極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 4〈第4話〉


EPISODE 4


■ラスベガス:シルバー・ムスタング・カジノ

スロットマシンのジャックポット(大当たり)を出し続けるクーパー。
30回連続でメガ・ジャックポットを出し、
これにはカジノ側も真っ青。

そんなクーパーにダギーの知り合いらしき男
ビル・シェーカーが話しかけてくる。
当然クーパーはビルと面識はない。

「うち、どこ?」

様子のおかしいクーパーにビルは答える。

「マジかよ?ランスロット・コートだろ?
お前んちは赤いドアの家。
あれはいい目印だ。
マーリンズ・マーケットのそば、
ここから遠くない。
タクシーで6ドルか8ドルってとこだ」

それを聞いたクーパーはスロットマシンで当てた金も受け取らずにカジノを出ようとするが、
係員に引き留められる。
大金を当てたクーパーを上客にしたいカジノは金を渡し、クーパーにリムジンを用意する。

ようやく運転手が赤いドアの家を探し当てる。

しばらく玄関の前で待っていると(クーパーと運転手の頭上をふくろうが飛び去る)、ダギーの妻ジェイニーEが出てきて、いきなりクーパーの横っ面を張る。

「どこ行ってたのよ?どういうこと?」
三日も何の連絡もしないで、会社は無断欠勤するし、
今日は
サニー・ジムのお誕生日だったのよ!
どういうつもり?」

家に入るなりジェイニーEに責め立てられるクーパーだったが、何も答えられない。

しかし、大金の入った袋に気付いたジェイニーEは態度を一変。

「これだけあれば借金も返せる!
今日は人生で一番素敵で、一番恐ろしい日だわ!」


※ダギーと入れ替わったクーパーが家に戻ったタイミングでふくろう。意味深だ。
ダギーの妻ジェイニーEを演じるのはデヴィッド・リンチ監督作『マルホランド・ドライブ』でブレイクしたナオミ・ワッツ



FBI本部:連邦捜査局首席補佐官のオフィス

オフィスに通されるゴードン・コール。
現れた連邦捜査局首席補佐官は元DEA捜査官の
デニース・ブライソン
今ではデニスではなく、すっかりデニースになりきっている。

「デイル・クーパーだ、見つかったんだよ。
サウスダコタ州にいた。
今はサウスダコタ州の連邦刑務所入っている。
明日会いに行くつもりだ」

デニースはゴードンに若く美しいタミー・プレストン捜査官を一緒に連れて行くことについて釘をさすが、
ゴードンは彼女が優秀だから連れて行くのであって他意はないと応じる。
ゴードンは、DEA捜査官時代のデニースに対する他からの批判を取り合わなかったことを彼女に思い出させる。
デニースが優秀だったから批判に取り合わなかったのだと。

「あなたを信じてる、いつだって。
あなたは今大きな何かを追っている。
アルバートも一緒? 頑張って」

デニースはそう言ってゴードンを送り出す。


※前シーズンDEA捜査官としてクーパーに協力したデニス・ブライソンはFBIで出世したらしく現在の肩書きは“連邦捜査局首席補佐官”。
かつてデニースとして女装するのはは捜査の為だったが、今では完全にデニースとして生きているらしい。
演じているのは、前シーズンに引き続きデイヴィッド・ドゥカヴニー


ツイン・ピークス:保安官事務所

電話で釣りに行っているはずのフランク・トルーマン保安官サーモスタットについて話をしているルーシー。
ルーシーは誰もいない時にサーモスタットがどうなっているのか気になっている。

そこへ当のトルーマン保安官が入って来る。

驚いたルーシーは椅子ごとひっくり返って気を失う。
トルーマン保安官はずっと駐車場にいて携帯電話でルーシーと話していたのだが、ルーシーは携帯電話のような文明の利器に一向に慣れることの出来ないでいる。

