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極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

奪命金

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踊るのか?踊らされるのか?

 
生まれてから死ぬまでお金と無縁でいられる人間はいない。
残念ながら、生きていく為にはお金が必要なのだ。
しかし、これほど人間の欲望に直結しているものもなくて、人は時に必要以上にそれを欲してしまう。
バブルの崩壊もリーマンショックも、
強欲が引き起こしたものだ。
 
ギリシャの財政危機に端を発するユーロ暴落前夜の香港。
ここにも金に翻弄される人々がいた。
 
銀行の営業担当テレサ旧正月を前にリスクの高い投資信託の新商品“一攫千金”の売上が思うように伸びずに苦しんでいた。
多額の預金残高を持つ金貸しユンのような抜け目のない投資家は銀行の割高な手数料を理由にテレサの売り込みに聞く耳を持たない。
そこへ、預金の低金利に業を煮やした年配女性クンがやって来る。
金融知識に乏しく、投資経験もない彼女に本来薦められる商品ではないが、ノルマに追われるテレサは良心の呵責を感じながらも“一攫千金”を薦めてしまう。
 
愚直なまでに義理堅いヤクザ、パウは今年もボスの誕生会を仕切っている。
ところが、誕生会の席で厄介者のワーが逮捕されてしまい、パウは保釈金の金策に奔走することになる。
ようやく金を集めワーは釈放されるが、
すぐに別件で逮捕されてしまう。
再び金策に走ろうとするパウをよそに、
ワーの手下は呆れてボスを見放す。
万策尽きたパウは株取引で成功した同郷の友人ロンを訪ねる。
 
傷害事件を捜査中の警部補チョンは妻のコニーに掘り出しものの物件があるから見に来いと呼び出される。
何とか夫に家の購入を決断させようとコニーはあちこち見せて回るが、そこへ再び事件発生。
また今度考えようと現場へ急ぐチョンだったが、コニーは煮え切らない夫に怒り心頭。
夫には黙って株を担保に融資を受け、
手付金を払ってしまう。
 
そして、ユーロ暴落。
香港の株式市場も軒並み値を下げ、人々はパニックに陥り、登場人物の運命も複雑に交錯していく。
 
 
実は(前作『MAD探偵七人の容疑者』の印象が強過ぎたせいか)、もっと変、というか歪な作品を期待してしまっていたのだが、
これは実に“真っ当”な作品だった。
(ちょっと寂しいが)ジョニー・トー作品にはお馴染みの派手な撃ち合いも食事のシーンもない。
しかし、複数の脚本家によって練りに練られたであろうストーリーの構成は緻密で見応え充分だった。
 
 
 
香港人の投資に対する姿勢がどんなものかよく分からないし、香港の不動産事情も分からないのだが、ここに登場する人たちはちょっと無謀。
チョン警部補とコニー夫妻が買おうとしたマンションは日本円で一億円以上(1香港ドル=約13円)、彼の月収が70万円以上といっても、手付金の分と合わせて当初2年間の返済額は優に月収を超える。
(支払い金額の9割の融資というのも無謀ですが)部屋は貸して賃料が入るとはいえ、それでは何のために家を買うのか分からない。
年配女性クンさんも利率が低いとはいえ、一千万円以上の資金をいきなりリスクの高い投信を買うのは無謀だし、どうしてもと言うなら分散投資するべき。
日本人とは感覚が違うのかしら?
まあ、これは直接ストーリーとは関係ないかもしれないけど、うーん、ちょっと気になりました。
 
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⚫︎奪命金/LIFE WITHOUT PRINCIPLE
                                  (2011中国/香港)
脚本:ヤウ・ナイホイ,イップ・ティンシン,ベン・ウォン,ジェフ・チェン、オー・キンイー
出演:ラウ・チンワン,リッチー・レン,デニス・ホー,ロー・ホイバン,ソー・ハンシェン,パトリック・クン,テレンス・イン,ミョーリー・ウー,フィリップ・クエン,タム・ビンマン,チョン・シウファイ,フェリックス・ウォン,ウォン・イーチン,ジャア・シャオチェン
 
予告編はこちら👉『奪命金』予告編 - YouTube
 
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派手目のシャツ、斜め掛けのカバン、サンダルというスタイルがキャラにピッタリだったラウ・チンワン
 
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「了解しました」の連呼が不気味なクンさんを演じたソー・ハンシェン
 
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強欲な金貸しがハマりすぎ!
リアリティあり過ぎなロー・ホイバン
 

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