極私的映画案内

新作、旧作含め極私的オススメ映画をご案内します。時々はおすすめ本も。

今月の読書 〜2017年7月〜

毎年暑くなると途端に読書ペースが落ちるのが恒例になっていますが、7月は梅雨明けした後に梅雨のようなお天気が続いて涼しくなったので、後半少し挽回。
今月は、長らく万城目学さんと混同していて読んでいると思い込んでいたけど実は初読だった森見登美彦さんの有頂天家族』『有頂天家族 二代目の帰朝』の『有頂天家族』サーガが楽しかった!
もう一冊選ぶとすれば、19世紀の社会活動家フローラ・トリスタンと彼女の孫である画家のポール・ゴーギャンの生涯を描いたマリオ・バルガス=リョサ『楽園への道』
二人の人生、まさに二冊分の内容に圧倒された。


有頂天家族森見登美彦
幻冬舎

京都・糺ノ森に住む狸の一家、下鴨家の物語。物語の語り手は、一家の三男暢気者、矢三郎だが、
この家族、皆かなり個性的。
加えて下鴨家四兄弟の師匠の天狗の赤玉先生、
赤玉先生の天狗教育を受けた美女、弁天、
下鴨家の仇敵夷川家の面々などキャラクターが魅力的。
狸が化け、天狗が空を舞うファンタジックな物語はアニメにすればいいのにと思ったら、
とっくにアニメ化されてました。
糺ノ森(ただすのもり)、六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)など京都は地名も寺の名前も面白い。
「面白きことは良きことなり」
土地勘があったらもっと楽しめたのに!

有頂天家族

有頂天家族

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)



有頂天家族 二代目の帰朝/森見登美彦
幻冬舎

ファンタジー小説で重要なのはその世界観を支えるディテールだが、この『有頂天家族』シリーズは、
夷川家が製造する偽電気ブラン
天狗の赤玉先生の風神雷神の扇、
狸鍋を喰らう金曜倶楽部、
狸の頭領偽右衛門を決める狸選挙、
五山送り火の納涼船、
茶釜エンジンと楽しい道具だてが満載。
初めて『ハリー・ポッター』シリーズを読んだ時のようなワクワク感を思い出す。
個性豊かなキャラクター陣の中でもお気に入りは、
下鴨家の四男坊、勉強家の矢四郎君です。
二代目と弁天の如意ヶ嶽薬師坊の跡目争いは次作に持ち越し。
いつ出るのか?次作が待ち遠しい!
下鴨神社、糺ノ森、南禅寺狸谷山不動院
紫雲山頂法寺六角堂、いつか訪ねてみたいなぁ。

有頂天家族 二代目の帰朝

有頂天家族 二代目の帰朝


■楽園への道/マリオ・バルガス=リョサ
田村さと子訳/河出書房新社
EL PARÍSO EN LA OTRA ESQUINA/Mario VARGAS LLOSA/2003

家で言えば、
基礎や骨組みがしっかりしているというのがバルガス=リョサの小説を読むといつも感じることだが、今作では二つの物語を交互に置くリョサお馴染みの構成で、
社会活動家フローラ・トリスタンと画家ポール・ゴーギャン、祖母と孫でもある二人の人生を描く。
特にフローラ・トリスタンについては全く知らない人物だったので、そのラディカルな主張と情熱的で濃密な人生に圧倒された。
この二人の人生だけでなく、労働運動の萌芽、美術史に置けるゴーギャンの位置付けなど、
19世紀という時代そのものを描いていて、
流石リョサと思わされた。
正反対に見えるフローラとゴーギャン
しかし、自らが信じる楽園への道を心のままに歩んでいった二人の姿勢は共通している。
同郷でもある二人に対する
「フロリータ、アンダルシア女」「コケ」
というリョサの呼びかけが優しい。

<言及されるポール・ゴーギャンの作品>
⚫︎マナオ・トゥパパウ(死霊が見ている)
⚫︎アティティ王子の肖像
⚫︎パペ・モエ(神秘の水)
⚫︎ジャワ女 アンナ
⚫︎アリーヌ・ゴーギャンの肖像
⚫︎テ・アリイ・ヴァヒネ(高貴な女性)
⚫︎ノ・テ・アハ・オエ・リリ(どうして怒っているの)
⚫︎テ・タマリ・イ・アトゥア(神の子の誕生)
⚫︎ナヴェ・ナヴェ・マハナ(かぐわしき日々)
⚫︎テ・レリオア(夢)
⚫︎ネヴァーモア(横たわるタヒチの女)
⚫︎われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、
われわれはどこへ行くのか
⚫︎説教のあとの幻影
⚫︎黄色いキリスト
⚫︎ヴィロフレイの小さな森
⚫︎カルセル街の画家の室内
⚫︎裸体習作
⚫︎眠る子供ー習作
⚫︎カリタス会修道女
⚫︎ヒヴァ・オアの呪術師
⚫︎テ・ナーヴェ・ナーヴェ・フェヌーア
(かぐわしき土地)
⚫︎慈善を施す修道女

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

楽園への道 (河出文庫)

楽園への道 (河出文庫)


■内面からの報告書/ポール・オースター
柴田元幸訳/新潮社
REPORT FROM THE INTERIOR /Paul Auster /2013

前作『冬の日誌』で身体に刻まれた記憶から半生を振り返ったポール・オースター
今作では「内面からの報告書」で12歳までの記憶、
「脳天に二発」では幼少期に強烈な印象(正に“脳天に二発”級の)を残した二本の映画、
そして「タイムカプセル」では元妻で作家のリディア・デイヴィスに宛てて書かれた若き日の手紙から、
いかにしてポール・オースターポール・オースターと成り得たか、内面の成長を振り返る。
オースターは子供の頃の細かいことまでよく覚えているので、流石、作家は記憶力違う!と感心したが、
今まさに夏休み。
いろいろ思い出すのにこれ程うってつけの季節もないかもしれない。
リディア・デイヴィスに宛てた若き日の手紙は、
彼女が手元の資料を寄贈するにあたってオースターの手紙を含めていいかどうかお伺いを立てたことから再会することになったもの。
オースターが書いた手紙とほぼ同数デイヴィスからオースターへ宛てた手紙もあったはずだが、
彼女の手紙はどうなったのだろう?
離婚後34年間、どんな気持ちでデイヴィスが手紙を持っていたのか彼女の気持ちが少し気になります。

※「脳天に二発」で言及される若きオースターに衝撃を与えた映画は次の通り。
⚫︎縮みゆく人間/The Incredible Shrinking Man(1957年4月公開)
監督:ジャック・アーノルド
原作・脚本:リチャード・マシスン
⚫︎仮面の米国/I Am a Fugitive from a Chain Gang(1932年11月公開)
監督:マーヴィン・ルロイ
原作:ロバート・E・バーンズ
脚本:ハワード・J・グリーン,ブラウン・ホームズ

内面からの報告書

内面からの報告書


■火星の人/アンディ・ウィアー
小野田和子訳/早川書房(ハヤカワ文庫)
THE MARTIAN/Andy Weir/2011,2014

リドリー・スコットによる映画版『オデッセイ』を先に観てしまったので、遅々として進まない状況に少々まどろっこしさを感じるのは、映画の脚色が素晴らしく、原作からの省略が上手く、テンポが良かった証拠だろう。
しかし、ラストがわかっていても、クライマックスにドキドキし、ワトニーとクルーの再会には胸が熱くなる。
サバイバルのための知識や技術はあっても、
それを使って生き残るという強い意志がなければ宝の持ち腐れだ。
どんな状況になってもそれを冷静に分析し、
何が出来るのか論理的に考えられる心の強さこそ必要だし、ワトニーにはそれがあった。
この先、私が大気圏外に行くことは万が一にもないだろうし、ワトニーと同じような状況下に置かれることもないだろうが、自分の圧倒的な理系知識のなさ加減にどうにも心許ない心地に。
サバイバルの基本はやっぱり理系知識だし、
数学や科学や物理なんて生きて行くのに必要ないと思っていた理系嫌いにとっては殆どホラーかも。
前代未聞のミッションから得られるデータや知見というプラス面は当然あるだろうが、
これが現実ならワトニーを見殺しにして事実は隠蔽されるだろうと考えてしまう私は現実に毒されすぎているのかもしれない。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

👇リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演の映画版『オデッセイ』のBlu-rayはこちら


鼻持ちならないガウチョ/ロベルト・ボラーニョ
久野量一訳/白水社
EL GAUCHO INSUFRIBLE/Roberto Bolaño/2003

ロベルト・ボラーニョの生前最後の作品ということは解説を読むまで知らなかったが、
これまで読んだボラーニョ作品の中で一番不穏な空気に満ちている。
カフカの「歌姫ヨゼフィーネ、あるいは二十日鼠族」を下敷きにし、鼠の警官を主人公にしていることを忘れるほどのスリラー風味「鼠警察」と、二つの章(I.天職 II.偶然)で構成され、
後の章が前の章の謎解きになっている「二つのカトリックの物語」が印象深い。
クトゥルフ神話」講演でこの三人(ネルソン・マンデラ、ガブリエル・ガルシア=マルケス、マリオ・バルガス=リョサ)をディスるとは、度胸あるな、ボラーニョ。
(収録作品)
⚫︎ジム
⚫︎鼻持ちならないガウチ
⚫︎鼠警察
⚫︎アルバロ・ルーセットの旅
⚫︎二つのカトリックの物語
⚫︎文学+病気=病気
⚫︎クトゥルフ神話

鼻持ちならないガウチョ (ボラーニョ・コレクション)

鼻持ちならないガウチョ (ボラーニョ・コレクション)

ツイン・ピークス The Return Episode 3 〈第3話〉

EPISODE 3


■廃墟のような建物

例のニューヨークのビルからデイル・クーパーが飛ばされた先は廃墟のような建物のベランダらしき場所。
そこから見えるのは穏やかな、
でもどことなく不気味な海。
(あるいは湖?それとも川?)
窓から建物の中に入るクーパー。
暖炉の炎。
ソファに座っている女は目を塞がれている。
クーパーに手を差し伸べる女。

「ここはどこだ?どこなんだ?」

女はクーパーに何か伝えようとしているが、
言葉にならない。

その時、激しくドアを叩く音が。
女は声を出さないようクーパーにジェスチャーで伝える。



クーパーは壁のプレート(小さなドア?コンセントの差込口のようなものがある)に気付く。
そこには15という数字が。
クーパーが近づこうとするのを必死で止めようとする女。
彼女は梯子を登りクーパーを建物の外に誘導する。
しかし、外へ出てみるとそこには満点の星空。
クーパーがいたのは宇宙に浮かぶ箱のようなものだった!
女は更にクーパーに何か伝えようとしているが、
彼にはまったく理解出来ない。
女は建物の上の大きな突起にあるレバーを押し下げると全身を痺れさせ宇宙空間に投げ出される。
一人残され途方にくれるクーパーが周囲を見回すと、
ガーランド・ブリッグス少佐の顔が星空に浮かんでいるのが見える。

Blue Rose
青いバラ

少佐はこう呟くと静かに消える。

どうすることも出来ずにクーパーが部屋に戻ると、
先ほどのプレートの数字がに変わっている。
暖炉の前のソファには別の女が座っている。
彼女は振り返ってクーパーを見ると腕時計に目をやる。
時刻は、PM2:53
突然デスクランプが灯る。

※建物の中に入ったクーパーが最初に会う目を塞がれた女(Naidoという役名になっている)を演じているのが日本人キャスト裕木奈江さんなんですが、目が塞がれているので正直誰だかわからない。。。
宇宙空間に消えていってしまった彼女にこの先のエピソードで再登場はあるのか?