保安官は今夜の報告を受けている。
DVに酔っ払い運転に酩酊運転。
高校ではドラッグの過剰摂取でデニス・クレイグという生徒がベルが鳴ってもデスクから起き上がらず。

部屋を出た保安官が声をかけたのは、
ローラ・パーマーのかつてのボーイ・フレンド、
ボビー・ブリッグスだった。
彼は保安官補なっている。

会議室ではホークと保安官が丸太おばさんからの情報について検討している。

保安官事務所の中には丸太おばさん(丸太)からの情報を信用していない人間もいる。
一方、会議室でローラ・パーマーの写真を目にしたボビーは動揺し、泣き出してしまう。

ボビーは生前の父親ガーランド・ブリッグス少佐に最後に会ったのはクーパーだと告げる。
少佐と話をしたクーパーはその後すぐにツイン・ピークスを離れたらしい。
翌日、少佐は基地の火事で亡くなっていた。

そこへウォリー・ブランドという男が来ているという知らせが。
ウォリー・ブランドはアンディとルーシーの一人息子。
ウォリーは保安官に挨拶したいという。

ウォリーの名付け親はハリー・トルーマン保安官。
彼は現在入院中である。
現在の保安官はフランク・トルーマン
ハリーの兄である。

自分の使っていた部屋は両親の好きに使って欲しいというウォリー。

「会えて良かったよ。それと、君の車輪にふさわしい道になるように祈ってる」

保安官の言葉に感動するウォリー。


ハリー・トルーマン保安官の兄、フランク・トルーマン保安官役は、ロバート・フォスター
アンディとルーシーの息子ウォリー・ブランドを演じるのはマイケル・セラ
ウォリーはマーロン・ブランドと誕生日が同じという設定で、彼のファッションはマーロン・ブランドの出演作『波止場』にインスパイアされているのだろう。



■ラスベガス:ダギー・ジョーンズ宅

ダギーの家で朝を迎えたクーパー。
ベッドの上には洋服が用意されている。


■ブラックロッジ

何かを探すように右手をかざし歩き回る片腕の男フィリップ・ジェラード。


■ラスベガス:ダギー・ジョーンズ宅

寝室の片隅にブラックロッジの片腕の男の姿を見るクーパー。

You see me don't you.
俺が見えているんだろ
You were tricked.
お前はだまされた

片腕の男はそう言うと、
元はダギーだった金色の玉をクーパーに見せる。

Now one of you must die.
もう一人は死ぬことになる

そう言うと、片腕の男は消える。


そこへジェイニーEが入って来る。
クーパーはトイレに行きたいのだが、
用の足し方さえ分からない。

着替えをジェイニーEに手伝ってもらうクーパー。
ダギーの服はクーパーには大きすぎる。
しかし、ジェイニーEはダギーが痩せたと思い込んでいる。

一階のダイニング・ルームに降りて来るクーパー。
締め方など当然忘れているクーパーはネクタイを頭に巻いている。

息子サニー・ジムに椅子を引いてもらい、
ようやくテーブルにつくクーパー。
以前とは違う様子の父親をサニー・ジムは面白がっている。

コーヒーがあんなに好きだったクーパー。
しかし、コーヒーを口にした彼は吹き出してしまう。


※片腕の男の言う“お前はだまされた”とはどういう意味なのか?誰がクーパーをだましたというのか?
死ぬことになるという“もう一人”とは一体誰のことなのか?バッド・クーパーなのか?

ダギーの息子サニー・ジム役はピアース・ガニォン君。
彼はスピルバーグ製作総指揮のSFドラマ『エクスタント』では、ハル・ベリー演じる宇宙飛行士のアンドロイドの息子を演じていた。


サウスダコタ州:バックボーン警察署

鑑識担当のコンスタンス・タルボットが遺体から採取した指紋をデータベースで見つける。
しかし、記録の閲覧は機密らしくアメリカ軍によってブロックされていた。


サウスダコタ州:連邦刑務所

ゴードン・コール、アルバート・ローゼンフィールド、タミー・プレストン、FBI一行がサウスダコタに到着。
三人は事故を起こし逮捕されたクーパー(だとゴードンたちは思っているが実はバッド・クーパー)と面会するため連邦刑務所へ。

