは不能。
③オードリーとチャーリーは(多分)婚前契約を結んでいる。
④オードリーはビリーと浮気している。
⑤ビリーは2日前から行方不明。
⑥ビリーに最後に会ったのはティナ。
⑦ビリーに最後に会ったのはティナだとオードリーに言ったのはチャック(チャーリー)。
⑧ビリーは、トラックをチャック(チャーリー)に盗まれた。
⑨ビリーはアンディの訪問を受けた後から行方不明。

⑧⑨について、詳しくはこちら👉ツイン・ピークス The Return Episode 7 〈第7話〉 - 極私的映画案内

チャック(チャーリー)は、オードリーの息子だろう。
ベン・ホーンは、チャーリーは父親を知らないと言っていたが、チャーリーの父親は誰なのか?
前シーズン、オードリーが処女を捧げた男ジャックとはどうなったんだろう?
ああ、でもオードリーの25年間は幸せとは言えない25年だったんだろうなあ。
チャーリーの仕事って何?


サウスダコタ州バックホー

ホテルのバー。
カウンターでタバコを吸うダイアン。
ルース・ダベンポートの左腕に書いてあった座標の数字を思い出しながら、地図アプリに数字を入力していく。

ピン📌が示した場所は、
ツイン・ピークス

※やっぱりアルバートが言っていた“北にある小さな町”とは、ツイン・ピークスのことだった!


ツイン・ピークス:ロードハウス

ボックス席の女性二人連れ。
アビーとナタリー。

「ねえ、アンジェラは?」
「全然、わかんない
昨夜も来るはずだったけど、顔を出さなかったし
クラークと一緒じゃない?」
「クラーク?」
「そう、付き合いだしたみたいよ」
「ホントに?」
「うん、何、驚いてる?」
「まあね、だってクラークとメアリーがここで一緒にいるの見たし、2日前だよ」
「あの女!」
「それで?」
「アンジェラもメアリーのこと、マジ嫌ってる!
どんな感じだった?」
「イチャついてたって感じかなあ
ぴったり密着して、スローダンスしてた
あそこの隅っこで二人の世界って感じ
みんなに見られてた」
「いやだ、そんなのちらっとでき聞いたら、
アンジェラ、ブチ切れるよ!
あの子、クラークのこと、真剣なんだから
2週間前からあいつに言い寄られてさ
クラークの夢、見るんだって!」
「まずいね、あいつ、他の夢にも出てるよ」
「アンジェラ、薬飲むのやめたのに
ああ、クラークのせいでぶちこわしかも
アンジェラ、こんなの、耐えられないよ」
「だよね、確かに
アンジェラ、ギリギリだもんね」
「当然だよ、あんな風にママ亡くして」
「ひどすぎ!」
「ねえ」

トリック、登場。

「聞けよ!俺今マジで殺されるところだったから
どっかのクズ野郎がハイウェイで俺の車に突っ込んできてさ!
ヘッドライトが二つ向かって来るのが見えて
気づいたら、道路外れてた
農民が助けてくれたけど
あの野郎、ぶっ殺してやりてえよ!
ビール、飲むわ
お前らも、ないんだろ?
もう一本、いる?」
「うん、飲む」
「よし、待ってろ」
「ありがと」

トリックは、ビールを注文しに行く。

「トリック、マジでヤバかったみたいね」
「みたいだね」
「あの人って自宅拘禁中?」
「違う、いや、そうだったけど、
刑期終わってる、また自由の身だよー」
「自由の身かあ」
「いいねぇ」


今夜のバンドは、再びChromatics。
演奏してる曲『SATURDAY 』はこちら👉CHROMATICS "SATURDAY" TWIN PEAKS: THE RETURN PT. 12 - YouTube


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ようやく全シーズンのメインキャスターのひとり、オードリー・ホーン再登場!
座標が示すのは、やっぱりツイン・ピークスだったし、
315号室の鍵はハリーの手元に渡りそう。
セーラ・パーマーはこの先、重要な鍵を握りそう。
今エピソード、カイル・マクラクランの出演シーンはたったの数十秒でした。

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

👇前シリーズの謎を解く鍵だった『 ツイン・ピークス ローラの日記』も再販。
旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

ツイン・ピークス ローラの日記 (角川文庫)

ツイン・ピークス ローラの日記 (角川文庫)

👇オードリー・ホーン役のシェリリン・フェンがワン・シーン出演している『ワイルド・アット・ハート』。
この『ワイルド・アット・ハート』は、
前シーズンと同時期に撮影されていて、
今シリーン出演のローラ・ダーンハリー・ディーン・スタントン、前シーズン出演の故ジャック・ナンスも出演。

👇『ワイルド・アット・ハート』のシェリリン・フェンの出演シーンは、岡崎京子の漫画『エンド・オブ・ザ・ワールド』の中にも登場します。
(表紙が私が持ってるのと違うな)

エンド・オブ・ザ・ワールド (Feelコミックス)

エンド・オブ・ザ・ワールド (Feelコミックス)

ツイン・ピークス The Return Episode 11 〈第11話〉

EPISODE 11


ツイン・ピークス:某所

兄弟とみられる少年たちが家の前で
キャッチボールをしている。
まだ幼い末っ子に気を使って
やさしいボールを投げる長男。
ところが、次男の投げたボールがそれて道路に出てしまう。
ボールを取りに行った長男は、
道路脇の森から這い出ててきたミリアム・サリヴァンを発見する。
リチャード・ホーンに襲われたミリアムは血まみれだ。

