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極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に


全身全霊で今を楽しめ!

1980年9月。
新学期を3日後に控えた南東テキサス州立大に一人の新入生がお気に入りのレコードコレクションと共に引っ越してくる。
奨学生の野球部員ジェイクだ。
高校ではエースピッチャーだった彼も
大学では新入生のひとり。
期待と不安を胸に野球部の寮になっているシェアハウスに到着すると、天井からはミシミシと不穏な音が聞こえてくる。
ウォーターベッドに水を注入中の二階では、
このベッドで女の子と一戦交えようと部員たちが
大盛り上がり!
水を止めてこいと命じられたジェイクは
もう何が何やら。
早速ポジションを聞かれ、ピッチャーだと答えると
いきなり「ピッチャーは嫌いだ」と言われる始末。

戸惑うジェイクは同じく新入りプラマーと共に
先輩のフィル、ローパー、デイルに連れられキャンパスを偵察に出掛ける。
早速引っ越し中の女子学生二人に声をかけるフィルとローパー。
演劇専攻だという彼女たちにあっさり袖にされるが、
二人のうちのひとり、ビバリーはこう答える。

「後ろの席の静かな彼(ジェイク)が好き❤️」

面白くない先輩たちはさっさとその場を離れようとするが、ジェイクはしっかりと彼女の部屋のナンバーを見ていた。

初めてのミーティングでは、コーチから新入りのジェイク、プラマー、ビューターことビリー、ブラムリーの4人と編入してきたナイルズとウィロビーが紹介される。
コーチからはシェアハウスで守るべき2つのルールが言い渡される。

・アルコール禁止
・二階には女の子を上げない

しかし、
そんなルールなんて知ったこっちゃない!
早速、その晩から飲んで騒いでの大パーティー!
ジェイクもいい感じになった女子をベッドに連れ込もうとするが、同室のビューターに部屋を明け渡すことを断固拒否される。
翌朝、荷造りをしたビューターの姿が。

「生理が遅れてるの」

故郷に残してきた彼女から連絡があり、
急遽戻ることになったのだ。

新学期まであと2日。


野球の映画たくさんあるけれど、ほとんどはプロの世界、メジャーリーグを舞台したものだ。
メジャーの選手だってプロになる前は高校や大学でプレーしてた訳で、考えてみれば当たり前の話だが、何故か今まで大学野球についてはまったく知らなかった。
うんうん、そうだよな、大学からドラフトを経てプロになるんだよなと思いつつ見ていたが、

こっ、この野球部大丈夫か?
つか、ホントにこいつらアスリート⁉︎

この時代、80年代初めのファッション、特にこんなに口ヒゲが流行っていたかどうかは定かではないが、この人たち、ちょっとオッサン過ぎない?とか、
日本人の感覚なのか、いやでも新入りのジェイク、プラマー、ブラムリー(口ヒゲ成長中!)はそれなりにフレッシュに見えるので、大学生活に染まるとこんな感じになってしまうのか?とか、
まあ、とにかくいろいろ違和感を感じつつもストーリーを追っていると、
こうストーリーらしきストーリーはない。
とにかく新学期までの数日をビール飲んで騒いで女の子を口説いて過ごす、と。
大学のパーティー三昧を見せるコメディなら、
他にいくらでもあるし、
主にテレビで活躍してたり、これがデビュー作だったりで、キャストもちょっと印象薄いなあとか思って見てた訳ですよ、途中までは。

でも、あら不思議!
最後にはみんなのこと、
大好きになっちゃった!



最初は、こいつらホントに野球出来んの?と思わされるけれど、
「ベースボール=野球」
やっぱりこの要素がすごく重要。
野球経験者が多くキャスティングされている(中でもナイルズ役のジャスティン・ストリートは元プロ野球選手)のもその証拠で、153キロの速球を自慢する編入生のネイルズ渾身の一球をチームのキャプテンマックが軽々と打ち返す。南東テキサス州立大が強豪校だと見せること、
彼らが優秀なプレーヤーだと見せることはとても重要なのだ。

(こんな恒例の新入り歓迎行事もあるよ!
ダクトテープ最強!)


彼らは(多分)皆が野球で奨学金をもらっている。
将来皆がメジャーで活躍出来る訳でもないし、プロになる訳でもない。
それどころか、成績が振るわなかったり、
怪我をしてプレー出来なくなれば、
大学を去らなくてはならなくなるかもしれない。
多分、そういう学生の姿を先輩たちは見てきている。
野球を生活の中心に出来るのもこれが最後かもしれない。
だから今、チームが結束し、プレーし、
試合に勝つことが重要なのだ。
編入生のウィロビーが実は経歴や名前、年齢を偽り大学を渡り歩いていたのも、人生においては学生時代が特別な時間であることを本当は30歳だった彼が知っているからだろう。
学生生活をいかに楽しむかを先輩たちが新入りにレクチャーするのも、これから先には楽しいことばかりじゃない、厳しい局面も必ず訪れることを彼らが知っているからだ。
これって、買いかぶり過ぎかな?

確かなことは、ラスト、
新入りがみんながすっかりチームの一員になっていたこと。
しかも、たった3日間で!
なんて完璧なオリエンテーション!!!

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●エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に/EVERYBODY WANTS SOME!!
(2016 アメリカ)
監督・脚本:リチャード・リンクレーター
出演:ブレイク・ジェナー,ゾーイ・ドゥイッチ,グレン・パウエル,ワイアット・ラッセル,オースティン・アメリオ,テンプル・ベイカー,ウィル・ブリテン,ライアン・グスマン,タイラー・ホークリン,J・クレイトン・ジョンソン,タナー・カリーナ,ジャスティン・ストリート,フォレスト・ビッカリー



ジェイクを演じるのは、『glee』でブレイク(『glee』は途中までしか観てないので彼のことは知らなかった)したブレイク・ジェナー。
glee』で共演した『SUPERGIRL』のメリッサ・ブノワと結婚。



口が達者で面倒見のいい、でもとても野球選手には見えない先輩フィルを飄々と演じたグレン・パウエル。最初はアホ先輩に見えたけど、最後は頼もしく見えました。



いきがるナイルズの速球を気持ちよくかっ飛ばしてくれたキャプテン役のタイラー・ホークリンは一時プロを目指していたそう。



ヒロイン、ビバリー役のゾーイ・ドゥイッチはなんとなくジュリー・デルピーに似ていて、監督リチャード・リンクレーターの好みなのかなと思ったら、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でおなじみのリー・トンプソンのお嬢さん!確かにお母さんによく似てる!



映画を離れても、みんな仲が良さそう!


公式サイトはこちら👉映画『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』公式サイト

予告編はこちら👉R・リンクレイター監督作/映画『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』予告編 - YouTube


ピンボールマシンやインベーダーゲーム(“名古屋撃ち”!)など80年代ぽいアイテムもたくさん登場するが、なんといっても
The Knackの「My Sharona」を初めとする当時のヒットチューンが耳に嬉しい!
個人的に一番懐かしかったのは、
The S.O.S.Bandの「Take your time(Do It Right)」でした。
👇『エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に』のサウンドトラックはこちら

エブリバディ・ウォンツ・サム! !  世界はボクらの手の中に

エブリバディ・ウォンツ・サム! ! 世界はボクらの手の中に