極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 11 〈第11話〉

EPISODE 11


ツイン・ピークス:某所

兄弟とみられる少年たちが家の前で
キャッチボールをしている。
まだ幼い末っ子に気を使って
やさしいボールを投げる長男。
ところが、次男の投げたボールがそれて道路に出てしまう。
ボールを取りに行った長男は、
道路脇の森から這い出ててきたミリアム・サリヴァンを発見する。
リチャード・ホーンに襲われたミリアムは血まみれだ。

「誰かいるぞ…ママ呼んでこい!」

※このシーンで、一番年嵩の少年を演じているのは、
Travis Frost。
多分、この子はクリエイターのマーク・フロストのお孫さんじゃないかと思う。


ツイン・ピークス:ニュー・ファット・トラウト・トレーラーパーク

レベッカベッキー)・バーネットが誰かと電話中。

「えっ?どこで?
ったく!でも私、車持ってない!!!」

絶叫するベッキー

RRダイナーで仕事中のシェリー。
ベッキーからの電話を受ける。

ベッキー?」
「ママ!車貸して!スティーヴンなの!」
「何があったの?」
「スティーヴンなんだって!
お願い!車貸して!急いで!」
「今からすぐ行く!
ごめん、ノーマ、行かなきゃ!」

心配そうな表情を浮かべ、シェリーを見送るノーマ。

シェリーを待つベッキーはソファの下から銃を持ち出す。
シェリーがトレーラーパークに到着。
許さない、許さないとベッキーは独り言のように呟きながらシェリーから車のキーを奪うと車に乗り込む。
ベッキーを止めようとシェリーは車のフロントにしがみつくが、ベッキーは車をバックターンさせてシェリーを振り払うと猛スピードで走り去る。

騒ぎを聞きつけた管理人のカール・ロッドがシェリーに歩み寄る。
RRダイナーまで送ってくれるようカールに頼むシェリー。
カールの笛のひと吹きで、いつものヴァン。

「何があったんだ?」
ベッキーがスティーヴンとケンカした」
「あー、まったく…」

ヴァンの車中からノーマに電話をするシェリー。

「ノーマ、ベッキーがどっかに飛び出して行っちゃったの、どうすればいい?」
「ボビーに電話したらどう?」

それを隣で聞いていたカールは無線で保安官事務所のマギーと交信、ボビーを呼び出してもらう。

「ボビー、シェリーよ
ベッキーが車で出てった」
「誰の車だ?」
「あたしの!行き先はわかんないけど、
あの子銃を持ってんの!」

「ああ、まったく…」

嘆くカール。

※カールの笛のひと吹きでやって来るヴァン。
(カールは朝のお出掛けの時にもこのヴァンを利用)
ヴァンに装備されてる保安官事務所直通の無線。
カールって何者?ただの管理人じゃないのかも。


ツイン・ピークス:とあるアパート

ティーヴンがいるらしいアパート。
銃を持ったベッキーが階段を駆け上がってくる。
208号室の前までくるとドアを銃で乱暴にノック。

「スティーヴン!!!
いるのはわかってんだから!!
出て来なさいよっ!この腰抜け!!」

「いないよ、さっき、二人で出てった
だから留守だよ、誰もいない!」

ベッキーが銃を持っていることに気付いた隣人女性は慌てて部屋に引っ込む。

ベッキーは怒りに任せてドアに向かって銃弾を打ち込む。

「ふざけんな!!!スティーヴン!!!」

ベッキーが上がってきた階段とは反対側の階段の下で身を潜めているスティーヴンと部屋の住人らしい女。

※スティーヴンの浮気相手(らしい)の女は、
ローラ・パーマーの親友だったドナ・ヘイワードの妹でヘイワード先生の次女ガースティン・ヘイワードらしい。
ガースティンはスティーヴンより大分年上だよね。
〈追記/訂正〉ガースティンはヘイワード家の三女。次女はハリエット。ファースト・シーズンで夜間家を抜け出すドナのアリバイ作りに協力。


