極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

ツイン・ピークス The Return Episode 10 〈第10話〉

EPISODE 10


ツイン・ピークス:ミリアム・サリヴァンのトレーラーハウス

ミリアム・サリヴァンにひき逃げの現場を目撃されたリチャード・ホーンが、ミリアムのトレーラーハウスに車でやって来る。

「ミリアム!」
「やめて!来ないで!リチャード」
「なあ、ちょっと話したいだけだ!」
「あんたがあの男の子ひき逃げしたこと、
通報したからね!」
「もう通報したのか?」
「そーよ!やめて!こっち来ないで!」
「他のやつには?」
「言ってない
でもあんたはいまだに逮捕されてない
だから手紙も書いたの」
「手紙って何だよ?」
「保安官への手紙、
トルーマン保安官にもう送ったからね!
知ってること全部書いた
もしあたしに何かあったら犯人はあんただってこともね、わかった?」
「それ、今日出したのか?」
「ええ、そうよ!」

リチャードは無理矢理トレーラーハウスに押し入り、
ミリアムに襲いかかる。
何かが落ちたり、ぶつかったりする物音。
やがて、何かが倒れるような大きな音。

リチャードはトレーラーハウスから出てくると何処かへ電話をかける。
電話の相手は保安官事務所のチャドだ。

「ミリアムのクソが保安官宛に手紙を出した
渡る前に止めてくれ」
「うわあ、それはちょっと難しいかもな」
「ガタガタ言ってんじゃねえよ!
絶対に保安官に渡すな!
渡したらお前ぶっ殺すからな!」
「そう無理言うなって、やってみる」
「とにかくやれ!ボンクラ!
俺は逃げる」

車で走り去るリチャード。

トレーラーハウスの中のミリアム。
呼吸はしているが、床には血だまりが広がっている。

※リチャード・ホーンとチャドは繋がっていた!
保安官事務所から麻薬捜査についての情報が漏れている様子もあったし、リチャードとチャドはドラッグビジネスでも繋がっていそうだ。
それにしてもリチャードは、
今シリーズ最悪のクソ野郎だな。
第1回で、
巨人がクーパーに言ったリチャードとリンダ

“リチャード”はこのリチャード・ホーンのことか?
リンダというキャラクターはまだ登場していない。
詳しくはこちら👉ツイン・ピークス The Return Episode 1 《第1話》 - 極私的映画案内


ツイン・ピークス:ファット・トラウト・トレーラーパーク

管理事務所の前で、カール・ロッドがギターを弾きながらRed River Valley を歌っている。

あるトレーラーハウスの窓を突き破ってマグカップが地面に落ちる。
中からは怒鳴り声が。

「ひどいもんだな…」

首を横に振りながらカールがつぶやく。

そのトレーラーハウスの住人は、
RRダイナーのシェリーの娘ベッキーと夫のスティーヴン・バーネットだった。

「給料上げろって頼めとか、俺言ってねえよな?
お前、いくら稼いでんだ?
ギリギリ最低賃金だろ?
ここの家賃も払えねえ
まともに掃除しろとも俺は言ってねえ
手ェ、出してんじゃねえよ
俺に逆らうんじゃねえ!
よく聞け!よおく、聞くんだ
純粋ぶった顔で俺を見るな!
いいか、お前のやってることは全部わかってんだからな
お前は…ああクソッ!」

怯えるベッキー

※なるほど、ベッキーとスティーヴンはこのトレーラーパークの住人だったのか。
しかし、元夫レオ・ジョンソンに暴力を受けていたベッキーの母シェリー。
美人の遺伝子は受け継いでも、ダメ男と一緒になってしまうところまで似なくてもいいのに。

意外と若々しいハリー・ディーン・スタントンの歌声はこちらから👉TWIN PEAKS 2017 clip - Red River Valley - YouTube


■ラスベガス:ミッチャム兄弟の邸宅

シルバー・ムスタング・カジノのオーナー、
ミッチャム兄弟の邸宅のリビング。
ロドニーが書類をチェック中。
(キャンディ、マンディ、サンディの三人組の)キャンディがハエをナプキンではたき落とそうとしている。
ハエをはたき落とそうとしてナプキンまで投げてしまったキャンディは、テーブルの上のリモコンを手に取る。

ハエがロドニーの左頬にとまると、
キャンディはリモコンでロドニーを強打。
狼狽えるキャンディの悲鳴にブラッドリーがリビングに入って来る。
ロドニーは出血しているが、大した怪我ではない。

※ミッチャム兄弟の片割れ(どちらが兄でどちらが弟か不明)のブラッドリー・ミッチャムを演じているのは、『ブルース・ブラザース』で有名な故ジョン・べルーシの弟ジェームズ・べルーシ
キャンディ、マンディ、サンディの三人、
予想通りの再登場。
しかし、この三人、いつもこの衣装のまま?


■ラスベガス:ベン先生のクリニック

ジェイニーEに連れられクリニックを訪れたクーパーがベン先生の診察を受けている。

ダギーと違い引き締まったクーパーの身体。
ベン先生もダギー(クーパー)の身体の変化に驚いている。
3日間行方不明になった後の夫の行動がおかしいと訴えるジェイニーE。
心音も肺の音も血圧も問題なし。
クーパーの身体を惚れ惚れと見つめるジェイニーE。

※クーパーを演じるカイル・マクラクラン
1960年生まれの58歳!
素晴らしい身体を保っていて、
このシーンの説得力もバッチリ!


■ラスベガス:ミッチャム兄弟の邸宅

すっかり日は暮れたが、ロドニーを殴ってしまったキャンディはまだ落ち込んでいる。
大丈夫だと慰めるロドニー。

テレビではローカルニュースが始まる。
クーパーを襲ったアイク“ザ・スパイク”が逮捕されたというニュース。

「アイクもヤキがまわったな」
「ヤツの殺しは取りやめだ」
「その分の金が浮いたよ、やったな!」

ミッチャム兄弟はテレビに映ったクーパーを見て、
クーパー(ダグラス・ジョーンズ)が自分たちのカジノでジャックポットを連発した“ミスター・ジャックポット”だと気付く。

「これでわかったな、
あのミスター・ジョーンズは本当にジョーンズさんだった」
「おかしな世の中だ」

キャンディはまだ泣いている。

「あんなことしちゃったら、
もう愛してくれないわよね

※ザ・スパイクの命を狙っていたらしいミッチャム兄弟。


■ラスベガス:ダギー・ジョーンズの自宅

チョコレート・ケーキを食べているクーパー。
ジェイニーEは夫を熱いまなざしで見つめている。
昼間目にしたクーパーの引き締まった身体に欲望をかきたてられたらしい。

「ダギー、あたしって魅力的?
ねえ、どう?」

妻よりもケーキに夢中のクーパー。

「あなたは魅力的よ、ダギー…うふふ」

ベッドでダギーの上になっているジェイニーE。
高まっていくジェイニーEは眠っていたサニー・ジムが起きるほどの大きな声を出す。
下になっていたクーパーはまるで初体験をした少年のような表情。

「ダギー、愛してる」
「愛してる」


ツイン・ピークス:ジャコビ先生のトレーラーハウス

相変わらず、インターネット中継で独自の陰謀説を唱えているジャコビ先生。

熱心に中継を見ているのはネイディーン・ハーレイ。

「なんて素晴らしいの」


※ネイディーンは前シーズン執着していた音の出ないカーテンレールの開発に成功した模様。
店を出している。
その名もRUN SILENT, RUN DRAPES
ショーウィンドウには、ジャコビ先生の金のシャベルがディスプレイされている。
買っちゃったのか、ネイディーン。


■ラスベガス:ダギー・ジョーンズの自宅

昨夜の余韻冷めやらぬジェイニーE。
ダギー(クーパー)にすっかり惚れ直したのか、
朝から熱いキス。

「ずっと昨夜のこと、考えてる
ホントに素敵だった…
どうしても、伝えたくて」


ツイン・ピークス:山の中

ジェリー・ホーンの携帯電話は圏外。

「うーっ、騙されないからな!
前にも来たことあるんだ!」

※前エピソードで右足に異常が発生したジェリー・ホーン。
まさか、あれからずっと動けずにいるのか?


ツイン・ピークス:保安官事務所

リチャード・ホーンからミリアムが保安官に送った手紙を取り戻すよう命じられたチャドは郵便の配達を待っている。

チャドは怪しむルーシーを天気の話で何とか言いくるめ、先に郵便物を受け取り、保安官宛の手紙を抜き取る。
その様子を窓から見ているルーシー。

※ルーシーからはチャドが封筒をこっそりシャツの中にしまったのが見えただろうか?


ツイン・ピークス:シルヴィア・ホーンの自宅

車を運転中のリチャードの携帯に、
チャドから手紙を取り返したと連絡が入る。

一方、椅子に拘束されているジョニー・ホーンは不気味なぬいぐるみと向き合っている。

「ハロー、ジョニー!ご機嫌いかが?」

何度も同じことを繰り返すぬいぐるみ。

リチャードの車がシルヴィアの家の前で止まる。

「車から降りずに帰りなさい、リチャード」
「顔、見にきたんだよ!」
「ダメ、来ないで!保安官を呼ぶわよ」
「やめてよ、ばあちゃん」
「ダメ!来ないで!」
「金、貸し手くんねえかな?」
「いやよ」
「2、3ドルでいいからさ」
「ダメよ、おじい様に頼みなさい
きっともうくれないでしょうけどね」
「金はあるけど、もうちょっといるんだ
俺に町から消えて欲しいんだろ?
なら出せよ、そうすればすぐに出てく」
「これ以上近付かないで、リチャード」
「金出せよ!ばあちゃん!」
「いやよ!」

ジョニーは母親を助けようともがくが、
椅子ごと倒れてしまう。
リチャードはジョニーに駆け寄ろうとするシルヴィアの首を絞める。

「なあ!絞め殺してやろうか?え、おいっ!
いいか、クソババア、
あいつのケツにねじ込んでやろうか?
もういいから、さっさと金、出せよ!!!」

リチャードはシルヴィアの首を絞め続け、
金庫の暗証番号を聞き出す。

「こんな簡単なことをややこしくすんじゃねえよ、
クソババア!!」

酷い捨て台詞を残し、
貴金属やバッグの中の金まで持ち去るリチャード。

※そうじゃないかとは思っていたが、
リチャードはベンジャミン・ホーンとシルヴィア・ホーンの孫だということが判明。
ということは、オードリーの息子ということか?
(それともジョニーの息子?)
いずれにせよ、リチャードがシルヴィアやベンに金の無心をするのはこれが初めてではなく、
家に出入りすることも禁じられている様子。
まったく、とんでもねえ野郎だ。
この修羅場とも言えるシーンのBGMがこの曲👉Mantovani And His Orchestra - Charmaine (1958) - YouTube
気味の悪いぬいぐるみもデヴィッド・リンチ印。


■ラスベガス:ダンカン・トッドのオフィス

ロジャーがザ・スパイクが捕まったとダンカンに報告。
オフィスには、既に客が来ていた。
待たされていたのは、
なんとラッキー7保険のアンソニー・シンクレア。

ダンカンに呼ばれたアンソニーは椅子に座ろうとする。

「座るんじゃない!
君は創造性豊かな人物だ
それを活かしてこれから頼むことを成し遂げて欲しい」
「なんでしょうか?」
「私の敵であるミッチャム兄弟を覚えているか?」

頷くアンソニー

「今から訪ねてくれ
彼らの3000万ドルの損失に対する保険の請求は却下する
ダグラス・ジョーンズのせいだと伝えろ
ジョーンズがあの兄弟への個人的な恨みでやったと吹き込み、後は黙って、見ていれば、ミッチャムたちがジョーンズを片付けてくれる」
「でも、もし…」
「何も言うな、失敗した場合は君の手でジョーンズを消してもらう」

※ミッチャム兄弟の敵、
ということはダンカン・トッドもカジノ経営者か?
ダギー殺害を命じたザ・スパイクが逮捕され、
ダンカンはアンソニーに保険請求を却下したのはダギー(クーパー)だとミッチャム兄弟に吹き込み、
彼らににダギーを殺させようとしている。
放火が疑われたが、保険金が支払われることになったと会議でアンソニーが報告していた案件がこの件かもしれない。
保険請求に不正があると見抜いたのは本当にクーパー(ダギー)だが、この不正にはアンソニーも関与していたのだろう。
しかし、一方的に命令されているアンソニーはダンカン・トッドに何か弱味を握られているに違いない。
借金か?


サウスダコタ州バックホー

FBI一行が宿泊中のホテル。
ホテルのバーでは、アルバートバックホーン警察のコンスタンスが何やらとってもいい雰囲気。

その様子を隠れて見守るゴードンとタミー。

※陰惨で謎多き事件の最中にもロマンスが進行中の模様。
同じ鑑識のプロとして意気投合か?


■ラスベガス:シルバー・ムスタング・カジノ

カジノのモニタールーム。
モニターにはラッキー7保険のアンソニー・シンクレアの姿が映っている。

「何しに来た?」
「誰が?」
「保険会社の間抜けがこんな夜更けに」
「ああ、あいつか
まったくこれっぽっちも信用出来ない男だ」

ミッチャム兄弟がキャンディを迎えにやる。
アンソニーを迎えに行ったキャンディは何やら話し込んでいて、一向に戻ってこない。
イライラを募らせるミッチャム兄弟。

「なんだ?ありゃあ」
「身の上話をしろとは言ってない!」
「何時間喋ってる?」

ロドニーはピットボスのウォリックにキャンディにすぐに戻って来させるよう命令する。

天気やカジノの中の温度について話していたというキャンディに呆れるミッチャム兄弟。

「それで、保険会社さんよ、今日は何だ?」
「ミッチャムさん、ミッチャムさん
お訪ねしたのは、お二人に是非お知らせしたいことがあったからです」
「ほう」
「何だ?」
「数ヶ月前に全焼したおたくの新しいホテル、
捜査の結果、放火と断定されたあれです
保険契約の担当は私でしたが、
請求の手続きはダグラス・ジョーンズという者が担当したんです」
「ダグラス・ジョーンズ?」
「内密にお耳に入れておいた方がいいと思って、
私の独断でお知らせに
実はそのジョーンズが職務上の権限を使って阻止してるんです
あなた方が受け取るべき火災で被った損害に対する保険金の手続きを
どうやら彼、何か個人的な恨みがあるみたいなんですよね
あなた方に今も絶対に保険金は支給しないと言い張って
どんな手を使ってでも食い止めようと必死になってる」
「ほう」
「本当か?」
「本当です、
お二人の敵は、ダグラス・ジョーンズです
今日はそれを伝えに来た」
「キャンディ、お送りしろ」

反応の鈍いキャンディを怒鳴るミッチャム兄弟。
去り際にミッチャム兄弟の敵はダギーだと念押しするアンソニー

※ミッチャム兄弟は自らのホテルに放火して保険金をせしめようと画策、アンソニーはその計画に一枚噛んでいたということか?
ロドニーを殴ってしまって狼狽えていたキャンディだが、そのショックも何処へやら、すっかり天然ぶりを発揮?