■とある・ハイウェイ。バッド・クーパーの車の中

ブラックロッジからクーパーが覗き見たバッド・クーパーの姿。
どこかへ向かって車を走らせるクーパー。
車内の時計は、PM2:53
アップになるシガーソケット


■廃墟のようなビルの室内

クーパーがのプレートに近づこうとすると、
火花が散る。
ソファに座っていた女が立ち上がり言う。

When you get there…
あなたがそこに着く時には
you will…
あなたはもうー
already be there.
すでにそこにいるだろう

プレートに引き寄せられるクーパー。

(一方、バッドクーパーも身体に異常を感じていた。)

再び、ドアを激しく叩く音。
女が叫ぶ。

You'd better hurry…
早く!急いだほうがいい
my mother's coming.
私のママが来る

クーパーの身体は煙になってプレートの差込口に吸い込まれる。
後には靴が残される。


■とあるハイウェイ。バッド・クーパーの車の中

いよいよ身体に異常をきたしたバッド・クーパーはまともに運転することすら難しくなっている。
車は横転。

嘔吐をこらえるバッド・クーパー。
アップになるシガーソケット
目の前に出現する赤いカーテン


■ラスベガス郊外の住宅地

一見、郊外の新興住宅地の趣きだが、
人気がなくどことなく不気味。
一軒の家の中にはクーパーそっくり(でも、髪が長く太り気味)の男ダギー・ジョーンズが黒人の娼婦ジェイドと情事の後らしき雰囲気。
どうやら空き家を情事に使っているらしい。

「ダギー、左腕、どうしちゃったの?」
「さあな、多分痺れてるんだ。ビリビリする」
「あたしも痺れちゃった、シャワー浴びてくる、いい?」

ジェイドに金を払うダギー。
左腕の自由が効かない様子。
ダギーの指には、テレサ・バンクスがはめていた指輪。

突然、何かに弾かれたように座り込むタギー。

(一方、バッド・クーパーも必死に嘔吐をこらえている)

こらえきれずに嘔吐するダギー。
目の前には赤いカーテン
雷が落ちたような音と共に姿を消すダギー。

(バッド・クーパーもこらえきれずに嘔吐するが、
赤いカーテンは消え、バッド・クーパーは気を失う。)


■ブラックロッジ

赤いカーテンの部屋。
姿を消したダギーがソファに座っている。
靴はなし。
ダギーを見つめる片腕の男フィリップ・ジェラード。

「妙な気分だ、俺に何が起きている?」

Someone…
誰かが
manufactured…
作ったのだ
you.
お前を
For a purpose…
ある目的のために
but
だが
I think
おそらく
now
もう
…that's been
目的はー
fulfilled
達成された

ダギーの身体は徐々に縮んで指輪が落ちる。
そして次の瞬間、ダギーの身体は黒い煙と化す。
煙の中から金色の玉が現れる。
指輪と玉を拾い上げた片腕の男は指輪をテーブルに置く。

※3のプレート、バッド・クーパーの車のシガーソケット、そしてダギーが嘔吐した部屋のコンセントの差込口は繋がっていた!
しかし、ブラックロッジに戻るはずだったバッド・クーパーは残り、クーパーそっくりのダギーがブラックロッジに。
フィリップ・ジェラードの左腕(スズカケの木)が言っていたドッペルゲンガーとはバッド・クーパーではなく、ダギーのことだったのか?


■ラスベガス郊外の住宅地

ダギーが嘔吐した部屋のコンセントの差込口から火花と共に黒い煙が。
それはヒトの形となってデイル・クーパーに。
靴はなし。

クーパーをダギーだと思い込んでいるジェイドは早く家を出ようと促すが、クーパーの反応はまるで記憶喪失の男。
靴の紐を結ぶことも出来ない。
当然ダギーの車の鍵を持っていないクーパー。
ポケットには、グレート・ノーザン・ホテルのルーム・キー(315号室)。
仕方なくジェイドはクーパーを自分の車に乗せる。

一方、クーパーとジェイドを見張る怪しげな男たち(ジェイクジー)。
ジェイドの車の助手席のクーパーはジェイクにライフルで狙われるが、落ちたホテルのキーを拾おうと屈んでいたので撃たれずに済む。
クーパー(ダギー)は車には乗っていないと判断したジーンはダギーjの車に(おそらく)爆発物を仕掛ける。


その様子を窓から伺っていた小さな男の子。
どうやら薬物中毒の母親らしき女が叫んでいる。

「119! 119! 119!」

そして、彼女は薬の最後の一粒をウイスキーで飲み込み、煙草に火をつける。


※この親子のシーンは母親の叫ぶ「119!」が妙に耳に残る。
今後の展開には何ら関係ないかもしれないけど。。。


■とあるハイウェイ。バッド・クーパーの車の中

事故現場にハイウェイ・パトロールが到着。
車窓から中を覗き込んだ警官は気分が悪くなる。


ツイン・ピークス保安官事務所

丸太おばさんに「ないものを探せ」と丸太からの伝言を託されたホークはアンディ、ルーシーと共に探すが、「ないもの」は探せない。
ルーシーは自分が食べてしまったウサギのチョコレートが「ないもの」だと騒ぐが、当然それはホークのルーツに関わるものではない。


ツイン・ピークス山中。ドクター・ジャコビの小屋

届けられたスコップを金色にペイントしているドクター・ジャコビ。

※何に使うんだろう?こんなに沢山のスコップ。
それも金色にペイント。


■シルバー・ムスタング・カジノ

5ドル渡してカジノ前でクーパーを下ろすジェイド。

「じゃ、もう行っていい。」

You can go out now .
あなたはもう行っていい

クーパーの中でジェイドとローラの言葉が重なる。

5ドル札を手にキャッシャーへ向かうクーパー。
要領を得ないクーパーに係はスロットマシーンのコインと交換する。

他の客がスロットマシーンで遊ぶ様子を見て学ぶクーパー。
クーパーにはある台の上に小さな炎が見える。
ふらふらとその台に向かいハンドルを引くと大当たり!
その後も炎が教える台で次々と当たりを出すクーパー。

※記憶を失ったらしいクーパーが得た特殊能力!
当たりの出るスロットマシーンが分かる!
カジノでクーパーに声をかける男役でワン・シーン登場するのは、『ウォーキング・デッド』のユージーン役のJosh McDermitt。


FBI フィラデルフィア支部

かつてのクーパーの上司ゴードン・コール、同じく同僚だったアルバート・ローゼンフィールドが妻殺しの事件の検討中。
真犯人は他にいると主張する容疑者がヒントだという証拠は妙なもの(女性の水着写真、セーラー服姿の小さな男の子の写真、ショットガン、ピーナツか焙煎前のコーヒー豆が入った瓶)ばかり。

タミー・プレストン捜査官がニューヨークの事件について報告。
警察は何が起きたか把握出来ておらず、建物の持ち主、警備員の身元も特定出来ず。
判明したのは被害者サム・コルビー、トレーシー・バーベラートの身元のみ。
そして、ガラスの箱を写したデータ。
事件の夜には人の形をした煙のようなものが写っていた。
被害者以外の指紋やDNAは一切残っていなかった。

その時、クーパーからの電話が入っているという知らせが。
ゴードン、アルバート、タミーはサウスダコタ州ブラックヒルズへ。



※ゴードン・コールのオフィスのデスクの後ろのキノコ雲の写真。これとは反対側の壁には大きなフランツ・カフカポートレートが。
これにも何か意味があるのか?


ツイン・ピークス/ロード・ハウス

今夜の出演バンドはThe Cactus Blossoms


エンディングの曲、The Cactus Blossoms 『MISSISSIPPI 』はこちら👉The Cactus Blossoms - Mississippi (Official Music Video) - YouTube

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クーパーがブラックロッジに囚われた代わりにバッド・クーパーが送り込まれた。
彼がクーパーのドッペルゲンガーかと思っていたが、
クーパーそっくりのタギーまで登場して
もう何が何だか。
15、3、PM2:53、119
今エピソードに限らず、今シーズンは意味ありげな数字が沢山登場するのでついつい深読みしてしまう。
(現段階で数字の意味はひとつも分からないけれど)

今エピソードは、撮影終了後に亡くなったアルバート・ローゼンフィールド役ミゲル・フェラーに捧げられています。
R.I.P.

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

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👇『ツイン・ピークス The Return 』DVD、Blu-rayはこちら

👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

👇ツイン・ピークスの空白の25年間が明らかになる(らしい)『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら(欲しい。。。)

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

👇前シリーズの謎を解く鍵だった『 ツイン・ピークス ローラの日記』も再販。
旧バージョン持ってたけど、ブックオフに売ってしまった。。。

ツイン・ピークス The Return Episode 2 〈第2話〉

EPISODE 2


▪️サウスダコタ州バックボーン:バックボーン警察署留置所、ビル・ヘイスティングス

留置場で頭を抱えるウィリアム・ヘイスティングス
面会を許された妻フィリスがやって来る。
弁護士ジョージ・バウツァーからの伝言を伝えるフィリス。

「ジョージが保釈は無理だろうって」
「まいった、えらいことになったよ
実は言っておきたいことがあるんだ
部屋には行ってない
でも、あの夜、あそこにいる夢を見たんだ
夢で、俺はルースのアパートにいた」
「行ったはずよ、
その部屋にあなたの指紋があったんだから」
「違う!本当に行ってない!
部屋には行っていないんだよ!
本当だ!誓ってもいい!あれは夢だった!」
「ふざけないでよ!本当にゲスな男!
浮気してるのは知ってたのよ、
もう、ずっと前から分かってたんだから」
「そういうお前はどうなんだよ!
ジョージとの仲を知らないと思ったか?
ヤツの他にもいるんじゃないのか?」
「あんたはもうお終いよ、終身刑は間違いないもの
死ぬまで刑務所暮らしね、
さよなら、ビル」

