極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 15《第15話》

EPISODE 15

ツイン・ピークス:ビッグ・エドのガソリンスタンド

ネイディーン・ハーリーがDr.アンプ(Dr.ジャコビー)の金色のシャベルを担いで歩いて来る。
彼女が向かっているのは、“ビッグ”エド・ハーリーのガソリンスタンド。

エド!」
「ネイディーン」
エド、あなたに話がある」
「なあ、車は?どうやって来た?」
「歩いて」
「歩いた?で、そのシャベルは?」
「これが話したいことなのよ」
「それが?」
「そうよ、あなたにこう言いたかったの
私は変わった」
「変わった?」
「ええ、エド、あなたを心から愛してる」
「わかってるよ、ネイディーン」
「でも、あたし、最低だった!
ずっと、自分勝手ばかりやってきて
なのに、あなたは優しかった」
「どうした?」
「聞いて、エド、あたし知ってたの
あなたとノーマがずっと両想いだったって
なのに、嫉妬して、愛し合う二人を引き裂いてた
あなたの優しさにつけ込んでね」
「いいや、そんなことはない」
「私はあなたに罪悪感を背負わせ、縛り付けたのよ
誠実なあなたは私といるために自分の愛をあきらめた
エド、あなたをもう自由にしてあげたい
あたしなら大丈夫!
このシャベルが何か聞いたわね?
これでクソを掘って、外へ出るの」
「ジャコビーの番組を観たのかな?」
「ええ、観てるわよ」
「ネイディーン」
「私の心配はいい、ノーマのとこへ行って
残りの人生を愛する人と楽しんで
私も幸せよ、すっごく!
二人が幸せなんだって思うだけでうれしいの
エド、愛してる、これからもずっと
でも、真の愛とは、人の幸せを願い、
身を引けることなのよ
まったく、不器用な人ね!
素敵なハッピーエンドじゃない!」
「ネイディーン、よく考えたほうがいい
君は自分が何を言ってるのかわかってないんだ
明日になったら、今言ったことをきっと後悔するぞ」
エド、言ったでしょ!
ここまで歩いてきたんだって
考える時間はたっぷりあった
それでも、ここへ来たの
これで間違いないって、確信してる証拠よ
Dr.アンプに感謝してね
つまり、ジャコビー先生によ
ずばり、核心をついてくれるのは先生だけだわ
じゃ、まとめると、エド、あなたは自由よ
さあ、幸せになって!」

晴れやかな表情でエドを抱きしめるネイディーン。
エドは感無量といった表情で、去っていくネイディーンを見つめる。

※ネイディーンにとって掘って出るべき“クソ”は、
自らの嫉妬心だったということか。
Dr.アンプ(ジャコビー先生)のインチキ商売かと思ったら、金色のシャベルにこんな効用があったとは!


ツイン・ピークス:RRダイナー

自由を得たエドはノーマの元へ駆けつける。

「ノーマ、すべてが変わった
さっきネイディーンと話したんだが
俺を自由にしてくれるそうだ」
エド、ごめんなさい、ウォルターが来たから」

エドの報告に一瞬嬉しそうな表情を浮かべたノーマだったが、ちょうど共同経営者のウォルターが訪ねて来る。

出鼻をくじかれたエドはカウンターに座る。
シェリーが注文を聞きにくる。

「何にする?エド
「じゃ、コーヒーを」
「すぐ用意する」
「それと、青酸カリだ…」

ノーマにウォルターの訪問を優先されて傷付くエド
奥のボックス席に座るノーマとウォルター。

「今日来てもらったのは、
伝えたいことがあったからなの」
「名前をノーマのRRに変える
決心するって思ってた」
「いいえ、そうじゃないのよ
売買選択権を行使しようって、思ってるの」
「ええっ?冗談だろ?」
「いいえ、聞こえた通りよ」
「だが、何故?」
「家族の事情」
「君に家族はいなかったはずだが」
「いいえ、素晴らしい家族がいるわ
彼らのことを大切にしたいの
店舗を増やして気を揉むのは、私には無理だったのよ
家での時間を大事にしたい」