■ラスベガス:ミッチャム兄弟の邸宅

ダギーの件について相談するミッチャム兄弟。

「よくわかった、マーロン・ブランドの気持ちが
明日そのダグラス・ジョーンズに電話してアポを取れ」
「了解だ、それがいい」
「あの男は、俺たちから3000と44万7000ドルを
奪い取ったってことだ」
「ふざけやがって、一度ならず二度までも
思い知らせてやる、後悔するんだな
殺してやる!」

※まんまとダンカン・トッドの策略に嵌ってしまったミッチャム兄弟。


サウスダコタ州バックホー

ホテルの部屋で何やらメモを書いているゴードン・コール。
書いているのはメモではなく、絵のようだ。

そこへ、ドアをノックする音。
ドアを開けたゴードンはそこに泣いているローラ・パーマーの姿を見る。
しかし、ドアをノックしたのはアルバートだった。

「ダイアンが今朝11時13分にこのメールを受け取ったと
文面は、“ディナーの席での会話は弾む”
丁度クーパーが逃げた直後で、フィラデルフィア基地局を経由していたことがわかりました
ダイアンの恋人の一人かもと思いましたが、
タミーが追跡したところメキシコのサーバーからでした」
「メキシコ?返事はしたのか?」
「厳重に暗号化して返信しています
ヘイスティングス逮捕、彼をあの場所に連れて行く”
彼氏宛とは思えません」
「ハグされた時に感じたが、これで確信した」
「どうします?」
「泳がせるとしよう」

そこへ、タミーも合流。

「ニューヨークのペントハウスの事件、覚えてます?」
「ああ」
「こんなものが見つかったそうです」

タミーが差し出したペントハウスを写した写真には、
ガラスのボックスと一緒にバッド・クーパーが写っていた。

「なんと!これはエラいことだ
これは本当にエラいことだぞ」

※ニューヨークのペントハウスにバッド・クーパーがいたのはいつか?
そして、FBIの間でもダイアンへの疑惑が深まる。
ちなみにゴードンが書いていたのはこんな絵。
一体、何のことやらさっぱり。


ツイン・ピークス:グレート・ノーザン・ホテル

ベンジャミン・ホーンのオフィス。
ベンはシルヴィアと電話で話している。

「何、何をしたって?」
「押し入って、襲いかかってきて
ありったけのお金を奪っていったの!」
「ああ、なんてことを
ジョニーは無事なのか?」
「やっぱりあたしのことは聞かないのね
なんでジョニーなの?襲われたのは私よ!」
「シルヴィア、
もちろん君のことだって心配しているよ
いくら取られたんだ?」
「全部よ!金庫の中全部!
あなたに弁償してもらいますからね!」
「ダメだ!もうこれ以上君に金を送ることは出来んよ
シルヴィア」
「いいえ、送ってもらう!」
「シルヴィア!」
「必ず送ってもらうわよ!
今から弁護士に電話しますから!」

一方的に電話を切られ、頭を抱えるベン・ホーンは、
ビバリーを食事に誘う。

※ベンジャミン・ホーンとシルヴィアは離婚はしていないかもしれないが、
少なくとも現在は一緒に住んでいないらしい。


ツイン・ピークス:丸太おばさんの自宅

丸太おばさんはホークと電話中。

「ホーク、電気がハミングしてる
山の中や川から聞こえてくる
そして海と星の間で舞い踊り
月の周りで輝くの
でも近頃は輝きも消えかけ
残った闇の中には何があるのか
トルーマン兄弟はどちらも真の男たち
あなたの兄弟よ
その他にも良き者たちがあなたのそばにいる
もうすぐ円が完成する
時と空間の夢に目を凝らし耳を傾けて
まるで川にように今こそ溢れだす
それであり、それでない
ホーク、ローラのことよ」

丸太おばさんの言葉を黙って聞いているホーク。


ツイン・ピークス:ロードハウス

今夜の出演者は、Rebekah Del Rio

演奏されている曲『No Stars 』はこちら👉YouTube

※Rebekah Del Rioデヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』にも出演。
この曲『No Stars』にはデヴィッド・リンチも参加している。
ロードハウスのライブシーンは今シーズンの半ばお約束になっているが、今エピソードはほぼフル・コーラスの7分という長いシーンになっている。
マルホランド・ドライブ』のRebekah Del Rioの出演シーンはこちら
👉Mulholland Drive - LLorando (Crying) - English Subtitles - YouTube

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全18話の折り返し地点を過ぎ、
今エピソードは、新たなキャラクターの登場も、
前シーズンのキャラクターの再登場もなし。
ここへきて、バラバラだったピースが少しずつはまってきた印象。
これは考え過ぎかもしれないけど、
ツイン・ピークス、ラスベガス、サウスダコタと同時進行でストーリーが進んでいるようでいて、
実はそれぞれの場所での時間経過にはズレがあるんじゃないか?
やっぱり、考え過ぎかな?

最近未見だったリンチ作品の『イレイザーヘッド』と『エレファント・マン』を観たのだが、
いやあ、デヴィッド・リンチ、ぶれない人だなと。
特に、何から何まで自分でコントロールしたというデビュー作『イレイザーヘッド』には、
ツイン・ピークス』に繋がる要素満載です。
未見の方は是非!

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


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ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

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ツイン・ピークス The Return Episode 9 〈第9話〉

EPISODE 9


サウスダコタ州?:ファーム近く

Woodsman に命を助けられたバッド・クーパーは、
レイに立ち寄ると言っていたファームの近くまでたどり着く。
赤いバンダナの印。


FBIプライベートジェットの機内

サウスダコタの連邦刑務所から
フィラデルフィアへの帰途、
ゴードン・コールに国防総省のデイヴィス大佐から電話が入る。
ガーランド・ブリッグス少佐の首なし遺体の件。
プライベートジェットは急遽、
バックホーン警察署へ向かうことに。

※ノックス大尉からバックホーンの遺体がガーランド・ブリッグス少佐のものだと知らされたデイヴィス大佐が連絡先したのはゴードン・コールだった。


サウスダコタ州?:ファーム

ファームでバッド・クーパーを待っていたのは、
シャンタルとその夫ゲイリー“ハッチ”ハッチェンス

「ちょっと相棒、昨夜来るはずだったでしょう?
血、出てますよ」
「ここの所有者は誰だ?」
「農民です」
「今、どこにいる?」
「裏で眠ってます
欲しいものは?」
「携帯をニ、三台とこいつの弾」
「なんすか?これ?
俺が凄いヤツ、用意しますよ
おい、シャンタル、ボスがお見えだ
救急箱持ってこい!」
「怪我してるの?
やだ!一晩中待ってたんだよ
どこ怪我したの?」

バッド・クーパーがシャツをめくって見せると、
腹部に銃創。
しかし、出血は止まっている。

※シャンタルの夫ゲイリー“ハッチ”ハッチェンス役は、
ティム・ロス
シャンタル役のジェニファー・ジェイソン・リーとはクエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』に続いての共演。
ティム・ロスの吹替がちょっと…(以下自粛


FBIプライベートジェット機

座席で眠っているダイアンをゴードンが起こす。

「このままフィラデルフィアに真っ直ぐ引き返す代わりに、すまんがちょっと寄り道しても構わんか?
サウスダコタバックホーンに行く
重大事なんだ」
「ああ、クソゴードン、早く家に帰りたいの」
「極めて大事なことだし、君にとっても興味深いはずだ
クーパー捜査官が知っていたある男、
彼に関わる古い事件だ」
青いバラ事件?」
「そうだ」

酒を要求するダイアン。

今にも悪態をつきそうなダイアンの様子を察したアルバート

「だよな?わかってる!クソアルバートだ」

携帯を使おうとするダイアン。
しかし、携帯は通信不能

その時、ゴードンに連邦刑務所のマーフィー所長から
バッド・クーパー逃走の一報が入る。

「クーパーがパーっと逃げた!」


サウスダコタ州?:ファーム

建物の裏ではファームの持ち主である農民夫婦が眠っている(死んでいる?)。

マーフィー所長に用意してもらった携帯に
メッセージを打ち込むバッド・クーパー。

around the dinner table,
the conversation is lively.
ディナーの席での会話は弾む

メッセージを送ると、今度は電話をかける。
電話の相手はラスベガスのダンカン・トッド。

「もうやったか?」
「まだです」
「次かけるまでに終わらせろ」

電話を切られたダンカン・トッドは
ロジャーを呼ぶ。

一方、ハッチが用意したものに
満足気なバッド・クーパー。

「二日以内に刑務所の所長を殺せ」
「所長?いいっすよ
俺が殺る前に、シャンタルにやらせますか?」
「骨抜きするよ」
「好きにしろ
終わったらベガスでダブル・ヘッダーだ
「オーケー、ダブりましょ」
「まず、所長を殺れ、その後命令する
しっかり、覚えろ、
マーフィー所長、ヤンクトン連邦刑務所だ
自宅でも職場でもいい、とにかく殺せ」
「了解、なあ、シャンタル
熱いの、ボスにかましてやれ」

ハッチにそう命じられると、
シャンタルはバッド・クーパーに熱いキス。

「もっとしたーい」
「次にとっておこう」
「絶対だからね」
「壊しとけ、ここも早く出ろ」

見送ったハッチはバッド・クーパーが捨てた携帯をショットガンで撃つ。

※ダンカン・トッドにダギー殺害を命令したのはバッド・クーパーだった。
ダンカンとロジャーが“あの男”と言っていたのはバッド・クーパーだったということになる。
それにしても、バッド・クーパー、ハッチ、シャンタルの関係が謎。
“ラスベガスでダブルヘッダー”とは?


■ラスベガス:ラスベガス警察署

待合室で待たされているクーパーとジェイニーE。
中では、ラッキー7保険のブッシュネル・マリンズ社長が三人のフスコ刑事に事情を聞かれている。

「何か問題を起こしたことは?」
「いいえ、ダギーは優秀な社員ですし、
実に善良な市民です」
「だから誰かに命を狙われるなど考えられない?」
「特に思い浮かびません
もちろん、保険という商売柄、人から逆恨みされることがないとは言えませんな」
「この手の事件の動機は大抵、金です
ストレートな人間の欲求だ
ジョーンズ氏の経歴は?勤めて何年です?」
「12年になります
優秀ですよ、じっくり堅実で」
「少々、じっくり過ぎますな」

“スマイリー”フスコ刑事が妙な声で笑う。

「ダギーは交通事故を経験してるんです
その後うちへ来たんですが、
まあ、時々いわゆる後遺症が出るらしくて、
詳細は奥さんに聞かれた方がいい」
「ではご協力どうも、ブッシュネルさん」
「捜査していただき感謝してます、
しかし、実に奇妙ですな
最初は車が爆発し、次は本人が殺されかけた?」
「何か分かり次第ご連絡します」

まだ何か言いたげなブッシュネル社長。
元ボクサーの血が騒ぐのか、拳を握りしめる。
待合室に戻った社長はクーパーとジェイニーEに声をかける。

「ダギー、今日は社に戻らず家に帰っていい
では、明日から君と私と協力し答えを出そう」
「答え…」

立ち去るブッシュネル社長。

室内の三人のフスコ刑事。

「経歴なんだが、何もなかった、真っ白なんだよ
ダグラス・ジョーンズには、1997年以前の過去がない」
「そんなバカな」
「免許証はないし、パスポートも社会保障番号もない
学歴、納税記録、出生証明書もだ」
「びっくりだな…証人保護か?」
「そうかもな」
「司法省のあいつに聞けるか?」
「やってみる、
テールランプは直したのか?」
「239ドルもかけてな、
たかがテールランプだぞ!」
「キレイになったろ」

何が可笑しいのかまた妙な笑い方のスマイリーが笑う。

「ペンチ持ったあのオーストラリア人!」

釣られて他の二人も笑う。
大して面白くなかったことに気づいたのか、
真顔になる他の二人。

「もう一度呼ぶか?」
「犬と話すようなもんだろ?」
「女房は吠えっぱなしだしな」
「いい手がある」

そう言うとフスコ刑事はコーヒーのお代わりをクーパーに持って行き、マグカップを回収。
クーパーの指紋とDNAを確保する。

そこへクーパーを襲った犯人の情報が。
銃に皮膚ごと残っていた掌紋からアイク“ザ・スパイク”の身元が判明、居場所のモーテルも分かったのだ。

待合室のクーパーの視線は星条旗に吸い寄せられている。
頭の中で「AMERICA THE BEAUTIFUL 」も聞こえてくるが、クーパーの視線は部屋から出て来た女性の赤いハイヒールへ、そして壁のコンセントへと移る。

駐車場では、アイク“ザ・スパイク”の潜伏先のモーテルへ向かう三人のフスコ刑事が直したテールランプを確認している。

※1997年以前のダギーの記録は存在しない。
1997年に一体何があったのか?

ザ・スパイクの銃に残っていた皮膚片はクーパーに押さえられていた手から剥がれたものだった。
進化した腕は「引き千切れ!」と叫んでいたが。


■ラスベガス:アイク“ザ・スパイク”潜伏中のモーテル

どこかに電話中のアイク“ザ・スパイク”。

JTに伝言だ、
携帯にかけたが繋がらず、こっちにした
ここからが伝言だ
惜しくも失敗、怪我したんで休暇を取る」

電話を切るとグラスのウイスキーを飲み干す。

モーテルの駐車場には警察関係者が集結中。
三人のフスコ刑事も到着。
ザ・スパイクの逮捕に向けて着々と準備が進んでいる。

荷物をまとめ、部屋を出るザ・スパイク。
しかし、廊下の先には銃を構えた警官たち。
振り返ると、三人のフスコ刑事。
包囲されて万事休すのザ・スパイク。

※アイク“ザ・スパイク”はダンカン・トッドの依頼でダギー(クーパー)の命を狙ったはずだが、ザ・スパイクが伝言を残したのはJTという人物。
JTとは何者か?