サウスダコタ州バックホー

FBIの一行とバックホーン署のマックレー刑事がウィリアムズ・ヘイスティングスがブリッグス少佐と会ったという寂れた場所に到着。

マックレー刑事の車に同乗していたヘイスティングスにタミーが詳しい事情を聞く。

「ここね?ブリッグス少佐を見たのは」
「ええ、そうです」
「どうやって中に入ったの?」
「フェンスの裂け目から」
「そこからどのくらい進んだ?」
「5メートルから6メートル」
「その後どうなったの?」
「何があったか、覚えてない」

ヘイスティングスの視線の先、
フェンスの奥の廃屋とコンテナの間でWoodsman の姿が現れ、そして消える。

怯えるヘイスティングス
Woodsman の姿はゴードンとアルバートも見ていた。

フェンスをくぐり、廃屋に近づいて行くゴードンとアルバート

上空を見上げるゴードン。
すると、上空に雲を巻き込み凄い勢いで竜巻のような渦が出現する。

上空に両手を差し出したゴードンは渦に吸い込まれそうに見える。
やがて、ゴードンは渦の中心に、
階段の上に立っている3人のWoodsman たちの姿を見る。

吸い込まれそうになっているゴードンを慌ててアルバートが引き戻す。
すると、もう渦は消えている。

「こういうことなんですね」
「こういうことだな」

ふと、アルバートが廃屋の周辺に視線を移すとそこには女性の首なし死体が。
どうやらルース・ダベンポートの死体らしい。
(そしてまたWoodsman の姿)
死体の左腕の内側には、場所を示す座標の数字。

タバコを吸っていたダイアンはマックレー刑事の車の背後に忍び寄るWoodsman の姿を見る。
車に近付くWoodsman 。
やがて、グシャッという嫌な音と共に頭部を潰されるヘイスティングス
慌てて車から降りるマックレー刑事。

「おいっ!嘘だろ?
クソっ!おい、おい、おい!至急応援を頼む!
場所はシカモア2240!シカモア2240だ!」

車内を覗き込むダイアン、ゴードン、アルバート、タミー。

※ルース・ダベンポートの残りの遺体が発見され、用済み(?)となったウィリアム・ヘイスティングスも殺される。
シカモア2240、この住所からもここがブラックロッジの入り口であることを示している。
前シーズン、ツイン・ピークスの森の中にあったブラックロッジの入り口には、確かスズカケの木があったと思うんだけど、スズカケの木とシカモアの木はとてもよく似ているらしい。


ツイン・ピークス:RRダイナー

家族会議中のボビー、シェリー、娘のベッキー
カウンターの中から3人を見守るノーマ。

「で、お前はどうしたいんだ?」
「もう終わりにしたい」
「じゃ、別れるのか?」
「でも、愛してるの」
「あのアパートのドアは弁償しなきゃならないぞ」
「なんで私が?あの女の部屋だよ!
私は払わないから!だってお金なんかないし!」
「俺が保安官助手じゃなければ、
お前は今頃檻の中だぞ」
「お金はあたしが貸す」
「あー、ダメ、もうママからお金はもらえない
ちなみに今までも全部スティーヴンが使ったんだけど」
「金は俺が貸す
だから返すんだぞ、しっかりしなきゃダメだ」
「トレーラーハウスからも出て、
ティーヴンと距離を置くの」
「彼、今は色々キツい時期なだけだよ」
ベッキー、俺もあいつだって最後はお前を大事にすると思ってた
だがどうだ?ただの期待はずれだ」
「まだはずれてないって!
彼、根は真面目だし、仕事だって毎日探しに行ってる、
と思ってた…」
「いつも揉めてるってカールが心配してた」
「あいつお前を殴るのか?」
「えっ?それはないよ!さすがに…手は上げない
ホントだって!」
「だといいんだが、この先ヤツがお前に触れたり法を犯したりしたらタダじゃおかない!
俺がブチのめす!」
「聞いて、ベッキー
あんたは結婚もしてるし、もう立派な大人よ
でもあたしたちは親で、あんたを愛してる
だから大事な娘を失いたくないの」

泣き崩れるシェリーに車から振り落としたことを詫びるベッキー
抱き合う母と娘。

店の中のシェリーに気付き、窓の外から近寄ってくるレッド。
レッドに気付き、微笑むシェリー。
席を立ってレッドの元へ向かうシェリー。
店の外で熱いキス。
複雑な表情のボビーとベッキー