エドの元にコーヒーが運ばれて来る。
まるで審判を待つようにじっと目を閉じるエド

「僕には理解出来ないが、君の決断は尊重するよ
君と一緒に成功したいと思っていたから
実に残念だが」
「あなたはきっと成功するだろうし、
そうなることを願ってるわ
でも、規約通り、私はこの一軒を守るから
あなたは私から他の店舗の株を買えばいいわ」
「もうすぐ七軒だ
七つの店が幸せな客であふれていたはずなのに」
「私はここだけで幸せなの」
「念のため、ひと言言っておくが、
君は大きなミスを犯した
きっと後悔することになる」

ウォルターが店を出ていく。
じっと目を閉じたままのエドの肩にノーマの手が置かれる。
この瞬間を待ち続けていたエドはノーマに向き直り、
二人は笑顔で見つめ合う。

「結婚しよう」

とうとうその言葉を口に出来たエド
キスで応えるノーマ。

「もちろんよ、エド

二人を祝福するシェリー。

※文字通り、二十五年という時間の重みを感じるシーン。
お互いに(観ている視聴者も)年をとったエドとノーマがようやく結ばれたこのシーンには感無量。
このシーンで使われているのは、タイトルからしてぴったりのこの曲。
Otis Redding『I've Been Loving You Too Long 』はこちら
👉Otis Redding - I've Been Loving You Too Long - YouTube


■ハイウェイ

夜道をひた走るバッド・クーパーの車。
やがて見えてきたのは、
二十五年前、フィリップ・ジェフリーズが見つけたと言っていたコンビニエンス・ストア
店の前には案内するかのようにWoodsmanの姿が。
店に二階はないが、店の脇の階段を上っていくWoodsman の後を追うバッド・クーパー。
しかし、二人の姿は階段の途中で消える。

部屋の中に入ったバッド・クーパー。
部屋の片隅の椅子に座っているWoodsman 。

「フィリップ・ジェフリーズを探している」

バッド・クーパーがこう告げると、Woodsman は何かスイッチのようなものを操作する。
浮かび上がるJumping Man の姿。

もう一人のWoodsman に案内され、部屋の奥へと進むバッド・クーパー。
廊下の突き当たりの階段を上がった先のドアを開けると、そこは屋外だった。
雨上がりのように、所々に水たまりがある。
そして、その向こうにはモーテルのような建物。
ひとつのドア、8号室の外の明かりだけが点いている。
バッド・クーパーがドアノブを回そうとするが、
鍵がかかっている。
すると、寝間着姿の女が近づいてくる。

I'll unlock the door for you.
ドアの鍵を開けてあげる

女はそう言うと、8号室の鍵を開ける。
部屋の中には、大きなソケットのような物体。
湯沸かしのように煙を吐き出している。

「ああ、お前か」
「ジェフリーズ」
「なんてこった!」
「レイに俺の殺しを依頼したな」
「何?レイに電話はした」
「つまり、依頼したんだろう?
五日前、俺に電話したか?」
「お前の番号を知らない」
「じゃあ、あれは別の誰かか?」
「昔はよく話した」
「ああ、そうだった」

フィリップは声だけで、姿は見えない。

さてと、先に言っておくが、
俺はジュディのことは話さないし
ここで話題にするつもりもないから

「1989年だ、
お前はFBIフィラデルフィア支部に現れ
ジュディに会ったと言ったんだ」
「つまり、お前はクーパーか?」
「フィリップ、何故ジュディの話をしたがらなかった?
ジュディとは誰だ?
ジュディは俺に何か用があるのか?」
「直接、ジュディに聞いたらどうだ?
俺からお前に教えよう」

吐き出される白煙に浮かび上がる数字。
4、8、5、5、1、4…
メモを取り出すバッド・クーパー。

「ジュディとは誰だ?」
「お前はもうジュディに会ってる」
「もう会ってるとはどういう意味だ?」

その時、部屋の隅の昔ながらの黒電話が鳴り出す。

「ジュディとは誰だ?何者なんだ?」

バッド・クーパーが電話をとると、
その瞬間、彼の身体はコンビニエンス・ストアの外の公衆電話に移動している。
何も言わずに電話は切れる。

電話を切ったバッド・クーパーに銃を向け
待ち構えていたのは、リチャード・ホーンだった。

「農場で見て、すぐわかった、FBIだろ?」
「どうして、そう思う?」
「前に写真で見た、あんたはスーツでキメて
そばに来んなっ!」
「その写真はどこで見た?」
「母親が持ってた」
「お前の母親は?」
「オードリー・ホーン
で、あんたはクーパーだ」

それを聞いたバッド・クーパーは唾を吐いたかと思うと、一瞬でリチャードから銃を奪い殴り倒す。

「二度とふざけた真似するな
トラックに乗れ、おしゃべりしよう」

リチャードはおとなしく車に乗る。
バッド・クーパーは携帯でメッセージを送る。

Las Vegas ?
ラスベガスは?