ツイン・ピークス:保安官事務所

受け付けのルーシーと奥のデスクのアンディ。
何をやっているのかと思えば、二人とも同じショッピング・サイトで椅子を物色中。
ルーシーはベージュ、アンディは赤がいいと意見が分かれている。
しかし、予想通り、結局はアンディが折れる。
ところが、ルーシーはベージュではなく赤の椅子を注文する。
してやったりといった表情のルーシー。
面倒くさいカップル。

※ちなみにルーシーが注文した椅子は
$229.99が$179.99にディスカウントになっているオットマン付きの肘掛け椅子。
この二人は胴回りに肉じゅばんでも着ているのか、
極端にぽっこりした体型になっている。


ツイン・ピークス:ベンジャミン・ホーンの自宅

部屋から出てしまった息子を探すベンジャミン・ホーンの妻シルヴィア・ホーン
家の中を駆け回るジョニー・ホーン
自ら壁に激突し、頭部から出血、気絶する。

※ベンジャミン・ホーンの妻シルヴィア・ホーンと知的障害を抱える息子ジョニー・ホーンが再登場。
ジョニー・ホーンを演じる役者は三人目とのこと。


ツイン・ピークス:ブリッグス邸

ボビーがトルーマン保安官とホークと共に母親のベティを訪ねてくる。

「ボビー、どうしたの?
コーヒーでもどう?」
「いや、やめとく
お客さんが一緒なんだ
母さんにいくつか聞きたいことがあって」
「分かった」

「お聞きしたいのはクーパー捜査官のことなんです
彼は少佐が…」

トルーマン保安官がそこまで言うと、
ベティは分かってますというふうに話を遮る。

「亡くなる前日にここへ来た」
「やはり」
「いいわ、よく聞いて
あの日、クーパー捜査官が帰るとすぐガーランドは私を呼び、こう言ったの
“いつかわしらのボビーとホークにトルーマン保安官が”、聞いた時はハリーの方だと思ってたけど、“三人がクーパー捜査官のことを私に尋ねに来るだろう”って
言いながらあの人、私の肩をぎゅっと掴んだわ
どういうことか聞こうとしたけど、
それ以上話してくれなくて、ただひとつだけ、
三人が来たら渡してほしいものがあるって
そう言ったわ
そして、やって来た」

それは、肘掛け椅子の背の部分に隠されていた。
タバコよりも少し長いくらいの黒いスティック。

「お父さんからこの話を聞いた時、
あなたは今のあなたとは程遠かったわ
でもお父さんは大丈夫だって何故か確信してた
今のあなたが見えていたのね
最後まであなたを信じてた」

父への思いで胸がいっぱいになるボビーは思わず涙ぐむ。

※ガーランド・ブリッグス少佐の妻でボビーの母親ベティも再登場。


サウスダコタ州バックホーン警察署

ノックス大尉、マックレー刑事と合流するゴードン・コールの一行。

ダイアンは遺体を見るとこと拒否する。
ひとり待合室に残ったダイアンの携帯にメッセージが届いている。

AROUND THE DINNER TABLE,
THE CONVERSATION IS LIVELY.
ディナーの席での会話は弾む

マックレー刑事から事件概要について説明。

「ウィリアム・ヘイスティングスは地元の図書館司書ルース・ダベンポートと不倫関係にあり、そのダベンポートの頭がブリッグス少佐の胴体と共に発見されました
そこで我々がヘイスティングスを拘留すると、
今度は自宅で妻が殺害され、夫婦の弁護士ジョージ・バウサーという男を第一容疑者として拘留しました
するとその翌日、ヘイスティングスの秘書が車の爆発で死亡して…」
「シーズン2はどうなるのか?」

アルバートの分かりにくい皮肉。
マックレー刑事に謝罪するゴードン。

ブリッグス少佐の遺体を前にする一行。
マックレー刑事の説明が続く。

「ヘイスティングは司書であるルースに協力してもらい研究活動やブログを開設していたことが分かっていますが、そのテーマが少々変わっていて、異次元空間について」

「高校の校長だったんだよな?」
「小6の時はビー玉チャンピオンでしたよ」
「では、いつ負け犬になった?」
「そりゃ、タマを失くした時ですよ」

コンスタンスの上手い返しに満足気なアルバートが資料を読みあげる。

「約一週間前、ヘイスティングはブログをこんな文言と共に閉鎖している
“今日我々はついにいわゆるゾーンに入り、
そこで少佐に会った”
これは四十代の男の身体だ」

ゴードンとアルバートは事実を整理する。

「ブリッグス少佐なら72才です
ご存知の通り、ツイン・ピークス郊外にある例の政府施設で少佐が亡くなったのは25年前なんです
あの死体とほぼ同じ年だ」
「こう考えてみよう
25年前、クーパーはブリッグスと知り合い懇意にしていた
そして今この界隈に出没している」
「しかも、刑務所から逃げ出した状態で」
「そうだ」

コンスタンスは少佐の胃から出てきたダギーの結婚指輪を皆に見せる。

※バッド・クーパーがメッセージを送ったのはダイアンだった!
しかし、ダイアンは連邦刑務所でバッド・クーパーが別人だとゴードンに告げている。
バッド・クーパーとダイアンは通じていたのか?
抽象的なメッセージの意味がわかったのか?

ビル・ヘイスティングスが開設したというブログThe search for the zoneは実在する。
ブログの開設は1997年。
ダギー・ジョーンズの経歴は1997年以降しか存在しない。
ちなみに、デヴィッド・リンチが『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の七日間』以来5年ぶりに制作『ロスト・ハイウェイ』は1997年の作品。
The search for the zone のサイトはこちら
👉The Search For The Zone


ツイン・ピークス

ジェリー・ホーンは森の中。
ジェリーの右足は本人の意思で動かなくなっている。

I am not your foot.
私はお前の足じゃない

ジェリーは右足に触ることすら覚束ない。

「どっか行けー!」

意を決したジェリーは右足を掴むが、
ひっくり返ってしまう。

※ジェリー・ホーンの右足に異常発生。


ツイン・ピークス:保安官事務所

会議室ではチャドが、受付ではルーシーがランチ休憩中。
戻ってきた保安官に会議室を追い出されるチャド。

ベティから預かったスティックの開け方が分からない保安官とホーク。
その様子を笑って見ていたボビーは開け方を知っていた。
外に出ないと開けられないと言うボビー。

スティックを地面に叩きつけるボビー。
すると、スティックから音が。
もう一度叩きつけるとスティックから丸められた紙が出て来る。

253 YARDS
EAST
OF
JACK RABBITS
PALACE

BEFORE LEAVE
JACK RABBITS PALECE
PUT SOME SOIL
FROM THAT AREA
IN YOUR POCKET

2:53 10/1 10/2

ジャック・ラビット・パレスから東へ253ヤード進め
ジャック・ラビット・パレス去る前に
その地の土をポケットに入れろ

「ジャック・ラビット・パレスだと?」
「そんな場所聞いたことない」
「やるなあ、オヤジ、まただ」
「何だ?どういう意味だ?」
「ジャック・ラビット・パレスが何処にあるか知ってます
まだ小さい頃、オヤジが連れてってくれました
当時住んでた空軍基地、あの近くでオヤジといろんな話を作った空想の場所なんです
俺がジャック・ラビット・パレスの名付け親」
「少佐にはすべて分かってた、
これがどういうことであれ」
「それがオヤジです」
「じゃあ、二日後そこへ行かんとな
お前が案内しろ
それがオヤジさんの望みだ」

スティックの中にはもう一枚紙があった。
数字とアルファベットの羅列に混じって
COOPER COOPER
の文字。

「クーパーが二人?」

253という数字には聞き覚えがあると思ったら、第2話で進化した腕のメッセージの中に出てきた数字だった。
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉 - 極私的映画案内
時刻の方の2:53は第3話で登場。
ブラックロッジと現世の合間で漂っていたクーパーに急ぐように言った女の腕時計が表示していた時刻がPM2:53。
バッド・クーパーが運転する車の時計も同じ時刻を指していた。
詳しくはこちら
👉ツイン・ピークス The Return Episode 3 〈第3話〉 - 極私的映画案内


サウスダコタ州バックホーン警察署

署内禁煙につき、外でタバコを吸っているダイアン。
そこへ、ゴードンとタミー合流する。
三人の間に流れる気まずい雰囲気。
特にタミーは居心地が悪そうである。
その視線に耐えられなくなったかのように、
ダイアンにタバコを吸わせてもらうゴードン。

取調室。
うめき声を上げているウィリアム・ヘイスティングスに事情を聞くタミー。
マックレー刑事、ゴードン、アルバート、ダイアンが見守っている。

ヘイスティングスさん、
あなたはホームページでブログを書かれていますよね?
ブログ名は“ゾーンを探して”」
「ええ」
「どんなことについて書いているんですか?」
「いろいろと」
「二週間ほど前にあるものとの遭遇について書かれましたよね?あなたは“別世界と表現されている」
「異次元空間ですか?
ええ、でも事実です
すべて現実なんですよぉ」
「そのテーマに関心を持ったのはいつからなんですか?」
「結構前から、山ほど資料を読んでて」
「でも今回は実際その空間を見つけ、
中に入ったと書いてますよね?」
「そうです」
「更にあなたはこうも書かれています
その中で少佐に会った、と」
「ええ、そうです
ルースは隠された記録を見つけるのがとても得意で、
それに彼女は確信してました
しかるべき時刻にしかるべき場所へ行けば
異次元空間に入ることができ、
しかるべき人物と接触できると
だから行ったんです」
「そしてそこで少佐に会ったんですね?」
「少佐は隠れてました
でも、本人は冬眠だと言ってて
他の連中に見つかってしまうかもしれないから
別の場所へ行きたいんだと言いました
だから数字を入手するよう頼まれたんです
重要な数字を、座標です
そして少佐が言った通りにそれを軍のデータベースで見つけました」
「まだその座標は持ってます?」
「ルースが持ってたんで、というか手に書いてました
忘れないようにって」
「何があったの?」
「先週の木曜に少佐に数字を届けに行って
恐ろしい事が起きたんです
他の連中、奴らがやって来て私の首を掴むと床に押し付けてこう言った!
女房の名前は?女房の名前は?って
フィリスだと答えた
ルースを殺してない!愛してたんだ!
どうか私を信じてくれ!
ああ、全部私のせいだ、
こんなこと起きちゃいけなかったのにぃ」

ウィリアムはタミーに見せられた六人の写真の中から「この人です」とガーランド・ブリッグス少佐を選び出す。

「一体何が起きたのか、話して」
「数字を渡すと少佐は宙に浮かび上がり、
そしてこう言ったんです
クーパー、クーパー
その直後、頭が消えた
まるで誰も見たことがないような
私もあんなのはじめて見た
あんなの、あんなのってどんな資料にも載ってなかった!
あなたには分からない!
実際に見なきゃ無理なんだ!
すごく少佐は、少佐は、あれはとても美しかった!
その時ルースが死んだ!
辛くて悲しくて、私はルースを抱きしめたんです
そして次の瞬間、目が覚めたら、
私は自分の家にいました
家にいたんです!」
「ルースを殺したのは少佐なの?」
「いいえ、あそこには大勢いたんです
私を信じてください!
私はルースを殺していません!
愛していました!
一体自分に何が起きているのか?
どうか、どうか私を助けてください!
お願いです!」

ルースと二人でバハマでダイビングがしたかったと泣き崩れるウィリアム・ヘイスティングス

「男なのか?こいつは」

アルバートのキツい一言。

※ウィリアム・ヘイスティングスがブリッグス少佐と接触していた。
ヘイスティングスが少佐に入手するように頼まれていた座標とは、バッド・クーパーがヘイスティングスの秘書から聞き出すようにレイに命じていたあの座標のことだろう。
バッド・クーパーは少佐と接触したかったのか?
しかし、ヘイスティングスの秘書は車の爆破事故で死亡。
ヘイスティングスはルースが数字を手に書いていたと証言したが、ルースの頭部以外は発見されていない。
ということは、今、座標の数字を知っているのはレイ、ただ一人ということになる。
ヘイスティングスの秘書を殺したのはレイだとしても、
ルースを殺したのは誰なのか?
ヘイスティングスが入った異次元空間とはどんな場所なのか?
そこに大勢いたのは、どんな者たちなのか?
ダイアンは何故携帯に届いたメッセージのことを黙っているのか?


ツイン・ピークス:グレート・ノーザン・ホテル

ベンジャミン・ホーンのオフィス。
ベンとビバリーは相変わらず謎の音の出所を探っている。
どうやら、部屋の隅のフロアランプの辺りで一番音が大きく聞こえる。

「なんだか魂にも入り込むような、そんな響き」
「ああ、まるで修道院の鐘の音色だな
あれとよく似ている
もしくは、うん、別世界の響き」

二人の距離が近づく。

ビバリー、私には出来ない
なぜかはわからないが」
「あなたはいい人よ」

※この音はベンの言う通り、別世界からの音だろう。
この場所が別世界へと繋がっているのか?
それにしても、生まれ変わったかのように紳士なベンジャミン・ホーン。


ツイン・ピークス:ロード・ハウス

ボックス席の若い女二人。
ひとりはブロンド、ひとりはブルネット。
エラとクロエ。

「デブラって戻って来たよね?」
「会うの久しぶり」
「仕事変えた」
「へー、何でよ?」
「クビだよ、クビにされたの!」
「ふざけてんね、何で?」
「ハイのまま仕事行ったみたい」
「みたい?」
「そう、ったく、覚えてなくて
でも別に騒ぐことじゃないよね?
仕事はちゃんとやったんだよ
ハイでもハンバーガーは売れるんだし、でしょ?
なんかやたらかゆくって」

エラは腋の下をかきむしる。

「で、今の仕事は?」
「通りの向かいの店でバーガー売ってる」
「クソだね」
「そう」

「あのペンギン見た?」
「はあ?何?見たって」
「だから、あのペンギン」

かきむしりすぎて、血が滲んでいるエラの腋の下。


今夜のロード・ハウスのバンドは
再び、Au Revoir Simone
演奏している曲『A VIOLENT YET FLAMMABLE WORLD 』こちら👉Au Revoir Simone - "A Violent Yet Flammable World" (Twin Peaks 2017) - YouTube

※今後の展開に何の関係もなさそうなこのシーン。
でも、アップになるエラがかきむしって血が滲む腋の下とか、妙に気になります。

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一週放送がお休みだったその間に、カール・ロッド役で出演中のハリー・ディーン・スタントンの訃報が届きました。
享年91才。
最後まで現役の俳優として、
多くの人々に愛されました。
Rest In Peace.

今エピソードでは、旧メンバーのベンジャミン・ホーンの妻シルヴィア、息子のジョニー、ガーランド・ブリッグス少佐の妻でボビーの母ベティが再登場。
そして新メンバー、シャンタル・ハッチェンスの夫ゲイリー“ハッチ”ハッチェンスが登場。
演じているのはティム・ロス
シャンタル役のジェニファー・ジェイソン・リーとは、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』でも共演。
夫婦役も妙にしっくりきています。

ヘイスティングスがブリッグス少佐と接触していたことが判明したり、ダギー殺害はバッド・クーパーの命令だったり、ヘイスティングスの秘書も殺されていたりと様々な新事実が明らかになりました。

バッド・クーパーは何故ダギーを殺そうとしたのか?

気になる数字が多数登場する中、
ようやく253、そして2:53が符合。
ジャック・ラビット・パレスで何が起こるのか?

ダイアンは、バッド・クーパーと通じているのか?