フィリスはこう捨て台詞を吐き、立ち去る。

「ウソだろ?なんで俺が…
なんで、なんで、こんなことに」

「バレてたわ、見送りはいらない
少ししたら家に来て」

外で待っていたジョージに告げるフィリス。

混乱し、頭を抱えるビル。
一方、ひとつ置いた隣りの房には顔を黒塗りし浮浪者のような格好をした男(Woodsman )の姿。
やがて、その姿は煙のように消える。

自宅に戻ったフィリスを待っていたのは、
何とバッド・クーパーだった。

「ここで何をしてるの?」
「上出来だ、人間の本性をむき出しにしてる
これはジョージの銃だ」

そう言うと、
バッド・クーパーは容赦なくフィリスの顔面を撃つ。


▪️ラスベガス:とある立派なオフィス

ダンカン・トッドロジャーを呼び出し、
札束を渡す。

「採用だと伝えろ」
「トッドさん」
「何だ?ロジャー」
「聞いてもいいですか?」
「何だ?」
「どうしてあの男の言う通りに、こんなことを?」

ロジャーが尋ねると、トッドはこう答える。

「ロジャー、出来ることならあの男のような奴には関わるな、
君の人生には入れるなよ、ああいう男は」

※トッドもロジャーも“あの男”も一体どんな組織の誰なのか全く不明。
一体どんな仕事に、誰を採用したというのか


▪️サウスダコタ州(あるいは近隣の州):とあるダイナー

踏切の警報が鳴り、遮断機が下りる。
警笛を鳴らしながら電車が通過する。

ダイナーではバッド・クーパー、レイ、ダーリャ、
ジャックが食事中。

「ジャック、よく三人前も食えるな
ダーリャから聞いたんだが、あんた明日が心配らしいな
いや、明後日か」
「俺は心配はしない、何だろうとな」
「なら、よかった」
「明後日までしばらく別行動だ、ひとりで動きたい
お前は人のことより、自分の心配することを覚えろ」
「わかった、何か俺に手伝えることがあったら連絡くれ」
「そりゃ、もちろん連絡する」
「俺は心当たりに聞いてみる、あんたに必要なネタがいいが」
「欲しいんだ、必要なんじゃない
俺に必要なものなど、何一つない
これだけは覚えておけ、俺はそういう人間だ
俺は何も必要とはしていない、欲しいだけ
その情報が欲しいんだよ
ホントにお前しか聞き出せないのか?」
「どうやら相当重要な情報らしいな
心配すんな、ちゃんと、持ってくる」
「確実に信頼の置けるものを」
「彼女はヘイスティングスの秘書だ
情報はすべて握ってる」

ひたすら食べ続けるジャック。

※バッド・クーパーとサウスダコタの殺人事件との関係は?
ヘイスティングスの秘書ベティからどんな情報を聞き出そうというのか?


▪️ツイン・ピークス:森の中

夜の森の中を歩くホーク副署長は丸太おばさんと電話中。

「マーガレット?」
「ホーク、今夜はどこを歩いているの?」
「また君の丸太とわかりあえたようでね
今夜ここで何かが起きるはずだ」
「星々は巡る、そしてその時がやって来る
ホーク、どうか気をつけて」
「そうするよ、マーガレット」
「私は一緒には行けないけれど、うちに寄ってね
コーヒーとパイを用意したの」
「後で行くよ、そろそろらしい」
「お願いよ、後で聞かせて」
「わかった、そうするよ、おやすみ、マーガレット」

ホークは25年前、クーパーがブラックロッジへ姿を消したスズカケの木の場所に辿り着く。
赤いカーテンが現われる。











▪️ブラックロッジ

赤いカーテンの部屋にクーパー捜査官と
“片腕の男”フィリップ・ジェラード

Is it…future…or…is it…past?
これは未来か…それともこれは過去か?
Someone… is…here.
誰かがここにいる。

フィリップが姿を消すと25年後のローラ・パーマーが現われる。

Hello,Agent Cooper.
こんにちは、クーパー捜査官
You can…go out…now.
あなたはもう行っていい
Do you recognize me?
私が誰か分かる?

「君、ローラ・パーマーか?」

I feel like I know her… but sometimes my arms…bend back.
知っている気がするけれど、
私の腕は時々後ろに曲がるの

「君は誰なんだ?」

I am Laura Palmer.
私はローラ・パーマー

「だが、ローラ・パーマーは死んだんだ」

I am dead,but yet I live.
そう私は死んだ、でも生きてる

ローラは顔面を仮面のように外すと、
そこは眩しく発光している。

「いつ出て行けるんだ?」

クーパーが問うと
ローラは彼に歩み寄りキス、何事か耳元で囁く。
絶叫と共に姿を消すローラ。
赤いカーテンが消え、白い馬が姿を現わす。

再び、“片腕の男”フィリップ・ジェラード。

Is it…future or…is it past?
これは未来か?それともこれは過去か?

手招きする片腕の男。
クーパーが後をついて行くと、
そこには頭部のようなものがついた奇妙な木が。

The evolution…of the arm.
そこに立っているのは進化した腕だ

I…am the…arm. And I…sound like…this.
私は腕だ。私はこんな音がする。
Do you…remember…your doppelgänger?
覚えているか?お前のドッペルゲンガーを?

He…must come…back… in…before…you can…go…out.
まず彼が戻らねばならない
そうすればお前が出られる

※“進化した腕”は25年前クーパーが姿を消した森のあの“スズカケ”の木なのか?
ドッペルゲンガー”とはバッド・クーパーのことなのか?
巨人がクーパーに聴かせた音は腕が出す音だったのか?
25年前、ブラックロッジでローラはクーパーの耳元に「私は父に殺されたの」と囁いたが、
今度は何を囁いたのか?


▪️サウスダコタ州


ベンツを乗り換えるバッド・クーパー。
ベンツを車庫にしまったジャックを呼び寄せ、彼の顔面を無言で揉みしだくバッド・クーパー。

夜、モーテルに戻って来るバッド・クーパー。
部屋の下着姿のダーリャは誰かと電話中。

「まずい、あいつが入ってくる、切るね」

部屋に入ってくるバッド・クーパー。

「おかえりなさい」
「誰と話していた?」
「ジャックと、秘書の車、大丈夫だったか聞いてたの」
「何て言ってた?」
「うまくいってるってさ、
なんか嬉しい、ひとりで動くんなら、
当分会えないと思ってたから」
「俺に会えて嬉しいか?」
「すっごくね」
「それはよかった
今日の午後、レイと会うはずだったが、現れなかった」
「そうなの?」
「ああ、お前の45口径はどこだ?」
「ベッドサイドに置いてる」
「そっか」
「どうかした?」
「仕事で使いたいんでね」
「いいよ、好きにして」

ベッドで寄り添う二人。

「ダーリャ、ジャックは死んだぞ
2時間前だ、車の細工が済んだ後にな」

ダーリャは身を振りほどこうするが、逃れられない。

「じっとしてろ、動くんじゃない
いいもの、聞かせてやろうか?ダーリャ
興味深い話だぞ」

そう言って、バッド・クーパーが聞かせたのは、さっきの電話の録音だった。

「ダーリャ、お前か?」
「レイ、一体どこにいるのよ?」
サウスダコタの連邦刑務所だ」
「何で?何やったの?レイ」
「銃を持って州境を越えたらパクられた
よりによってこんな時に」
「どっから、かけてんの?」
プリペイド携帯だ、誰にも聞かれちゃいねえ」
「で、クーパーはどうすんの?」
「ジェフリーズからまた電話があった
明日の夜クーパーが近くにいたら殺せ
お前が殺るんだ、ダーリャ。必ず仕留めろよ」
「やばい!あいつの車だ!最悪!
とにかく、明日の状況次第で、必要ならあたしが殺す
まずい!あたしが入ってくる!切るね」

「あたしを殺すの?」
「ああ、そうだ」

逃げようとするダーリャ。
顔面を殴られたダーリャは泣きだす。

「ダーリャ、誰に雇われたんだ?」
「わかんない…あたし…知らないの
ホントに知らない、レイが知ってる
あたしは何も聞いてない」
「レイが銃の持ち出しで捕まったって話、
信じろって言う気じゃないよな?
ダーリャ、俺を見ろ、
考えてみるのも面白いかもしれん
ゲームは始まった
やつらは何故俺を狙う?」
「訳は知らない」
「俺を殺すといくら手に入る?」
「50万ドルを山分け…
やる気はなかったの、レイに言ったのはウソよ!」
「黙れ、ダーリャ」
「でも、明日はあんた、どこかへ行くんでしょ?」
「明日か?ブラックロッジと呼ばれる場所に戻されるはずだったが、まだ戻れない
ひとつ、計画があるんだ
しかし、レイが刑務所に入ったとなると…
ヘイスティングスの秘書から情報は取れたのか?
レイは座標について何か言ってたか?」
「何なの?それ」
「場所を示す座標だ、数字や文字、
言えば、助かるぞ」
「秘書から何か聞いたってことしか…」

バッド・クーパーはジャケットの内ポケットからトランプのカードをダーリャに見せる。

「これを見せられたことはあるか?
何だかわかるか?ん?前に見たことはあるか?
俺はこいつが欲しいんだよ」

♠️のエース。絵柄は悪魔を思わせる。

「あたしのこと、殺すの?」
「ああ、そうだ」

バッド・クーパーはダーリャを殴って気絶させ、顔に枕を押し付けると、45口径で彼女のこめかみを撃つ。

通信機器と思しきものを取り出すバッド・クーパー。

「フィリップ?」
「遅刻だ」
「止むを得ずな」
「ニューヨークで会いたかったが、
まだバックホーンにいるようだな」
「そっちは今も行方不明か?」
「ガーランド・ブリッグス少佐にあったんだろ?」
「何で知ってる?フィリップ?」
「実は別れを言うために連絡した」
フィリップ・ジェフリーズだよな?」
「お前が明日戻るなら、俺はまたボブと共にいよう」
「誰なんだ?」

そこで通信は切れる
バッド・クーパーはFBIのサイトにアクセスし連邦刑務所の情報を手に入れる。
部屋を出ると、隣の部屋をノックするバッド・クーパー。

「誰?」
「俺だ」

部屋には銃を持ったガウン姿の女シャンタル・ハッチェンス。

「6号室を片付けてくれ、きれいにな」
「ダーリャ?それはよかった
あの女見てると、悔しくって」
「亭主、呼んでこい、
二、三日中にお前とハッチである場所に行ってもらう
後で、支持する」
「了解、ボス」
「シャンタル、こっちへ来い」

ベッドに座ったバッド・クーパーに近付くシャンタル。

「うーん、いい感じだな」

※フィリップ・ジェフリーズといえば『ローラ・パーマー最後の七日間』に登場した失踪したFBI捜査官(演じたのは故デヴィッド・ボウイ
レイに電話をかけてきたというジェフリーズとフィリップ・ジェフリーズは同一人物なのか?
シャンタル役は、ジェニファー・ジェイソン・リー


▪️赤いカーテンの部屋

進化した腕のメッセージ。

253
Time and time again.
253
何度も何度も繰り返す
Bob Bob Bob
ボブ ボブボブ
Go now!
さあ行け!
Go now!
さあ行け!


赤いカーテンの廊下を行きつ戻りつするクーパー。
ある場所でカーテンを開けようとするが、開かない。
ソファのある部屋に行き着くと
そこにはローラ父親、亡きリーランド・パーマーの姿がある。

Find…Laura
ローラを探せ

立ち去るクーパー。

進化した腕と一緒にいるフィリップ・ジェラード。

Something 's wrong.
何かがおかしい

My doppelgänger.
我がドッペルゲンガー

クーパーがカーテンを開けると外は真っ直ぐな道路。

クーパーは道路を俯瞰する位置。
一台の車が走って来る。
乗っているのはバッド・クーパー。

non-exist-ent!
存在しない!