「誰かいるぞ…ママ呼んでこい!」

※このシーンで、一番年嵩の少年を演じているのは、
Travis Frost。
多分、この子はクリエイターのマーク・フロストのお孫さんじゃないかと思う。


ツイン・ピークス:ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク

レベッカベッキー)・バーネットが誰かと電話中。

「えっ?どこで?
ったく!でも私、車持ってない!!!」

絶叫するベッキー

RRダイナーで仕事中のシェリー。
ベッキーからの電話を受ける。

ベッキー?」
「ママ!車貸して!スティーヴンなの!」
「何があったの?」
「スティーヴンなんだって!
お願い!車貸して!急いで!」
「今からすぐ行く!
ごめん、ノーマ、行かなきゃ!」

心配そうな表情を浮かべ、シェリーを見送るノーマ。

シェリーを待つベッキーはソファの下から銃を持ち出す。
シェリーがトレーラーパークに到着。
許さない、許さないとベッキーは独り言のように呟きながらシェリーから車のキーを奪うと車に乗り込む。
ベッキーを止めようとシェリーは車のフロントにしがみつくが、ベッキーは車をバックターンさせてシェリーを振り払うと猛スピードで走り去る。

騒ぎを聞きつけた管理人のカール・ロッドがシェリーに歩み寄る。
RRダイナーまで送ってくれるようカールに頼むシェリー。
カールの笛のひと吹きで、いつものヴァン。

「何があったんだ?」
ベッキーがスティーヴンとケンカした」
「あー、まったく…」

ヴァンの車中からノーマに電話をするシェリー。

「ノーマ、ベッキーがどっかに飛び出して行っちゃったの、どうすればいい?」
「ボビーに電話したらどう?」

それを隣で聞いていたカールは無線で保安官事務所のマギーと交信、ボビーを呼び出してもらう。

「ボビー、シェリーよ
ベッキーが車で出てった」
「誰の車だ?」
「あたしの!行き先はわかんないけど、
あの子銃を持ってんの!」

「ああ、まったく…」

嘆くカール。

※カールの笛のひと吹きでやって来るヴァン。
(カールは朝のお出掛けの時にもこのヴァンを利用)
ヴァンに装備されてる保安官事務所直通の無線。
カールって何者?ただの管理人じゃないのかも。


ツイン・ピークス:とあるアパート

スティーヴンがいるらしいアパート。
銃を持ったベッキーが階段を駆け上がってくる。
208号室の前までくるとドアを銃で乱暴にノック。

「スティーヴン!!!
いるのはわかってんだから!!
出て来なさいよっ!この腰抜け!!」

「いないよ、さっき、二人で出てった
だから留守だよ、誰もいない!」

ベッキーが銃を持っていることに気付いた隣人女性は慌てて部屋に引っ込む。

ベッキーは怒りに任せてドアに向かって銃弾を打ち込む。

「ふざけんな!!!スティーヴン!!!」

ベッキーが上がってきた階段とは反対側の階段の下で身を潜めているスティーヴンと部屋の住人らしい女。

※スティーヴンの浮気相手(らしい)の女は、
ローラ・パーマーの親友だったドナ・ヘイワードの妹でヘイワード先生の次女ガースティン・ヘイワードらしい。
ガースティンはスティーヴンより大分年上だよね。
〈追記/訂正〉ガースティンはヘイワード家の三女。次女はハリエット。ファースト・シーズンで夜間家を抜け出すドナのアリバイ作りに協力。


サウスダコタ州バックホー

FBIの一行とバックホーン署のマックレー刑事がウィリアムズ・ヘイスティングスがブリッグス少佐と会ったという寂れた場所に到着。

マックレー刑事の車に同乗していたヘイスティングスにタミーが詳しい事情を聞く。

「ここね?ブリッグス少佐を見たのは」
「ええ、そうです」
「どうやって中に入ったの?」
「フェンスの裂け目から」
「そこからどのくらい進んだ?」
「5メートルから6メートル」
「その後どうなったの?」
「何があったか、覚えてない」

ヘイスティングスの視線の先、
フェンスの奥の廃屋とコンテナの間でWoodsman の姿が現れ、そして消える。

怯えるヘイスティングス
Woodsman の姿はゴードンとアルバートも見ていた。

フェンスをくぐり、廃屋に近づいて行くゴードンとアルバート

上空を見上げるゴードン。
すると、上空に雲を巻き込み凄い勢いで竜巻のような渦が出現する。

上空に両手を差し出したゴードンは渦に吸い込まれそうに見える。
やがて、ゴードンは渦の中心に、
階段の上に立っている3人のWoodsman たちの姿を見る。

吸い込まれそうになっているゴードンを慌ててアルバートが引き戻す。
すると、もう渦は消えている。

「こういうことなんですね」
「こういうことだな」

ふと、アルバートが廃屋の周辺に視線を移すとそこには女性の首なし死体が。
どうやらルース・ダベンポートの死体らしい。
(そしてまたWoodsman の姿)
死体の左腕の内側には、場所を示す座標の数字。

タバコを吸っていたダイアンはマックレー刑事の車の背後に忍び寄るWoodsman の姿を見る。
車に近付くWoodsman 。
やがて、グシャッという嫌な音と共に頭部を潰されるヘイスティングス
慌てて車から降りるマックレー刑事。

「おいっ!嘘だろ?
クソっ!おい、おい、おい!至急応援を頼む!
場所はシカモア2240!シカモア2240だ!」

車内を覗き込むダイアン、ゴードン、アルバート、タミー。

※ルース・ダベンポートの残りの遺体が発見され、用済み(?)となったウィリアム・ヘイスティングスも殺される。
シカモア2240、この住所からもここがブラックロッジの入り口であることを示している。
前シーズン、ツイン・ピークスの森の中にあったブラックロッジの入り口には、確かスズカケの木があったと思うんだけど、スズカケの木とシカモアの木はとてもよく似ているらしい。