すべてに答えは出るのだろうか?
=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト
音楽:アンジェロ・バダラメンディ


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👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

👇前シリーズの謎を解く鍵だった『 ツイン・ピークス ローラの日記』も再販。
旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

👇ハリー・ディーン・スタントンデヴィッド・リンチの作品にも多数出演していますが、
やはり一本挙げるならヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』。

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👇ジェニファー・ジェイソン・リーティム・ロスの共演作、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』はこちら

👇ティム・ロスが終末期の患者の看護師を演じる、メキシコの新鋭マイケル・フランコ監督の『或る終焉』はこちら

或る終焉 [DVD]

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今月の読書 〜2017年8月〜

梅雨明けと同時に梅雨時のような肌寒さで、
例年酷暑に萎える読書ペースも落ちずに済んだ8月。
何と言っても、今月のベストは言葉選びのセンスがスーパークールだった多和田葉子『百年の散歩』
アフリカ系アメリカ人とアフリカ人の人種問題に対する意識の差はこれを読まなければ知らなかったかもしれないチママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』
アディーチェは短編(『明日は遠すぎて』)も巧い。
SFに苦手意識のある方にもオススメしたいのは、
ケン・リュウ『母の記憶に』カート・ヴォネガット『人みな眠りて』


■アメリカーナ/チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
くぼたのぞみ 訳/河出書房新社
AMERICANAH/Chimamanda Ngozi ADICHIE/2013

ジュンパ・ラヒリ、イーユン・リー、ジェフリー・ユージェニデスなどこれまでにも米国に移り住んだ人々の物語は読んできたが、ナイジェリア人女性の視点で語る本作はとても新鮮だった。
「オールド・ファッションなラブストーリーを書きたかった」そうだが、やっぱり興味深いのはイフェメルが米国へ行って初めて直面した“人種問題”だ。
アメリカ黒人と非アメリカ黒人の間に存在する意識の違い、外国で学び帰国したナイジェリア人と故国との間の生じるズレ。
イフェメルはアメリカで傍目からみればかなり上等な二人の恋人(白人リベラル、アフリカ系アメリカ人)と付き合うが、二人の人種問題に対する態度に違和感を感じる。
結局それが故郷の恋人オビンゼの元に戻る動機のひとつにもなっていくのだが、一筋縄にはいかない人種問題の複雑さについて考えさせられた。
ナイジェリアにいる間は自分が黒人だと意識したことのなかったイフェメルの姿と日本に生まれて暮らしている日本人が重なる。
日本人だって海外に出れば、間違いなくマイノリティであり、差別される側の存在だ。
“ラブストーリー”の効用は、イフェメルの運命の人であるオビンゼの視点を獲得出来たことだろう。
彼の視点があることでストーリーが重層的になっているし、彼がイギリスで経験した挫折は海外に出たナイジェリア人のもうひとつの物語だ。
イフェメルの物語は、自分が自分らしくいられる場所(あるいは自分が自分らしくいられる誰か)を探す旅でもある。
恋愛というのは、自分がどういう人間なのかを知ることなんだとあらためて思う。

アメリカーナ

アメリカーナ


■人みな眠りて/カート・ヴォネガット
大森望 訳/河出書房新社
While Mortals Sleep:Unpublished Short Fiction /Kurt Vonnegut /2011

カート・ヴォネガット未発表作品を集めた短編集の第二弾。第一弾『はい、チーズ』を読んだ時にも感じたことだが、第二弾もこれがなぜ未発表だったのか?という粒ぞろいのクオリティ。
ヴォネガットというとSF作家という認識の人も多いだろうが、収録作品の中でSF要素を感じさせるのは「ジェニー」くらいのもの。
お気に入りはクリスマス嫌いの新聞の社会部部長ハックルマンがクリスマス精神に目覚める表題作「人みな眠りて」、鉄道模型に夢中で妻を蔑ろにした男が母親に強烈な釘を刺される「スロットル全開」あたり。
オチが絶妙です。
「ガール・プール」「ルース」など女性が主人公の話でも女性作家かと思うくらいに心理描写が巧み。
ヴォネガットの作家としての懐の深さを感じさせてくれる一冊です。
(収録作品)
⚫︎ジェニー Jenny
⚫︎エピゾディアック The Epizootic
⚫︎百ドルのキス Hundred-Dollar Kisses
⚫︎人身後見人 Guardian of the Person
⚫︎スロットル全開 With His Hand on the Throttle
⚫︎ガール・プール Girl Pool
⚫︎ルース Ruth
⚫︎人みな眠りて While Mortals Sleep
⚫︎消えろ、束の間のろうそく Out,Brief Candle
⚫︎タンゴ Tango
⚫︎ボーマー Bomer
⚫︎賢臓のない男 The Man Without No Kiddleys
⚫︎ミスターZ Mr.Z
⚫︎年に一万ドル、楽々と $10,000 a Year,Easy
⚫︎金がものを言うMoney Talks
⚫︎ペテン師たち The Humbugs

人みな眠りて

人みな眠りて


■百年の散歩/多和田葉子
新潮社

フィクションともエッセイとも言い難い不思議な味わい。実在するベルリンの通りや広場の名を冠した章で構成されている。あの人を待ちながら歩く通りや広場、目に映る景色や店や人々の姿、刺激された想像力が解き放たれる。

「渡し船には乗らず、横断歩道のシマウマの背中に乗って渡った」
「驚きはミミタブの裏側をカタツムリのようにゆっくりと這い上がった」

(『レネー・シンテニス広場』)

逆立ちしても出て来ないようなハッとする表現にため息。他言語で暮らしているからより洗練された日本語で表現できるのだろうか?全編、素晴らしかった。
「レネーシンテニス広場」のレネーシンテニスはベルリン国際映画祭のトロフィーのクマを制作した彫刻家。通りや広場の名前になったその人への興味もわくし、その場所の歴史にも思いを馳せたくなる。

「蜘蛛を嫌う人、汚職を嫌う人、にんじんを嫌う人、
ナイロンを嫌う人、いろんな人がいていい。
でもユダヤ人を嫌うということはありえない。
トルコ人を嫌うということはありえない。
中国人を嫌うということはありえない。
自分の傷が腐食しかけているのに治療する勇気を出せない憶病者が、無関係な他人に当たり散らしているだけだ。」

(『トゥホルスキー通り』)

「子供は背後に無限に広がる空間に一歩づつ踏み込んでいく。未知の空間での冒険がこんなに日常的な時間に含まれていることを知っているのは子供たちだけだ」
(『コルヴィッツ通り』)

「あの人は言った。若葉がきれいなのは数日間だけだ、と。すぐに色がくすんでしまう恋愛に似ている。必ずくすんで、それから先の時間はずっと失った色のことが気になっている。無理だとわかっていても取り戻そうとする。取り戻せないので再現しようとする。演じようとする。もしも喪失も恋愛のうちならば、ハカナイということにはならない。むしろいつまでも終わらないことが苦しいくらい。恋の時間は長い。」
(『トゥホルスキー通り』)

(収録作品)
⚫︎カント通り
⚫︎カール・マルクス通り
⚫︎マルティン・ルター通り
⚫︎レネー・シンテニス広場
⚫︎ローザ・ルクセンブルク通り
⚫︎プーシキン並木通り
⚫︎リヒャルト・ワグナー通り
⚫︎コルヴィッツ通り
⚫︎トゥホルスキー通り
⚫︎マヤコフスキーリング

百年の散歩

百年の散歩


■双頭のバビロン/皆川博子
東京創元社

身体の一部を共有し、この世に生を受けたゲオルグユリアンの双子。
名家の跡取りとして育てられ、長じて新大陸アメリカに渡り、著名な映画監督となるゲオルグと、
存在を抹消され影として生きるユリアン
双子が辿る数奇な運命が1920年代のサイレント時代のハリウッドと退廃のムード漂う上海租界という魅力的な舞台を背景に描かれる。
ユリアンと一緒に育ったツヴェンゲルというキャラクターは双子のストーリーをひとつにする重要な存在であり、彼の視点が物語に奥行きを与えている。

双頭のバビロン

双頭のバビロン


夜は短し歩けよ乙女森見登美彦
角川書店

マインド・ゲーム』『ピンポン』の湯浅政明監督でアニメ化され観たかったのだが、観逃してしまったので、先ずは原作。
有頂天家族』と舞台、世界観を共有する作品なのですぐに入り込めたし、今どきなかなか思いが伝えられない奥ゆかしさというかじれったさも、
我が道を行くヒロインの天然ぶりもまた良し。遠回りして見える景色はきっとあるし、
遠回りしてこそ物語が生まれる。
しかし、酒豪のヒロイン、未成年じゃないだろうか?
糺ノ森の古本市、行ってみたいな〜。
“古本市の神”はきっと狸が化けてるんだと思う。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

👇湯浅政明監督によるアニメーションのDVD、Blu-rayはこちら

「夜は短し歩けよ乙女」 DVD 通常版

「夜は短し歩けよ乙女」 DVD 通常版


■母の記憶に/ケン・リュウ
古川嘉通 他訳/早川書房(新・ハヤカワ・SF・シリーズ)
MEMORIES OF MY MOTHER AND OTHER STORIES /KEN LIU/2017

かつての私がそうだったようにSFに苦手意識のあるひとにこそオススメしたいのが、ケン・リュウの短編集。
前作の『紙の動物園』もそうだったように、
ケン・リュウの紡ぐストーリーはSF要素はほんの一部であって、まず、その世界観を理解しなければストーリーに入り込めないというものではない。
今作にはごく短いものから中編と言ってもいいようなものもあるが、テッド・チャンの『あなたの人生の物語』を思わせるごく短い表題作『母の記憶に』、身体機能を拡張強化した女探偵が娼婦殺しの犯人を追う中編『レギュラー』辺りがお気に入り。
中国で生まれアメリカで教育を受けた著者の出自が活かされたゴールドラッシュのサンフランシスコが舞台の『万味調和ー軍神関羽のアメリカでの物語』、中国の史実に材をとった『草を結びて環を銜えん』も良かったです。
(収録作品)
⚫︎烏蘇里羆(ウスリーひぐま)The Ussuri Bear
⚫︎草を結びて環を銜えん
Knotting Grass,Holding Ring
⚫︎重荷は常に汝とともに
You'll Always Have the Burden with You
⚫︎母の記憶に Memories of My Mother
⚫︎シミュラクラ Simulacrum
⚫︎レギュラー The Regular
⚫︎ループの中で In the Loop
⚫︎状態変化 State Change
⚫︎パーフェクト・マッチ The Perfect Match
⚫︎カサンドラ Cassandra
⚫︎残されし者 Staying Behind
⚫︎上級読者のための比較認知科学絵本
An Advanced Reader's Picture Book of Comparative Cognition
⚫︎訴訟師と猿の王
The Litigation Master and the Monkey King
⚫︎万味調和ー軍神関羽のアメリカでの物語
All the Flavors
⚫︎『輸送年鑑』より「長距離貨物輸送飛行船」(〈パシフィック・マンスリー〉誌二〇〇九年五月号掲載)
The Long Haul:From the ANNAL OF TRANSPORTATION,The Pacific Monthly,May 2009

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

👇ケン・リュウの前作『紙の動物園』もオススメ


■ドローンズ・クラブの英傑伝/P・G・ウッドハウス

〈ジーブス〉シリーズでもお馴染みの紳士のクラブ、ドローンズ・クラブを舞台(というよりもクラブに出入りする紳士?たちを主人公にした)にした短編集。
途轍もなく惚れっぽいフレディ、大金持ちのくせにいつも一攫千金を狙っているウーフィー、妻に頭が上がらないビンゴ、彼らが起こす騒動はワン・パターンと言えばワン・パターンかもしれないが、戦争の足音響く不穏な時代にあっても、戦後の混乱期にも一貫して届けられたウッドハウスのユーモア小説がどんなにイギリス国民を楽しませたかは想像に難くない。

ドローンズ・クラブの英傑伝 (文春文庫)

ドローンズ・クラブの英傑伝 (文春文庫)


■私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝/中原一歩

確かにカツ代さんが鉄人・陳建一と対決した『料理の鉄人』はよく覚えてるし、伝説の回だったと思う。どんな一流シェフの挑戦者が登場しても結局は鉄人の勝利に終わることが殆どだったので、“家庭料理”のプロであるカツ代さんの勝利に胸のすく思いをした人も少なくなかったんじゃないかな。家に普通にある材料で美味しいものを作るっていうことは、外で美味しいものを食べること以上に大事なことだと思う。カツ代さんのレシピはそれを実践したものだし、この分野では先駆者だったと思う。
本のタイトル通り、カツ代さんのレシピ本は亡くなった後も出版され、自分で美味しいものを作りたいという老若男女に読まれ続けている。
カツ代さんの肉じゃが、私も作り続けます。

私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝

私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝


■明日は遠すぎて/チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

大長編『アメリカーナ』を先に読んでしまったので短編の印象は全くなかったのだが、
いや〜短編も巧いです。
『アメリカーナ』の中の一章にもなっている「シーリング」も収録しているが、『アメリカーナ』が人種問題抜きに語れなかったのに比べると、
ここに収録された作品は、妻子の男と交際中の女性や結婚式を控えた母と娘や男性社会で働く女性の姿など、より普遍的で共感しやすいものになっていると思うし、アディーチェが様々なジャンルの作品が書ける作家だということを証明していると思う。
(収録作品)
⚫︎明日は遠すぎて Tomorrow Is Too Far
⚫︎震え The Shivering
⚫︎クオリティ・ストリート Quality Street
⚫︎先週の月曜日に On Monday of Last Week
⚫︎鳥の歌 Birdsong
⚫︎シーリング Ceiling
⚫︎ジャンピング・モンキー・ヒル
Jumping Monkey Hill
⚫︎セル・ワン Cell One
⚫︎がんこな歴史家 The Headstrong Historian

明日は遠すぎて

明日は遠すぎて

ツイン・ピークス The Return Episode 8 〈第8話〉

EPISODE 8


■ハイウェイ

マーフィー所長の手引きで連邦刑務所から逃走し、
ハイウェイをひた走るバッド・クーパーとレイ・モンロー。
運転しているのは、レイ・モンロー。
バッド・クーパーの携帯画面には見慣れない表示。

「この車、追跡装置が3つついてる」

そう言って、バッド・クーパーは携帯画面の表示をタップして消す。

「あの前のトラックに寄せろ」

レイに命じるバッド・クーパー。
レイが前方を走るトラックとの車間距離を縮めると、
バッド・クーパーはトラックのナンバーをショートメッセージで誰かに送信する。

DEGWW8

送信後、携帯を窓から捨てるバッド・クーパー。

「逃げたこと、怒んないでくれよ
こんなヘマこいて最悪だよ
出られて助かった
どうやったんだ?」
「ダーリャに話を聞いた
お前が必要だったんでな」
「ダーリャは?」
「安全な場所に着いたら、
電話することになってる」
「どこへ行く?」
「ファームと呼ばれる場所に行くのがいいだろう」
「だと思ってた、それが一番よさそうだ
とは言え、黙って逃しはしないだろ?
奴らだって
すぐに追いかけてくる」
「俺の欲しいものを持ってるな」
「ああ、持ってるよ
ちゃんと覚えてるから、
数字を全部、完璧に覚えてる
けどよ、クーパーさん、
相当な価値があるんだろ?
かなりの大金になるはずだ」
「そう思ってるのか?」
「思ってますよ」

バッド・クーパーはレイにハイウェイを下りるように指示する。
やがて車は舗装されていない細い道へと進み、
林の中へ。

用を足したいと車を止めるレイ。
その間に、グローブボックスから銃を取り出し車から降りたバッド・クーパーはレイに銃を向ける。

「レイ、その情報が欲しい」
「そうか」
「50万ドル、しくじったようだな」
「さあて、それはどうだろう?」

振り返ったレイも手に銃を持っている。
バッド・クーパーの銃には弾が入っていない。

「生憎だな、間抜けが!」

レイは立て続けに二発撃ち、
バッド・クーパーは倒れる。
止めを刺そうとレイがバッド・クーパーに近づくと、
林の奥から顔を黒塗りした浮浪者のような男(Woodsman)が3人姿を表し、
バッド・クーパーに駆け寄る。
Woodsmanたちは倒れたバッド・クーパーの周りに跪き、傷口から流れ出る血をバッド・クーパーの顔に塗りつけている。

すると、バッド・クーパーの血だらけの腹部にボブの姿が。

異様な光景に肝を潰したレイは車に飛び乗り、
慌ててその場を立ち去る。
辺りには白い煙が立ち込める。

※バッド・クーパーがグローブボックスから取り出した銃は、マーフィー所長にリクエストした“友だち”だろう。
しかし、その銃には弾が入ってなかった。
バッド・クーパーはマーフィー所長に裏切られたのか?
しかし、サウスダコタのバックボーン警察署に姿を現した黒塗り顔の浮浪者のような男がWoodsmanだったとは…。
辞書を引くと、
Woodsmanは「森の住人」という意味だが、
そんな牧歌的なモンじゃない!


■ハイウェイ

再び、ハイウェイに戻るレイ。
誰かと電話中。

「フィリップ、レイだ!
ああ、ヤツは死んだと…
でも、ヤツの仲間が現れたんで、確信は持てない
それにその…クーパーの中に何かいた!
それが今回の件の鍵になるかも
行き先は言ってあるから、
ヤツが追ってくればそこで捕らえる」

※レイはフィリップ・ジェフリーズに連絡を入れているし、彼の指示で動いているのかと思っていたが、
彼が銃も携帯も持っていたということは、
マーフィー所長とも通じていたということか?


