キターッ!!!
エピソード1を観ながら、
久しぶりに心の中で叫んだ私的大ヒットドラマ!
キリング・イヴ/KILLING EVE
世界各国で暗躍する凄腕の美しき暗殺者ヴィラネル。
一連の犯行が女の犯行だと見抜き、MI6の極秘捜査班に抜擢される元MI5職員イヴ・ポラストリ。
追う者と追われる者の攻防を描くノンストップサスペンスだ。
サイコパス(殺人鬼あるいは暗殺者)と刑事(あるいはFBI捜査官など)の攻防を描く、小説、映画、ドラマは珍しくないが、この後シリーズの一番の特徴は追う側も追われる側も女性だという点だろう。
相対する関係でありながら強く惹かれ合う二人。
表面上は敵対する関係だが、
人間的には並々ならぬ興味を持っている。
ヴィラネルはイヴにかつての恋人の面影を重ね、
イヴはヴィラネルが暗殺者に仕立て上げられたのではないかとどこかで同情している。
お互いに、追う者追われる者を越えた複雑な感情を抱いているからこそ、
二人の関係は予測不能なのだ。
それでは、登場人物を紹介しよう。
イヴ・ポラストリ
(サンドラ・オー/沢海陽子)
MI5職員。
子供はいないが、教師の夫ニコとは夫婦円満。
退屈なデスクワークに飽き足らず、
自主的に世界各国で暗躍する女暗殺者の調査をしている。
ある任務の失敗によりMI5をクビになるも、
一連の犯行を女暗殺者の犯行だと見抜き、
MI6の伝説的存在キャロリン・マーテンスに極秘捜査班を仕切るよう抜擢される。
ヴィラネルに対し、憎むべき犯罪者というよりも、
何故暗殺者となったのかも含め、
人間的に興味を持っている。
イヴ・ポラストリを演じるサンドラ・オーは、
まさにはまり役で、ゴールデングローブ賞ドラマシリーズ部門主演女優賞を受賞。
映画は字幕、ドラマは吹替派だが、サンドラ・オーの吹替キャストの沢海陽子さんが素晴らしい仕事ぶり!
サンドラ・オーの声や喋り方と比べても、まったく違和感がない。
ヴィラネル
(ジョディ・カマー/逢田梨香子)
ある組織の命令により、世界各国で犯行を繰り返している、冷酷で凄腕の女暗殺者。
一切痕跡を残さない完璧な仕事ぶりだったが、
キャロリン曰く「最近、自己顕示欲が出てきた」。
ヴィラネルは不幸な家庭環境で育ち、ある事件を起こして逮捕され、服役中に暗殺者として適性を見出され、訓練を受ける。
人を殺すことに一切躊躇はなく、人の命が消えてゆく瞬間にエクスタシーを感じる完全なサイコパス。
多言語を操り、母国語であるロシア語は話したがらない。一番好きなのはフランス語、パリ在住。
おしゃれが大好き。
レズビアン寄りのバイセクシャル。
イヴに、かつて愛した(執着した)相手の面影を重ねている。
イヴの追跡から逃げるのではなく、
自ら近づいていく。
冷酷な凄腕暗殺者としての顔と、傷ついた少女の顔を持つヴィラネル。
これだけ表情が豊かで、クルクル変わるサイコパスも珍しいし、ジョディ・カマーの作り上げた暗殺者像は新機軸じゃないだろうか?
キャロリン・マーテンス
(フィオナ・ショウ/高島雅羅)
MI6ロシア担当のベテラン職員。
過去にプルトニウム拡散を防ぐなど伝説的な存在。
イヴと同様、一連の犯行を女暗殺者のものと考え、
極秘捜査班を立ち上げる。
仕事と家庭は両立できないと考える離婚経験者。
情報を得るためなら、色仕掛けも辞さず。
コミックリリーフとまでは言えないものの、
このシリーズのオフビート感、乾いたユーモアの多くを担っているのが実はキャロリンというキャラクター。
ビル・パークレーブ
(デヴィッド・ヘイグ/内田直哉)
MI5、イヴの直属の上司であり、親しい友人。
暴言を吐き、イヴと同時に解雇されるが、
イヴの要請で極秘捜査班のメンバーに。
MI5在籍時とは上下関係が逆転する。
過去に8年間のベルリン勤務経験あり。
ドイツ語に堪能。
(当時は、MI6所属?)