ツイン・ピークス:RRダイナー

家族会議中のボビー、シェリー、娘のベッキー
カウンターの中から3人を見守るノーマ。

「で、お前はどうしたいんだ?」
「もう終わりにしたい」
「じゃ、別れるのか?」
「でも、愛してるの」
「あのアパートのドアは弁償しなきゃならないぞ」
「なんで私が?あの女の部屋だよ!
私は払わないから!だってお金なんかないし!」
「俺が保安官助手じゃなければ、
お前は今頃檻の中だぞ」
「お金はあたしが貸す」
「あー、ダメ、もうママからお金はもらえない
ちなみに今までも全部スティーヴンが使ったんだけど」
「金は俺が貸す
だから返すんだぞ、しっかりしなきゃダメだ」
「トレーラーハウスからも出て、
スティーヴンと距離を置くの」
「彼、今は色々キツい時期なだけだよ」
ベッキー、俺もあいつだって最後はお前を大事にすると思ってた
だがどうだ?ただの期待はずれだ」
「まだはずれてないって!
彼、根は真面目だし、仕事だって毎日探しに行ってる、
と思ってた…」
「いつも揉めてるってカールが心配してた」
「あいつお前を殴るのか?」
「えっ?それはないよ!さすがに…手は上げない
ホントだって!」
「だといいんだが、この先ヤツがお前に触れたり法を犯したりしたらタダじゃおかない!
俺がブチのめす!」
「聞いて、ベッキー
あんたは結婚もしてるし、もう立派な大人よ
でもあたしたちは親で、あんたを愛してる
だから大事な娘を失いたくないの」

泣き崩れるシェリーに車から振り落としたことを詫びるベッキー
抱き合う母と娘。

店の中のシェリーに気付き、窓の外から近寄ってくるレッド。
レッドに気付き、微笑むシェリー。
席を立ってレッドの元へ向かうシェリー。
店の外で熱いキス。
複雑な表情のボビーとベッキー

ボビーとベッキーの視線に気付いて場所を移した二人は再び熱いキス。

満面の笑みをたたえて席に戻ってきたシェリー。
しかし、気まずい雰囲気が漂う。

そこに銃声が響く。
RRダイナーに銃弾が撃ち込まれた!
慌ててその場に伏せる客。
銃を構えて店の外に出るボビー。

どうやら箱に入ってた銃を、
それとは知らずに母親が後部座席に置き、
その銃を持ち出した幼い子供が触って暴発させてしまったらしい。
妻が、黙って銃を車内に持ち込んだ夫を大声でなじっている。
後続車両がクラクションを鳴らし続けている。
銃声を聞きつけ駆け付けた保安官助手のジェシーに夫婦の身元確認と周辺の交通整理を頼むボビー。
母親から銃を預かったボビーは後続車両にクラクションを鳴らすのをやめるよう言いに行く。

「いったい、何やってんのよおー!
あたしたちは家に帰りたいの!
もう遅刻なのよ!夕食に遅れるでしょ?
もうとっくに6時半過ぎてる!
なんで、こうなるのよおー!
見たわよ!車の中から銃を撃つのを見た!
彼女のおじが夕食に来るの!
いい?ホントにホントに久しぶりに彼女はおじに会えるんだから!
なのに遅刻する!まだ家まで大分あるのにぃー!
お願い!家に帰らせてよ!彼女、病気なの!」

ボビーが女性の剣幕に呆気にとられていると、
助手席のシートに沈み込んでいた“病気の彼女”が口から何か液体を吐きだしながら運転席の窓の方の近づいて来る。

※どうやらボビーとシェリーの二人は、
結婚しベッキーを授かったものの、今はもうすでに別れてしまったらしい。
二人がいまも夫婦なら、ベッキーが飛び出して行った時にシェリーはノーマではなく、まずボビーに連絡しただろうし、ボビーがシェリーとレッドを黙って見ているはずがない。
それにしても、第2話でレッドから誘いをかけられていたシェリー。二人の仲はここまで発展していたのか
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉 - 極私的映画案内
しかし、レッドはドラッグディーラー。
悪い男に惹かれてしまうシェリー!
まだ懲りてないの?

銃を暴発させてしまった(とボビーは思った)少年。
しかし、このキメポーズと不敵な面構え。
後続車両の女性は「車の中から銃を撃つのを見た」と証言している。
多分、後続車両の病気の女性はこの先のストーリーには関係ないのだろうが、こういう話の筋には関係ない、不気味で気持ちの悪いシーンを入れてくるのが、
いかにもデヴィッド・リンチ