ツイン・ピークス:ロードハウス

ロードハウスの今夜のバンドは、
ナイン・インチ・ネイルズ

曲はこちら『SHE'S GONE AWAY 』👉The Nine Inch Nails in Twin Peaks - YouTube

ナイン・インチ・ネイルズのフロントマン、
トレント・レズナーデヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』にも音楽監修として参加している。
このシーンにも登場するアティカス・ロスと共に手掛けたデヴィッド・フィンチャーの『ソーシャル・ネットワーク』でゴールデングローブ賞アカデミー賞で音楽賞をダブル受賞。
デヴィッド・フィンチャーの『ドラゴン・タトゥーの女』『ゴーン・ガール』の音楽も手掛けている。


■ハイウェイから外れた林の中

Woodsmanたちから顔に血を塗りたくられ(介抱された?)横たわるバッド・クーパー。
突然、弾かれたようにガバッと起き上がる。


ニューメキシコ州

1945年7月16日午前5時29分

人類初の核実験実施。

閃光、キノコ雲、強烈な熱風、飛び散る粉塵。


古びたガソリンスタンド。
立ち込める白煙。
フラッシュする光。
亡霊のように行き来するのは大勢のWoodsman たち。



虚空から現われた白い人のようなもの(Experiment )が口から繭のような、あるいは卵のようなものを大量に吐き出す。

その中にも、ボブの姿が。


※1945年7月16日
この日行われた人類初の核実験、トリニティ実験。
この日から1ヶ月も経たない8月9日、
同型の爆弾「ファットマン」が長崎に投下された。
ゴードン・コールのオフィスにかけられていたキノコ雲の写真はここに繋がっているのだろう。
トリニティ実験が実施された当時のアメリカ大統領はハリー・S・トルーマン
ローラ・パーマー事件当時、ツイン・ピークスの保安官だったのは、同姓同名のハリー・S・トルーマン
これも意図されたものか?

ニューヨークのガラスボックスから現れサムとトレイシーを襲ったのは、ボブを生み出したエクスペリメントだった!

このシーンで使われているポーランドの作曲家クシシュトフ・ペンデレツキの『広島の犠牲者に捧げる哀歌』(Penderecki :Threnody to the Victims of Hiroshima )はこちら👉Penderecki: Threnody to the Victims of Hiroshima - Urbański, FRSO - YouTube


■ブラックロッジと現世の狭間?

漆黒の海。
(クーパーがブラックロッジから飛ばされた場所と同じか?)
やがて、島が見えてくる。
切りたった崖の上には城のような建物が。
一面壁で覆われているように見えるが、
ひとつだけ小さな縦長の窓がある。

室内には、ドレスとアクセサリーで着飾った女(Senorita Dido)がソファに座りゆっくりと体を揺らしながら、蓄音機から流れる音楽を聴いている。

女の右前方には、巨大なコンセントのような装置が鎮座している。
やがてその装置から異常を知らせるような音が響くと、
部屋の隅からタキシード姿の巨人が姿を現わす。

眉間にシワを寄せた巨人は、装置の中央にあるボタンを押し、音をとめる。

部屋を出た巨人が向かった先は、
客席を取り払った劇場のような大広間。
舞台の奥には大きなスクリーン。
そこに映し出されたのは、
核実験とガソリンスタンドのWoodsman の映像。
エクスペリメントの口からボブが吐き出されたところで映像がストップする。

すると、巨人の体はゆっくりと浮上する。
そこへソファに座っていた女が入ってきて、
舞台に上がってくる。
スクリーンは満点の星空。
空中で仰向けの姿勢になった巨人の口から星くずのようなものを吐き出される。

巨人の口から吐き出された星くずは、
やがて黄金に輝く球体となって女の方に降りてくる。

手を差し出した女の元におさまった球体には
ローラ・パーマーの姿が見える。
球体に口づけした女が送り出すように球体を放すと、
それはゆっくりと上昇し、まるで金管楽器のような管に吸い込まれてゆく。

スクリーンには、地球の映像。
管の先から出た黄金の球体は、
スクリーンの地球に向かって放たれる。
無事、役目を果たしたというような表情の女。

※巨人とSenorita Didoが住む城のある島が、
トリニティ実験の跡地に建つ記念碑の形とそっくり!


ニューメキシコ砂漠

1956年8月5日。
一面の砂漠地帯。
エクスペリメントから吐き出された卵のひとつが孵化しようとしている。

やがて、殻を破って這い出てきたのは、
羽根を持つ前半身は昆虫のようだが、
後ろ半身の足は蛙かトカゲの両生類のような異様な姿の生き物。

満月が雲に隠れる。


ニューメキシコ州

Woodsmanたちが蠢いていたガソリンスタンドの前を歩いてくるパーティー帰りらしいティーンエイジャーのカップル。

「あの曲、気に入った?」
「ええ、すごく気に入った
ああ、見て!
1セント見つけた!
ああ、表が上よ
幸運が来るって印!」
「幸運が来るように祈ってる」

※少女の見つけた1セント硬貨。
麻薬の売人レッドもコインでリチャードを煙に巻いていた。
奇妙な一致。


ニューメキシコ州

荒涼とした風景の中からWoodsmanが一人、
また一人、姿を現わす。

ハイウェイを走る夫婦の車の前に突然姿を現わすWoodsman。
驚いて車を止めた夫に話しかける。

「火、あるか?」

タバコを片手に何度も同じことを繰り返すWoodsman。
怯える夫は何も答えられない。
すると、車の前方にもうひとりのWoodsmanが姿を現わし、夫婦は堪らず走り去る。
スピードを上げる車の前方に、
更にWoodsmanの姿が。

※「火、あるか?」と「火よ、我と共に歩め」


ニューメキシコ州

夜道を歩くティーンエイジャーカップル。

「あなたが住んでるのって、街の方、なんでしょ?」
「そうだよ」
「学校のそばよね?」
「なんで知ってるの?」
「知ってるから」

「あなたはメアリーを送って行くと思ってた」
「いや、もう終わったんだ」
「じゃあ、もしかして悲しんでる?」
「別に」
「そう、そうなのね、
だったらよかった!
それなら…よかった
それじゃあ、送ってくれてホントにありがとう」
「送りたかったんだ…
キスしてもいいかな?」
「それは…どうかなあ?わかんない」
「一回だけ!お願い!」

微笑ましい軽いキス。
またね、と言ってわかれる二人。
名残惜しそうに、家に入る少女。


ニューメキシコ州

車の夫婦を恐れさせたWoodsmanが向かっているのは地元のラジオ局。

ラジオから流れているのは、
プラターズの『My Prayer 』。
客のひいたダイナーのウェイトレス、
車の修理工、
そして、意中の少年とキスをしたあの少女が
今夜の出来事を思い出しながら聴いている。

ラジオ局にやって来たWoodsmanは
受付嬢にあの質問を繰り返す。

「火、あるか?」

そう言って、受付嬢の頭を左手で鷲掴みにするとWoodsman は指の力だけで彼女の頭を握り潰す。

続いて放送ブースのDJにも同じ質問するWoodsman。
同じ質問を繰り返しながらDJに近づき、
彼の頭をまたしても鷲掴み。

乱暴にレコードをとめたWoodsmanはマイクに向かうと話し出す。

これが水だ
そして、これが井戸
すべて飲み干し、降りて行け
この馬は白目で、中は闇

同じフレーズを何度も繰り返すWoodsman。
これを聴いていたウェイトレス、修理工は次々に倒れる(眠る?)。
ベッドの上の、あの少女も体を横たえる。
彼女の元に、砂漠で孵化したあの異様な生き物が飛んで来る。
そして、操られたように開けられた彼女の口に、
“それ”は入り込む。
口を閉じた彼女は、“それ”を飲み込んでしまう。

同じフレーズを延々と繰り返しながら、
Woodsmanは薄笑いを浮かべ、
DJの頭を握り潰す。
頭蓋骨にめり込むwoodsmanの指。
崩れ落ちるDJ。

荒涼とした風景の中に姿を消すWoodsman。

眠りに落ちながら、眉間にシワを寄せる少女。

※凄惨なシーンにロマンティックなプラターズ
『My Prayer 』はこちら
👉"My Prayer" The Platters - YouTube

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今シーズンも既に第8回。
全18話の折り返し地点を迎えた今エピソードは、
何とも表現しようのない異様なエピソードとなった。
邪悪な者たちの起源、邪悪な者たちは、
人類初の核実験から生み出されたということが明らかになった今エピソードはシーズンの大きな転換点だろう。
しかし、極端に台詞が少ない!
文章にするのに難儀しました。

来週は、女子ゴルフの中継のため一週お休み。
先は気になるけど、
皆さん、この間に前半を復習しましょう!

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト


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ツイン・ピークス The Return Episode 7 〈第7話〉

EPISODE 7


ツイン・ピークス:森の中

肩で荒い息をしながら森の中に佇むジェリー・ホーン。
困惑し、怯えているように見える。
そこへ電話がかかってくる。
ジェリーの兄ベン・ホーンからだ。

「ジェリー?ジェリー、ジェリー、何があったんだ?」
「クルマを盗まれた!」
「何?」
「今、言っただろ!」
「ジェリー、何があったんだ?
クルマを盗まれたのか?」
「今、同じこと言ったか?」
「何?ジェリー」
「俺、ハイみたいだーっ!」
「あ〜、勘弁してくれ」
「俺は今どこにいるんだーっ!」

泣きだしそうなジェリー。
通話が切れる。


ツイン・ピークス:保安官事務所

トルーマン保安官とホーク副署長が
ホークが見つけた紙片を前にしている。
ホークが洗面所のトイレのドアから見つけたのは、
やはりローラ・パーマーの日記の一部だった。

昨日の夜見た夢にそれは出てきた
私の名前はアニー
デイルとローラと一緒にいるの
いいデイルはロッジにいてそこから出られない
あなたの日記にそう書いておいて

ローラの友人ハロルド・スミスの自宅で見つかったローラの日記。
破りとられていたページは4ページあったはずだが、
見つかったのは3ページ。

午前1時30分
私は今まともに息ができないくらい泣いている
あれはボブじゃないってことがはっきりとわかったから

日記の一部を隠したのは、ローラに正体を悟られたローラの父親リーランドだというホークの意見。

「ローラが言うにはこれはあくまで夢の中のアニーの言葉です。そしてこう言ってる。
“いいデイルはロッジにいて
そこから出られない”

だが、アニーとロッジから出てきたのはハリーが見ているし、先生とグレート・ノーザンへも運んでます。
ただ、本当にいいクーパーがロッジから出られないのなら、あの夜ハリーが見たアニーと一緒にロッジから出てきたクーパーは、
いいクーパーじゃない

電話でハリーに当時の事情を聞こうとする保安官。
しかし、ハリーは具合が良くないようで、
保安官は話を切り出せない。

※アニーとは、ノーマ・ジェニングスの妹でクーパーの恋人でもあったアニー・ブラックバーンのこと。
彼女は、クーパーのかつての上司ウィンダム・アールによってブラックロッジに連れ去られた。
破りとられたローラの日記のうち1ページは
いまだ行方不明である。
そこには何が書かれているのか?
トルーマン保安官とホークはブラックロッジから出てきたクーパーが“いいクーパー“ではないと気付く。


ツイン・ピークス

ある住人の家に話を聞きにきたアンディ。

「君のトラックだろ?」
「確かに俺んだが、
ここじゃ話せないって言ってるだろ?
頼むから帰ってくれよ」
「だが、誰が運転してたか聞かないと」

住人のものであるトラックについて事情を聞きたいようだが、男はここでは話せないの一点張り。
何か怯えている様子。
アンディは別の場所で会って事情を聞くことに。

※リチャードがホーン家の人間なら、
彼が少年をひき逃げしたトラックはあまりにボロ車だと思ったが、どうやらトラックは盗んだものだったようだ。
住人はトラブルに巻き込まれたことに気付いているようだ。


ツイン・ピークス:保安官事務所

ヘイワード先生と電話中の保安官。
スカイプで話を聞くことに。
モニターがデスクに内蔵されている。
意外にもハイテクな保安官のデスク。
しかし、タイピングは両の人差し指オンリーの保安官。
グレード・ノーザンでクーパーを診察した時のことをヘイワード先生に尋ねる。

「クープをとは親しくなっていたが、
あの朝の彼の様子は奇妙だった
クープを病院へ連れて行き、
私が回診をしてる間に検査を受けさせたが、
その1時間後、
ICUからこっそり出てくる彼を見かけた
服もちゃんと着替えてたよ
そして次の瞬間、
クープが振り返ると
あの奇妙な顔がそこにまた見てとれた
思わずクープと呼んだが、
彼は何も言わず背を向けると立ち去ったんだ」

ヘイワード先生はクーパーがICUにいたオードリー・ホーンの様子を見に行ったと思ったという。

※当時、オードリー・ホーンは銀行の爆破事件に巻き込まれICUで昏睡状態だった。
その後、オードリーは無事回復したのだろうか?
ものすごくおじいちゃんになっていたウィル・ヘイワード先生役のウォーレン・フロスト
彼はクリエイターのマーク・フロストの父親でもある。
スカイプでの出演はウォーレン・フロストの体調を考慮してのものだったのかもしれない。
ウォーレンは、この撮影の後亡くなっており、
今エピソードは彼に捧げられている。


サウスダコタ州バックホーン警察署

デイヴィス大佐に派遣されたシンシア・ノックス大尉がデイブ・マックレー刑事を訪ねてくる。
例の指紋の出どころを確認したいと言うノックス大尉。
彼女は、指紋が遺体から採取されたと知り驚く。

首なし遺体の年齢は40代後半。
死亡時期は5日から6日以内。

デイヴィス大佐に電話するノックス大尉。

「今回は指紋だけではありませんでした
体もあります、彼です」
「確かか?」
「遺体から採取した指紋です」
「分かった、では一本、電話を入れなければ」
「もうひとつあるんです」
「何だ?」
「厳密には二つ、頭は消えていて、
年齢も異なります」
「どういうことだ?」
「つまり、彼の頭部はここにはありません
消えています
それと身体は数日前に死亡した時点で
40代後半のものです」
「最近死んだなら、
ブリッグス少佐は70代になってる
やはり、何かの間違いだろう」
「この目で体を見ましたし、
年齢も指紋も検視による結果です」
「そこに残れ、また連絡する
すぐに一本、電話を入れなければ」
「分かりました」

ウィル・ヘイスティングスが留置されていた留置所に姿を現した黒塗りの顔の浮浪者のような男が、電話を切ろうとするノックス大尉の背後から廊下を歩いてくる。

この件は機密扱いとなり、地元署の管轄ではなくなるとマックレー刑事に告げるノックス大尉。

※息子のボビーによれば、ガーランド・ブリッグス少佐はクーパーがツイン・ピークスを去って間もなく基地の火事で亡くなったはず。
その時遺体は発見されなかったのだろうか?
デイヴィス大佐が電話を入れなければならない相手とは誰なのか?