妻は日本人のケイコ(海苔巻きといなり寿司のお弁当を持参している)。
ケイコとの間にまだ乳児の息子がいる。
実はバイセクシャル。
ニコ・ポラストリ
(オーウェン・マクドネル・ダグラス/新納慎也)
イヴの夫で、教師。ブリッジ教室の講師。
ポーランド人。
温和な性格で、料理上手。口髭がチャームポイント。
妻の新しい仕事の危険性を心配している。
ケニー
(ショーン・ディレイニー/梶裕貴)
ヴィラネル追跡の極秘捜査班のメンバーでネットの住人。
ネット上のあらゆる情報を入手するハッカー。
エレナに気がある。
エレナ・フェルトン
(カービー・ハウエル=バプティスト/田村聖子)
MI5職員。イヴの後輩。
MI6のキャロリン・マーテンスを崇拝している。
イヴに極秘捜査班に誘われ、MI5には辞表を叩きつけ、辞職。
危険な現場には及び腰で後方支援に徹する。
フランク・ヘイルトン
(ダーレン・ボイド/根本泰彦)
MI5職員。ビルとイヴの上司。
任務に失敗したイヴと共に、暴言を吐いたビルもクビにする。
日頃から部下に好かれていない。
ガンで闘病中だった妻を亡くしたばかりで、
二人の子供は有名私立学校に通っている。
コンスタンティン
(キム・ボドゥニア/大塚芳忠)
謎の組織とヴィラネルの連絡係。
ヴィラネルとは長い付き合いで、彼女に厳しく接しながらも、命令通りに動かない彼女の逸脱を心配している。
ロシア人らしい。
因みに、イヴやビルやエレナが所属するMI5とキャロリンが所属するMI6について整理しておく。
MI5
Military Intelligence Section 5(軍情報部第5課)
イギリスの国内治安維持に責任を有する情報機関
MI6
Secret Intelligence Service(秘密情報部)
任務は、国外の政治、経済及びその他秘密情報の収集、情報工作
完全にイコールではないだろうが、
アメリカにあてはめれば、MI5はFBI、
MI6はCIAということになるだろうか。
アメリカではシーズン2がファイナルを迎え、
シーズン3への更新もすでに決定している。
製作総指揮を務め、脚本も手がけているフィービー・ウォーラー=ブリッジは女優としても活動しているが、最近007シリーズの新作で主演ダニエル・クレイグ直々の指名で脚本のリライトを依頼された今、注目の人物。
彼女の独特なユーモアの感覚、テンポはこのシリーズの特徴にもなっている。
キャリー・ジョージ・フクナガが監督を務める007シリーズの新作も楽しみだが、まずはこの『キリング・イヴ/KILLING EVE 』で彼女の作品世界に触れてほしい。
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●キリング・イヴ/KILLING EVE
SEASON 1 (全8話)
製作:BBCアメリカ
製作総指揮:サリー・ウッドワード・ジェントル,リー・モリス,フィービー・ウォーラー=ブリッジ
製作:コリン・ラッテン
撮影:ジュリアン・コート
美術:クリスティアン・ミルステット
衣装:フィービー・ドゥ・ゲイ
出演:サンドラ・オー,ジョディ・カマー,フィオナ・ショウ,キム・ボドゥニア,カービー・ハウエル=バプティスト,ショーン・ディレイニー,オーウェン・マクドネル,ダーレン・ボイド,デヴィッド・ヘイグ
『キリング・イヴ/KILLING EVE 』
予告編はこちら👉KILLING EVE Official Trailer (HD) Sandra Oh, Jodie Comer Thriller BBC Series - YouTube
脚本、演技はもちろん素晴らしいが、
特筆したいのは既成曲の選曲センスと、
どこで音楽を使うのかというタイミング。
これが絶妙でスタイリッシュ。
この音楽がテンポのいい編集と相まってヘヴィになりがちなストーリーに独特な軽さを生み出している。
サンドラ・オーの代表作といえば、
『グレイズアナトミー』なんだろうが、私はこのシリーズを観ていないので、サンドラ・オーといえば、彼女の元夫アレクサンダー・ペイン監督の『サイドウェイ』。
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『サイドウェイ』は原作の方が好き。
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暗殺者ヴィラネルを好演しているジョディ・カマーの最新作は現在撮影中。
ショーン・レヴィ監督のSFコメディ『Free Guy 』で、ライアン・レイノルズ、チャニング・テイタム、タイカ・ワイティティと共演している。
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《SEASON 1 :EPISODE TITLE 》
#1 その顔、すてき Nice Face
脚本:フィービー・ウォーラー=ブリッジ
監督:ハリー・ブラッドビア
#2 あとで行く I 'll Deal with Him Later
脚本:フィービー・ウォーラー=ブリッジ
監督:ハリー・ブラッドビア
#3 また会えた Don't I Know You
脚本:ヴィッキー・ジョーンズ
監督:ジョン・イースト
#4 ごめんね Sorry Baby
脚本:ジョージ・ケイ
監督:ジョン・イースト
#5 バスルームじゃなきゃいや
I Have a Thing About Bathrooms
脚本:フィービー・ウォーラー=ブリッジ
監督:ジョン・イースト
#6 連れてって! Take Me to the Hotel
脚本:ジョージ・ケイ
監督:デーモン・トーマス
#7 自由なんていや I Don't Want to Be Free
脚本:ロブ・ウィリアムス
監督:デーモン・トーマス
#8 疲れちゃった God, I'm Tired
脚本:フィービー・ウォーラー=ブリッジ
監督:デーモン・トーマス
エピソードタイトルの翻訳センスもナイス!