第8話でも少し触れたが、
シェリーの現在の恋人らしいドラッグディーラー、
レッドを演じているのはバルサザール・ゲディ
彼はパトリシア・アークエット演じる女に翻弄される青年役で『ロスト・ハイウェイ』にも出演している、いわばデヴィッド・リンチ組。
彼の曽祖父ジャン・ポール・ゲティは石油で巨万の富を築き“石油王”と呼ばれた人物でゲティ財団(芸術機関としては世界一の資産を保有)の創設者。
父親のジョン・ポール・ゲティ三世は16歳の時にイタリアマフィアに誘拐され家族に身代金が要求されるが、普段から放蕩生活を送っていたジョンの狂言誘拐だと思われ、吝嗇で有名だったゲティ卿は身代金の支払いを拒否する。
しかし、ジョンの一房の髪と切り取られた耳が送られきた段階で、ようやく身代金の支払いに応じ、ジョンは約半年ぶりに生きて解放された。
当初要求された身代金は1700万ドルだったが、最終的に支払ったのは約290万ドルだというから交渉上手というかなんというか。
ジョン・ポール・ゲティ三世は俳優として何本か映画にも出演しているが、長年アルコールや薬物の依存症に苦しみ、54歳という若さで亡くなっている。
ちなみにこの誘拐事件については、リドリー・スコット監督で映画化されるようだ。
(「All the Money in the World(原題)」)
詳しくはこちら
👉R・スコット監督の誘拐映画にK・スペイシー&M・ウィリアムズ&M・ウォールバーグ : 映画ニュース - 映画.com
ゲッティイメージズの共同創業者で共同経営者マーク・ゲティはバルサザールの叔父にあたる。


ツイン・ピークス:保安官事務所

ブリッグス少佐からもたらされた情報について検討しているトルーマン保安官とホーク。

「ブリッグス少佐の情報を聞いて思うところがありました。
きっと俺の地図で説明すればわかりやすいかと」

ホークはそう言って先住民族に伝わる地図を広げてみせる。


「地図自体はかなり古いものですが、
常に新しくなっていて、いわば生ける地図だ
ここにかつて少佐の基地があり、このブルー・パイン・マウンテンは極めて崇高かつ神聖な場所です
少佐は我々にここへ向かうよう示唆したのかもしれない」
「この焚き火のようなものは何だ?」
「焚き火ではなく、これ火の象徴です
「というと?」
「つまり炎の一種ですが、
炎というよりも現代の電気に近いもの」
「善か?」
「それは意志次第
火の背後にあるのが善か悪かによります
少佐は行くべきは明後日と日付も示してくれ、
この星々が告げているのも同じ日付なんです
そして、ここへ行けと」
「これは?」
「とうもろこしで肥沃さを示している
だが黒い、意味するのは、病、異常、死だ
この二つの象徴を足した場合、意味するのは」
「黒い火」
「その通り」

「この絵は少佐が残してくれたあの小さな紙にも書いてあったが、何なんだ?」
「フランク、これについては何も知らない方がいい」
「決してか?」
「決して」

そこへ丸太おばさんからホークへ電話がかかってくる。

「探し物を見つけたのね」
「そうだ、すまない、君に知らせるべきだった」
「何を見つけたの?ホーク」
「マーガレット、それは言えないんだ」
「私の丸太が火を怖がってる
あなたの進む先には火があるわ
ホーク、あなたの進む先には火がある」
「わかったよ、マーガレット」
「おやすみ、ホーク」
「おやすみ、そしてありがとう」

そこへノックの音。
ドアをノックしたのは、保安官助手のジェシーだった。
保安官に自分の新しい車を見せたいらしい。
車は明日見せてもらうと体良く追い払う保安官。

※ブリッグス少佐が残した小さな紙はこちら。

ホーク保安官に知らない方がいいといったあの絵は、
第2話でバッド・クーパーがダーリャに見せていたカードに書いてあった絵と同じ。
バッド・クーパーはこれが欲しいと言っていたが、
一体どんな意味があるのか?
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉 - 極私的映画案内


サウスダコタ州バックホーン警察署

マックレー刑事のオフィス。
ゴードンの手が小刻みに震えている。

「まるで怯えた猫だな、こんなに震えるとは」
「今コーヒーを用意してくれてますが、
やめた方が賢明でしょうね」
「コーヒー、私は是非飲みたい」
「ホットミルクの方がいいのでは?猫には
緊張もとれます」
「ああ、写真を撮ってたな
ルースの写真を見せてくれ」

アルバートがゴードンにルース・ダベンポートの腕の写真を見せていると、横から覗き込んでいるダイアンが口を小さく動かしながら数字を記憶しようとしているような様子。
それをアルバートに気づかれ目をそらすダイアン。

「あの座標が示す場所はどこだったんだ?」
「後半の数字がいくつか消えてしまってましたが、
北にある小さな町…」

アルバートがそこまで答えたところで、
マックレー刑事とタミーがコーヒーとドーナツを運んでくる。

「さて、怪しい人物は見つかりませんでしたが、
あの遺体はルース・ダベンポートでした」
「だが、ブリッグス少佐の頭部はまだ出てこないか?」
「探しましたが、痕跡はありません
銃声を聞いた者も弾も出ずです」
ヘイスティングスは撃たれた死に方じゃない」
「ええ、まだ車を精査中です」
「男を見たぞ、アルバートもだ、二人で見た」
ルースの遺体があった場所より奥にいた
「どんな風貌?」
「一見ホームレスみたいだった
ボロ服にヒゲ、ニット帽」
「似た男が車から出て行くのを見たかもしれない」
あっ、でも多分、見間違い」
「私も乗ってましたが、特に誰も見てません」
「私も誰も見てません」
「だから多分見間違い」
「今思い出した、ある部屋にいた男たちを見た
アルバートと見た男に似たヒゲを生やした男たちだ
汚れてヒゲ面の男たちがある部屋にいた」

アルバートが言いかけた北にある小さな町とはツイン・ピークスのことなのか?
ダイアンは座標をバッド・クーパーに知らせようとしているのか?