リチャードを車に乗せたバッド・クーパーが去ると内部で発光したコンビニエンス・ストアは白煙と共に暗闇に消える。

エド・ハーリーのガソリンスタンドは元々《第8話》に出てきたガソリンスタンドじゃないかと思ってましたが、《第8話》のあれは、ガソリンスタンドというより、コンビニエンスストアでしたね。
ブラックロッジの面々が集うコンビニエンスストアの二階の部屋については、デヴィッド・ボウイ演じるフィリップ・ジェフリーズ捜査官が『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』で見つけたと言ってましたね。
そこには、Jumping Manの姿も。

コンビニエンスストアの二階の部屋は、『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』の中でローラがトレモンド夫人から受け取った絵に描かれていた部屋。

バッド・クーパーがWoodsman に案内されて上る階段は、バックボーンでゴードン・コールが渦の中に見た階段だった。

「もうジュディには会っている」というジェフリーズ。
ジュディとは誰なのか?
そして、再び謎の数字。

バッド・クーパーが携帯から送ったメッセージはダイアンに宛てたもの。
詳しくはこちら👉ツイン・ピークス The Return Episode 12 《第12話》 - 極私的映画案内
それに対するダイアンの答えは、
THEY HAVE'NT ASKED YET.
“Las Vegas?”とは、ダンカン・トッドのことか?
それともダギーのことなのか?
ダギーのことだとすれば、ブリッグス少佐の胃から発見された結婚指輪の件で初めてダギーについて知ったかのように振舞っていたダイアンは、すでに知っていたことになる。


ツイン・ピークス

森の中を犬を散歩させている男Cyril Pons

大きな木の根元で身を寄せ合っているのは、
シェリーの娘ベッキーの夫スティーヴン・バーネットとヘイワード家の三番目の娘ガースティンだ。
スティーヴンは興奮状態で、手に銃を持っている。

「なんで?」
「理由なんかねえ、俺がやった」
「違う、そうじゃない、彼女よ、彼女がやったの」
「俺だよ、そう、俺がやった」
「違う、ダメよ、スティーヴン
スティーヴン、やめて、あなたは何もしてない
あなたはハイになってたのよ
彼女に何をされたの?銃を私に渡して」
「お前も俺と来るか?」
「いいえ、あなたは行かないのよ」
「俺を見ろ、俺は高卒なんだ、高卒なんだよ」
「そんな…」
「わかるな?」
「ダメ、ダメよ、スティーヴン、お願い、やめて」
「こいつをここに入れる」

そう言うと、スティーヴンはカートリッジに弾をこめる。

「ええっ?ねえ、やめて」
「それから、そいつをここで、ここにぶち込む」
「ダメよ、スティーヴン」
「それで終わりに出来る
お前が来るのが見えたら、
もし、もしも、見えたらの話だけど、
だって、俺もう、死んでっから…
どこに行くのかな?サイがいる場所とか?
奇跡が起きるとか?そう願う…」
「いいから、もういいから、大丈夫」
「そのものになれるとか?
つまり、つまり、ほらトルコ石に…
なんか感じる…クソーっ!
終わりだ、カタをつける
お前は好きにしろ、お前が好きだった
言ったか?大好きだった
ケンカしてから、ヤルのが、好きだった
わかってるよな?
なんで泣く?なあ、泣くなって、やめろ、
俺まで泣ける、泣くな、なあ」

そこへ犬を連れたCyril Pons が通りかかる。
Cyril に見られた二人。
スティーヴンは慌てて銃を隠し、
ガースティンは別の木の根元に走って行く。
Cyrilも慌てて立ち去る。
そして、一発の銃声が響く。
取り乱し、放心して空を見上げるガースティン。