ボビーとベッキーの視線に気付いて場所を移した二人は再び熱いキス。

満面の笑みをたたえて席に戻ってきたシェリー。
しかし、気まずい雰囲気が漂う。

そこに銃声が響く。
RRダイナーに銃弾が撃ち込まれた!
慌ててその場に伏せる客。
銃を構えて店の外に出るボビー。

どうやら箱に入ってた銃を、
それとは知らずに母親が後部座席に置き、
その銃を持ち出した幼い子供が触って暴発させてしまったらしい。
妻が、黙って銃を車内に持ち込んだ夫を大声でなじっている。
後続車両がクラクションを鳴らし続けている。
銃声を聞きつけ駆け付けた保安官助手のジェシーに夫婦の身元確認と周辺の交通整理を頼むボビー。
母親から銃を預かったボビーは後続車両にクラクションを鳴らすのをやめるよう言いに行く。

「いったい、何やってんのよおー!
あたしたちは家に帰りたいの!
もう遅刻なのよ!夕食に遅れるでしょ?
もうとっくに6時半過ぎてる!
なんで、こうなるのよおー!
見たわよ!車の中から銃を撃つのを見た!
彼女のおじが夕食に来るの!
いい?ホントにホントに久しぶりに彼女はおじに会えるんだから!
なのに遅刻する!まだ家まで大分あるのにぃー!
お願い!家に帰らせてよ!彼女、病気なの!」

ボビーが女性の剣幕に呆気にとられていると、
助手席のシートに沈み込んでいた“病気の彼女”が口から何か液体を吐きだしながら運転席の窓の方の近づいて来る。

※どうやらボビーとシェリーの二人は、
結婚しベッキーを授かったものの、今はもうすでに別れてしまったらしい。
二人がいまも夫婦なら、ベッキーが飛び出して行った時にシェリーはノーマではなく、まずボビーに連絡しただろうし、ボビーがシェリーとレッドを黙って見ているはずがない。
それにしても、第2話でレッドから誘いをかけられていたシェリー。二人の仲はここまで発展していたのか
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉 - 極私的映画案内
しかし、レッドはドラッグディーラー。
悪い男に惹かれてしまうシェリー!
まだ懲りてないの?

銃を暴発させてしまった(とボビーは思った)少年。
しかし、このキメポーズと不敵な面構え。
後続車両の女性は「車の中から銃を撃つのを見た」と証言している。
多分、後続車両の病気の女性はこの先のストーリーには関係ないのだろうが、こういう話の筋には関係ない、不気味で気持ちの悪いシーンを入れてくるのが、
いかにもデヴィッド・リンチ

第8話でも少し触れたが、
シェリーの現在の恋人らしいドラッグディーラー、
レッドを演じているのはバルサザール・ゲディ
彼はパトリシア・アークエット演じる女に翻弄される青年役で『ロスト・ハイウェイ』にも出演している、いわばデヴィッド・リンチ組。
彼の曽祖父ジャン・ポール・ゲティは石油で巨万の富を築き“石油王”と呼ばれた人物でゲティ財団(芸術機関としては世界一の資産を保有)の創設者。
父親のジョン・ポール・ゲティ三世は16歳の時にイタリアマフィアに誘拐され家族に身代金が要求されるが、普段から放蕩生活を送っていたジョンの狂言誘拐だと思われ、吝嗇で有名だったゲティ卿は身代金の支払いを拒否する。
しかし、ジョンの一房の髪と切り取られた耳が送られきた段階で、ようやく身代金の支払いに応じ、ジョンは約半年ぶりに生きて解放された。
当初要求された身代金は1700万ドルだったが、最終的に支払ったのは約290万ドルだというから交渉上手というかなんというか。
ジョン・ポール・ゲティ三世は俳優として何本か映画にも出演しているが、長年アルコールや薬物の依存症に苦しみ、54歳という若さで亡くなっている。
ちなみにこの誘拐事件については、リドリー・スコット監督で映画化されるようだ。
(「All the Money in the World(原題)」)
詳しくはこちら
👉リダイレクトの警告
ゲッティイメージズの共同創業者で共同経営者マーク・ゲティはバルサザールの叔父にあたる。