■ラスベガス:ラッキー7保険

マリンズ社長がダギー(クーパー)をオフィスに呼び出す。
フィルのコーヒーに誘導され、オフィスにやってくるクーパー。
デスクで腕立てしながら待つマリンズ社長。
オフィスの外ではアンソニー・シンクレアが様子を伺っている。

「ダギー、時間をかけてよく考えたんだが、
君が調査してくれたおかげで汚職警官がらみの事態が起きていることがわかったし、
組織犯罪とつながった人間が社内にいるのも明らかだ
最近、二度も命を狙われたろ?
車を爆破され、銃でも襲われた
こりゃもう間違いない
一方で、君のおかげでミッチャム兄弟の案件は
放火じゃないことが判明した
だが、失火でも保険金の請求は合法だ
だから私としては、ミッチャム兄弟はたとえ黒い噂があったとしても、本件には無関係だと思う
ということはだ、君の命を狙ったのは別の誰かということになるぞ」
「別の誰か…」
「ああ、君の言う通りだ
だが興味深いことに、兄弟から私に電話があった
君に直接会って話がしたいそうだ
まあ、普通なら大事な社員をあんな連中と接触させたりはしないが、今回の場合、
君は彼らに代わって間違いを正した訳だし、
きっと歓迎されるはずだ、これもあるしな
見ろ、3000万ドル分の小切手だ
あ、今君はこう思ってるな?
こんな小さな会社が3000万ドルなんて支払ったら自殺行為だ、だろ?
だが、バトリング・バドはいつも常に上の階級の相手に挑んできた
うちが入っている保険会社にバックアップ・プランを適用させたんだよ
火事が事故なのは事実だからな
我々の損失を補填できた上、プラスもある
ブッシュネルは抜け目ない
バトリング・バドすぐに体勢を立て直す
指定してきた時間は5時半だ
迎えの車が来る」

うなずきあうブッシュネルとクーパー。

※バトリング・バドはマリンズ社長のボクサー時代のニックネーム。
確か、クーパーが初めてラッキー7保険に出社した時、アンソニーが会議で放火が疑われたが保険金が支払われることになったと言っていたのがミッチャム兄弟のホテルの案件。
てっきり、ミッチャム兄弟が企んだ保険金詐欺にアンソニーもかんでいて、その不正をクーパーが暴いたのかと思ったが、そうではないらしい。
アンソニーが命令を受けていたのはダンカン・トッド。
事故を放火に見せかけ、保険金の支払いをさせないよう仕組んだのかもしれない。


■ラスベガス:ミッチャム兄弟の邸宅

テーブルにセッティングしてあるのは朝食のようだが、
時刻はすでに午後2時過ぎ。
新聞を読みながら、シリアルを食べているロドニー。
そこへブラッドリーも起きて来る。
機嫌の悪そうなブラッドリー。

「なあ、ロドニー、夢を見たんだ、朝までずっと
ダグラス・ジョーンズを殺してた
憎くてたまらねえ、殺したくてウズウズするんだ」
「あと3時間待てるか?」
「ギリギリな!…食欲ねえ」

大きくため息をつくブラッドリー。


■ラスベガス:ラッキー7保険

ビルのロビーまでクーパーを連れてくるブッシュネル社長。
しかし、ロビーの隅のコーヒーショップから片腕の男、フィリップ・ジェラードがクーパーを手招きしている。
コーヒーショップに向かうクーパー。

外に出て来たクーパーはダンボールを抱えている。
ミッチャム兄弟の迎えのリムジンの運転手はクーパーがジャックポットを連発した夜、自宅まで送り届けてくれた運転手だ。

ブッシュネル社長はクーパーがレストランに招待されたと思い込んでいるが、リムジンは賑やかの通りを抜け、砂漠へと向かっている。


■ラスベガス:砂漠の真ん中

クーパーを待ち受けているミッチャム兄弟。

「何が不満なんだ?喜べよ!
もうすぐあいつを始末出来るんだ
俺たちをコケにしてくれたどアホをな!」
「アイクを片付けてくれた恩がある」
「俺たちのためじゃねえ
ヤツのせいで3000万ドルがパーで
カジノからは47万2000ドル奪われた」
「ああ、確かにその通りだ」
「ああ、俺が正しい!」

「何?」
「俺の夢だ」
「ああ、また夢か」
「夢の中だと、夢の中だと、キャンディに殴られた傷が治ってた」
「えっ?」
「この傷がキレイに」
「バカな!」
「見てみよう」

ブラッドリーが、嫌がるロドニーの左頬の絆創膏を無理矢理剥がすと、傷はキレイに治っていた。

「おいっ!嘘だろ?」

信じられないロドニー。

「他にも見た、だが思い出せねえ」

クーパーを乗せたリムジンが到着する。
車を降りたクーパーがダンボール箱を持っているのを見てブラッドリーが何か思い出す。
ロドニーは運転手を返そうとするが、ブラッドリーが引き止める。

「あいつ、箱を持ってるだろ?」
「ああ」
「あれも夢で見た」
「まったく…」
「違う!聞いてくれ!頼むから
あの中に何か入ってる
それがもし俺が夢に見たものと同じなら
あいつを殺せねえ」
「寝ぼけたこと言ってる…」
「俺は本気で言ってるんだって!
もしあの箱の中にヤツがあれを入れてるとしたら
俺たちはあいつを殺せない」
「なぜ?」
「ヤツが俺たちの敵じゃねえからだよ!」
「そんなことなぜわかる?」
「俺はただ夢で見たままを言ってるだけだ
だから中身があれじゃなけりゃ、忘れてくれていい」
「あれって?」
「万に一つの可能性しかないが
もしも入ってたら、約束してくれ
この件では、俺たちの答えはひとつだと」
「わかった」
「あいつのこと、殺さない」
「わかった、くどいぞ!あれって?」

ロドニーの耳元で何事がささやくブラッドリー。
クーパーに銃を向けるロドニー。

「よし、答えろ!
その箱の中身はチェリーパイなのか?」
「チェリーパイ…」

ブラッドリーが箱を開けると、
そこには本当にチェリーパイが入っていた。
クーパーの内ポケットから3000万ドルの小切手を見つけたブラッドリーは大喜び!
雄叫びを上げるミッチャム兄弟。

「あいつ、気に入った!
ダギー!会えてホントに嬉しい」

※意外なところで、チェリーパイの再登場!
ミッチャム兄弟、面白い!
今シリーズ、一番のお気に入りキャラかも!