※スティーヴンは一体何をやったというのか?
ガースティンのアパートのドアを銃で撃ったのはベッキー
あの時、隠れていたスティーヴンとガースティンはその足で森の中に逃げてきたのか?
詳しくはこちら👉ツイン・ピークス The Return Episode 11 〈第11話〉 - 極私的映画案内
それとも、スティーヴンはベッキーに何かしたのか?
いずれにせよ、スティーヴンは死を考えるほどに相当追い詰められている。
スティーヴンの言っていることは支離滅裂だが、
トルコ石とは、あの指輪のことかもしれない。
スティーヴンは指輪をどこで見たのか?
そして、スティーヴンは自らのこめかみを撃ち抜いてしまったのか?


ツイン・ピークス:ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク

Cyril が森の中で目撃したことをトレーラーパークの管理人カール・ロッドに話している。

「あそこに住んでるヤツだ」

Cyril が指さしたのは、スティーヴンとベッキーが住んでいるトレーラーハウス。

※Cyril はスティーヴンと面識があった模様。
少なくとも、スティーヴンがトレーラーパークの住人だということは知っていたらしい。
Cyril Ponsを演じているのは、共同制作者、共同脚本家であるマーク・フロスト。


ツイン・ピークス:ロードハウス

ジェームズ・ハーリーとフレディ・サイクスの二人がビール片手に店の奥へと入ってくる。
奥のボックス席には、レネーと女友達とそれぞれのパートナーの姿がある。

ジェームズがレネーに声をかけると、
レネーの夫チャックが激怒、ジェームズを殴り倒す。
チャックの友人スキッパーも加勢し、倒れたジェームズを蹴りつける。
しかし、緑色の手袋をしたフレディの軽い一発でスキッパーもチャックも失神してしまう。

「ジミー、大丈夫?」
「ああ、なあ、誰か!二人はかなり重傷だ!
すぐに救急車を呼んでくれ!」
「あんまり力は入れてないんだけど、ごめん」
「いいんだ、助かった」

「ホントにすまない、レネー
こんなことになるとは思わなくて
悪気はなかったんだ
まずいな、目が完全にイッてる」

※フレディの緑色の手袋の威力は想像以上!
このシーンで使われているZZ Top の
Sharp Dressed Man 』はこちら👉ZZ Top - Sharp Dressed Man (OFFICIAL MUSIC VIDEO) - YouTube


■ラスベガス:FBIラスベガス支部

デスクにはランドール・ヘッドリー特別捜査官の姿がある。
そこへウィルソン捜査官が報告にやって来る。

「到着しました
ダグラス・ジョーンズとその妻です
すぐ、尋問できます」

部屋を出る両捜査官。

「抵抗したか?」
「いや、まったく
子供たちには手こずりましたが」
「子供たち?複数形か?子供たち?!」

自分の失敗に気づき、逃げるウィルソン捜査官。
尋問室には寝間着姿のダグラス・ジョーンズの一家
明らかに、“ダグラス・ジョーンズ”ではない。

「ウィルソン!!」


■ラスベガス:ダンカン・トッドのオフィス

内線でロジャーをオフィスに呼びだすダンカン・トッド。

「なんでしょう?」
「アンソニーから連絡は?」
「ありません」
「ヤツを探してくれ!すぐに!」

その時、ロジャーの背後に忍び寄る影。
その人物は、一発でダンカン・トッドを仕留め
続いてロジャーも撃つ。
素早くその場を立ち去る、スーツ姿のシャンタル・ハッチェンス。

「もしもし?ちょっと待って…」

シャンタルの背後から聞こえるロジャーのうめき声。
戻ってきたシャンタルのとどめの一発。
ロジャーのうめき声は聞こえなくなる。

「そう、あと一人殺るだけ
フライドポテトがいい、ケチャップたっぷりで」

※ダグラス・ジョーンズ殺害司令に関わる死者は、
これで6名にのぼる。
シャンタルが言うあと一人とは、
ダグラス・ジョーンズのことか?