ツイン・ピークス:保安官事務所

ブリッグス少佐からもたらされた情報について検討しているトルーマン保安官とホーク。

「ブリッグス少佐の情報を聞いて思うところがありました。
きっと俺の地図で説明すればわかりやすいかと」

ホークはそう言って先住民族に伝わる地図を広げてみせる。


「地図自体はかなり古いものですが、
常に新しくなっていて、いわば生ける地図だ
ここにかつて少佐の基地があり、このブルー・パイン・マウンテンは極めて崇高かつ神聖な場所です
少佐は我々にここへ向かうよう示唆したのかもしれない」
「この焚き火のようなものは何だ?」
「焚き火ではなく、これ火の象徴です
「というと?」
「つまり炎の一種ですが、
炎というよりも現代の電気に近いもの」
「善か?」
「それは意志次第
火の背後にあるのが善か悪かによります
少佐は行くべきは明後日と日付も示してくれ、
この星々が告げているのも同じ日付なんです
そして、ここへ行けと」
「これは?」
「とうもろこしで肥沃さを示している
だが黒い、意味するのは、病、異常、死だ
この二つの象徴を足した場合、意味するのは」
「黒い火」
「その通り」

「この絵は少佐が残してくれたあの小さな紙にも書いてあったが、何なんだ?」
「フランク、これについては何も知らない方がいい」
「決してか?」
「決して」

そこへ丸太おばさんからホークへ電話がかかってくる。

「探し物を見つけたのね」
「そうだ、すまない、君に知らせるべきだった」
「何を見つけたの?ホーク」
「マーガレット、それは言えないんだ」
「私の丸太が火を怖がってる
あなたの進む先には火があるわ
ホーク、あなたの進む先には火がある」
「わかったよ、マーガレット」
「おやすみ、ホーク」
「おやすみ、そしてありがとう」

そこへノックの音。
ドアをノックしたのは、保安官助手のジェシーだった。
保安官に自分の新しい車を見せたいらしい。
車は明日見せてもらうと体良く追い払う保安官。

※ブリッグス少佐が残した小さな紙はこちら。

ホーク保安官に知らない方がいいといったあの絵は、
第2話でバッド・クーパーがダーリャに見せていたカードに書いてあった絵と同じ。
バッド・クーパーはこれが欲しいと言っていたが、
一体どんな意味があるのか?
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉 - 極私的映画案内


サウスダコタ州バックホーン警察署

マックレー刑事のオフィス。
ゴードンの手が小刻みに震えている。

「まるで怯えた猫だな、こんなに震えるとは」
「今コーヒーを用意してくれてますが、
やめた方が賢明でしょうね」
「コーヒー、私は是非飲みたい」
「ホットミルクの方がいいのでは?猫には
緊張もとれます」
「ああ、写真を撮ってたな
ルースの写真を見せてくれ」

アルバートがゴードンにルース・ダベンポートの腕の写真を見せていると、横から覗き込んでいるダイアンが口を小さく動かしながら数字を記憶しようとしているような様子。
それをアルバートに気づかれ目をそらすダイアン。

「あの座標が示す場所はどこだったんだ?」
「後半の数字がいくつか消えてしまってましたが、
北にある小さな町…」

アルバートがそこまで答えたところで、
マックレー刑事とタミーがコーヒーとドーナツを運んでくる。

「さて、怪しい人物は見つかりませんでしたが、
あの遺体はルース・ダベンポートでした」
「だが、ブリッグス少佐の頭部はまだ出てこないか?」
「探しましたが、痕跡はありません
銃声を聞いた者も弾も出ずです」
ヘイスティングスは撃たれた死に方じゃない」
「ええ、まだ車を精査中です」
「男を見たぞ、アルバートもだ、二人で見た」
ルースの遺体があった場所より奥にいた
「どんな風貌?」
「一見ホームレスみたいだった
ボロ服にヒゲ、ニット帽」
「似た男が車から出て行くのを見たかもしれない」
あっ、でも多分、見間違い」
「私も乗ってましたが、特に誰も見てません」
「私も誰も見てません」
「だから多分見間違い」
「今思い出した、ある部屋にいた男たちを見た
アルバートと見た男に似たヒゲを生やした男たちだ
汚れてヒゲ面の男たちがある部屋にいた」

アルバートが言いかけた北にある小さな町とはツイン・ピークスのことなのか?
ダイアンは座標をバッド・クーパーに知らせようとしているのか?