進化した腕の絶叫と共に床が揺れ出し、
クーパーはニューヨークの例のあのビルへ。
窓からガラスのボックスに侵入したクーパーは
ボックス内を浮遊する。

そのタイミングはサムがトレイシーを部屋に入れる直前。
クーパーは再び飛ばされる。


▪️ツイン・ピークス:セーラ・パーマー宅

ローラの母親セーラ・パーマーがひとりでテレビを見ている。
相変わらずのヘビー・スモーカー。
テーブルの上の灰皿は吸い殻で溢れている。
メスライオンが草食動物を襲う様子を食い入るように見つめている。


▪️ツイン・ピークス:ロード・ハウス

バンドが演奏中で、混雑した店内。
若い男フレディ・サイクスを連れて店に入ってきたのは、
ローラの秘密の恋人だったジェームズ・ハーリー

「いい店だろ?」
「ほんと、最高じゃない」
「来い、ビールは何にする?」
「ああ、何でもいいよ」

ボックス席にはRRダイナーのウェイトレスだったシェリーの姿がある。
どうやらママ友(?)との女子会中。

「もう、ウチの娘、変な男に引っかかっちゃってー」
「何言ってんの?スティーヴン、人気者じゃない?」
ベッキーのあの顔見れば、わかるの
なんかよくないことになってる」
「娘の人生よ」
「ねっ、あそこ、ジェームズだよ
また、あなたを見てるの?」

ジェームズが見つめているのは、シェリーの隣に座っているレネー

「ジェームズに気に入られた?」
「なんかあやしいのよね」
「あやしくなんてないって、バイクの事故があって
喋らなくなっただけ
ジェームズは変わってないよ、今でもカッコいい」

一方、バーカウンターからシェリーに秋波を送る男レッド

微笑むシェリー。
シェリー達の様子を見て微笑むジェームズ。

※25年前のジェームズは濃い黒髪が印象的な青年だったのでこの坊主頭にはかなり驚かされたが、
シェリーの言うように年齢を重ねたジェームズも素敵!
それにしても、ジェームズの連れに若い男の右手の手袋が気になる。

今夜の、ロード・ハウスのバンドはChromatics

エンディングの曲、Chromatics『SHADOW 』はこちら👉CHROMATICS "SHADOW" - YouTube

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夢の中でルース・ダベンポート部屋行ったというウィル・ヘイスティングスはかつてのリーランド・パーマーのように彼女を殺してしまったにだろうか?
“片腕の男”フィリップ・ジェラードの失われた左腕が赤いスーツの小人だったが訳だが、
更に進化して何と木!
おまけに噛んだガムを丸めたような頭部。
もう情報量が多すぎて何が何やら状態だが、
この翻弄される感じが実は気持ち良かったりする。

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

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👇『ツイン・ピークス The Return 』DVD、Blu-rayはこちら

👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンドトラックはこちら

👇『ツイン・ピークス The Return 』のサウンドトラックはこちら

👇ツイン・ピークスの空白の25年間を描いたマーク・フロスト『ツイン・ピークス シークレット・オブ・ヒストリー』はこちら

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ジョン・ウィック:チャプター2


ジョン・ウィック、完全覚醒!

今は亡き妻ヘレンからの贈り物である愛犬デイジーと愛車ムスタングを奪ったヨセフとその父親でロシアン・マフィアのボス、かつての雇い主でもあるヴィゴ・タラソフへの復讐を果たしたジョン・ウィック

事件から5日後、ジョンは奪われたムスタングの回収にヴィゴ・タラソフの弟アブラムの自動車工場へ向かう。
アブラムの部下を次々に倒し、ムスタングを奪還するも、その過程で車は無残な姿に成り果てる。

目的を果たし自宅に戻ったジョンは、
旧知の自動車修理工場のオーナー、オーレリオにムスタングの修理を依頼、再び武器を地下室の床に埋め戻す。

ところが、静かな暮らしは戻ってこなかった。
殺し屋稼業を引退する際に課せられた実行不可能なミッションを成功させるために手を貸してくれたイタリアン・マフィア、カモッラの幹部サンティーノ・ダントニオがジョンを訪ねてきたのだ。
サンティーノは血の契約である誓印のメダルを手にカモッラのボスで実の姉であるジアーナの暗殺をジョンに依頼する。
サンティーノはマフィアの国際的組織の代表メンバーである“主席”の座をジアーナから奪おうとしていたのだ。
しかし、ジアーナとも旧知の仲であるジョンはこれを拒否する。
これに激怒したサンティーノはジョンの自宅にバズーカ砲を撃ち込み、亡き妻ヘレンとの思い出が詰まった家は爆発、炎上してしまう。

家を失ったジョンは愛犬のピットブル(名前はまだない)と共にコンチネンタル・ホテルに身を寄せる。
ホテルのオーナー、ウィンストンに、
この世界での誓印の重要性を諭されたジョンは、
サンティーノの依頼に応えるべくイタリア・ローマへ向かう。

ジアーナが主催するゴージャスなパーティーに潜入するジョン。
しかし、ジョンの姿を目にし運命を悟ったジアーナは、自らナイフで腕を傷つけ、浴槽に身を沈める。
ジョンは彼女の頭に弾丸を一発撃ち込む。

辛い仕事をやり遂げ、借りを返した筈が、
ジョンはサンティーノから命を狙われる。
全世界の殺し屋にジョン・ウィック暗殺のオーダーが出される。
報酬は700万ドル


前作に比べて、ひとつひとつのパンチやキックの重みやダメージの大きさは感じられるものの、
スピード感、緩急、テンポといった点で、
正直物足りなさは感じる。
個人的な感想だが、この二作目は、
シリーズとしての世界観を広げるという役割、
位置付けではないか?
前作は、愛犬と愛車を奪われたことに対する復讐という個人的なストーリーだったが、
今作ではジョン・ウィックと、サンティーノをはじめ様々な登場人物、組織との過去の経緯が示唆されており、これは今後のストーリーの伏線になっていきそうである。

特に、女性ばかりが働く殺し屋組織コンチネンタルのアカウント部の描写が気になる。
次作では、この部署にもメイン・キャラクターを配してストーリーを広げていって欲しいし、
出来れば、私もここで働きたい!

さて、コンチネンタル・ホテルのルールを破り、
孤立無援となったジョン・ウィック
全世界の殺し屋に命を狙われる窮地をどう脱するのか?
それとも…。


次作では、
是非このピットブルに名前をつけてあげて欲しい!

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
ジョン・ウィック:チャプター2
/John Wick :Chapter 2
(2017アメリカ)
監督:チャド・スタエルスキ
脚本:デレク・コルスタッド
出演:キアヌ・リーブスリッカルド・スカルマチョ,ルビー・ローズジョン・レグイザモ,コモン,ピーター・ストーメアイアン・マクシェーンローレンス・フィッシュバーンフランコ・ネロ,ランス・レディック,トーマス・サドスキー,ブリジット・モイナハン,クラウディア・ジェリーニ,ピーター・セラフィノウィッチ,トビアス・シーガル,ハイジ・マネーメーカー,YAMA



キアヌ・リーブスと並んでも見劣りしない
監督チャド・スタエルスキの格好良さ!



いただきました!ジョン・ウィック・シール!
でも、一体どこに貼ればいいのやら。。。



前作に引き続き登場のコンチネンタル・ホテル・ニューヨークのオーナー、ウィンストン(演じるのはイアン・マクシェーン)。
前作、ホテルでジョンを殺そうとした刺客ミズ・パーキンズはあっさり粛清したウィンストンでしたが、ジョン・ウィックに対しては除名処分とコンチネンタル・ホテルのルールも随分恣意的ではあります。



冒頭で前作の経緯を要領よく説明してくれるヴィゴ・タラソフの弟、アブラムを演じているのはピーター・ストーメア



今作で再びジョン・ウィックを地獄へ引きずり込み、
後戻り出来ない状況に陥らせるのが、イタリアの犯罪組織カモッラの幹部サンティーノ・ダントニオ。
演じるは、イタリア人俳優リッカルド・スカルマチョ
最近では、ブラッドリー・クーパー主演の『二ツ星の料理人』に出演するなど、ハリウッド作品にも出演しているが、彼の出演作ではローマの高校を舞台に三組の教師と生徒の関係を描いた『ローマの教室で 我らの佳き日々』がオススメ。リッカルド・スカルマチョは理想に燃える若き教師を演じています。



過去にジョン・ウィックに命を救われた(というより殺されかかった?)バワリー・キングを演じるローレンス・フィッシュバーン。構成員は皆ホームレス姿で、
伝書鳩を使って情報をやり取りしているらしいこの地下犯罪組織とキングは今後のシリーズでも活躍の場がありそうだ。
ローレンス・フィッシュバーンキアヌ・リーブスは、
マトリックスシリーズ以来の共演。



イタリアの犯罪組織カモッラのボス、ジアーナ・ダントーニ(サンティーノの姉)のボディ・ガード、カシアン役のコモン
ジョン・ウィックとは過去に何やらいわくありげだが、
詳細は明らかにされず。
ジョン・ウィックに胸を刺されるが、ジョンはナイフを抜くと出血多量で死ぬと言ってたので、なんとか生き残って次作にも出演して欲しい。



ジョン・ウィックに差し向けられる殺し屋の中でも一際印象的なsumo assassin を演じているのはなんと元幕内力士の山本山!(最高位は西前頭9枚目)
幕内最重量力士として覚えている人も多いかもしれないが、例の大相撲八百長問題に関わったとして現役引退。その後、アメリカに渡りYAMAという名前でタレント活動をしているとのこと。
ベン・スティラー監督『ズーランダー NO.2』にも出演しているらしい。



ローマへと乗り込んだジョン・ウィックに武器を提供する“ソムリエ”を演じているのは、ピーター・セラフィノウィッチ
最近どこかで見かけたと思って調べたら、ポール・フェイグ監督『SPY/スパイ』に、メリッサ・マッカーシー演じるスーザンを後方支援する現地エージェント、
アルド役で出演していた!
この作品、ジュード・ロウジェイソン・ステイサムというビッグ・ネームが出演しているので他のキャストは陰に隠れがちだが、スーザンを助ける同僚ナンシー役のミランダ・ハートとピーター・セラフィノウィッチが陰の功労者だと思う。
ポール・フェイグ監督というと代表作は『ブライズメイズ 史上最悪のウェディング・プラン』と『ゴースト・バスターズ』ということになるのかもしれないが、
個人的にはこの作品とメリッサ・マッカーシーサンドラ・ブロック共演の『デンジャラス・バディ』がオススメ!



コンチネンタル・ホテル・ローマのオーナー、ジュリアス役は、マカロニ・ウェスタンのスター、
フランコ・ネロ
イアン・マクシェーンといい、フランコ・ネロといい、
チャド・スタエルスキの配役のセンスが光る!
フランコ・ネロの妻は、名優ヴァネッサ・レッドグレイヴ


公式サイトはこちら👉映画『ジョン・ウィック:パラベラム』オフィシャルサイト

予告編はこちら👉今度は家かよ!『ジョン・ウィック:チャプター2』予告編 - YouTube


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👇前作『ジョン・ウィック』のBlu-rayはこちら


👇リッカルド・スカルマチョが理想に燃える若き教師を演じる『ローマの教室で 我らの佳き日々』(監督:ジュゼッペ・ピッチョーニ)のDVDはこちら

ローマの教室で ~我らの佳き日々~ [DVD]

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ありがとう、トニ・エルドマン


この父にして、この娘あり!