フィラデルフィアFBI支局

ゴードン・コールのオフィス。
口笛(鳥の鳴き声を練習しているような)を吹いているゴードン。
そこへアルバートがやってくる。

「どうだった?」
「よくないです、わたしがダイアンと呼ぶと、
彼女はクーパー絡みねと聞いたので、
“まあな”と答えると、彼女はクソ喰らえと言いました」
「ほ〜」
「15分後、
私はずぶ濡れで帰宅し肺炎になりかけました
で、あなたはどんな夜を?」
「よくないニュースだ、アルバート
ダイアンを説得せねば」
「あなたの番です」
「お前も一緒に来るだろ?」
「頼むと言うなら」
「何?」
「聞こえたでしょう?」
「頼む」


■ダイアン・エヴァンスの自宅

ダイアンの自宅にゴードンとアルバートが訪ねる。

若い男と一夜を過ごしたらしいダイアン。
ゴードンとアルバートを迎えたのはこの男。

無駄足よ、
アルバートに言ったのと同じこと言うだけ

素気無いダイアン。

サウスダコタの連邦刑務所にクーパーが入っているとダイアンに告げるゴードン。

「我々は何か違和感を感じているが、
はっきりとはわからない
そこでクーパーのことをよく知っている君に
彼と話してもらい、どんな感想を持ったか聞きたい」
「これは実に重要なことなんだ
そして君が知ってることに関係している
これだけ言えば十分なはずだ」
サウスダコタ…連邦刑務所…」

※前シーズンの印象(と言ってもクーパーが一方的にテープレコーダーに話しかけていただけだが)では、ダイアンはいかにも秘書タイプの従順なタイプかと思いきや、ゴードンが言うようにかなりタフなタイプらしい。


FBIのプライベート・ジェット内

搭乗者はゴードン、アルバート、タミー、
そして、ダイアン。

ゴードンとアルバートにタミーがクーパーの指紋の件を説明している。
25年前のクーパーの指紋と連邦刑務所に収監中のバッド・クーパーの指紋は同じように見えるが、
一部、鏡に映したように反転しているらしい。

クーパーが姿を消していた25年間の間に
唯一彼の姿が撮られた写真は、
ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ郊外の自宅で撮られたもの。
所有者はイパネマ出身の女性。


サウスダコタ州:スー・シティー、ヤンクトン連邦刑務所

バッド・クーパーと二人きりで対面するダイアン。

「思った通り君が来たか、
また会えて嬉しいよ、ダイアン」
「あらそう?あれはいつだった?
私たちが最後に会ったのは」
「俺に怒ってるのか?ダイアン」
「どう思う?」
「君は俺に怒ってると思う」
「私たちが最後に会ったのはいつ?クーパー」
「君の家だったな」
「ええ、そう、あの夜のこと覚えてる?」
「あの夜のことは忘れない」
「私もそうよ、絶対に忘れない
あなた、誰なの?
「言ってる意味がわからない」
「私を見て!私を見てよ!」

ダイアンはそう言うと、もうこれ以上耐えられないとでもいうようにカーテンのスイッチを押す。

逃げるように刑務所の建物を出るダイアン。

「よく聞いて、
あれはわたしの知ってるデイル・クーパーじゃないのよ
年をとったせいとか、
人が変わってしまったとか、
見た目の問題とかじゃないの
“ここ”に原因がある、
“ここ”にあるべきものがなくなってるの」

そう訴えるとダイアンはゴードンの肩で泣き崩れる。
“あの夜”、クーパーに最後に会った夜のことは、
ゴードンだけにいずれ話すと言うダイアン。

一方、監房に戻されたクーパーは、
看守にマーフィー所長との面会を要求する。

伝えろよ、話さなきゃならないんだ、
ストロベリーの件

※ダイアンが“ここ”と言って触ったのは、
左胸の心臓の位置。
彼女は今会ってきたクーパーには、魂がない、
あるいは心がないと言いたかったのだろう。
ダイアンがクーパーと会った最後の夜のことも気になるが、それ以上に気になるマーフィー所長に話さなきゃならないストロベリーの件とは?


ツイン・ピークス

トラックの件で事情を聞くため、約束の場所でトラックの所有者である住人を待っているアンディ。
しかし、約束の時間を過ぎても男はやってこない。

その頃、男の自宅。
ドアは少し開いている。

※因みに、アンディが付けている腕時計は、
ROLEX OYSTER PERPETUAL DATE 。
日本円で60万円以上の高級時計。


サウスダコタ州:ヤンクトン連邦刑務所

マーフィー所長のオフィス。
バッド・クーパーが連れて来られる。

「監視カメラを切ってある
何でも話せるぞ、二人だけで」

そう言ってマーフィー所長はデスクから銃を取り出すと、バッド・クーパーに向かって構える。

「あの犬の足、あれには4本、足があった
1本は俺の車から見つけ、
残りの3本はあんたが今考えてる情報と一緒に消えた
俺に何かあれば、あんたがここに来て欲しくない二人がやってくるぞ」
「お前がこの件について知ってる証拠は?」
ジョー・マクラスキー

観念したように、椅子に座るマーフィー所長。

「何が望みだ?」
「車が欲しい、安いレンタカーでもいいぞ
俺だけじゃなくレイ・モンローも出せ
グローブ・ボックスには“友だち”を入れておけ
時間は今夜1時、円滑にして安全に段取れ
もし俺を生きてここから出すまいといった気の迷いが生じたら、犬の足を思い出せ
俺はあんたに興味はない
二度と会うことはないし、ジョー・マクラスキーのことが誰かの耳に入ることもない
死んだストロベリーのこともな」

※ジョー・マクラスキーとは誰なのか?
“死んだストロベリー”というのは、バッド・クーパーが電話をかけることを許可された時に言っていた“ミスター・ストロベリー”のことだろう。
バッド・クーパーが「ミスター・ストロベリーは電話に出ないだろう」と言ったのは、ミスター・ストロベリーがすでに死んでいるという暗示であり、同時にそれを聞いていたマーフィー所長に対する脅しだったのかもしれない。
その死にマーフィー所長が関わっているのか?
レイ・モンローがバッド・クーパー殺害を請け負っていたことを、彼は知っているはずだが、それでもレイも一緒に刑務所から出すよう要求したのは、レイがヘイスティングスの秘書から聞き出した情報を得るためもあるだろうが、他に何か利用価値があると考えているからか?
いずれにせよ、バッド・クーパーはレイを生かしてはおかないだろう。


■ラスベガス:ラッキー7保険

ダギーのオフィスが入るビルの前では、
ジェイニーEがダギー(クーパー)をイライラしながら待っている。
しびれを切らしたジェイニーEはラッキー7保険へ向かう。

一方、ダギーのオフィスにはトニー・シンクレアの姿がある。
ブッシュネル社長とクーパーが何を話していたのか聞き出そうとしているらしいが、クーパーは一切無視して資料に例の図形を書き込んでいる。

その時、クーパーを女子トイレに入れてくれた同僚ロンダがクーパーに来客を告げる。
刑事たちが話を聞きたいと。
やましいことでもあるのか、
早々に部屋を出て行くトニー。
またしても、刑事が示したバッヂに興味を示すクーパー。
そこへジェイニーEが乱入。

爆破されたダギーの車の件で事情を聞きに来た刑事たちを相手に何も答えられないクーパーをよそに、
借金取りに対決した時と同様、
一方的にまくし立て、
見事に自分のペースに引っ張り込み、
車は盗まれたという線でまとめるジェイニーE。

いつの間にかその場にいたブッシュネル社長もクーパーに(資料について)聞きたいことがあったが、
ジェイニーEの勢いに気圧される。

ジェイニーEがクーパーを叱りながら、
二人がビルの外へ出ると
人混みから銃を構えた殺し屋アイク“ザ・スパイク”スタッドラーがクーパーを襲おうとする。
しかし、クーパーは見事にザスパイクを取り押える。
そこへ、スズカケの木に進化した腕が姿を現す。

手を引き千切れ!
手を引き千切れ!
手を引き千切れ!

クーパーは銃を奪い、ザ・スパイクは逃走する。
残された銃には、人間の皮膚片のようなものが付いている。

※クーパーを訪ねてきた刑事3人は、
T・フスコ、D・フスコ、“スマイリー”フスコという全員、フスコ。関係性は不明。
謎だ。
一方、徐々に目覚めつつあるクーパー。


ツイン・ピークス:グレート・ノーザン・ホテル

ベンジャミン・ホーンのオフィス。
部屋のどこからか軽いハウリング音のような妙な音が聞こえてくる。
先週から聞こえ始めたという音の出どころを
秘書のビバリーと一緒に探っているベン・ホーン。
部屋の隅のフロア・ライトからかと、
そこへ行ってみると、
今度は別の方向から聞こえてきて、
一向に音の出どころがわからない。

ビバリーが今日届いたとジェイドが送った
315号室のキーをベンに渡す。
彼は、315号室がクーパーが撃たれた現場だったと思い出す。
ビバリーはクーパーのこともローラのことも知らない。

ベンはビバリーに帰宅を促すが、
彼女は家に帰りたくないように見える。

音の出どころは壁の中か?

※グレート・ノーザン・ホテルでは、
20年前にカードキーに変更。


ツイン・ピークスビバリー・ペイジ自宅

丁度看護師が帰るところに、帰宅したビバリー
自宅では夫トム・ペイジが彼女を待っていた。
トムは重病人らしい、おそらく、ガン。
トムの病気が原因でビバリー
働きに出るようになったようだが、
トムはそれが気に入らない様子。
もっと早く帰ることも出来ただろうに、
それをしなかったビバリー
トムの病気以前に夫婦の間には問題があるようだ。

※ほんのカメオ出演ぐらいかと思われたビバリー役のアシュレイ・ジャッドだが、
夫も登場した以上、
これから登場シーンが増えるかもしれない。


ツイン・ピークス:ロードハウス

清掃中の店内。
カウンター内に陣取っているのは、
ジャン・ミシェル・ルノー
そこへ電話がかかってくる。
どうやらジャン・ミミシェルは売春の斡旋をしているらしい。
送り込んだ女が未成年だったことが問題になり
トラブルになっている様子。

※床を掃き掃除をしているだけのシーンが2分以上も続くこの独特の間もデヴィッド・リンチ
ジャン・ミシェルは、前シーズンに登場したジャン、ジャックの兄弟、あるいは親族だろう。
ジャン・ミシェルを演じているのは、
ジャック・ルノーを演じていたウォルター・オルケウィッツ


サウスダコタ州:連邦刑務所

深夜午前1時。
マーフィー所長の段取りでバッド・クーパーとレイ・ムーアがレンタカーで刑務所を出る。


ツイン・ピークス:RRダイナー

混み合うRRダイナー。
ボックス席で帳簿を付けるノーマ。

「なあ、ビリー見なかったか?」

エンディングの曲、Santo and JohnnyのSLEEP WALK はこちら👉SANTO AND JOHNNY - Sleepwalk [ 1959 Video In NEW STEREO ].mp4 - YouTube

※各エピソードのラストは、ロードハウスのライブシーンがお決まりかと思いきや、
今エピソードではそれを破ってきた。
しかし、エンディング曲のSLEEP WALKはRRダイナーにぴったりの選曲だ。

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今エピソードの再登場組は、ヘイワード先生のウォーレン・フロストくらいで(それも今エピソードのみの出演)、新キャラクターの登場もなし。
しかし、ブラックロッジから出てきたクーパーが“いいクーパー”ではないとトルーマン保安官とホークが気付いたり、
連邦刑務所に入っていたクーパーが以前のデイル・クーパーではないとダイアンが気付いたりとストーリー全体としては、前進あり。

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト


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👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

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旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

👇アシュレイ・ジャッドの出演作がなかなかピンとこなかったんですが、一事不再理をモチーフにした『ダブル・ジョパディ』はなかなか面白かった。

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アシュレイ・ジャッドはサスペンスと相性がいいのかも。

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ツイン・ピークス The Return Episode 6〈第6話〉

EPISODE 6

ラスベガス

既に日は落ちたが、
退社したダギー・ジョーンズならぬクーパーは
まだ例の銅像の前から離れない。
何やら袖口を気にしている。
トロール中の警官に帰宅を促されるクーパー。
名前と住所を聞かれるが、
警官のバッヂの方が気になるようだ。

ランスロット…」
ランスロット・コート?」
「赤いドア…」

辛うじてこれだけ答えることのできたクーパー。

※ブッシュネルの“捜査のプロ”という言葉に反応したり、警官のバッヂを気にしたりと、クーパーの中の何かが蘇ってきているのかもしれない。


ラスベガス:ダギー・ジョーンズの自宅

ベッドに入り本を読んでいるサニー・ジム。

玄関のベルが鳴る
ジェイニーEが出ると、
警官に送り届けられたクーパーの姿がある。
ジェイニーEは警官に礼をいい、
ダギーを迎え入れる。
警官のバッヂを愛おしそうに撫でるクーパー。

「あ、奥さん、封筒が落ちてますよ」

玄関の外に置かれていた封筒を
警官に手渡されるジェイニーE。

サンドイッチの夜食をとるクーパーとジェイニーE。

クーパーが持ち帰った書類に目をとめたジェイニーEは警官から渡された封筒を思い出す。
封筒には何も書かれていない。

父親を寝ずに待っていたサニー・ジムにおやすみを言うようジェイニーEに促されたクーパーは、
ポテトチップスの袋を手にしたまま二階へ。

二階に上がったクーパーは
サニー・ジムの部屋ではなく、
別の部屋に入っていってしまう。
父親の様子を伺っているサニー・ジム。
息子に気づいた父親に
自分のベッドの足元に座るよう合図する。
ニコニコしながら自分を見つめる息子に気付かず、
ポテトチップスを食べ続けていたクーパーだったが、
ようやく息子の視線に気付き、
自分だけチップスを食べているのが気まずかったのか
毛布の上にチップスをひとつ置く。

「歯磨きしちゃったから」

真っ当な子どもの反応をする良い子のサニー・ジム。

「カウボーイ・ライト点けといてもいい?
僕が寝るまでいてくれる?」

拍手で点灯するカウボーイ・ライト。
この仕組みが面白かったのか、
自分もやってみるクーパー。
親子の間でライトを点けたり、消したり、
しばしの応酬。

一方、階下からは封筒の中身を見たジェイニーEの尖った声が。

「ダギー、今すぐ下に降りてきて!今すぐ!」

ジェイニーEに首根っこを掴まれ、
テーブルにつかされるクーパー。

「ねえ、自分の立場わかってるの?
あの人たちに支払いのアポ取るはずだったでしょ?
それが何でこうなるわけ?
どういうことか説明してよ!」

そう言ってジェイニーEが手にしたのは、
ダギーとジェイドの密会写真だった。
ジェイドの写真を見て嬉しそうにしてしまうクーパー。

そこで電話が鳴る。
クーパーに出るよう言いながらも
自分が電話に出るジェイニーE。

「はい」
ダグ・ジョーンズ?」
「どちら様?」
ダグ・ジョーンズ!」
「彼、体調が悪いの」
「封筒受け取ったか?」
「ええ、貰った、ご親切にどうも!
じゃあ、教えてもらえる?
彼、おたくにいくら借りたの?」
「聞いてないのか?」
「ええ、何も聞いてない!
こんなことになってるなんて今知ったくらいよ」
「五万ドルだ」
「彼にそんなお金作れると思う?
そんなに稼げるわけないでしょ?
ないって言ったらどうするつもり?
脚でも折るわけ?
だけどいい?
脚なんか折ったら余計そんな大金払えなくなるわよ!」
「とにかく五万ドルだ、期限は過ぎてる
明日ジョーンズさんの会社に取りに行くから金を用意しておけ」
「だーめ、だめ、だめ、だめ!
会社に行くのは絶対だめ!
話だったらあたしがするから、公園に来て!
グイネリアとマーリンの角の、モールの隣り、
赤いバッグを持って待ってるから!
「時間は?」
「明日の昼12時半」