バッド・クーパーの車のトランクでは、
コカイン、マシンガン、ビニールに包まれた犬の足が発見されていた。

「また会えて“もてと”嬉しいよ、懐かしの友よ」
「私もとても嬉しいよ、懐かしの友よ」
「もう随分長いことあんたとは会っていなかった」
「ああそうだな、会っていない」
「ゴードン、共に過ごしたあの頃がとても懐かしいよ」
「ああクープ、私も共に過ごした頃が懐かしい。これまで一体どこにいた?」
「ゴードン、潜入捜査をしていたんだよ。
あれからずっと主にフィリップ・ジェフリーズと組んで動いていた」
「フィリップ・ジェフリーズ?」
「その仕事についてあんたに報告したいことがあるんだよ、ゴードン。
始めから説明させてくれ。
いろいろと経緯があってそうすることになったんだが、あんたにそれを報告しに行こうとして予定より遅れていたので急いでいた。
車を走らせていて道路から外れてしまった。
事故を起こしてしまった」
「そのようだな、おかげでお前を見つけ出せた」
「あんたに報告したいことがあるんだよ、ゴードン。
あんたにそれを報告しに行こうとして予定より遅れて急いでいた。
車が道路から外れてしまった。
事故を起こしてしまった。
メッセージを残した」
「どんなメッセージなんだ?クープ」
「フィリップに安全だと知らせるためのメッセージだ。
ゴードン、いつここから出られるんだ?」
「クープ、地元警察にはお前を拘束するだけの理由があるんだ」
「それなら法廷で身の潔白が証明される」
「そうだなクープ、我々もお前が家に帰れるよう尽力しているから心配するな」
「俺は本当に家を出たことはないよ」
「またすぐ来るからな、クープ」

クーパーの口調はまるで原稿を棒読みしているようでまったく感情がこもっていない。

ゴードンは所長にクーパーに個人的な電話をかけさせ、会話を聞いておくよう命じる。

クーパー(バッド・クーパー)がフィラデルフィアに向かっていたというのは嘘だと主張するタミー。
彼女はフィリップ・ジェフリーズを知らない。
ゴードンはタミーに席を外させる。

ゴードンと二人きりになると、
実はフィリップがクーパーに情報を渡すのを許可したとアルバートは告白する。
アルバートにフィリップから連絡があり、
情報をクーパーに渡したいと言ってきたのだった。
アルバートはクーパーと直接話していない。
フィリップが渡した情報は、
コロンビアの男の名前。
一週間後、その男は死んだ。

ゴードンもアルバートも留置場のクーパーの様子はどこかおかしいと気付いていた。
あれは単なる事故じゃないと。
しかし、二人共、状況を理解していなかった。

「お前は理解出来るか?アルバート
青いバラ
「これ以上なく青い」
アルバート、ここは何をおいてもあの人物にクーパーに会ってもらうべきだと思うんだが」
「同感です」
「住んでるところを知ってるか?」
「飲んでるところなら」


※“俺は本当に家を出たことはないよ”というバッド・クーパーの台詞が気になる。
前回、ブリッグス少佐がつぶやいていた青いバラという言葉。
ここでゴードンとアルバートは何かの符丁のように使っているが、一体どういう意味なのか?
そしてゴードンがクーパーを会わせるべきだという人物は誰なのか?
〈追記〉
シリーズの前日譚『ツイン・ピークス ローラ・パーマー 最期の7日間』を観直したら、
青いバラ事件”とは、ゴードン・コールが以前担当した事件だという言及あり。


ツイン・ピークス:ロードハウス

今夜のバンドはAu Revoir Simone


エンディングの曲Au Revoir Simoneの『LARK 』はこちら👉Au Revoir Simone - Lark (Official Music Video) - YouTube


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今エピソードでは、ナオミ・ワッツロバート・フォスターマイケル・セラといった映画でも活躍する新メンバーが登場。
前シーズンのメンバー、ボビーとデニースも戻ってきた。
しかし、まさかボビーが保安官補になっているとは!
ボビーと言えば、ローラやマイクと一緒に麻薬取引に関わっていた悪ガキ。
今じゃカナダから入ってくる麻薬に目を光らせているって、ああ、25年の月日の流れを感じます。

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

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ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

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