■ラスベガス:ラッキー7保険

マリンズ社長がダギー(クーパー)をオフィスに呼び出す。
フィルのコーヒーに誘導され、オフィスにやってくるクーパー。
デスクで腕立てしながら待つマリンズ社長。
オフィスの外ではアンソニー・シンクレアが様子を伺っている。

「ダギー、時間をかけてよく考えたんだが、
君が調査してくれたおかげで汚職警官がらみの事態が起きていることがわかったし、
組織犯罪とつながった人間が社内にいるのも明らかだ
最近、二度も命を狙われたろ?
車を爆破され、銃でも襲われた
こりゃもう間違いない
一方で、君のおかげでミッチャム兄弟の案件は
放火じゃないことが判明した
だが、失火でも保険金の請求は合法だ
だから私としては、ミッチャム兄弟はたとえ黒い噂があったとしても、本件には無関係だと思う
ということはだ、君の命を狙ったのは別の誰かということになるぞ」
「別の誰か…」
「ああ、君の言う通りだ
だが興味深いことに、兄弟から私に電話があった
君に直接会って話がしたいそうだ
まあ、普通なら大事な社員をあんな連中と接触させたりはしないが、今回の場合、
君は彼らに代わって間違いを正した訳だし、
きっと歓迎されるはずだ、これもあるしな
見ろ、3000万ドル分の小切手だ
あ、今君はこう思ってるな?
こんな小さな会社が3000万ドルなんて支払ったら自殺行為だ、だろ?
だが、バトリング・バドはいつも常に上の階級の相手に挑んできた
うちが入っている保険会社にバックアップ・プランを適用させたんだよ
火事が事故なのは事実だからな
我々の損失を補填できた上、プラスもある
ブッシュネルは抜け目ない
バトリング・バドすぐに体勢を立て直す
指定してきた時間は5時半だ
迎えの車が来る」

うなずきあうブッシュネルとクーパー。

※バトリング・バドはマリンズ社長のボクサー時代のニックネーム。
確か、クーパーが初めてラッキー7保険に出社した時、アンソニーが会議で放火が疑われたが保険金が支払われることになったと言っていたのがミッチャム兄弟のホテルの案件。
てっきり、ミッチャム兄弟が企んだ保険金詐欺にアンソニーもかんでいて、その不正をクーパーが暴いたのかと思ったが、そうではないらしい。
アンソニーが命令を受けていたのはダンカン・トッド。
事故を放火に見せかけ、保険金の支払いをさせないよう仕組んだのかもしれない。


■ラスベガス:ミッチャム兄弟の邸宅

テーブルにセッティングしてあるのは朝食のようだが、
時刻はすでに午後2時過ぎ。
新聞を読みながら、シリアルを食べているロドニー。
そこへブラッドリーも起きて来る。
機嫌の悪そうなブラッドリー。

「なあ、ロドニー、夢を見たんだ、朝までずっと
ダグラス・ジョーンズを殺してた
憎くてたまらねえ、殺したくてウズウズするんだ」
「あと3時間待てるか?」
「ギリギリな!…食欲ねえ」

大きくため息をつくブラッドリー。


■ラスベガス:ラッキー7保険

ビルのロビーまでクーパーを連れてくるブッシュネル社長。
しかし、ロビーの隅のコーヒーショップから片腕の男、フィリップ・ジェラードがクーパーを手招きしている。
コーヒーショップに向かうクーパー。

外に出て来たクーパーはダンボールを抱えている。
ミッチャム兄弟の迎えのリムジンの運転手はクーパーがジャックポットを連発した夜、自宅まで送り届けてくれた運転手だ。

ブッシュネル社長はクーパーがレストランに招待されたと思い込んでいるが、リムジンは賑やかの通りを抜け、砂漠へと向かっている。


■ラスベガス:砂漠の真ん中

クーパーを待ち受けているミッチャム兄弟。

「何が不満なんだ?喜べよ!
もうすぐあいつを始末出来るんだ
俺たちをコケにしてくれたどアホをな!」
「アイクを片付けてくれた恩がある」
「俺たちのためじゃねえ
ヤツのせいで3000万ドルがパーで
カジノからは47万2000ドル奪われた」
「ああ、確かにその通りだ」
「ああ、俺が正しい!」