■ラスベガス:レストラン

ご機嫌なミッチャム兄弟がクーパーを接待中。
シャンパンで乾杯している。

「つまりお前さんちの子供は持ってないってことか?
遊具セットがない?」
「遊具セットがない…」
「俺たちが育った施設にも遊具セットはあった」
「子供には遊具セットを与えるべきだ」

そこへ、クーパーに教えられた台でジャックポットを出した老婆がすっかり見違えた姿でクーパーに声をかける。

「ミスター、ジャックポット
是非また会いたかったの
毎日あなたを思って感謝し続けたのよ
おかげで人生が変わったわ
この子は息子のデンバー、私の元へ戻って来てくれてねえ
今は犬も飼ってるし、家だってあるのよ
あなたのおかげで人生を取り戻せたの
あなたにはお礼の言葉もない
気付いていらっしゃるかしら?
あなた方は今特別な方と食事をしていらっしゃるのよ
彼は私の恩人だわ」
「我々にとってもですよ」
「ありがとう、ホントに感謝してる
よかったわ、ミスター・ジャックポット
あなたにもう一度ありがとうが言えて」

老婦人とその息子が去ると、キャンディ、マンディ、サンディの三人組が登場。
キャンディはまたしても心がお留守の様子で鈍い反応。

テーブルのチェリーパイを夢中で食べているクーパー。

「ヤケに美味いパイだ」
「ヤケに美味い…」

「あんたの命を救ってくれたパイに」
「それに、俺たちの金に」

再び乾杯する三人。
チェリーパイのお代わりをするクーパー。
満足そうなミッチャム兄弟。

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コーヒーにドーナツにチェリーパイ!
これぞ、ツイン・ピークス
来週はいよいよオードリー・ホーン再登場。
リチャードの悪事は暴露されるのか?
うーん、ミッチャム兄弟、かわいい❤️

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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👇前シリーズの謎を解く鍵だった『 ツイン・ピークス ローラの日記』も再販。
旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

ツイン・ピークス ローラの日記 (角川文庫)

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👇バルサザール・ゲティ出演の『ロスト・ハイウェイ』はこちら

今月の読書 〜2017年9月〜

9月は何と言っても圧巻だったマリオ・バルガス=リョサ『都会と犬ども』と、終盤で全てをひっくり返すテジュ・コール『オープン・シティ』の二冊が特に印象に残った二冊。
ボラーニョは相変わらず好きだったし、
多和田葉子さんの本も少しずつ読んでいこう。エンタメではこれがデビュー作だというスミス・ヘンダーソン『われらの独立を記念し』が良かったです。


蜜蜂と遠雷恩田陸
幻冬舎

主要登場人物キャラクター設定が、小説というより漫画みたいだなと感じたが、それはまあよしとして、
国際的ピアノコンクールのエントリーから本戦までという限られた時間を描くという試みは面白いし、
音楽を言葉で表現するという難しい挑戦も途中まではよかったんだが、後半、どうにも表現が大仰過ぎて辟易し、飛ばし読みしてしまった。
最初は美味しかったのに食べてるうちに脂っこいので箸が止まってしまった料理みたいな感じと言ったらいいのか。
コンテスタントの中で宇宙人的存在の風間塵がその真価を見せつけるオケとのリハーサルのシーンは好きでした。

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

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『蜜蜂と遠雷』ピアノ全集[完全盤](8CD)

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■都会と犬ども/マリオ・バルガス=リョサ
杉山晃 訳/新潮社
La ciudad y los perros /Mario Vargas Llosa/1962

どんな時代のどんな学校にもある程度は存在するであろうスクール・カースト
しかし、あらゆる階級の少年達が集まるレオンシオ・プラド士官学校で、その階級を決定付けるのは腕力と狡賢さ。
アルベルトは道化を演じ、ジャガーはその腕力でクラスを支配し、繊細で心優しいリカルドは“奴隷”となる。
バルガス=リョサ二十代半ばの作品だが、
第二部でガンボア中佐の存在感が増し、
テレサに思いを寄せる謎の少年の正体が明らかになる見事な構成は既に見てとれるし、落ち着き払った最近の作品にはあまり見られない“熱”が感じられる。傑作です。

