“体当たり”の人生再生ストーリー
ある事件で服役していたローズは、
出所後、離れて暮らしていた息子ミカエルに会いに行く。
しかし、すっかり成長したミカエルは他人行儀で、
5年振りに会った母親に笑顔さえ見せない。
息子との間に出来てしまった溝にショックを受けたローズは、息子が好きだというプロレスでその距離を縮めようとするのだが…。
いわゆるスポ根+人生再生のストーリー。
この設定自体に新鮮味はないし、
スポーツ経験すら怪しいスーパーのレジ係が、高々数ヶ月のトレーニングでプロと試合をしようなんて絶対無理!とか、
どう考えても低いハードルとは思えない
「プロレス一緒にやらない?」という誘いに、
こんなに簡単に乗る?とか、
次々と疑問がわいてくるのも確かではある。
しかし、そんな疑問は観ているうちにどうでもよくなるくらいに、
四人の女たちのキャラクターが
圧倒的に魅力的。
夫婦関係が倦怠期のコレットは夫の浮気に悩み、
ゴスっぽいファッションで皆に煙たがられているヴィヴィアンは実は容姿にコンプレックスを抱え、
彼女たちにプロレスを教えることになるリシャールは、
かつて“獅子心王”と呼ばれた人気レスラーだったが、
妻亡き後(彼女自身もレスラーだった)プロレスとは距離を置いている(と推測)。
息子の信頼を取り戻したいローズだけでなく、
皆それぞれに今の人生を変える“きっかけ”を求めていたのだ。
四人の女優陣は、専属トレーナーから2ヶ月間週12時間のトレーニングを受けて役に臨んだという。
文字通り、正に体当たり!
人生再生を賭けた彼女たちの闘いに胸が熱くなる。
今作の舞台になっているのは、
フランスの北部の町リール。
何でもフランス国内におけるプロレス発祥の地ということで、
フランスでプロレス文化がこんなに根付いていて、
しかもとても人気があるというのは新鮮な驚きだった。
TVのゴールデン・タイムのプロレス中継、
女子プロレスブームなど知っている年代にとっては懐かしさもあり、そのノスタルジーも手伝って胸が熱くなってしまうのかもしれない。
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⚫︎ママはレスリング・クイーン
/LES REINES DU RING(2013 フランス)
監督:ジャン=マルク・ルドニツキ
今作は四人の女たち以外のキャラクターも粒揃い。
中でも特に印象に残るのは、
母親に強制的にバレエ教室に通わされているが実は悪役プロレスラーになりたくてヴィヴィアンに憧れる少女で、彼女のキャラクターは重要。
ヴィヴィアンは、この少女のお陰で自身の持つキャラクターを受けいれて、コンプレックスから自由になる。
そして、練習相手のおばあちゃんレスラーのカワイイことといったら、もうね!
映画の中の設定では40代後半となっているが、
まず、こういう役を引き受けたという勇気と柔軟性が素晴らしいし、しかもナイス・バディだし、チャーミングだし、こういう年のとり方、見習いたいです。
予告編はこちら👉映画『ママはレスリング・クイーン』予告編 - YouTube
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