音楽教師のヴィンフリートは
他愛ないイタズラが大好き!
今日も今日とて、宅配便の配達員相手に悪ふざけ。
架空の弟トニになりすまして応対するが、
配達員も微妙な反応。

そこへピアノの個人レッスンを受けている少年がやって来て、もうレッスンを辞めたいと言い出す。
ヴィンフリートは君のためにピアノを用意したのに、
とか何とか言いながら少年にゾンビメイクを手伝わせる。
(これは退職する同僚教師のための送別会用のメイク。子供たちもお揃いのゾンビメイクで合唱を披露する)
年寄りで目が見えなくなった愛犬を連れ、
ゾンビメイクで母親を訪ねるヴィンフリート。
母親は、いい加減安楽死させたらと言うが、
ヴィンフリートは母親を安楽死させられないのに、
愛犬を安楽死なんてさせられないと減らず口を叩く。

「イネスが戻ってるって?」

母に尋ねられるヴィンフリート。
離婚した妻との間の娘イネスが赴任先のルーマニアブカレストから戻って来ていたのだ。
送別会の後、再婚している元妻宅に寄ると、
イネスの誕生日の前祝いが行われていた。
石油関連のコンサルタント会社で働くイネスは昇進、
念願の上海赴任が決まったという。
夫婦の離婚後、疎遠になってしまったのか、
それとも性格が違いすぎるのか、
父娘の間はギクシャクしている。
家族との団欒中にも、仕事の電話をしている。
(団欒抜け出すため、電話しているフリ?)
そんな娘の姿を見てヴィンフリートは心配になる。

俺の娘は本当に幸せなんだろうか?

そんな折、ヴィンフリートの愛犬がとうとう亡くなる。
喪失感に苛まれたヴィンフリートはブカレストのイネスをアポ無しで訪ねる。

イネスのオフィスが入るビルのロビーで、
偶然を装い娘を待ち伏せするヴィンフリート。
しかし、現れたイネスは父に気付く素振りを見せない。
諦めてホテルに向かおうとするヴィンフリートを
イネスのアシスタント、アンカが呼び止める。
イネスはちゃんと気付いていたのだ。
しかし、イネスはアメリカ大使館のパーティーやら、
高級ホテルのスパやら、取引先の奥様の買い物やら、
やたらと場違いな場所ばかりヴィンフリートを連れ回し、父親に居心地の悪い思いをさせる。
ヴィンフリートからの誕生日プレゼントである
チーズおろしにも微妙な反応のイネス。

こうして、父と娘の短い同居生活は終わりを告げる。

しかし、ヴィンフリートはこれしきのことでめげる父親ではなかった。
仕事が一段落して女友達と女子会に繰り出したイネスが父親について愚痴を言っていると、
変ちくりんな長髪のカツラに、
更に変ちくりんな入れ歯を入れたヴィンフリートが
トニ・エルドマンとして登場!
自らもコンサルタントだと自己紹介するヴィンフリートの突然の登場に、イネスは友人に本当のことが言えない!

大事なプレゼンを控えただでさえピリピリしているところに、ふざけた父親が突然現れたら、
そりゃあ誰だって困惑、
いや、むしろ激怒するかもしれない。
家族というのは、プライベートの最たるもの。
仕事モードの時には一番会いたくない相手だ。
だから、(ちょっと意地が悪すぎるけど)イネスの反応も理解出来ないこともない。
でも、とにかくヴィンフリートは娘イネスのことが心配で仕方ないのだ。
そんなパパごころも痛いほど分かる。
帰国するヴィンフリートを、
涙をぬぐいながら見送るイネス。
イネスだってヴィンフリートの気持ちはちゃんと分かっているのだ。
でも、素直になれない自分。
涙は父親に優しく出来ない自分の不甲斐なさに対する涙なのだ。

イネスの勤務先はコンサルタント会社。
控えていたプレゼンの内容は業務の合理化案。
これは、外部委託だったり人員削減だったり、あくまでも会社にとっての合理化案であって、
背後にはそこで働く人の犠牲が存在する。
優秀なイネスはそんなことは百も承知のはず。
こんな仕事はしたくない!
心苦しく思うような仕事でも、仕事だからやらなければならないこともあるだろう。
厳しい現実を見て見ないふりを強いられる場面もあるだろう。
同僚ティムとの愛のないセックスも、
クラブ通いも、ドラッグも、
気晴らし以外の何物でもないだろうが、
かえって虚しさを感じさせる。
常日頃感じながらもイネスが目をつむってきた現実を、
言葉も通じない地元の人たちとも直ぐに打ち解けてしまうヴィンフリートは子供のような無邪気さでイネスに突き付ける。
だから、イネスは余計に苛立つのだ。

パパ、そんなことはわかってるの!

そんなイネスの、ヴィンフリートから受け継いだDNAが覚醒する場面が、パーティーで知り合った女性宅で父からいきなり歌を無茶振りされるシーンだ。

集まった客の前で嫌々ホイットニー・ヒューストンの『グレイテスト・ラブ・オール』を歌い始めたイネスは見事に歌い上げ、ヴィンフリートを置き去りにして帰ってしまう。
しかし、これは彼女の中で何かが弾けた瞬間だった。

職場の結束のため、誕生日のパーティーに上司や同僚、友人を自宅に招くイネス。
しかし、客をもてなすために彼女が選んだドレスは少しタイト過ぎた。
屈むこともままならず、脱ごうとするが、
それにも四苦八苦。
ようやくドレスを脱いだイネスは何を思ったか
全裸になってしまう。
ヌーディスト・パーティーだと言うイネスに、裸を拒否して帰る客、そういう趣向かと素直に応じる客と反応も人それぞれ。
そこへルーマニアの妖精クケリの着ぐるみを着た
ヴィンフリートが登場する。

まさに、
この父にしてこの娘あり!

何やかんや言っても、
この二人、やっぱり親子。
イネスにだってきっと、
父の弾くピアノに合わせて歌い、
他愛ないイタズラを喜んだ時代があったのだ。
でも、幼い頃の自分のことなど、
娘は(息子は)都合よく忘れてしまう。
でも、父親にとって娘はいつまでも幼い頃の娘のまま。
自転車の乗り方を教えた頃の娘のままなのだ。

父と娘の時間は、多分思うより短い。
祖母の葬儀のために帰郷したイネス。
ラストの彼女の表情は、
きっとそれに気づいている。

だから、
ありがとう、トニ・エルドマン。

=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
⚫︎ありがとう、トニ・エルドマン
/Toni Erdmann (2016 ドイツ/オーストリア
監督・脚本:マーレン・アーデ
出演:ペーター・ジモニシェック,ザンドラ・ヒュラー,ミヒャエル・ビッテンボルン,トーマス・ビュッター,ハデビック・ミニス,ルーシー・ラッセルイングリッド・ビス,ヴィクトリア・コチアシュ

ドイツ大使館での試写会にて鑑賞。
普通の会議室椅子が並べられた会場に、
この椅子で162分の長尺、
お尻と腰が耐えられるのかとても不安だったのだが、
そんな心配は杞憂に終わった。
笑いながら泣いて、あっという間の162分だった。
父と娘、父と息子、母と娘、母と息子。
親子の物語は数多ある中で、
この作品が新鮮に映るのは、
ストーリーの転がし方が巧みだったからではないか。
ホイットニー・ヒューストンの熱唱も、
全裸の誕生日パーティーも、
奇をてらったというよりも、
ごく自然な展開に見えるところが上手い。
あとはやはりヴィンフリートとイネスを
演じた二人の役者の力だろう。
ペーター・ジモニシェックも
ザンドラ・ヒュラーも素晴らしかった。
カンヌ映画祭では、
批評家に絶賛されたにもかかわらず無冠に終わったが
アカデミー賞外国語映画賞でもアスガー・ファルハディ『セールスマン』が受賞)、
受賞は審査員の好みや、
その時の“風”にも影響される。
カンヌやオスカーで無冠だったとしても、
この作品が年間ベスト級の傑作であることに
違いはない。


パーティーであった女性宅でヴィニフリートに乗せられてイネスが熱唱するのはホイットニー・ヒューストンのこの曲、
「THE GREATEST LOVE OF ALL」
歌詞の内容も彼女の心情にぴったりの絶妙な選曲だった。
👉Whitney Houston - Greatest Love Of All (Official Music Video) - YouTube

こちらはザンドラ・ヒューラーによる熱唱
👉Toni Erdmann - Greatest Love of All - YouTube



妖精クケリの全貌はこんな感じ。



ペーター・ジモニシェックとザンドラ・ヒューラー。
イタズラ好きのパパを演じたペーター・ジモニシェックはこんなにダンディ!


半ば俳優業を引退していたジャック・ニコルソンがリメイクを熱望!
ジャック・ニコルソンアレクサンダー・ペイン監督の『アバウト・シュミット』でも疎遠な娘を訪ねる父親を演じている。)
ということで、ハリウッド・リメイクが決まっているが、娘役はクリスティン・ウィグだという。
クリスティン・ウィグに恨みはないが、
彼女の出演作は、笑える時と笑えない時の落差が激しいので、個人的には、娘役はもっと意外性のあるキャスティングにして欲しかったところ。


公式サイトはこちら👉映画『ありがとう、トニ・エルドマン』公式サイト

予告編はこちら👉超個性的な父が、祖国を離れて仕事をしている娘に会いに来て…!映画『ありがとう、トニ・エルドマン』予告編 - YouTube

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ツイン・ピークス The Return Episode 1 《第1話》

EPISODE 1


■赤いカーテンの部屋

ソファに座っているローラ・パーマーと
デイル・クーパー捜査官。

Hello,Agent Cooper.
こんにちは クーパー捜査官

I'll see you again in 25 years.
25年後にまた お目にかかる
Meanwhile.
それまでは


▪️ブラックロッジ?

25年後のデイル・クーパー捜査官巨人

Agent Cooper.
クーパー捜査官
Listen…to the sound.
この音を聴け

巨人がクーパー捜査官に蓄音機である音を聴かせる。
貝がらを擦り合わせたような音。

It is in our house now.
今それは我々の家に

「そうだ」

It all cannot be said aloud now.
今はそれを声に出してはならない
Remember… 430.
忘れるな 430
Richard and…Linda.
リチャードとリンダ
Two birds… and one stone.
二羽の鳥と一石

「ああ、わかった」

You are far away.
お前は遠く離れている

クーパーの姿が消える。


▪️ツイン・ピークス:山中

ローラ・パーマーの主治医だったローレンス・ジャコビー医師
現在、ジャコビー先生は森の中のトレーラーハウスで暮らしているようだ。

ダンボールの荷物を積んだトラックが到着。

「どうも!先生!」
「やあ、ジョー」
「調子はどうです?」
「絶好調だよ」

ダンボールの中身は大量のシャベル。

「大変だな、手伝いましょうか?」
「ありがとう、だが、大丈夫だ
ひとりでやりたいんだ」

※ジャコビー先生は大量のシャベルを一体どうするのだろう?