電話を切ったジェイニーEはひとしきりクーパーを叱りつけ、クビにならないよう持ち帰った仕事を片付けろと言いつける。


青から黄色、赤へと変わる信号機。


※ベッドに入っていたサニー・ジムが読んでいた本は、フランクリン・W・ディクソンによる少年ミステリーシリーズ、《ハーディ・ボーイズ》シリーズの中の一冊、『水車小屋の秘密』。
因みにフランクリン・W・ディクソンはペン・ネームであり、《少女探偵ナンシー・ドルー》シリーズを手がけた出版社ストラッテマイヤー・シンジケートのライター達が手がけている。


ブラックロッジ:赤いカーテンの部屋

何かを探すように右手をかざす片腕の男フィリップ・ジェラード。


ラスベガス:ダギー・ジョーンズの自宅

上司のブッシュネルに渡された事件資料を眺めているクーパー。
すると、カーペットの上に赤いカーテンの部屋とフィリップ・ジェラードの姿が現れる。

You have to wake up.
目を覚ませ、目覚めろ
Wake up.
目覚めろ
Don't die.
死ぬな
Don't die.
死ぬな
Don't die.
死ぬな

右腕を動かしながらそう言うとフィリップ・ジェラードは姿を消す。

クーパーが事件資料に視線を戻すと、ある項目が星印をつけたように光っている。
そこに鉛筆で印をつけるクーパー。
次のファイルは二箇所光っている。
クーパーは、今度は縦線を引き、ハシゴや階段のような絵を書き込む。
次々に資料に線や図形を書き込んでいくクーパー。

※現世に戻ってきたクーパーは、言われた言葉を繰り返したり、人の動きの真似をしたりと、
赤ん坊というか、まるでひと真似子猿状態。
鉛筆もきちんと持てていないし、
文字は書けない様子である。
その代わり当たりの出るスロットマシンが分かったり、
嘘が見抜けたり、チェックすべき項目が分かるらしい。


フィラデルフィア

土砂降りの中運転中のアルバート・ローゼンフィールドはゴードン・コールと通話中。

「それじゃゴードン、楽しい夜を!
こっちはいつ帰れるか」
「ありがとう、アルバート
いいか、もう一度言っておくが、
今夜お前がやる仕事は非常に、非常に重要だ
私もずっとお前のことを考えているよ」
「ええ、気温は1度、土砂降りの夜の街、
最高ですよ!」

車を降りたアルバートは一軒のバーに入っていく。
バーの名前は、
マックス・フォン・バー
(MAX VON'S BAR )

アルバートを待っていたのはプラチナ・ブロンドでボブカットの女ダイアン・エヴァンス

「ダイアン」

アルバートが声をかけると女が振り向く。

「どうも、アルバート

※デイル・クーパー捜査官のアシスタント、
ダイアンは実在した!
前シーズン放送時には、果たして実在するのかどうか話題になることもあったダイアン。
彼女はクーパーを一番良く知る存在と言ってもいいかもしれない。
演じるのは、デヴィッド・リンチ作品常連の
ローラ・ダーン


ツイン・ピークス:とある倉庫

ドラッグをお試し中のリチャード・ホーン。
屈強なボディガードを従えた取引相手の男はレッド

「すっ、すっげえ、これマジで!」
「そうだろ?お坊ちゃん、
残りだが、メリー・アンの所にあるから取りに行け」
「何でその名前を?この辺、詳しいの?
やっべえ、マジでこれ効くわ」

「手について学んだことあるか?」

空手の構えのような動きをしながら突拍子もない質問をするレッド。

「どう思う?
この辺で何週間か過ごしてみたんだが、気に入ったよ
ここならカナダから上物を持ち込める」

いきなり右脚を地面に打ち付けながら横っ腹をさするレッド。

「肝臓に問題があってな」

「マジでこんなショボい町、楽勝だろ?
警官どもも皆ぬるいしさ
保安官なんかあれ90歳くらいじゃね?」

「『王様と私』って映画観たか?」
「えっ?」
「気に入ったって言ったろ?どう思う?
お前、やり過ぎてねえよな?」
「ああ」
「そうしとけよ、ひとつ問題があるんだ、
お前をまだ知らない
見てるからな、見てる、わかったな!」
「ああ、わかった、小僧って呼ぶな」

答えずに大笑いするレッド。

「いいか?よく覚えとけよ
小僧、もし俺をコケにするような真似をしたらその頭切り開いて脳ミソ啜ってやる
ハッタリじゃねえぞ!」

そう言ってレッドはポケットからコインを取り出し宙に弾く。
すると、回転しながら宙にあったはずのコインはリチャードの口の中から出てくる。
しかし、次の瞬間、コインはレッドの右手の中に。

「これはお前」

そう言うとレッドはコインを左手の甲に移す。

「これは俺、表は俺の勝ち、裏はお前の負け」

狐につままれたようなリチャード。

※ロード・ハウスでのリチャードの怪しい動きはやはりドラッグの取引だった。
取引相手のレッドはEpisode 2で女友達とロード・ハウスに来ていたシェリー・ジョンソンに色目を使っていた男。
「表は俺の勝ち、裏はお前の負け」
すなわちリチャードに勝ち目はないということである。
身体の動きも怪しく、言うことも突拍子もなく、
妙な“間”の持ち主のレッド。
ブラックロッジに通じる人物なのか?


ツイン・ピークス

レッドと別れたリチャードは運転中。
すっかり煙に巻かれて終始レッドのペースに巻き込まれたリチャードはハンドルを叩いて悔しがる。


ツイン・ピークス:ファット・トラウト・トレイラー・パーク

トレイラー・パークの管理人カール・ロッドは出掛けるところだ。
そこへ住人のミッキーがやって来て郵便物を取りに行くので車に同乗させてくれと言う。

毎日同じ時間に町に出かけるカール。
カールはミッキーにリンダの様子を尋ねる。
(リンダはミッキーの家族?)
リンダは車椅子の生活を強いられているらしい。

煙草に火をつけるカール。

「吸うか?」
「ああ、いや、やめたんだ」
「やめた?」
「ああ、もう一年になるかな」
「俺はこの75年毎日欠かさず吸ってる」

※ファット・トラウト・トレイラー・パークは、ボブに身体を乗っ取られたリーランド・パーマーに殺されたテレサ・バンクスが住んでいた場所。
ハリー・ディーン・スタントン演じるカール・ロッドは前シーズンの前日譚『ローラ・パーマー 最期の7日間』に続き登場。


ツイン・ピークス:RRダイナー

ボックス席ではとてもふくよかな女性客ミリアム・サリヴァンが、これまたとてもふくよかなウェイトレス、個性的な笑い声の持ち主エイダ(時間に厳しいドイツ系)とおしゃべりしている。

「その店の前で言ったの、
私の名前のついたカップケーキがありそう!
で、入ってみたらあったの〜!
これって魔法よね〜
RRの前を通った時も、うーん、私の名前のついたチェリーパイがありそう!
で、入ってみたらその通りあったの!
今日あたしの名前がついてたパイはこの二つ!」

パイを二つ平らげ、コーヒーを二つテイクアウトにしたミリアムはお釣りをチップにと気前がいい。
そんな余裕ないはずなのにと気の毒がるシェリーとエイダ。

※ミリアム・サリヴァンは保育園の先生という設定。


ツイン・ピークス

いまだレッドに対する怒りが収まらないリチャード。
ドラッグの影響もあり、トラックのスピードを上げる。


ツイン・ピークス

公園のベンチに座り、タバコを片手にコーヒーを楽しんでいるカール。

そこへ追いかけっこをしながら通りかかる幼い少年と母親らしき女性。
楽しげな親子の姿に微笑むカール。


ツイン・ピークス

車を飛ばすリチャード。
前方に数台車が詰まっているが、
リチャードは車列を追い越そうとする。

横断歩道では先ほどカールが目にした親子を渡らせようと一時停止し合図するトラックの運転手。
男の子が横断歩道を渡っていると、
そこにリチャードのトラックが突っ込んでくる。
男の子は、あっけなくトラックに轢かれてしまう。
リチャードは停車することなくそのまま逃走。
母親が駆け寄るが、男の子は動かない。

猛スピードで逃走するリチャードのトラックを目撃するミリアム。

異変に気付き親子の元へ歩み寄ろうとするカールに男の子の魂が昇天するのが見える。

言葉もなく親子を見つめる町の人たち。


事故現場の電信柱のアップ。
刻まれた数字。
32810

※またまた気になる数字。
この数字は『ローラ・パーマー 最期の7日間』にも同じものが出てくるらしいのだが、要確認。
《追記》
『ローラ・パーマー 最期の7日間』を再見して確認したところ、電信柱はファット・トラウト・トレーラーパーク近辺のもので、数字は、
24810

ただし、『ローラ・パーマー 最期の7日間』に登場するファット・トラウト・トレーラーパークと今シーズンのファット・トラウト・トレーラーパークは別物の可能性もある。
今シーズンの看板は、
NEW FAT TROUT TRAILER PARK
となっていて“NEW”が付いている。
トレーラーパークや電信柱が移動したところで、
もう驚くことはない。


■ラスベガス:ダンカン・トッドのオフィス

デスクのパソコンで作業中のダンカン・トッド。
モニターに赤い四角形が現れる。
ダンカンはキーを叩き四角形を消すと金庫の中から指紋が付かないように布で掴んで封筒を取り出す。
封筒には黒い丸●がついている。


■ラスベガス:郊外の住宅地

爆発炎上したダギーの車の収容作業中。
ナンバープレートは屋根の上まで吹き飛んでいる。

向かいの家ではヤク中の女が叫んでいる。

「119!119!」

※この数字が登場するのは二度目。
これも今後の展開に関係あるんだろう、多分。
ダギーの車の収容作業をしている警官が屋根の上に飛んでいたナンバープレートを読む。
「デヴィッド、ユニオン、ジョージ、エドワード、リンカーン、ルピタ(?)」
これにも何か意味が?


■とあるモーテル

モーテルの一室。
サイコロを振り出た目をメモしている小人の男。
彼の名は、アイク“ザ・スパイク”スタッドラー

ドアの下から封筒が差し入れられる。
封筒には黒い丸●の印。
ダンカン・トッドが金庫から取り出したものだ。
封筒の中身は二枚の写真。
一枚はダギー殺しをジェイクとジーンに命じた女ロレイン。
もう一枚はダギー・ジョーンズの写真だった。
アイスピックで二人の写真を突き刺すザ・スパイク。

※ダギー殺しを命じたのはダンカン・トッドだということが判明。
ダギーの殺害に失敗したことでロレインにも殺害司令が出たのか?


■ラスベガス:ラッキー7保険

身体にぴったりの黒のスーツで出勤のクーパー。
今朝のフィルはクーパーのコーヒーも用意してくれたらしい。
なかなかエレベーターから降りずにフィルを困らせるクーパー。

クーパーは早速ブッシュネルのオフィスに呼ばれる。
様子を伺っているのはクーパーに嘘をついていると言われたトニー・シンクレア。

クーパーが線や図形を書き込んだ資料をチェックするブッシュネルだったが、彼には意味がわからない。

「どういうつもりだ?
この子どもみたいな落書きは
これにどういう意味があるっていうんだ?
今君に必要なのは専門家の助けだ、ダギー」

一向に要領を得ないクーパーにお手上げ状態かと思われたブッシュネルだったが、
彼はクーパーが書き込んだ線や図形の意図に気付く。

「ダギー、助かった
このことは胸に仕舞っといてくれ
厄介な話だ
あとは私がやろう
後で手を貸してもらうかもしれんが
君のお陰だ、よく考えるよ」

ブッシュネルは握手を求めるが、
人まね小猿状態のクーパーはブッシュネルと同じ動きをするので、背中を向けて同じ右手を差し出してしまい二人は握手出来ない。

※クーパーは書類の不正を指摘したのか?


■ラスベガス:グイネリアとマーリンの角の公園

赤いバッグを抱えて借金取りを待っているジェイニーEはとてもイライラしている様子。
そこへ借金取りのコンビ、トミージミーがやって来る。

ダギーはフットボールの賭けで負け、借りた金は2万ドルだったが、3週間で利息がかさみ借金は5万2千ドルだと言うトミーとジミー。

「うちの夫は勤め人で、妻と子供がいる
あの人に5万2千ドルもの大金、払えるわけないでしょ!
うちには余裕なんかない、車だってやっすいポンコツだし、
カッツカツでやってるの、
ただでさえ苦しいのにあんたたちにまでカモにされたんじゃたまらない!
だから、落とし所を考えたの
あたしの知らないところで夫はあんたたちに2万ドル借りた、ご親切にどうも!
ギャンブルに手を出した夫が悪い
お金は返すから
今どき銀行になけなしのお金を預けたって利息は1%もつかない
そんな中、25%つけるって言ったら皆飛びつくわよね?
あたしは今それでどうかって言ってるわけ
ここは2万5千で手を打たない?
それで最初で最後、一度限りの提案よ」

ジェイニーEは二人に猛烈にこうまくし立てると2万5千ドルを渡す。
ジェイニーEの勢い飲まれ、呆気にとられ彼女を見送るトミーとジミー。

※借金取りはジーンとジェイクではなく、トミーとジミーの二人組だった。
ダギーの借金と殺害司令は別件。
クーパーはカジノで42万5千ドルも勝ったのに、
借金を値切り倒したジェイニーEよ、あっぱれ!
しっかり者と言えば聞こえはいいが、
ちょっと怖いです。


■ロレインのオフィス

電話中のロレイン。
そこへ悲鳴が聞こえ、ザ・スパイクがアイスピックを手にロレインに襲いかかる。
メッタ刺しにされるロレイン。
更に目撃者を刺し殺すザ・スパイク。
アイスピックの先は90度曲がってしまう。
ショックを受けた様子のザ・スパイク。

※殺される直前、ロレインが電話で話していたのはジーンかジェイクのどちらかだと思われる。
3人の遺体とは、爆発炎上したダギーの車から発見された車泥棒のものだろう。


ツイン・ピークス

人気のない空き地まで逃げてきたリチャードは悪態をつきながらトラックのフロントグリルについた血をペットボトルの水で洗い流す。


ツイン・ピークス:保安官事務所

洗面所で手を洗っているホーク副署長。
ポケットから櫛を取り出そうとしてコインを落としてしまう。
転がったコインはトイレの個室へ。
コインを拾おうとして屈んだホークはドアの下方に取り付けられたプレートに目を止める。

先住民の横顔
NEZ PERCE
MANUFACTURING
の文字。

ドアの上方に目をやると板が剥がれかかっている。
これに暗示めいたものを感じたホークは一気に板を剥がす。
板を剥がすと、そこには数枚の紙があった。
慌てて洗面所を出るホーク副署長。

一方、トルーマン保安官の元にはまた妻ドリスが訪れている。
父親の車が直ってなかったとすごい剣幕でまくし立てている。
妻をなだめ、自分のオフィスへ連れていく保安官。

「俺だったらあんな女耐えられねえな」

そう言う署員のチャドに咎めるような視線を送る女性署員。

「なんだ?」
「何にもわかってないくせに」
「あ、そう、じゃ教えてよ」
「もういい」
「何が悪いんだよ?
自由の国だ、意見言ってもいいだろ」
「言い過ぎだけど…
奥さん、前はああじゃなかったの
息子さんが自殺したの聞いてない?」
「ああ、噂は聞いてるよ
兵隊さんやるの辛かったって〜」