都会と犬ども

都会と犬ども


■死の天使ギルティネ/サンドローネ・ダツィエーリ
清水由貴子 訳/早川書房(ハヤカワミステリ文庫
L'ANGELO/Sandrone Dazieri/2016

ローマに到着した急行列車の先頭車両の乗客が全員死亡していた。
という、かなりショッキング(ど派手)な幕開けのシリーズ第二作。
前作ダンテが捜査に関わったのはほぼ事件当事者という事情だったが、今回はダンテが捜査に関わるのはあくまでコロンバの独断であり、こじつけに近い印象。
ただし、ISISの犯行が疑われるテロがヨーロッパ各国で起きている現実が、ストーリーを寄りリアルに感じさせるのも確か。
ISISの脅威だとかチェルノブイリだとか事実を巧くストーリーに取り込んではいるが、特殊部隊出身の男が真相をあっさり喋ったり、ダンテの弟(と自称する男)がイタリアのテロ対策班に潜入していたりとご都合主義は否めない。
なんでも三部作の構想だそうで、現在執筆中だという三作目でダンテの出自、幼少期の謎が明らかになるのだろう。
二作目である本作は大いなる伏線と言ったところか?
それにしても「コタール症候群」なんていう奇妙な病気があるとは、初めて知りました。
作曲家志望のコロンバの部下アルベルティは無事でいて欲しい。

死の天使ギルティネ 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死の天使ギルティネ 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死の天使ギルティネ 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死の天使ギルティネ 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死の天使ギルティネ(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死の天使ギルティネ(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死の天使ギルティネ(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死の天使ギルティネ(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

👇シリーズ一作目『パードレはそこにいる』はこちら

パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)


スポットライト 世紀のスクープ カトリック教会の大罪/ボストングローブ紙〈スポットライト〉チーム
有澤真庭 訳/竹書房
BETRAYAL The Crisis In The Catholic Church/the investigation staff of the Boston globe /2015

アカデミー賞受賞作の映画では、数々の圧力を乗り越え、カトリック教会の神父による性的虐待事件と教会の組織的隠蔽に関する報道にこぎ着けた記者たちの奮闘が描かれていたが、本書は最初のスクープからその後数百本に及んだ報道の全貌である。
あらためてその所業の醜悪さには暗澹たる思いだが、
なぜここまで被害者の声が放置され続けたかと言えば、
事件の隠蔽には教会組織だけでなく、地域、一般信者までもが加担していたからだ。
神父と信者、教会と信者の関係については不信心者は想像するしかないが、そこにこそ事件の闇がある。
神=教会、神=神父(司祭、司教)ではないのが、
信者にとっては絶対に逆らえない相手だったことは想像に難くない。
教会側にとっても示談に要する多額の賠償金は相当な負担であり破産状態に陥る教区もあった。
それでも問題を隠し続けたのは、次期法王とも目された枢機卿の保身だ。
その結果、人々を救うはずの協会側が長年に渡って(恐らく数百年単位で)災厄をまき散らし続けた。
コツコツと取材を重ね、証拠を発見し、多くの圧力を乗り越え隠蔽の図式を明らかにした〈スポットライト〉チームは称賛に値するが、昨今の日本の報道事情を鑑みるに「私たちの〈スポットライト〉チームは何処に?」と暗い気持ちになったことも確かだ。
非常に残念なことに、翻訳が酷い。
日本語としてこなれてないだけでなく、
被害者に対し「男性」「男」と表現がバラバラだったり(「男性」で統一すべき)、
明らかな間違いも散見される。
校正者も編集者も目を通しているはずなのにこの状態で出版されてしまったことに驚く。
日頃翻訳者の素晴らしい仕事に触れているだけに残念で仕方なかった。

スポットライト 世紀のスクープ カトリック教会の大罪

スポットライト 世紀のスクープ カトリック教会の大罪

👇映画化されたアカデミー賞受賞作
スポットライト 世紀のスクープ』はこちら

スポットライト 世紀のスクープ[Blu-ray]

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スポットライト 世紀のスクープ[DVD]

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■通話/ロベルト・ボラーニョ
(ボラーニョ・コレクション)

ロベルト・ボラーニョは詩人であり小説家だが、
それ以前に名もなき人の声に耳をかたむける人だったんじゃないかと思う。
多分ボラーニョの周りの名もなき人々の多くが、
彼には心を開いて、自分の人生について語ったんじゃないか、そんな風に思う。
自身の作家としての成功を充分見届けることが出来ずにこの世を去った彼だからこそ、彼らの物語に共感することが出来たんじゃないかな。
収録作のどれも好きだけど、「エンリケマルティン」「雪」「「ジョアンナ・シルヴェストリ」辺りがお気に入り。
(収録作品)
1.通話
⚫︎センシニ
⚫︎アンリ・シモン・ルブランス
⚫︎文学の冒険
⚫︎通話
2.刑事たち
⚫︎芋虫
⚫︎雪
⚫︎ロシア話をもうひとつ
⚫︎ウィリアム・バーンズ
⚫︎刑事たち
3.アン・ムーアの人生
⚫︎独房の同志
⚫︎クララ
⚫︎ジョアンナ・シルヴェストリ
⚫︎アン・ムーアの人生

[改訳]通話 (ボラーニョ・コレクション)

[改訳]通話 (ボラーニョ・コレクション)


■献灯使/多和田葉子
講談社

3.11後のディストピア小説。
表題作の『献灯使』は『不死の鳥』と対になっている。
100歳を過ぎても老人は老いずに働き続け、子供たちの身体はガラスのように脆い。
都心部の人口は激減し、人々は四国や沖縄に移住、
鎖国政策をとる国では外来語も許されない。
不気味なのは、フィクションのはずのディストピア世界が今現在のこの国の状況に奇妙に符合することだ。
2014年の作品だが予言めいている。

「これまで適用されたことのない法律ほど恐ろしいものはない。誰かを投獄したくなったら、みんなが平気で破っている法律を突然持ちだして逮捕すればいいのである。」

「議員たちの仕事は法律をいじることだった。法律は絶えず変わっていくので、いじられていることは確かだ。ところが、誰がどういう目的でどういじっているのかが全く伝わってこない。法そのものが見えないまま、法に肌を焼かれないように直感ばかりを研ぎ澄まし、自己規制して生きている。」