ツイン・ピークス:保安官事務所

ロードハウスで騒ぎを起こしたジェームズとフレディがホークとボビーに留置場に連行されて来る。

「その手袋野郎、今度は何した?」
「黙れチャド!」
「なんで警官が檻に?」
「ヤツに構うな!」
「ホーク、二人の容態は?」
「共にICU行きだ」

ジェームズとフレディを檻に入れ、
立ち去るホークとボビー。

「あれ、なんだ?」

ジェームズが向かいの檻で保護されているnaidoの存在に気付く。
言葉にならない声を発するnaido。
その真似をする酔っ払い。

※ジェームズとフレディがロードハウスで騒ぎを起こし、留置場に入れられたのは、おそらく、必然。


■ラスベガス:とある裏通り

ひと仕事終えたシャンタルとハッチが車の中でハンバーガーを食べている。

「政府はしょっちゅうやってるのに
なんで殺し屋だけが罪になんだよ?」
「ホントだよ、国は偽善者」
「なにが、キリスト教国だよ
いっそこう言えばいい、汝殺しまくれ!
慈悲をかけるな、誰も許すな
気取りやがって!所詮人殺し国家だ
先住民をほぼ全滅させたんだよな」
「そう、でも殺したら、あたしの楽しみは終わり
死体じゃ、いたぶりがいがない
もう、ずっと誰にも訪問できてないんだよ、ハッチ」
「だよな、最近はちっともチャンスがねえ」
「最悪…
知ってるよね?私が小袋のケチャップ嫌いなの」
「店にそれしかなかったんだ」
「デザートはあるの?」
「当たり前だろ」
「愛してる、ハッチ」
「俺もだ、シャンタル」

デザートを見て、満足気なシャンタル。

「いい夜だな」
「火星だ」

ジェニファー・ジェイソン・リーティム・ロス
この二人が演じる殺し屋夫婦、最高です。


■ラスベガス:ダグラス・ジョーンズの自宅


テーブルについているクーパー(ダギー)にチョコレートケーキを運んでくるジェイニー・E。

「どうぞ、ダギー」

ケーキを口に運ぶクーパー。

「どう?美味しい?」
「美味しい…」
「ああ、ダギー、夢がどんどん叶ってく、ホントに」
「ホント…」

テーブルの上のソルト&ペッパーやリモコンに気を取られながらもケーキを食べ続けるクーパー。
リモコンでテレビの電源を入れると、
画面に映し出されたのは、映画『サンセット大通り』の一場面。
クーパーはセリフの中に登場するゴードン・コールに強い反応を示す。
クーパーの視線は、壁のコンセント口に吸い寄せられる。

クーパーは手に持っていたフォークをコンセント口に差し込もうとするが入らない。
すると、今度はフォークの柄の方をコンセント口に差し込む。
感電したクーパーは倒れ、停電する。
家中にジェイニー・Eの悲鳴が響く。

「ママ!どうしたの!」

デヴィッド・リンチ演じるゴードン・コールの役名は『サンセット大通り』の中で、
グロリア・スワンソン演じる女優ノーマ・デズモンドが所有する車を貸してくれないかと言ってくる男ゴードン・コールから取られている。
ちなみに、映画の中で使われているノーマが住む屋敷は、レッドを演じているバルサザール・ゲティの曾祖父ジャン・ゲティの前妻が所有していた屋敷とのこと。


ツイン・ピークス:保安官事務所

オフィスのホークに丸太おばさん(マーガレット・ランターマン)から電話がかかってくる。

「マーガレット、どうかしたかい?」
「ホーク、あたし、死ぬの」
「残念だ、マーガレット」
「あなたは死を知っている
ただ、変化があるだけよ、終わりじゃない
ホーク、時間なの、少し怖さもある
手放すことが怖いのよ
あたしが言ったこと忘れないで
これ以上は電話では話せない
でも、あなたならわかるでしょ?
あたしたちがまだ、直接会って話せていた時の会話
あれに気をつけて、私があなたに言ったあれ
ブルーパイン・マウンテンに出てる月の下のあれ
ホーク、丸太が金色に変わってる
風がうめいてるの
あたし、死ぬわ、おやすみ、ホーク」
「おやすみ、マーガレット」