▪️ニューヨーク

ビルのペントハウス
大きなガラスのボックスが壁に沿って設置されている。
直接、外に通じているらしい窓がひとつある。

ボックスには何台もの照明とカメラが向けられており、
監視している若い男(サム・コルビー)。
ブザーが鳴ると、カメラのデータカードの交換をする。
これが、彼の仕事らしい。

インターホンがデリバリーの到着を知らせる。

男の友人らしき女(トレイシー)がコーヒーを届けに来たらしい。

「トレイシー」
「サム」
「持ってこなくてもいいのに、仕事中だろ?」
「いいえ、10時で上がった
二つ持って来たの、付き合ってもいい?」
「ごめん、悪いけど、無理だ
誰も中にはいれられない
コーヒー、いくらだった?」
「ああ、気にしないで、どうせタダだったし
入れないんだ…」
「そうだ」
「残念…」
「トップシークレットで」
「そう言われると、余計知りたくなっちゃうかも」
「もう、戻らないと
明日ここに来る前に寄れたら、会いに行くよ
「じゃあ、私も会いたくなったら
明日の夜も同じ時間にコーヒー持ってくる」
「ありがとう、トレイシー」
「二つともあげる」
「ホント、ありがとう」

解錠の暗証番号を押すサムの手元を覗き込むトレイシー。

「覗くなんて悪い子だな」
「ためしてみる?」

屈強な警備員の苦虫をかみつぶしたような表情。

コーヒーを飲みながら監視を続けるサム。


▪️ツイン・ピークス:グレート・ノーザン・ホテル

ベンジャミン・ホーンのオフィス。
秘書のビバリーにクレーム客への対応を指示している。

ビバリー、ハウスマンさんにはこう言ってくれ
二泊分の返金はしますが、一週間分は無理ですと
で、夫人とそのニューヨークからのご友人に入りまくってもらおう、スパに」
「ああ、はい…スカンクはどうやって部屋に?」
「何て?」
「例のスカンクです、どうやってハウスマンさんの部屋に?」
「ああ、いやいや
入っとらんし、近づいてすらいないんだ
スカンクがいたのはホテルの逆側だった、奴は…」

オフィスの外から叫ぶ声。

「来たぞーっ!ベン兄貴!」
「うーん…」
「甘〜くて、酸味もあってしょっぱくてパリパリだあ」
ビバリー、弟のジェリーだ」
「どうも、はじめまして」
「では、さっきの件、ハウスマンさんに伝えてくれ
また後で連絡する」
「それでは」

ビバリーがオフィスを退室する。

「あれ、新しい子か?“子”じゃなくて“女”だなあ
あれほどの女を“子”っていうのもな」
ビバリーだ、いいな」
「もう、ヤッたのか?」
「ああ、ジェリー、もっと敬意を払え、敬意だ
魂の美しい女性だ、亭主もいる」
「前はそんなの気にしなかったろう?
ヤってヤってヤって、ヤリまくってた」
「ジェリー、お前にはそれしかないのか?」
「今、この瞬間、俺の頭を駆け巡っているのは
新たな水耕栽培した大麻だ、ハイブリッドで
アムステルダムから列車に乗ってやって来た
伝説のAK47
そいつでまず、このバナナブレッドを焼き、
このよく伸びるジャムにも混ぜ込んだ
クリエイティブな一人旅にはもってこいの食べ物だよ
では、出発!」
「ジェリー、預言者でも敬われんぞ
自分の売り物、食っちまったらな」
「研究開発だよ、ノリノリで没頭できて
その進化は未知数だ、ヘッヘッヘ」
「お前がホテルの仕事から手を引いてよかったよ」
「何、言っちゃてんだよ、ベン!
この合法的な新しい商売で、前の三倍、稼ぎまくってる」
「それ、お袋の帽子か?」

※相変わらず、葉巻を吸っているベン・ホーンだが、
随分紳士的。
弟ジェリー・ホーンは水耕栽培マリファナで稼いでいるらしい。ビバリー役はアシュレイ・ジャッド


▪️ツイン・ピークス:保安官事務所

受付にはルーシーの姿。
トルーマン保安官に客。
ルーシーが応対する。

「どうも、トルーマン保安官はいますか?」
「どっちの?どっちですか?」
「保安官はいらっしゃらない?」
「ですから、どっちのでしょう?
それによって違ってきます」
「ああ…というと?」
「ひとりは病気で、もうひとりは今、釣りに行ってます」
「ああ…」
「なので、どっちのトルーマンでしょう?」
「保険のことでして」
「そういう話は私では無理だと思います」
「保安官に会いたいんです
では名刺を、また日を改めます」
「どうも、預かっておきます、それでも…」

ルーシーが顔を上げると、客は既に立ち去っている。


※ネームプレートの名前はLUCY BRENNAN
どうやらアンディと結婚したらしい。
ふたりのトルーマン保安官?
ハリー・トルーマン役のマイケル・オントキーンは出演しないはず。


▪️何処かわからない山の中

夜、山小屋にベンツが到着する。
下りてきたのはデイル・クーパー捜査官なのか?
長髪にアニマルプリントのシャツ、革ジャン姿(➡︎バッド・クーパー)。
見張りの男をあっけなく倒し、山小屋に入る。

「おっと、あんたか」
「オーティス」

オーティスと呼ばれた髭面で年配の男は酒(密造酒?)を飲んでいる。

外で倒した男が再度襲ってくるが、
再びあっさり倒すバッド・クーパー。
ナイトガウン姿の女が部屋に入ってくる。

「よお、ブエラ」
「ああ、どうも」
「ブエラ、レイとダーリャは?
この家のどっかにいるんだろ?」
「呼んでこよう」
「それから、表には使えるやつを立たせろ」
「まあ、トラック運転手しかいないからね」

レイとダーリャが奥から出てくる。

「レイ、ダーリャ、行くぞ」

部屋には長髪、オーバーオールの年齢不詳の男と性別年齢共に不詳の車椅子の人間も。
レイとダーリャを連れて出掛けるバッド・クーパー。

「Mr.C、Mr.C!」
「じゃあな、オーティス」

※明らかにデイル・クーパー捜査官とは違うこの男、
Mr.C
一体、何者なのか?


▪️ニューヨーク

グラスの箱の監視を続けているサム。
何か気配でも感じたのか、受付に出て行くと
トレイシーが再び、コーヒーを持って来ている。

「いないのよ、あの警備の人」
「ホント?」

サムは警備員を探すがどこにもいない。

「変だな、どこ行ったんだろう?」
「これってチャンスじゃない?
この隙に私を中に入れてよ
また、二つ持ってきたし」
「まあ、確かに誰も見張ってないから
少しの間なら大丈夫だろうけど
出てく時、警備員戻ってたら、ヤバくないかな」
「どうするかは、その時、考えましょう」

サムはトレイシーの願いを聞き入れ、
部屋に入れる。

「あれ、何なの?」
「ガラスの箱だ」
「でしょうね、何に使うの?」
「俺も知らないんだ、学費を稼ぐのにやってるだけだし」
「ここのオーナーって?」
「大金持ちってウワサ、匿名の大金持ちだ」
「ミステリアスね」
「俺の仕事は箱の中に何か現れないか、
ただ見張ってるだけ」
「ええっ?何か現れるの?」
「俺はまだ何も見てないけど、前にやってた奴は
一度見たって言ってた」
「何を?」
「言わなかった、または言えないか
この場所のことは言っちゃいけないんだ、
あの箱のことも」
「たくさん装置があるけど、化学の実験か何か?」
「そうかもしれない、よかったら座らない?」
「そうね」

キスをする二人。

「ちょっとイチャついてみる?
「どうしちゃおうかな」

カウチでセックスを始める二人。
その時、グラスボックス内が闇に閉ざされ、
白くボンヤリとした人影が現れると、
二人に襲いかかる。

※ガラスの箱は一体何のために設置されたものなのか?
匿名の大金持ちとは、何者なのか?
そして、ガラスの箱に現れ、
サムとトレイシーを襲ったのは何なのか?


▪️サウスダコタ州バックホーン:とある集合住宅

買い物から戻ってきた太った女性(マージョリー・グリーン)が連れた小型犬アームストロングが隣室の異臭に気付く。

「何?アームストロング?
ああ、いやだ!」

隣室のドアを激しくノックするマージョリー

「ルース!ルース、中にいるの?ああ、もう最悪!」

自室に戻ったマージョリーは警察に通報する。

「もしもし、ええ、まず名前よね?
私はマージョリー・グリーンよ
お隣さんに何かあったみたいで、そう
いえ、この三日間は会ってない
まあひどい臭いが部屋からして、
アームストロングがまず気付いてね、私も嗅いだら…
違う!アームストロングは犬よ
ここの住所?さあ、わからない、いやだ、どうして?
知ってるはず、知ってるはずなのよ」

通報を受けた警察が到着する。

「鍵がいるんですが、管理人はいますか?」
「さあ、どうだろう?バーニーは大抵いるけど…
じゃ、ちょっと見てきましょうか?
あ、今思い出した、バーニーはいないの
彼、ちょっと変わった人でね
入院してるのよ、普通じゃない病院に」

業者の手配をする警察官。

「この部屋の住民の名前は?」
「確か、ルースよ、ルース・ダベンポート
それと、今思い出した」
「何ですか?」
「バーニーは留守する時、弟に鍵を預けていくのよ」
「名前はわかりますか?」
「さあ、知らない、会ったこともないし…
でも、ハンクなら知ってるかも」
「ハンクって?」
「バーニーの友達、ハンク・フィルモア
「どこに行けば会えますか?」
「あ、そうね、今の居場所はわからないわ
ハンクはここでメンテしてて、ついさっき裏で見たけど」

マージョリーの言うことはやたらと回りくどい。

「ハービーか?このクソ野郎が!」
「ハンクさん」
「だったら、何だ?」
「我々は警察です、協力願います」
「ハービーが呼んだのか?」
フィルモアさん、ルース・ダベンポートの部屋の鍵がいるんで、バーニーの弟と話したいんです」
「俺がチップに会うこと、誰に聞いた?」
「チップって?」
「バーニーの弟だ」
「チップから鍵を借りたいんです」
「俺が今から会いに行くって、何で知ってんだ?」
「チップの電話番号は知ってますか?」
「ああ、いやいやいや、チップだろ?
電話持ってねえよ」
「業者を待とう…」

その時、外階段からマージョリーが警官たちに声をかける。

「おまわりさん!ルースは今、町にはいないと思う?」
「なぜ?」
「彼女がいない時は、あたし、植木の水やりを頼まれてたから、鍵を預かってるの!」

何のことはない、鍵は最初からマージョリーがルースから預かっていた。

異臭の元はベッドの上の遺体だった。
ベッドの上には、
左目を撃ち抜かれたルースの遺体。
首から下は毛布に隠れていて見えない。

どこかに電話をしているハンク。

「ハービー、このクソ野郎、
俺の職場にサツを送り込みやがった、職場だぞ
ハービー、そうだ、ああ、あるとも、全部あるよ、
だが俺のもんだぞ、俺とチップの
違う!自分で手を引くって決めたんだろうが
よせ!俺を脅すなって、ハービー、ハービー?」

ルース・ダベンポートの部屋で現場検証が始まっている。
鑑識官のコンスタンス・タルボットが、デイブ・マックレー刑事の手を借りて、毛布をめくる。
枕の上の頭部はルースのもの、
しかし、首から下は太った男性の死体だった。
一同、声を失う。

※異常な状態の遺体。
サウスダコタ州で起きた猟奇的な殺人事件、
これがツイン・ピークスとどう繋がっていくのか?