「知らない単語は知っている単語の中にあらわれることで、辞書を引かなくても、意味が理解できる。知っている単語の中に一割くらい知らない単語の混ざったものを読み続けることで語彙は増えていく。」

表題作のタイトル(『献灯使』→“遣唐使”)、
漢字を解体しながら物語が進む『韋駄天どこまでも』、
言葉遊び満載の多和田ワールドは日本語で表現することの面白さを教えてくれる。堪能しました!
(収録作品)
⚫︎献灯使
⚫︎韋駄天どこまでも
⚫︎不死の鳥
⚫︎彼岸
⚫︎動物たちのバベル

献灯使

献灯使

献灯使 (講談社文庫)

献灯使 (講談社文庫)


■われらの独立を記念し/スミス・ヘンダーソン
鈴木恵 訳/早川書房ハヤカワ・ポケット・ミステリ
FOURTH OF JULY CREEK/SMITH /HENDERSON /2014

1980年大統領選の年、
ソーシャルワーカーのピートは、小学校に姿を現したみすぼらし格好の少年ベンジャミンと出会う。
彼は終末論者の父親ジェレマイアと山の中で暮らしていたが、ジェレマイアは頑なに援助を拒む。
一方、ピート自身も父親や弟とは疎遠、
若くして結婚したベスとは別居中だった。
ミステリー要素はジェレマイアの妻や他の子供たち、
家出したピートの娘レイチェルの行方になるが、
ここで描かれるのは、何とか皆を救いたいのにそれが上手くいかないというピートの苦悩だ。
他人の為に奔走する一方、滅茶苦茶になる私生活と増える酒量。
日本でも虐待事件が明るみになると、
児童相談所の対応は適切だったのかと批判の矛先が支援する側に向かうことも少なくないが、
実際問題、他人の家庭に踏み込んで、助けが必要なことを納得させ、支援を受け入れてもらうことというのは大変な作業だと思う。
ソーシャルワーカーにだって家族もいれば家庭もある。
しかし、様々な大人の事情に優先するのはやっぱり子供たちの安全だ。
ベン、セシル、レイチェル、危うさの一方で彼らの逞しさが一筋の光だ。
ミステリーとしてはとても地味だが、
等身大の登場人物の心情を描き切った本作、
デビュー作としては上々の出来だと思う。
モンタナの厳しくも美しい自然描写も印象に残る。

われらの独立を記念し (ハヤカワ・ミステリ)

われらの独立を記念し (ハヤカワ・ミステリ)

われらの独立を記念し (ハヤカワ・ミステリ)

われらの独立を記念し (ハヤカワ・ミステリ)


■半分のぼった黄色い太陽/チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
くぼたのぞみ 訳/河出書房新社
HALF OF YELLOW MOON / Chimamanda Ngozi ADICHIE / 2006

物語は、「60年代前半」「60年代後半」の二部に分かれているが、これはそのまま「戦前」と「開戦後」という意味でもある。
まず「戦前」の暮らしの様子で登場人物を読者に身近に感じさせる構成は、「開戦後」厳しくなっていく暮らしを何とか生き抜こうとする彼らへの共感に繋がっていく。
家族、男と女、母親と息子、肌の色や言葉が違っても、人の暮らしや想いに大きな違いはない。
戦争が人の暮らしや心の何を変え、何を変えないのか、これもまた国も時代も超えたものである。
メイン・キャラクターのオランナの双子の姉妹カイナナの言葉が胸にささる。

「私たちはみんなこの戦争のただなかにいるの。
別人になるかどうか決めるのは、私たち自身よ」

ナイジェリアの内戦、ビアフラ戦争については何も知らなかったが、この戦争の背後にちらつくのは、
英米ソ連といった大国の影だ。
独立を果たしても旧宗主国や大国の思惑に振り回され、内戦の道を進むアフリカの国々にも思いを寄せたいと思う。

半分のぼった黄色い太陽

半分のぼった黄色い太陽

👇映画化もされているようです。観たい!


■オープン・シティ/テジュ・コール
小磯洋光 訳/新潮社(新潮クレスト・ブックス)
OPEN CITY/Teju Cole/2011

混血として生まれ幼少期を過ごした土地を離れ何処にもコミットしていないという寄る辺なさと孤独を抱えるジュリアス。
ニューヨークを歩きブリュッセルを彷徨い、
身体はそこにあっても心は距離も時間も超え、
自らの過去、その土地の歴史に思いを馳せる。
冬のNYの痛いくらいの空気の冷たささえ感じられる描写力は素晴らしいし、知的だが、
何処かスノッブで鼻持ちならない。
祖母を思いブリュッセルに向かうも然程必死に探すでもなく、母との間の距離についても多くを語らない。
ジュリアスに対するこうした違和感の正体は、
終盤、同級生の姉であるモジによって暴露される。
国やその土地に眠る暴力の歴史について語りながら、
自分が加害者となった暴力については無自覚なジュリアス。
テジュ・コールはジュリアスについてモジに「精神科医の知ったかぶり屋」と言わせている。
テジュ・コールは読者がジュリアスに抱く違和感など織り込み済みなのだ。人は歴史の傍観者としてならいくらでも善の側に立てるが、
当事者となるとそうはいかない。

オープン・シティ (新潮クレスト・ブックス)

オープン・シティ (新潮クレスト・ブックス)

オープン・シティ (新潮クレスト・ブックス)

オープン・シティ (新潮クレスト・ブックス)