そう言って泣き真似をするチャドを呆れたように見つめる女性署員。
もう一人の署員ジェスは心ここにあらずといった様子。

※ホーク副署長が洗面所で発見したのは、
おそらくローラ・パーマーの日記の一部では?
丸太からのメッセージにあった“ないもの”とはローラの日記の一部のことだったんだろうか?
トルーマン保安官の息子は、アフガニスタンイラクに派遣された兵士だったらしい。
帰国後のPTSDで自殺したのだろうか?
だとしたら、トルーマン保安官がいつも哀しげなのも無理はない。


ツイン・ピークス:ロード・ハウス

ロード・ハウスの今夜の歌手は
Sharon Van Etten

彼女が歌うエンディングの曲『TARIFA』はこちら👉Sharon Van Etten - Tarifa - YouTube

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ダイアンという名前だけでは一瞬気付かなかったが、
クーパー捜査官のアシスタント、
ダイアンは実在した!
これが今エピソード最大のニュース!
ダイアンを演じるのが、ローラ・ダーンというのも、
デヴィッド・リンチの彼女に対する愛を感じる。
毎エピソードのラストは今のところロードハウスでのライブシーンがお決まりになっているが、
どのバンドもすごくいい!
放送終了後にはサントラが発売されるんじゃないかな。

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

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👇デヴィッド・リンチ作品以外のローラ・ダーン出演作のオススメいえば、実在のNASAの技術者の青春時代を描いたジェイク・ギレンホール主演の『遠い空の向こうに』。
ローラ・ダーンは主人公の背中を押す教師役で出演。
監督はジョー・ジョンストン

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👇『ローラ・パーマー 最期の7日間』に続き出演のハリー・ディーン・スタントンの代表作といえばこちら『パリ、テキサス』。
監督はヴィム・ヴェンダース

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ《後編》


「わたし」ではなく「わたしたち」


マイケル・ムーアの次なる侵略のターゲットは、
アメリカに奴隷制を持ち込んだ国、ポルトガル


ポルトガルの麻薬対策

ポルトガルは他国同様、
ドラッグ戦争に負け続けてきた国。
そこで国は新戦略を導入した。
ポルトガルでは、
ドラッグの使用で逮捕されない

マイケル・ムーアは話を聞くため薬物対策機関へ。

ポルトガル厚生省、ヌーノ・カパーズ博士。
その道の権威には見えないカジュアルな博士に対し、
マイケル・ムーア
「麻薬患者に見える」などと失礼な発言。
しかし、実際よく言われるそうだ。

ポルトガルでは、
この15年間、ドラッグ使用での逮捕者はゼロ。
ドラッグは違法ではないのだ。
しかし、ドラッグを非犯罪化し、
逮捕者を減らしたところ、ドラッグの使用率が下がった。

90%の人は薬物を使っていても
トラブルを起こさない
彼らが傷付けるとしたら、それは自分自身。
家族に迷惑をかけるかもしれないが、
それはSNSも同じこと

一方アメリカでは、50年代60年代に次のようなことが起こった。

公民権運動の高まり➡︎麻薬犯罪の厳罰化➡︎黒人指導者の暗殺➡︎黒人大量検挙➡︎選挙権剥奪

35の州では釈放後も選挙権が戻されておらず、
フロリダ、バージニアでは黒人の3分の1が投票出来ない。
多くの企業(AT&T、ボーイング、エディ・バウアー、JCペニー、マイクロソフト、DELL、トイザらス、IBM、ヴィクトリアズ・シークレット)の製品やサービスが受刑者の労働力によって提供されている。
白人アメリカ社会は意図せずして奴隷制を復活させた。
受刑者は21世紀の奴隷である。

麻薬の非犯罪化のアイディアを持ち帰りたいというマイケル・ムーアに対しカパーズ博士はそれだけを持ち帰っても上手くいかないと言う。
ポルトガルでは、
ドラッグの非犯罪化と無料の治療をセットにしたから上手くいったのだ。

ポルトガルの警官は語る。

尊厳を守るのが社会の柱です
全法律はその原則に従ってこそ役に立つ

基本原理とは尊厳への敬意なのです

死刑制度が存在する限り、
人の尊厳が守られることはないんです

尊厳は何より大切なもの
死刑は尊厳を冒します


ポルトガルからは、
ドラッグの非犯罪化無料の治療
そして人の尊厳を何より大切にするという考えをゲット!


ノルウェーの刑務所

ノルウェー、バストイ刑務所
殺人犯、強姦魔、強盗、麻薬中毒者を収容している。
まるで避暑地のコテージのようなノルウェーの刑務所。
ノルウェーの刑務所は、復讐ではなく、
あくまでも社会復帰のための場所。
部屋は施錠すらされてない。

115人の受刑者に対し看守は4人。
それも週末だけ。
刑務所の主旨は、自由を制限すること。
それが唯一の罰。
受刑者はお互いを支え合う。

アメリカでは、受刑者の80%が5年以内に再逮捕される。
一方、ノルウェー再犯率は世界最少の20%にとどまっている。

一方、ハルデン厳重警備刑務所では、
ゲートから厳重に警備されている。
しかし、個室と呼びたくなるような独房にはシャワー、TVが完備。
鍵は受刑者自身が管理。
刑務所内で暴力を受ける心配もない。
美術教室、哲学教室など各種プログラム、図書室も充実している。
受刑者も投票でき、候補者は刑務所でディベートを行う。
更にレコードレーベル(CRIMINAL RECORD)と録音スタジオまである。
看守たちは銃を持たない。話をするだけ。

※ハルデン厳重警備刑務所の看守たちによるミュージカル調のオリエンテーションビデオはこちら👉Halden Prison Inmate Induction Process - YouTube


2011年ネオナチの人種差別主義者による大量殺人事件(54人の少年少女が殺された)で17歳の息子を失った父親はこう語る。

復讐は望まない
息子の仇だとしても、
犯人と同じレベル下りてこう言えと?
“おまえを殺す権利がある”
そんな権利ないさ
たとえ相手が最低のクズでも私に殺す権利はない

ノルウェーを大事にしよう
お互いを大事にしてきたように
力を合わせ心を開き
開かれた社会で民主主義と言論の自由を高める
収監しても物事はよくならない
憎しみを増すだけ

これがノルウェー国民全体見解である。

この事件の犯人も少なくとも10年、
最大21年の実刑判決を受けた。
これはノルウェー最長刑である。

ノルウェー殺人事件の発生率は世界一低い


ノルウェーからは刑務所システムをゲット!


チュニジアの女性の権利

北アフリカイスラム世界
チュニジアにはアメリカにないものがある。
それは、政府出資の無料女性クリニックだ。
チュニジアでは1973年から中絶は合法である。

こうしたサービスにより女性が男性と対等になれます
女性に教育と仕事があれば生活の質が上がり
寿命も長くなります
家族計画は大きな役割を担っています

チュニジアは“アラブの春”の発信地。
発端は26歳の大卒男性。
仕事が見つからなかった彼は街頭で果物を売り始めた。
役人に嫌がらせを受けた彼は抗議の焼身自殺。
自由にものが言える社会を求めて人々は武器ではなく果物を持って支配者の屋敷へ突撃。
革命の始まりだった。

革命に重要な役割を果たした女性は多かったが、
発足した新政権は女性の権利を排除した。
しかし、大多数の国民が反発した女性たちに味方した。

2014年 憲法第46条 女性の権利

・女性の既存の権利を擁護し、
その権利を強化発展させる
・あらゆる分野のすべての責任において
男女の機会の平等を保障する
・選出議会における男女割合の平等を保障する
・女性への暴力撲滅のため、
あらゆる必要な措置を講じる

保守政権は民意に従うことに同意し、
自主的に政権から下りた。
チュニジア憲法で男女平等の権利を認めた。

保守系党首R・ガンヌーシはこう語る。

権力はすべてではなく祈りの方が大切だから
対立や流血を避けることもね

イスラムの解釈は人それぞれに異なる
皆違うのだから
家で何をしようと個人の自由だ
国は関係ない
たとえ宗教指導者が何と言おうと
政府は公務にだけに意識を集中すべきなのだ

暴動の最中、妊娠中だったラジオ局記者の女性は最後にこう語った。

アメリカ人は恵まれているわ
世界一パワフルな国に属している
でも、世界一の驕りが好奇心を阻んでいるのかもしれない

今と同じように自分たちが最高で何でも知っていると思ってたら何も変わらない

チュニジアからは女性の権利をゲット!


アイスランドの女性の力

1975年10月24日、女性たちのストライキ
90%の女性が仕事を放棄した。
女性なしでは何も回らず、
結果として女性の価値を認めさせ、
男女は対等になった。

5年後の1980年、世界初の民選女性大統領、
ヴィグディス・フィンボガドゥティル大統領が誕生した。
彼女は7歳の娘を持つシングル・マザーだった。
その後、世界中で女性指導者が誕生した。

父親はみんな娘が賢いことを知ってる
兄弟も皆姉妹が賢いことを知ってる
アイスランドが最初の例で光栄よ
そのことで国中の女性と少女にいい影響を与えた


ヴィグディス大統領に続く世代の女性たち
3人は全員、CEO(全員最高経営責任者)である。

フィンランドでは、役員会には40%は女性が占める、あるいは男性が占めるという決まりがある。

役員会に“女性が3人いたら文化が変わる”という調査がある。
1人や2人ではダメで、1人はお飾り、2人は少数派、
3人いればグループの力学が変わる。
女性たちは道徳倫理の羅針盤になることが出来る。

世界的な金融危機で、アイスランドでは3大銀行が破綻した。
唯一の黒字銀行オイルズ・キャピタルの経営者は女性だった。
オイルズ・キャピタルの2人の女性創設者が買うのは
分かるものだけ

証券取引の損害は男性ホルモンが原因だという新事実。
男性ホルモン値の上昇➡︎自信過剰➡︎大損

女性は全体の利益を
男性はより自分の利益を考える

もしリーマン・シスターズだったら?

みんな実体のないものを追いすぎてた
成長してたとはいえ、成功する戦略だったのか疑問
大利益を目指していたのか
巨根コンテストだったのか

20〜30人の人々が国の経済を台無しにした。


人気コメディアン、ヨン・ナール
彼はジョークで首都の市長に立候補したが、
市民は銀行家と国を潰した人々への最適なメッセージだと彼に投票、大差で当選した。

国を潰した銀行家たちは刑事裁判所へ送られ、
社会から隔絶された刑務所へ収監された。
アイスランドでは70人近い銀行家が起訴され有罪になった。
アメリカでは2008年の暴落以後、イスラム系以外の銀行家で刑事裁判にかけられた者はいない。

銀行家を訴追するために任命された特別検察官
O・ソー・ホークソン。
彼にアドバイスしていたのは、
アメリカの元検察官ビル・ブラックだった。

アイスランドは銀行を救済せず、銀行家を起訴、
金融上の決断を女性に委ね、
経済を完全に回復させた。


なぜアメリカはこうなんだろう?

マイケル・ムーアは3人の女性CEOに意見を求めた。

“アメリカン・ドリーム”の言葉の通り、
チャンスの国よね
誰でも望みを実現できるって
でも現実にはそうじゃない
すべての子に平等に教育と医療の機会を与えて
共産主義ではなく、いい社会として

個人プレーヤーよね
“自分と家族は大事だけど他は知らない”
世界も家族のようなもの
お互い支え合わなくては

ヴィグディス元大統領は語る。

確信してるの
女性の力を心から信じてる
女性の器や知性をね
世界を救えるのは女性しかいない
武力じゃなく言葉を使って
平和を願って社会を動かす
人間性を守り、子供を守りたい
世界中の男性が女性の視点に開眼し男性の視点を合わせたらよりよい世界に


アメリカ人に対して2分間好きに話せるとしたら何と言う?

マイケル・ムーアの問いかけに対する女性CEOの答えは辛辣だった。

たとえお金をもらってもアメリカには住まない
社会のあり方や国民の扱い方、
隣人への接し方を見ると住みたいとは思わない
ご免だわ
同胞であるはずのアメリカ人を大切にしてない
よく平気でいられると不思議でならないの
たくさんの人たちが食事もなく病院にも行けず
教育も受けられずにいる
なのになぜ平気なのか
理解不能よ

マイケル・ムーアが小さな声でつぶやく。

平気じゃない

ならよかった
平気でいいはずないわ


アイスランドからは女性の力をゲット!


■ベルリンへ

1989年ベルリンの壁をノミで叩いていた
ミシガンの友、ロッドとの再会。
ベルリンで壁が崩れている頃、
南アフリカではマンデラが釈放され大統領に就任した。
不可能だと思われていたことも現実になった。

世の中何でもあり

ロッドが言う。

解決は難しいと言うけれど
答えはシンプルだ
ハンマーでブチ壊せばいい


アメリカ以外ばかりにアメリカン・ドリームを見てきた侵略の旅。
しかし、戦利品の多くは元々はアメリカ発祥のものだった。

侵略などせずとも、
すべては既にアメリカにあったのだ。

そうとなれば、かかとを三度鳴らして、
いざ故郷へ!

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ポルトガルの麻薬対策、ノルウェーの刑務所システムなど、アメリカ(だけでなく多くの国)のそれと比べるとあまりに違いすぎというかほとんど真逆で、
にわかに導入するのは難しそうなものもある。
しかし、ポルトガルではドラッグの使用率が下がり、
ノルウェー再犯率は世界最低の20%である。
実際に対策は効果を上げている。
これはどの国にとっても研究の価値ありだ。
しかし、やはり印象的だったのは、
チュニジアアイスランドだ。
今年ヒーロー(ヒロイン)映画として『ワンダーウーマン』が大ヒットしているが、ヒットの要因は女性客の動員らしい。
これは、ヒーローに救い出されるヒロインより自ら戦う強く美しいヒロインが見たいという女性の願望の表れなんじゃないかと思う。
とは言え、ワンダーウーマンはフィクションの中の人物。
現実世界でワンダーウーマンなるのは難しい。
しかし、チュニジアの女性たちは自ら声をあげ権利を勝ち取った。
そして、アイスランドには女性初の大統領、ヴィグディス大統領という女性にとって素晴らしいロールモデルが存在した。
子供の頃から彼女の姿を見て成長した少女たちにとって組織や企業のトップに就くのは自然なことだったのだ。

女性CEOのひとりが語ったように
「わたし」ではなく「わたしたち」
「わたしたち」を主語にして社会を考えていくことで解決することはたくさんあるんじゃないだろうか?

アメリカの作家、カート・ヴォネガットはこう書いている。

Love may fail, courtesy will prevail.
愛は敗れても、親切は勝つ

すべての人が他人に対する親切を忘れなければ、
たとえそれがささいなことであっても
世界は変わるはずだ。

=+=+==+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎マイケル・ムーアの世界侵略のススメ
/WHERE TO INVATE NEXT
(2015年 アメリカ)
監督・脚本・出演:マイケル・ムーア

マイケル・ムーアのドキュメンタリーを観るといつも思うことだが、深刻な内容をテンポの良い編集で見せるのが上手い。
マイケル・ムーアの主張に共感するかどうかはともかく、どんな社会を作り、どんな社会で生きていきたいのか考える上でとても示唆に富んだ内容になっているので、これから選挙権を得る10代の人たちにも観てもらいたいと思います。

【追記】
2015年に公開された本作。
当然、撮影されたのはそれ以前のことであり、マイケル・ムーアは各国で手に入れたアイディアを持って意気揚々と故郷アメリカへ戻ったはずだった。
しかし、2016年、ご存知のようにアメリカではドナルド・トランプが大統領選で勝利
マイケル・ムーアは持ち帰ったアイディアが実行されるべく動くどころか、先ずトランプ政権を打倒するところから始めなくてはならなくなった。


予告編はこちら👉映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』予告編 - YouTube


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