▪️ツイン・ピークス:保安官事務所

丸太おばさん(マーガレット・ランターマン)からホーク副署長への電話。
マーガレットはホークに丸太からのメッセージを伝える。

「マーガレット、何かあったか?」
「ホーク、丸太からあなたへメッセージよ」
「聞こう」
「何かが行方不明
あなたがそれを見つけなければ
その何かがクーパー捜査官と関係している」
「デイル・クーパーと?どういうことだ?」
「見つけ出す方法は、あなたのルーツと関係がある
これが丸太からのメッセージよ」
「わかった、マーガレット、ありがとう」
「おやすみ、ホーク」
「おやすみ、マーガレット」

※丸太おばさんことマーガレットランターマン役のキャサリン・コールソンは闘病中だったのか、髪は失われ、鼻には管という痛々しい姿。
それでも出演したところに、デヴィッド・リンチとの絆の深さを感じさせる。


▪️サウスダコタ州バックボーン:バックボーン警察署、ウィリアム・ヘイスティングス

アパートの一室で発見された頭部はルース・ダベンポートのものと確認されたが、
首なし死体の指紋は誰のものかわからない。
しかし、鑑識官のコンスタンス・タルボットが部屋中に残された指紋の持ち主を突きとめる。
指紋は、地元高校の校長、ウィリアム・ヘイスティングスのものだった。

デイブ・マックレー刑事は友人(高校からの釣り仲間)でもあるビルの自宅に急行する。
ビルの妻フィリスがマックレー刑事を出迎える。

「デイブ!一体…」
「フィリス、ビルはいるかな?」
「ええ」
「誰だい?」
「デイブよ、デイブ・マックレー」
「デイブ!やあ!いきなりどうしたんだ?」
「実は君を逮捕しなきゃならないんだ」
「えっ?」
「手錠をするんで後ろを向いてくれ、署に連行する」
「嘘でしょう?あなた、どういうこと?」
「落ち着け、大丈夫だ、俺は何もしちゃいない
デイブ、容疑は何だ?」
「それについては署で話そう」
「私も行くわ」
「いや、家にいればいい、俺は何もしていない」
「今日はモーガン夫妻がディナーに来るのに!」
「フィリス、ジョージに連絡してくれ!」

バックホーン署に連行されるビル。


▪️ツイン・ピークス:保安官事務所

ホークは会議室に過去の捜査資料を運んで来る。
アンディとルーシーも会議室に入ってくる。

「何かが行方不明で、クーパー捜査官と関係してるそうだ」
「でも、クーパー捜査官が行方不明よ
だって、ウォリーが生まれる前から会ってないし
連絡もまったくない
で、ウォリーはもう24歳になる」
「ウォリーはマーロン・ブランドと誕生日が同じ」
「だから、アンディはマーロンって名付けたかったの
クーパー捜査官はクリスマスカードも送ってこない」
「ウォリーにも会ってくれてない」
「アンディ、ルーシー、今日はもう遅い
倉庫からさっき話した資料を取ってきてくれたら
作業開始は明日の朝にしよう
コーヒーとドーナツは用意するよ」
「わかりました、ホーク副署長」

※25年前、妊娠中だったルーシー。
生まれた息子は、ウォリーと名付けられた。
ルーシーがアンディと結婚したが、
ウォリーの父親は、当時ホーン・デパートに勤めていたリチャード・トレメインだという可能性もある。


▪️サウスダコタ州バックボーン:バックボーン警察署

取調室で頭を抱えるウィリアム・ヘイスティングス
州警察から助っ人のドン・ハリソンが派遣される。

「見つかってない胴体と頭については?」
「まだ、何も」
「入ってどのくらいだ?」
「30分ってところだ」
「十分だな」
「ホントに俺が続けていいのか?」
「マイクから聞いてる、釣り仲間だって?」
「高校の頃からの付き合いだ」
「なら、俺より心を開く、始めてくれ」

取調室に入るマックレー刑事。

「なあ、デイブ、一体、何が起きてるのか教えてくれるか?」
「後でちゃんと説明するよ
だが、その前に君に二、三、聞きたいことがある
ルース・ダベンポートは知ってるか?」
「聞いたことはある名前だ、確か図書館司書の?」
「そうだ、そのルース、知り合いなのか?」
「でもない、挨拶する程度だ」
「うん、最後にルースに会ったのは?」
「さあ、いつだろう?
ちょっと待ってくれ、2、3ヶ月前かな」
「うーん、ルース・ダベンポートの家に行ったことはあるか?」
「いいや、ないよ
それどころか、どこに住んでいるかも知らない」
「じゃあ、これまでアローヘッド通り1349にあるアパートに行ったことはあるか?」
「いいや、一度もない、
なあ、そんなところへは本当に行ったことない
頼むから、どういうことか教えてくれ」
「ビル、この三、四日、
どう過ごしていたか、説明できるか?」
「ああ、もちろん、当然平日はずっと学校にいた」
「じゃ、夜は?」
「まず、水曜は学校からまっすぐ帰宅した
で、木曜の夜は学校で会議があったんだ
その後は、家に帰った
それから、金曜は夕食に出掛けた、フィリスと
でも、その後はまっすぐ家へ
で、今日は家だ、一日中」
「じゃ、その木曜の会議の議題は?」
「カリキュラムと教員の評価で隔月に行ってる会議だ」
「終わったのは?」
「確か9時半頃だったと思う、ピザを頼んだ」
「それで、終わった後はそのまままっすぐ家へ?」
「そう」
「家に着いたのは?」
「10時15分か20分」
「いつもは家まで車でどのくらいかかるんだ?」
「そうだ、今思い出したよ
あの日は秘書のベティを送ったんだった
調子が悪くて、車の、彼女の車の
ジョージと話がしたいんだ、私の弁護士だ
もう来てるかな?来てるのか?どうだ?」
「確認しよう」
「だが、ビル、弁護士を間に挟む前に何か俺に話しておきたいことはないのか?どうだ?」
「一体何があったんだ?」
「ルース・ダベンポートが殺され
君の指紋が彼女の部屋中から出た」
「えっ?えっ?」

動揺しているウィリアム・ヘイスティングス
マックレー刑事はビルを留置場へ連れていく。

「デイブ、フィリスと話したい、
何とか便宜を図ってくれ」
「約束は出来ない」


サウスダコタ州バックホーン:ウィリアム・ヘイスティングスの自宅

バックホーン警察の一行がウィリアム・ヘイスティングスの自宅に到着する。

「これより、家宅捜索を開始します、令状です」
「こんなの信じられない、今夜はお客様が来るのよ」
「停めてあるのはビルの車ですか?」
ボルボの方よ」
「キーを貸して下さい」
「デイブ…」
「キーを渡して、フィリス」
「では、始めます」

家の中に入っていく警察官たち。
マックレー刑事と助っ人のハリソン刑事はビルの車を捜索する。
マックレー刑事のチカチカ点滅する懐中電灯。
そして、ビルの車のトランクからは肉片が発見される。

※ルース・ダベンポートの死に本当に驚いているように見えたウィリアム・ヘイスティングス
彼が本当にルースを殺したのか?
そして、首なし死体は一体誰なのか?


▪️ブラックロッジ?

巨人の姿。
カリカリという例の音が聞こえる。

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伝説のドラマ・シリーズ『ツイン・ピークス』25年ぶりの新作『ツイン・ピークス The Return』。
まさか本当に25年後に会えるとは!
しかし、前シリーズ以上、いや比べ物にならないほどの謎が謎を呼ぶ展開にもうクラクラ。
あれもこれも後々伏線になってきそうで、
何ひとつ見逃せない!特にブラックロッジで交わされた会話の内容は要チェック。
謎が謎を呼ぶ展開の第1話。
オープニングとしては素晴らしい出来なんじゃなかろうか?
ニューヨークでサムとトレイシーを襲った得体の知れない怪物(その前にあのガラスボックスは何だって話)もサウスダコタの猟奇殺人事件も前シリーズよりもグロテスクな描写が目立つのは今シリーズは SHOWTIMEというケーブル局に製作が移った影響が大きいのかもしれない。

今エピソードは、撮影後に亡くなった丸太おばさんを演じたキャサリン・コールソンに捧げられている。

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⚫︎ツイン・ピークス The Return (全18回)
TWIN PEAKS THE RETURN
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ,マーク・フロスト

ツイン・ピークス The Return』予告編は、こちら👉YouTube


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👇『ツイン・ピークス The Return 』DVD、Blu-rayはこちら

👇前シリーズ『ツイン・ピークスBlu-rayはこちら

👇前シリーズの前日譚『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』Blu-rayはこちら

👇アンジェロ・バダラメンティによるサウンド・トラックはこちら

👇ツイン・ピークスの25年間の出来事が描かれているというマーク・フロストの『ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー』はこちら

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

ツイン・ピークス シークレット・ヒストリー

今月の読書〜2017年6月〜

今月は、エリザベス・ストラウト『私の名前はルーシー・バートン』ウィリアム・トレヴァー『異国の出来事』が双璧。
エンタメ作品では、異色のコンビが活躍する『パードレはそこにいる』ジェイン・ハーパーのデビュー作『渇きと偽り』がオススメ!


▪️冬の日誌/ポール・オースター
柴田元幸訳/新潮社
WINTER JOURNAL/Paul Auster/2012

60歳を越えた作家ポール・オースターの回想録。
身体に残された傷痕、愛した食べ物、
これまでに住んできた家、父の死、母の死、
そこから呼び起こされる記憶。
オースターはここで「君」という二人称を使っているが、これは回想録であっても、ある程度の客観性を保ちたかったということもあるだろう。
そして、昔の自分を「君」と呼びたくなるほど遠くに感じられる、時間経過のなせる技でもあるだろう。
表紙の写真はアンドレ・ケルテスによるもの。
昔行ったケルテス展の図録を引っ張りだしてみたら、
アンドレ・ケルテスは同じアングルの写真をたくさん撮っていた。

冬の日誌

冬の日誌


▪️分解する/リディア・デイヴィス
岸本佐知子訳/作品社
BREAK IT DOWN/Lydia Davis/1976,1981,1983,1986

偶然にもリディア・デイヴィスの元夫ポール・オースターの回想録『冬の日誌』を読んだばかりだったので、
オースターが元妻を悪く書いている訳ではないが、
この夫婦の関係が結局破綻してしまった理由がなんとなく分かるような気がした。
二人がパリ在住時にオースターの喉に魚の骨が刺さり病院に行ったエピソード(「骨」)は
オースターの本にも登場するのだが、
面白いのは、
彼女は「小さな魚の骨」と書いているのに、
オースターは「何しろ十センチ近い長さがあったのだ」と書いていることで、
この辺りは男女の違いなのかなあと思ったりした。
(収録作品)
⚫︎話
⚫︎オーランド夫人の恐れ
⚫︎意識と無意識のあいだー小さな男
⚫︎分解する
⚫︎バードブ氏、ドイツに行く
⚫︎彼女が知っていること
⚫︎魚
⚫︎ミルドレッドとオーボエ
⚫︎鼠
⚫︎手紙
⚫︎ある人生(抄)
⚫︎設計図
⚫︎義理の兄
⚫︎W・H・オーデン、知人宅で一夜を過ごす
⚫︎母親たち
⚫︎完全に包囲された家
⚫︎夫を訪ねる
⚫︎秋のゴキブリ
⚫︎骨
⚫︎私に関するいくつかの好ましくない点
⚫︎ワシーリィの生涯のためのスケッチ
⚫︎街の仕事
⚫︎姉と妹
⚫︎セラピー
⚫︎フランス語講座その1ーLe Meurtre
⚫︎昔、とても愚かな男が
⚫︎メイド
⚫︎コテージ
⚫︎安全な恋
⚫︎問題
⚫︎年寄り女の着るもの
⚫︎靴下
⚫︎情緒不安定の五つの徴候