「何?」
「俺の夢だ」
「ああ、また夢か」
「夢の中だと、夢の中だと、キャンディに殴られた傷が治ってた」
「えっ?」
「この傷がキレイに」
「バカな!」
「見てみよう」

ブラッドリーが、嫌がるロドニーの左頬の絆創膏を無理矢理剥がすと、傷はキレイに治っていた。

「おいっ!嘘だろ?」

信じられないロドニー。

「他にも見た、だが思い出せねえ」

クーパーを乗せたリムジンが到着する。
車を降りたクーパーがダンボール箱を持っているのを見てブラッドリーが何か思い出す。
ロドニーは運転手を返そうとするが、ブラッドリーが引き止める。

「あいつ、箱を持ってるだろ?」
「ああ」
「あれも夢で見た」
「まったく…」
「違う!聞いてくれ!頼むから
あの中に何か入ってる
それがもし俺が夢に見たものと同じなら
あいつを殺せねえ」
「寝ぼけたこと言ってる…」
「俺は本気で言ってるんだって!
もしあの箱の中にヤツがあれを入れてるとしたら
俺たちはあいつを殺せない」
「なぜ?」
「ヤツが俺たちの敵じゃねえからだよ!」
「そんなことなぜわかる?」
「俺はただ夢で見たままを言ってるだけだ
だから中身があれじゃなけりゃ、忘れてくれていい」
「あれって?」
「万に一つの可能性しかないが
もしも入ってたら、約束してくれ
この件では、俺たちの答えはひとつだと」
「わかった」
「あいつのこと、殺さない」
「わかった、くどいぞ!あれって?」

ロドニーの耳元で何事がささやくブラッドリー。
クーパーに銃を向けるロドニー。

「よし、答えろ!
その箱の中身はチェリーパイなのか?」
「チェリーパイ…」

ブラッドリーが箱を開けると、
そこには本当にチェリーパイが入っていた。
クーパーの内ポケットから3000万ドルの小切手を見つけたブラッドリーは大喜び!
雄叫びを上げるミッチャム兄弟。

「あいつ、気に入った!
ダギー!会えてホントに嬉しい」

※意外なところで、チェリーパイの再登場!
ミッチャム兄弟、面白い!
今シリーズ、一番のお気に入りキャラかも!


■ラスベガス:レストラン

ご機嫌なミッチャム兄弟がクーパーを接待中。
シャンパンで乾杯している。

「つまりお前さんちの子供は持ってないってことか?
遊具セットがない?」
「遊具セットがない…」
「俺たちが育った施設にも遊具セットはあった」
「子供には遊具セットを与えるべきだ」

そこへ、クーパーに教えられた台でジャックポットを出した老婆がすっかり見違えた姿でクーパーに声をかける。

「ミスター、ジャックポット
是非また会いたかったの
毎日あなたを思って感謝し続けたのよ
おかげで人生が変わったわ
この子は息子のデンバー、私の元へ戻って来てくれてねえ
今は犬も飼ってるし、家だってあるのよ
あなたのおかげで人生を取り戻せたの
あなたにはお礼の言葉もない
気付いていらっしゃるかしら?
あなた方は今特別な方と食事をしていらっしゃるのよ
彼は私の恩人だわ」
「我々にとってもですよ」
「ありがとう、ホントに感謝してる
よかったわ、ミスター・ジャックポット
あなたにもう一度ありがとうが言えて」

老婦人とその息子が去ると、キャンディ、マンディ、サンディの三人組が登場。
キャンディはまたしても心がお留守の様子で鈍い反応。

テーブルのチェリーパイを夢中で食べているクーパー。

「ヤケに美味いパイだ」
「ヤケに美味い…」

「あんたの命を救ってくれたパイに」
「それに、俺たちの金に」

再び乾杯する三人。
チェリーパイのお代わりをするクーパー。
満足そうなミッチャム兄弟。

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コーヒーにドーナツにチェリーパイ!
これぞ、ツイン・ピークス
来週はいよいよオードリー・ホーン再登場。
リチャードの悪事は暴露されるのか?
うーん、ミッチャム兄弟、かわいい❤️

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


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ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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