電話が切れる。

「さよなら、マーガレット」

そっと、つぶやくホーク。
月が雲に隠れる。

会議室では、トルーマン保安官がパソコンの画面を見ている。
ボビー、ルーシー、アンディが会議室に入ってくる。

「何事だ?」
「ホークに呼ばれたんです、ここに集まれって」

遅れて会議室に入ってきたホーク。

「マーガレット・ランターマンが今夜亡くなった」
「丸太おばさんが死んだ?」

静かに帽子をとるトルーマン保安官。
悲しみに沈む会議室。

マーガレットの家の灯りが静かに消える。

※現実に死を目の前にしているキャサリン・コールソンにこういう台詞を言わせるのは、少し残酷に感じる。
でも、番組の中で仲間たちと視聴者に別れを告げるこのようなシーンを用意する。
それも、彼女に対するデヴィッド・リンチの友情の示し方だったのかもしれない。


ツイン・ピークス:オードリー・ホーンの自宅

いまだに自宅にいるオードリーとチャーリー。

「もう無理だわ、電話を待ってられない
ビリーはあそこが嫌いだけど…
あらっ、コート着てるのね」
「ああ着てるとも、出掛けるんだろ?
ロードハウスへ行くんだよな
だから、コートを着た」
「ええ、そうだけど…
あなたって大した人ねえ、最低、フンッ」
「コートを着るんだ、オードリー
もう遅いし、私はすごく眠い、さあ、行こう!」
「文句を言うの、やめてくれる?
あなたってホント、ムカつく!
いちいち愚痴らなきゃ、人のために何か出来ないの?
どうせやるなら、黙ってやりなさいよ!
ずっと泣きごと聞かされてるこっちが滅入るわ!」
「コートを着るのか?
それとも私にダラダラと長話を玄関で聞かせる気か?」
「ビリーはあたしと一緒に出掛けてもあなたみたいな言い方は絶対にしないわよ、チャーリー」
「そうとも、なぜなら、私はチャーリーで、
そして、彼は、ビリーだから」
「で、私はビリーの方が好きよ」
「衝撃的だ!それで、コートを着るのか?
それとも、一晩中ここで話すのか?」
「ほーら、またそれ!
言わずにはいられないの?
たった、一秒でも!」
「オードリー、真面目な話
一秒あれば、私はコートを脱ぎ、今夜はここで過ごす
ロードハウスに行きたがったのは君で、私じゃない」
「信じられない、今こうして目の前で見えていることが
過去にはまったく見えてなかった
こんなことって、絶対にあり得ない!」
「今度は何なんだよ?」
「あなたよ、チャーリー
だって、昔のあなたは今みたいには
全然見えなかったもの
まるで別人を見てるみたい
あなた、誰なの?」
「わかった、コートを脱ごう」

そう言うと、チャーリーはコートを脱ぎ、
リビングのソファに座ってしまう。
それを見たオードリーはチャーリーに駆け寄り
摑みかかる。

「なんでいつもそうなのよ?
心の底から嫌いだわ!!大キッらい!!
どれだけ憎んでるか、わかってるの!!!」

※今だに出掛けられないオードリーとチャーリーの夫婦。
この二人の状況は、かれこれ《第12話》から一向に進んでいない。


ツイン・ピークス:ロードハウス

ボックス席にひとりで座り
舞台を見つめる若い女はルビー

バイカーらしき男が二人、彼女に近づいてくる。

「人を待ってるの」

二人に席を退かされたルビーは床に座り込む。
四つん這いのまま、少しづつ舞台に近づいていくルビーは何度も叫び声を上げる。
しかし、その声は音楽にかき消される。

今夜のバンドは、The Veils
演奏している曲『Axolotl』はこちら👉The Veils - "Axolotl" (ft. El-P) (Official Music Video) | Pitchfork - YouTube

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バッド・クーパーがフィリップ・ジェフリーズから電話を受けたのは五日前。
《第2話》でバッド・クーパーがダーリャを殺したモーテルでのこと。
スティーヴンとガースティンが森に逃げこんでくるまでの経緯は不明。
オードリーとチャーリーの状況は《第12話》から変化なし。
どうも、このシリーズは時間の進み方がそれぞれの場所で同じではない。
いずれ、それぞれの場所で起きた出来事について、
時系列で整理したいと思ってます。

今エピソードは、演じているキャサリン・コールソンではなく、丸太おばさんことマーガレット・ランターマンに捧げられている。

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

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