分解する

分解する


▪️人生の段階/ジュリアン・バーンズ
土屋政雄訳/新潮社(新潮クレスト・ブックス)
LEVELS OF LIFE/Julian Barns/2013

突然の妻の死から5年。
作家としてこのテーマを素通りすることは出来なかっただろうが、やはり書くまでにはいろいろと逡巡があっただろうと思う。
しかし、これを読む限り作家はまだ、
なぜ彼女が?という突然襲った理不尽な病に対する怒りや悲しみの底にあって、トンネルの先の光は見えない。

「とにかく、自然ってほんとうに正確」

「大切さと痛みが正確に比例している。
ある意味、だからこそ痛みをじっと味わいつづけられるのだと思う。
どうでもいいことなら、もともと痛みなんてない」

つまるところ、友人からのこの言葉に尽きるが、
彼はまだこの域には達していないのだ。

人生の段階 (新潮クレスト・ブックス)

人生の段階 (新潮クレスト・ブックス)


▪️守護者/グレック・ルッカ
古沢嘉道訳/講談社講談社文庫)
THE KEEPER/Greg Rucka/1997

プロのボディガード、アティカス・コディアックは恋人アリソンの中絶手術に付き添う。
折しもクリニックの外では中絶反対派の運動が激しさを増しており、反対派と容認派双方が集まる会議への出席を控えていたクリニックの医師フェリスはアティカスに彼女とダウン症の娘ケイティの警護を依頼する。
正直プロットに然程新鮮味は感じられないものの、
シリーズの一作目にしてグレック・ルッカの長編デビュー作として考えると、
最後までこの緊張感を保ったのはなかなかのもの。
しかし、中絶反対派と中絶容認派、
ここにも深い分断がある。
他の方々も指摘している通り、
アティカスに協力する私立探偵ブリジットの言葉遣いはもうちょっとどうにかならなかったのかなあ。
スピンオフ(『耽溺者』)作品もある魅力的なキャラクターだけに勿体無い。

守護者 (講談社文庫)

守護者 (講談社文庫)


▪️奪還者/グレック・ルッカ
古沢嘉道訳/講談社講談社文庫)
THE FINDER/Greg Rucka/1998

プロのボディガード、アティカス・コディアックが活躍するシリーズの二作目。
前作の仕事で被った痛手から未だ立ち直れないアティカスはアルバイトでSMクラブの用心棒をしている。
そこで再会したのは四年前軍在籍時に警護した大佐の娘エリカ。
アティカスはエイズで余命わずかな大佐から娘の警護を頼まれる。
今作は、いわば離婚した大佐夫妻の娘の取り合いに巻き込まれた形だが、そこにSAS(英国陸軍特殊空挺部隊)が絡み話を膨らませている。
相手が手強いだけに緊張感も維持され、
前作に続き一気読み。
文学の合間のエンタメに必要な要素は十分だった。
今作でアティカスと恋人関係になるブリジット。
前作で彼女のアパートにレズビアン関係の雑誌もあったりでアティカスもそれを見ていた筈。しかし、彼女がバイセクシャルだったことを知って(何故気付かない?)ショック受けたりで、
アティカス、あんたの観察能力に疑いあり。

奪回者 (講談社文庫)

奪回者 (講談社文庫)


▪️彼女の家出/平松洋子
文化出版局

最近エッセイはあまり読んでいなかったが、
私にとって面白いエッセイとは、
すとんすとんと腑に落ちるか、あるいは新鮮なものの見方に目を開かされるかのどちらかなので、
そういう意味ではちょっと物足りなかった。
多分もう少し年をとればいちいちが腑に落ちるのかもしれない。
しかし、絹ごし豆腐に塩を擦り込んでふきんに包んで重しを乗せて冷蔵庫で一晩の塩豆腐は簡単だし美味しそうなので早速作ってみたい。
考えてみると、私のエッセイの原体験は十代の頃に読んだ向田邦子伊丹十三なんだなあ。すごく影響を受けていると思う。

彼女の家出

彼女の家出


▪️バージェス家の出来事/エリザベス・ストラウト
小川義高訳/早川書房
THE BURGESS BOYS/Elizabeth Strout/2013

幼い頃に父親を亡くしたバージェス家の子供たち。
長男ジムは著名な弁護士として一家の柱となり、
ジムに馬鹿にされ続けてきた弟のボブはそれでも兄と同じ法律の道へ進み、ボブと双子のスーザンはシングルマザーに。
不幸な事故によって家族に生じた歪みがやがてスーザンの息子ザックが起こしたある事件によって表面化する。
バラバラになりそうな家族、そして分断の危機に瀕したコミュニティを救うのは何か?
それはつまるところ、“赦し”だ。
誰もが多かれ少なかれ罪を犯し、
完璧な人間などいないのだから。
ただし、それは簡単なことではない。
仕方ないことだけど、
バージェス家の人々の圧倒的なリアリさに比べると、
ソマリ人コミュニティの人々については取材して書きました的なものを少し感じてしまう。
彼らの視点を小説の中に取り込みたかった意図は分かるが。。。

バージェス家の出来事

バージェス家の出来事


▪️私の名前はルーシー・バートン/エリザベス・ストラウト
小川義高訳/早川書房
MY NAME IS LUCY BARTON/Elizabeth Strout/2016

手術を終えればじきに退院出来る筈の盲腸炎で入院が長引くルーシー。
幼い二人の娘にも会えず、仕事に家事に忙しい夫は見舞いもままならず、不安な日々を送る彼女の元を訪れたのは疎遠になっていた母だった。
母と過ごす5日間は、主に故郷の人々の噂話に終始するが、その時ルーシーが一番側にいて欲しかったのはきっと母親だったろうし、その後の人生において、そして作家としても重要な5日間となる。
離婚、再婚、様々な出会い。ルーシーという人間、
作家を作り上げた要素はいろいろあれど、
家族との関係、特に母との関係は特別だったのだろう。
どんなに疎遠になっていても愛がない訳じゃない。
そんなに簡単に家族の縁がきれる訳じゃない。人それぞれに愛情の示し方があって、ルーシーの母にとってそれは、ベッドの足元に座り噂話をすることだった。

「私の母が愛してるという言葉を口に出せない人だったことを、読者にはわかってもらえないかもしれない。それでもよかったということをわかってもらえないかもしれない」

人のことなんかわかりゃしない。
自分のことだってわかってもらえないかもしれない。
それでもルーシーは書く。
そして、エリザベス・ストラウトも書き続ける。

私の名前はルーシー・バートン

私の名前はルーシー・バートン


▪️異国の出来事/ウィリアム・トレヴァー
栩木伸明訳/国書刊行会
A SELECTION OF STORIES/William Trever/1972,1975,1981,1986,1989,1992,2000,2007

旅先という非日常。
見知らぬ人とのつかの間の出会いと別れもあれば、
知っている筈の人の意外な面に驚かされることもある。
“非日常”というだけでも、旅の記憶に残りやすいが、
そこで起きたことはその後の人生において決定的な影響を及ぼしてしまうこともある。
長い人生においては短い時間でも、より劇的。
旅は短編小説そのもの。
傑作揃いだが、一瞬の恋が永遠だった「版画家」、
離婚で自分の人生を歩み始めた女性が苦い現実に直面する「家出」、父と娘がすれ違う「ザッテレ河岸で」、
親友だった少女を引き裂いた秘密を描く「娘ふたり」がお気に入り。

(収録作品)
⚫︎エスファハーンにて
⚫︎サン・ピエトロの煙の木
⚫︎版画家
⚫︎家出
⚫︎お客さん
⚫︎ふたりの秘密
⚫︎三つどもえ
⚫︎ミセス・ヴァンシッタートの好色なまなざし
⚫︎ザッテレ河岸で
⚫︎帰省
⚫︎ドネイのカフェでカクテルを
⚫︎娘ふたり

異国の出来事 (ウィリアム・トレヴァー・コレクション)

異国の出来事 (ウィリアム・トレヴァー・コレクション)


▪️パードレはそこにいる/サンドローネ・ダツィエーリ
清水由貴子訳/早川書房(ハヤカワ文庫)
VCCIDI IL PADRE/Sandrone Dazieri/2014

誘拐監禁事件の被害者であり現在はコンサルタントとして行方不明・失踪事件に関わるダンテ。
そして、逃亡犯によるレストラン爆破事件で重傷を負い休職中のコロンバ。
共にトラウマを抱える二人が新たに発生した少年の失踪事件に挑む。
ダンテは優秀なコンサルタントで実績も十分だが、
事件のトラウマでひどい閉所恐怖症で長く車に乗っていることもままならない。
コロンバも辞職を考えている。
そんな二人が事件にのめり込んでいく過程が読みどころ。
少年を狙った連続誘拐監禁事件と思いきや、
その背後には冷戦終結、製薬会社の新薬開発など大きく風呂敷を広げた割には結末は小さく畳んだ印象はある。
ただし、著者はテレビの脚本を書いてるだけあってストーリー展開は巧みで一気読み。
片やパニック障害、もう一方は重度の閉所恐怖症という小さくはないハンデを背負っている、そして女性のコロンバは腕っ節が強く、
一方男性のダンテはガリガリの痩せて戦闘能力では全く役立たずという主人公二人のキャラクター設定が新鮮!
面白かったです。
それにしても、コロンバが所属するのは機動隊、国家憲兵に県警に郵便・通信警察と、
イタリアの警察組織は複雑。

パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)


▪️渇きと偽り/ジェイン・ハーパー
青木創訳/早川書房ハヤカワ・ポケット・ミステリ
THE DRY/JANE HARPER/2016

旱魃被害に苦しむ故郷の田舎町で妻と子を道連れに自殺した幼馴染ルーク。

「ルークは嘘をついた。きみも嘘をついた」

息子の自殺を信じないルークの父親からの手紙を受け取った連邦捜査官アーロンは葬儀のために帰郷する。
そして彼は、20年前故郷の町を出る原因になった事件に再び向き合うことになる。
二つの事件の真相が少しづつ明らかになる構成の妙(現在パートと過去パートの配置)と主人公をはじめとしたキャラクター造形が見事。
旱魃で土地も人々の心も死にかけた町の姿がリアルに迫ってくる。
これがデビュー作とは思えない筆力。
今後も追っていきたいシリーズです。

渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)

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